5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

うつる孤独

2009-12-23 23:45:20 |  ニュース
岐阜在のH氏に2年ぶりに逢う。年末の掛取りである。借りた側の向うは、当然の事で気の乗らぬ返事だったが、それでも約束の場所に現われた。昼飯は道路沿いの皿うどん屋。台はうどんではなく揚げた細い中華麺だから、これも今流行の詐称である。

食後の喫茶店では、互いの趣味のPCについてひとしきり。「フリーター仕事にあぶれて困っている」と弁解しながら借金返済については回答を逃げる。

そろそろ還暦の歳になっても、仕事がないやら、借金返済やらで、内心は焦燥感で一杯なのだろう。金の話になると、突然元気がなくなるのはいい証拠だ。「どうしようもない」といった「孤独」な真顔が現われる。

「孤独」といえば、今日のVOAスペシャルイングリッシュ、「ニュースの科学」に「孤独はうつる」というレポートがあった。

うつる病気というのもいろいろあるが、孤独感をかかえる人間は、その感情を他人にうつすという研究結果がアメリカの心理学誌に発表されたという。

1948年、マサチュセッツ州の住民約5000人を対象に行われ、今では12000人と倍以上に対象を広げて続いている「フラミンガム・ハート・スタディ」という、アメリカ人の肉体的・精神的健康および個人行動と栄養状態に関するデータ研究があるようで、「孤独感」についても、このフラミンガム・スタディの資料を分析したものだという。以前の同様調査では、「幸福感」「肥満」「禁煙」なども人から人へ伝播して行くという結果が出ているようだ。

今回の調査はシカゴ大学が中心となって行われ、「ひとはどれほどの頻度で「孤独感」を感じるのか」というテーマで行われたが、友人、隣人、家族といった社会的グループ単位で「孤独感」がひろがると結論された。

「孤独」を感じる人と社会的に係わりを持っている人は、そうでない人よりも52%多く、自身の「孤独感」を感じる可能性が強まるといい、そのまた友達は、他より25%多く「孤独」になるのだそうだ。人は、他人の「孤独」に影響されやすいというわけである。

社会的グループでいえば、友人関係のある者が一番大きく影響され、続いて隣人グループ、夫婦や兄弟といった肉親間は、いちばん影響されにくいのだという。さらに、男性よりも女性のグループの方が「さみしさ」の拡がり方が速いという結果でもある。

この研究では、一年間に人は平均延べ48日間、「孤独」を感じるというが、「さみしい」友人を持つ人間の場合は、それが17日増えて、年間65「孤独」日になるという。逆に、友達が一人増えるごとに「孤独感」を感じる機会は5%づつ(2・5日づつ)減っていくということでもある。「孤独感」の原因は、鬱症状や睡眠不足といった健康問題と関係していることが多く、孤独のわけを知ることで病気の快癒につながるともされている。

「さみしさ」の拡がり方についてははっきり判らないようだが、孤独をかかえる人に一般的な「疑り深さ」と情動が関係しあうのではとだとされている。されに、研究では、「さみしさ」の拡大を阻止するための方法として、「孤独」を感じている人を周りから援けることが、所属する社会的グループ全体へのプラスの影響を及ぼすと、提案されている。

H氏の「孤独」が自分にうつらぬように、こちらから声かけをしてサポートしなさいというわけのようだ。電話に出ない彼のこと、メール攻勢をかけてみるか。




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