マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

長滝町九頭神社宵宮

2010年11月12日 07時34分32秒 | 天理市へ
前日に本当屋と受け当屋の2軒の家にヨバレに行く座衆を採択する「座分け」があった長滝町。

夕方から始まって凡そ3時間は酒宴になる。

今はパック詰め料理になった当屋の料理。

かつては料理をこしらえて接待をしていたそうだ。

本当屋の玄関口には注連縄が張られている。

両側には藁で包んだ洗い米と塩がある。

そして3mぐらいの長さの太いメダケを3本立てている。

2本は提灯。形態は高張提灯のようだ。

もう1本は幟とも思える幡だ。

本当屋は赤色で大当屋の幡。受け当屋は白色でコ当屋になるという。

本当屋の座敷には舘の神さんを祀っている。

2月5日に行われた正月ドーヤのときから一年間祀るそうだ。

祭壇には2種類のモチのお供えがある。

アンツケ(アンコ)モチとキナコモチだ。これはセキダモチと呼んでいる。

モチを搗いて柔らかい間に「イ(藺)」で切るという。

今夜は九頭神社の宵宮。

かつては長いオーコで担いでいた太鼓台があった。

秋祭りには天理ダムに沈んだ地区まで練っていた。

台には子供が4、5人乗って太鼓を叩いていたと話すNさん。

長老十人衆の予備にあたるそうだ。

両当家は行司が出発時間を調整して神社までお渡りをする。

出発前、素襖(ソウ)を身につけ烏帽子を被る当屋と十人衆。区長もその姿になった。

玄関口で太い松明に火を点けた。

赤い炎がメラメラと燃える。

提灯にもローソクが点された。



最初に出発した受け当屋に一行が待ち会う場所にやってきた。

しかし先導を行くのは本当屋の行列だ。

一列になって神社を目指して真夜中のお渡り。

鳥居をくぐって宮入りした。

松明は境内で燃やす。



そして始まった真夜中の宵宮式典。

両当家、長老十人衆らが席に着いた。

一老は朗々と祝詞を奏上する。

境内は賑やかだが拝殿はまさに神事一色。



それが終われば千本杵で搗いた紅白の御供モチをいただく。

参拝者には甘酒が振る舞われる。

明日の秋祭りの時間を通達されて宵宮を終えた。

(H22.10.10 EOS40D撮影)