( おまかせ 食事処「幸」) 2015/4/4撮影
旦過市場を歩くのが、小倉に来た時の楽しみとは何度か書いた。昭和の雰囲気を今に残す庶民の市場は、全国的にも数少ない。
食堂『幸』に「まいど~」とのれんをくぐり店に入ると キッチンの女性二人は初めて見る顔、「あれ 今日はママさんお休み?」と聞けば、「3月でここの営業をやめられたんですよ」という回答にびっくり。
そんなの聞いてないな~ でも 旦過から遠くない馬借町の新店で営業をしていることを聞いて すぐにそちらへと向かった。 一体なぜ旦過を出たんだろう? 不可解なまま、聞いた方角へと歩いた。
場所は、旦過市場から歩いて5分と離れていないモノレール沿線にある中華料理店「長安」の入っているビルの地階。北九州地所ビル地下一階 階段を下りて恐る恐る覗いてみると 広々した空間で、ランチタイム以降はカラオケ喫茶のラウンジスペースが広がっていた。
えらく広いな~ 大きくイメージチェンジ
私の突然の来店にママさんは、驚くと共に歓迎してくれた。旦過市場の中でも 突然店をやめると言い出して 「一体何があったのか」と皆に聞かれ ちょっとした衝撃が市場の中を走ったのだそうだ。
「以前からお客さんの顔が良く見えないところで料理を作るだけで、狭い店でざわざわとした中でストレスを感じていたし、お客の顔が見えるようなところで商売をやりたかった」のだそうだ。
そうか そうだったのか~それは知らなかったし、まるで気づかなかった。 「女も50を過ぎると自分の老後のことも考えるし、できるだけストレスなく、本当にやりたかったことをやりたいと思ったの」と話してくれた。
そんな気持ちを抱えた中で、たまたまここで商売をされていたママさんが、食事しに来られ「営業をやめる」ことを聞いたものだから とんとん拍子で移転が決まったのだそうだ。
3月に店を移ったばかりだが、早速 歓送迎会で週末は賑わい、平日はランチタイムにサラリーマンが連れだって、その後は、高齢者がカラオケ喫茶としてうまく稼働していると喜んでいた。
「折角だから 何か1曲唄って帰りますね」と 十八番とまではいかない 十六番くらいの持ち歌「六甲おろし」を唄って「帰って開店祝いに奈良の日本酒贈りますね。 また 来ます」と店を出た。
ママの娘さんと孫のともきくんが見送ってくれた。 店のすぐ近くにある 無法松の碑の櫻は満開。新しいスタートにサクラサク小倉だった。
( 無法松の碑の櫻 )
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(寅)
移転後、旦過の店は、市場の中でも場所がいいところだけにすぐに入居が決まり、
店名「幸」テント・のれんはそのまま。九州小倉には、「幸」がふたつとなった。
「 小倉に幸多かれ」 のお話しでした。