ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

海老蔵のルーツ

2007-03-24 18:43:44 | 独り言
何かと人騒がせな歌舞伎役者市川海老蔵は、父の12代目市川団十郎と共にパリのオペラ座に出演している。
日仏のフアンに「勧進帳」を披露しているようだ。
市川宗家の十八番の演目の内で、この「勧進帳」は実に見応えのある演目のひとつなのだ。

小生との歌舞伎については永い付合いがある。

先日42回目の結婚記念日を迎えた我が夫婦だが、実は結婚直後にカミさんと早くに亡くなったカミさんの母親と3人で大阪新歌舞伎座で、「勧進帳」を観ているのだ。
演じたのは現在の海老蔵の祖父である11代目市川団十郎であった。戦後の荒廃した日本に「海老さま」として絶大な人気で、歌舞伎を通じて国民に活力を与えてくれた役者であった。
先々代の松本幸四郎の長男ながら、望まれて九代目市川団十郎の養子である市川三升(後に十代目の称号を追贈されている)の養子に入る。弟には先代の松本幸四郎、尾上松録がいる。
その後歌舞伎界では最高の名跡である11代目市川団十郎を襲名して、昭和30年代の後半から歌舞伎が隆盛を極める基礎を築いている。
そして大阪新歌舞伎座での興行。亡き先々代の17回忌追善興行としての「勧進帳」の富樫を演じ、更に河内山宗春を弟達と演じている。
大阪に就職してからは何度か関西歌舞伎は観ていたが、この華やかな舞台には圧倒される思いだった。
まさに歌舞伎役者になる為に生まれてきた様なこの役者は、いささかせりふに聞き難い難点があったが実にさわやかな雰囲気を醸し出す人との評判だった。

しかしこの不出世の歌舞伎役者と言われた11代目は残念ながら、翌年には「胃がん」で世を去っている。
11代目市川団十郎を小生が観た初めての、そして最後の舞台になった。

この役者の事は宮尾登美子著の「きのね」と言う小説に詳しく述べられている。今の団十郎の出生とその母親の話が実にリアルに描かれている。20年程前に朝日新聞に連載されたこの小説があまりにもプライバシーに肉薄しているのに驚いた記憶がある。

この11代目市川団十郎の孫にあたるのが「市川海老蔵」になるのだ。
歌舞伎と言ふ日本伝統の演劇を後世に残すための重要な役割を担う立場を充分に認識して大成して欲しいものだ。
浮ついたスキャンダルなどは願い下げだ。


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