「お芝居、見るのが好きなんです」と、私が人に言うと、10人中半分以上の方が「じゃあ、劇団四季とか見るの?」と聞かれます。私は、四季が苦手なので、そのたびに「いえ、四季はあまり…」とお返事しております。
余談ながら、以前の会社の同僚で「日本野鳥の会」の会員という人がいましたが、その人はそれを言うと、10人中10人が「あの、紅白歌合戦の?」と言われるそうです。何年も前から、野鳥の会は紅白に出ていないそうなんですが、よほど紅白のインパクトが強いんでしょうね。
話を戻して、今回読んだ「劇団四季と浅利慶太」は、10人中半分は知っている劇団四季について書かれた本です。昨日の「日本の有名一族」の参考文献つながりです。浅利慶太さんの大叔父が二代目市川左團次で(浅利さんの祖母の妹が左團次の妻)、左團次に子供がいなかったので、浅利さんを跡継ぎにという話も小さい頃あったそうです。
著者の松崎さんは、中曽根政権時代の自民党で研究員をされていた方で、著作もそういう方面の著作が多い方ですが、中曽根元総理つながりで、浅利慶太さんとコネクションができて、この本を書かれたようです。そのせいか、浅利さんと劇団四季を必要以上に賛美する表現がそこかしこにあって、ちょっと(いや、かなり?)鼻につきます。
劇団四季は「キャッツ」の初演を見に行きました。20年以上前のことで、当時普通のお芝居はまだ3千円か4千円の時代に7千円のチケ代を出して、大阪駅の北側のテントまで行きましたが、私にはもうひとつでした。その1本を見ただけですが、どうも四季アレルギーになったみたいで、全然行ってなかったんですが、昨年ストレートプレイで三島由紀夫の「鹿鳴館」を演るということで見に行きましたが、それももうひとつでやっぱり四季は「もういいわ…」と思っています。
確かに、劇団四季はいまや、お芝居を見ない人でもその名前は知っているし、日本で最も人気のある劇団だと思うし、何よりも、その経営は磐石で、劇団員がお芝居だけに打ち込める環境を提供していらっしゃるのはすごいことだと思います。自前の劇場をいくつも持ち、テレビに頼らずに本業の舞台だけで利益を上げていらっしゃるのは、一般のビジネスとして見ても、大成功でしょう。だからって、そこまでヨイショしなくても…ってくらい、持ち上げています。
さらに、劇団四季(=浅利さん)を過大評価するあまり、四季をやめていった人のことを「四季にいた頃より精彩を欠いている」と過小評価されています。そんなことはないと思うんですけど。この本は劇団四季の協力を得て書かれていますが、劇団四季って、「何か、ケツの穴、小さいんちゃうん」と思ってしまいました。
と、私は文句ばかり書いていますが、この本結構売れていて「第6刷」までいっています。劇団四季について何か知りたいと思う人にはちょうどいい本かと思います。それにしても、劇団四季ってやっぱり人気があるんですね。
ま、あぁ言うものは嗜好品と同じなので合う合わないは、あるでしょうね。
ところで、四季を辞めた人に対する評は全く気になるところです。
以前、浅利氏も辞めた人のことを結構悪く言っていて、それってどうよ?って思いました。
宝塚のように「巣立っていってくれて嬉しいよ。もっと大きくなってくれ」と言うような気持ちにはならないのでしょうか。
確かに、四季から排出された役者さんは一定のレベルの技量を身につけてはいます。その反面、アドリブがきかない、って言う型にはまりすぎ、なところもありますね。
いずれにしても、辞めた人のことを悪く言うのはどうかと思います。