yoosanよしなしごとを綴る

つれづれなるままにパソコンに向かいて旅日記・斜読・よしなしごとを綴る

茶臼岳=那須岳を登る 2

2018年06月06日 | 旅行

<栃木を歩く>  2018.5 茶臼岳=那須岳を登る 2  

 遠くから子どもたちの歓声が聞こえる。ほどなく、子どもたちに追いついた(写真、ホームページ参照)。
 小学4年生の遠足で、総勢70名ほどが2組に分かれて登っている。写真の岩を過ぎると、道が狭くなる。一人しか通れないほど狭くなったり、大きな段差があったり、足下の岩がぐらついたりと、行く手をはばんでいて、登るペースが遅くなる。
 登り勾配もかなりきつい。ゼーゼー息を切らす。膝がぐらつく。ときどき水を補給し、呼吸を整える。

 
 小学生に励まされながら、2組目の小学生を追い抜いてしばらく登ると、大岩の標識に着く(写真、ホームページ参照)。写真で分かるように、大きな岩が急斜面にごろごろしている。噴火でこのような岩が飛んでくるようだ。
 山頂まであと0.4km25minだが、大小の岩+砂利の登り道だからまだ道のりは遠い。毎日1万歩前後を歩き、1日に1~2回、11階までの階段を上り下りするが、山道には通用しない。足下を確かめながら登る。


 山頂まで0.3km15minの標識あたりで、1組目の小学生に追いついた。子どもたちは身体が柔らかい。疲れを知らないように見える。わいわい、楽しそうに登っていく。私も小学校4年を経験したはずで、たぶんそのころは身体が柔らかかったに違いない。みんな元気に育てよ。

 1組目を抜いてしばらく登ると、山頂口の標識に着いた(写真、ホームページ参照)。風はほとんど感じないが、白い雲が流れていく。標識には茶臼岳0.2km10min、山頂駅0.9km30minと記されている。
 あと一息と思うと元気が復活する。こまめな標識は道しるべになるし、自分のいどころ、残り時間配分が分かるので心強い。水を補給し、呼吸を整え、膝にあとわずかと語りかける。子どもたちの声が近づいてくる。

 少し登ると岩だらけの平場になり、那須岳三角点の標識が立っている(写真、ホームページ参照)。子どもたちが追いついてきた。引率の先生がみんなが集まるまで待つように声をかける。
 山が得意な子もいれば苦手な子もいる。それぞれが自分の調子で登ればいいし、元気な子は後れている子を励ましながら登ればいい。社会に生きるマナーをそうやって身につければいい。

 最後の10分を登りきり、茶臼岳1915mに到着する(写真)。ほぼ同じペースで登ってきた私と同年代で一人登山の男性、夫婦連れも到着していて、那須岳神社と記された祠を背景に写真を撮っていた。
 山頂も大小の岩だらけながら、平場になっている。じきに小学生が登ってきた。小学生は山頂でランチだそうで、三々五々に座るところを探し、食べ物、飲み物を広げ始めた。

 朝食をしっかり食べてきた私たちは、宿でもらった饅頭を食べながら風景をぐるりと見渡す。依然として白い雲が流れていて、見通しは限られるが、雰囲気は広大である。風景を見ながら、この年でもなんとか登れたことに安堵する。

 弘法大師も茶臼岳に登ったと言い伝えられている。弘法大師のころはロープウエイも車もないから、麓から登ったはずである。
 この年で登れたなどと思うと、弘法大師から「喝」を入れられるかも知れない。信念を強くし、挑戦の気持ちを持ち続けることが健康、健脚の秘訣であろう。心を入れ替え、反省する。

 ゆっくり休んだ。遠くに黒い雲が見えた。引率の先生の無線で雷警報は出ていないことを確認する声が聞こえたが、膝が弱り始めているロートルはゆっくりの下山になるので、早めに下ることにした。
 気がつけば、同じペースで登ってきた男性と夫婦連れはすでに下山していた。

 まず茶臼岳三角点、次の山頂口へ向かう。段差の大きい下りはなかなかの難所である。足を降ろした石が不安定で動くこともある。岩の上の砂で滑りやすいこともある。ゆっくり下る。
 下りは、息は切れないが、足がもたつく。次の小学生が登ってきた。やはり遠足で、70名ほどだそうだ。道が狭いので、譲り合いながら下る。茶臼岳1915mは小学校遠足の定番らしい。それほど初級レベルのコースなのである。

 大岩にたどり着いた。一息する。ほどなく岩だらけから砂礫に代わる。下りの砂礫はずるずると滑る。用心しながら、牛ヶ首山頂分岐まで下る。
 山頂よりも風が冷たく感じる。雲の流れも速くなったような気がする。あと一息と思うと気がせいてしまうので、ここで一休みし、持参のチョコを食べる。
 このあたりの登山路脇には、小さな花を咲かせた高山植物が見つかる。日本海側と太平洋側の植物が混在するそうだが、見分けはつかない。

 茶臼岳を見上げると少し黒い雲が見えた(写真、ホームページ参照)。雷鳴は聞こえないから、小学生たちも心配ないと思う。
 小学生は山に詳しい先生に任せ、私たちは山頂駅に向かう。下りは40分ほどだった。登りが50分ほど、休憩を入れて、2時間弱の行程になった。12時のロープウエイに乗り、山嶺駅に下る。

 車で帰る途中に展望台があった。標高は1048mあり、山頂では雲が視界を遮っていたが、ここからの見晴らしはいい。恋人の聖地だそうで若いカップルが記念写真を撮っていた。
 説明坂に、夜になると夜景にピエロが現れるとか、ピエロを見つけるためののぞき穴がついたベンチまで用意してあった。他力本願よりも自らの魅力で勝負した方がいいと思うが、余計なお世話といわれるかな。

 さらに下ると史跡殺生石の案内板があった。芭蕉も立ち寄ったらしい。妖怪九尾の狐伝説の説明があった。
 散策路があり、盲蛇石、無限地獄、湯の花採取跡、野仏群などを抜けると、白茶けた岩肌の殺生石がある。いまでも硫化水素ガスが噴出するらしく、殺生石あたりは立ち入り禁止になっている。あまり興味はわかなかった。


  那須ICに向かう国道17号線沿線にはリゾート施設が多い。ホテル、レストラン、カフェも並んでいる。ほどなくポツ、ポツと水滴がフロントグラスにつき始めた。レストラン「三匹の猫」が目に入ったので、ここでランチを取ることにした。
 木組みを現しにした室内の雰囲気がいい。黒毛和牛デミグラシチューを食べていたら、本降りになった。1時近いから小学生は下山しただろうが、「昼間は大気が不安定、ところによりにわか雨」の天気予報通りである。

 那須ICから東北道に入るころは小降りになり、家に着くころには雨は上がった。正確な天気予報のお陰で、大過なく過ごすことができた。気象庁に感謝したい。
 帰宅後の歩数計は1万少々だった。標高差231mで息が苦しかったが、足に疲れは残らなかった。体力、筋力を維持すれば、次の山も挑戦できそうだ。弘法大師に顔向けができる。楽しみだ。(2018.6)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする