Gypsy / Herb Geller & All Stars
ジャズの名盤が生まれるには、2つのパターンがある。
レギュラーグループによる演奏が進化し、ある時「沸点」を迎えたとき。
マイルス、コルトレーン、エバンス、そしてピーターソン・・・。
ジャズの歴史に残る多くの巨人の名盤は、こうして生まれてきた。
もうひとつは、アルバム作りのために選ばれた素材、曲であれメンバーであれ、そしてその録音が行われた状況も。特にライブの時など。この偶然の重なった組み合わせの妙で名盤が生まれることもある。
同じロンドンハウスのライブでも、ピーターソンは前者、サラヴォーンは後者であろう。
サラヴォーンのロンドンハウスのセッションに参加していたサドジョーンズは、当時カウントベイシーオーケストラのメンバーとしての活動がメインであったが、時々他のセッションに加わって、サド節のコルネットを聴かせてくれる。
このアルバムもその一枚。サラのアルバムへの参加の一年後1959年6月の作品だ。
ハーブゲラーをリーダーとしたアルバム。ちょっと見た目には地味なアルバムだが、よくよく見ると、色々な要素が組み合わさった特徴あるアルバムだ。
まずは、リーダーのハーブゲラー。
ウェストコースト派の名手の一人であったが、この録音の後アメリカを離れて活動の場をヨーロッパに移した。その後しばらくアメリカのジャズシーンでは見かけなくなったので、リーダーアルバムというとすぐには思い出せない。
もっとも、最近はまたアメリカに戻って活躍しているようであるが。
ジョーンズ兄弟が揃い踏み。
サドジョーンズだけでなく、長兄のハンク、そして末弟のエルビンも一緒に3人揃って参加している。
3人揃ってのセッションは沢山ありそうだが、これもすぐには思い出せない。これは、自分の勉強不足か。
ミュージカル「ジプシー」の作品集。
ミュージカルの素材を使ったジャズのアルバム作りは決して珍しくない。マイフェアレディーやウェストサイドストーリーのように。ところがこれらはミュージカル自体がヒットしてからが大部分。ところが、このアルバムはミュージカルの初演とほぼ期を同じくして制作されたそうだ。ヒットの予兆があったのか、それともゲラーが曲に惚れ込んだのか?
ベースがあのスコットラファロ。
どのような経緯でこのセッションに加わったかは分からないが、ビルエバンスのトリオに加わる直前のラファロのプレーが聴ける。ラファロをフィーチャーした曲もある、おまけという感じではない。
バーバラロングという歌手の参加。
その後、有名になった訳ではないが、彼女の初録音というおまけ付き。
このジプシーというミュージカルの曲も自分はあまり知らずに一曲目から聴き始めると。
バーバラのヴォーカルが最初からアップテンポで登場するが、どこかで聴いた曲。ジョイブライアンのコンテンポラリーのアルバムでよく聴いた曲だ。そして良くうたうゲラーのアルトにサドのコルネット。どちらも好きなタイプだ。ハンクのピアノは控えめだが、ベースのラファロは相変わらず図太い音と歯切れのよいテクニックを披露する。そしてこの手のアルバムのエルビンのドラミングはサトルなブラッシングとアップテンポのエルビン特有のパルスのようなビート感が心地よい。
ファラロとエルビンの組み合わせというのも、他にあったかどうか?
結論として、名盤という評価は受けているアルバムとはいえないが、なかなか聴き応えのある演奏だ。
自分としては、好きなサドジョーンズが参加しているのでCD化された時に買い求めたアルバムであるが、何か得をした気分になったアルバムだ。
1. Everything's Coming Up Roses
2. You'll Never Get Away from Me
3. Together
4. Little Lamb
5. Some People
6. Mama's Talking Soft
7. Cow Song
8. Small World
Herb Geller (as)
Thad Jones (cor)
Hank Jones (p) (1,3,5,6,8)
Billy Taylor (p) (7)
Scott LaFaro (b)
Elvin Jones (d)
Barbara Long (vol) (1,3,6,8)
Recorded in New York , June 9 & 10 1959
ジャズの名盤が生まれるには、2つのパターンがある。
レギュラーグループによる演奏が進化し、ある時「沸点」を迎えたとき。
マイルス、コルトレーン、エバンス、そしてピーターソン・・・。
ジャズの歴史に残る多くの巨人の名盤は、こうして生まれてきた。
もうひとつは、アルバム作りのために選ばれた素材、曲であれメンバーであれ、そしてその録音が行われた状況も。特にライブの時など。この偶然の重なった組み合わせの妙で名盤が生まれることもある。
同じロンドンハウスのライブでも、ピーターソンは前者、サラヴォーンは後者であろう。
サラヴォーンのロンドンハウスのセッションに参加していたサドジョーンズは、当時カウントベイシーオーケストラのメンバーとしての活動がメインであったが、時々他のセッションに加わって、サド節のコルネットを聴かせてくれる。
このアルバムもその一枚。サラのアルバムへの参加の一年後1959年6月の作品だ。
ハーブゲラーをリーダーとしたアルバム。ちょっと見た目には地味なアルバムだが、よくよく見ると、色々な要素が組み合わさった特徴あるアルバムだ。
まずは、リーダーのハーブゲラー。
ウェストコースト派の名手の一人であったが、この録音の後アメリカを離れて活動の場をヨーロッパに移した。その後しばらくアメリカのジャズシーンでは見かけなくなったので、リーダーアルバムというとすぐには思い出せない。
もっとも、最近はまたアメリカに戻って活躍しているようであるが。
ジョーンズ兄弟が揃い踏み。
サドジョーンズだけでなく、長兄のハンク、そして末弟のエルビンも一緒に3人揃って参加している。
3人揃ってのセッションは沢山ありそうだが、これもすぐには思い出せない。これは、自分の勉強不足か。
ミュージカル「ジプシー」の作品集。
ミュージカルの素材を使ったジャズのアルバム作りは決して珍しくない。マイフェアレディーやウェストサイドストーリーのように。ところがこれらはミュージカル自体がヒットしてからが大部分。ところが、このアルバムはミュージカルの初演とほぼ期を同じくして制作されたそうだ。ヒットの予兆があったのか、それともゲラーが曲に惚れ込んだのか?
ベースがあのスコットラファロ。
どのような経緯でこのセッションに加わったかは分からないが、ビルエバンスのトリオに加わる直前のラファロのプレーが聴ける。ラファロをフィーチャーした曲もある、おまけという感じではない。
バーバラロングという歌手の参加。
その後、有名になった訳ではないが、彼女の初録音というおまけ付き。
このジプシーというミュージカルの曲も自分はあまり知らずに一曲目から聴き始めると。
バーバラのヴォーカルが最初からアップテンポで登場するが、どこかで聴いた曲。ジョイブライアンのコンテンポラリーのアルバムでよく聴いた曲だ。そして良くうたうゲラーのアルトにサドのコルネット。どちらも好きなタイプだ。ハンクのピアノは控えめだが、ベースのラファロは相変わらず図太い音と歯切れのよいテクニックを披露する。そしてこの手のアルバムのエルビンのドラミングはサトルなブラッシングとアップテンポのエルビン特有のパルスのようなビート感が心地よい。
ファラロとエルビンの組み合わせというのも、他にあったかどうか?
結論として、名盤という評価は受けているアルバムとはいえないが、なかなか聴き応えのある演奏だ。
自分としては、好きなサドジョーンズが参加しているのでCD化された時に買い求めたアルバムであるが、何か得をした気分になったアルバムだ。
1. Everything's Coming Up Roses
2. You'll Never Get Away from Me
3. Together
4. Little Lamb
5. Some People
6. Mama's Talking Soft
7. Cow Song
8. Small World
Herb Geller (as)
Thad Jones (cor)
Hank Jones (p) (1,3,5,6,8)
Billy Taylor (p) (7)
Scott LaFaro (b)
Elvin Jones (d)
Barbara Long (vol) (1,3,6,8)
Recorded in New York , June 9 & 10 1959
ジプシー(紙ジャケット仕様)ハーブ・ゲラー,ババーラ・ロング,サド・ジョーンズ,ハンク・ジョーンズ,スコット・ラファロ,エルヴィン・ジョーンズ,ビリー・テイラーワーナーミュージック・ジャパンこのアイテムの詳細を見る |