A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

輝いているのは「楽器」か「演奏」か?

2008-04-20 | CONCORD
Polished Brass / Warren Vaché

“磨かれた管楽器”とタイトルされたのが、ウォーレン・ヴァッシェのコンコルド2作目だ。前作のジュリアンが「実に美しい」という印象を受けていたので、当然「次は?」と期待がかかる。ジュリアンが、ピアノに管が加わった演奏だったのに対して、これはカルコリンズのギタートリオを従えた、ピアノレスのカルテットだ。
自然と、ジョージバーンズとルビーブラフの演奏が思い浮かぶ。ベースのブラフ&バーンズのグループで演奏をしていたベースのミシェルムーアも加わっているのでなお更だ。

 「ピンボケ」のヴァッシェの写真を見ると実に若い。最近の写真と較べると親子のようだが、当然ながら30年前なので無理も無い。自慢のコルネットの写真も、霞んで見えるので果たして輝いているのかどうか?
管楽器奏者の愛器を良く見ると2つのパターンがある。メッキも剥げた使い古したもの、そして磨き込まれたように光り輝くもの。どちらも、ミュージシャンにとっては自分の分身のようなものだ。特に、古い愛器を大事そうに抱えて、見かけとは違って輝く音を聴くと思わず、演奏するものの意思が楽器に伝わっていい音がしているようにも感じるから不思議だ。
 ミュージシャンにとって、どちらの楽器がお似合いかは人によって違う。メイナードファーガソンのようなタイプは、光り輝く派手な感じがする楽器が良く似合う。果たして、ヴァッシェはどちらのタイプであろうか。

 語りかけるようなヴァッシェのコルネットで始まるが、コリンズのギターのコンビネーションが実に素晴らしい。ピアノレスのせいもあるが、ヴァッシェの管への絡み方や、バックのとり方が鮮明に聴こえる。コリンズのギターはヴァッシェのバックというよりは、2人のデュオのように動き回る。ハナとムーアのバックは控えめで2人の介添え役に徹している。予想通り、ブラフとバーンズのコンビを思い起こさせる2人のコンビネーションだ。このような、掛け合いを最近はなかなか聴けなくなった。

 少し、トーンを落としたコルネットは、時にミュートを使い分け、そしてフリューゲルホーンを使い分けながら様々な音色を聴かせてくれる。でも、共通しているのはあたかも口で優しく語りかけるような奏法。これこそヴァッシェの特徴だ。電子楽器全盛になってきた頃、このような自然の音色を大事にした演奏はかえって新鮮に感じたものだ。
久々に聴いたが、このアルバムは結構いいかもしれない。この頃のコンコルドのアルバムでCD化されていないものも結構あるが、これもその内の一枚だ。
ヴァッシェのいぶし銀のような演奏には、光り輝く楽器は似合わないかもしれない。磨き抜かれていたのは彼の演奏の方だった。

1. I Hadn't Anyone Till You
2. It Might as Well Be Spring
3. My Melancholy Baby
4. Love Walked in
5. Close as Pages in a Book
6. It's Love in the Spring
7. Why Shouldn't I
8. Ida, Sweet as Apple Cider
9. If We Never Meet Again

Warren Vache (Cornet, Flugelhorn)
Cal Collins (g)
Michael Moore (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded at Soundmixers, New York City,N.Y., April 1979
Originally released on Concord CJ-98



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