A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

パーカーを素材に、自分達の歩んできた道を辿りながら・・

2008-04-01 | CONCORD
Richie Kamuca’s Charlie

ウェストコースト派のテナーの名手。リッチーカムカは1977年に病に倒れ帰らぬ人となった。スタジオワークをやっていたので、サックスは一通りこなすが基本はテナー。レスターからの流れを汲む流暢なテナーは好きな一人だ。
コンコルドにラストレコーディングが残されているが、そのコンコルドから彼の死後2年経ってから新しいアルバムが登場した。
ここで共演しているブルーミッチェル。実はハードバップ時代から精力的に活躍してきたミッチェルも79年にカムカと同じ癌で早すぎる死を迎えてしまった。
このアルバム、奇しくも同い年で、同じ病で、同じ時期に相次いで働き盛りに亡くなった2人を悼んで発売された形になった。
このアルバムはカムカ自らのプロデュース。そして、録音はされたものの陽の目を見ていなかった作品が世に出ることになったものだ。カムカ自身のプロデュースによる作品はConcordで過去にも出ている。きっと同じ時期の録音であったのだろう。

世の中にパーカーに捧げた作品はたくさんある。スーパーサックスのようにバンド自体をパーカーに捧げたようなグループもある。
このアルバムもパーカーに捧げた一枚。タイトルも「リッチーカムカのチャーリー」。
ブルーミッチェルとの2管編成であるが、ここでカムカはいつものテナーではなくアルトを手にしている。曲もパーカーの愛奏曲ばかりだ。パーカーのスタイルにも拘ったセッションだ。
ソニースチットはパーカーに似ているがためにアルトを吹かなかったといわれているが、カムカは別にそのような理由ではなかったであろう。ここではパーカーそっくりというよりは、パーカーとの思い出をかみ締めるかのようにカムカのスタイルで、淡々とだが力強くアルトを吹いている。

というのも、このカムカは若い頃にパーカーと一緒に演奏をしたことがあるそうだ。
もっぱら西海岸中心に活躍してきたカムカであるが、場所はフィラデルフィアで。
カムカの生まれ故郷だ。
ある時パーカーが地元のクラブ出演していた時、パーカーの体調が悪く代役でステージに上ったそうだ。そしてパーカーの体調が戻った後も、カムカは一緒にステージを共にしたそうだ。まだ20歳前後のカムカにとっては一生忘れられない経験であったであろう。

相方を務めたブルーミッチェルは、この頃西海岸で一緒にプレーをしていた仲間の一人。
それにピアノはルーロウルズ、そしてベースにはレイブラウンが加わる。皆、同じ時代を過ごしてきた仲間達である。
パーカーを偲んでというよりも、自分たちの辿った道をパーカーを素材にして、皆それぞれが思い出に浸っていたに違いない。
これが、カムカとミッチェルの2人にとって、そして皆で一緒にプレーをした遺作になるとも知らずに。

1. Dizzy Atmosphere
2. If You Could See Me Now
3. Chi Chi
4. Barbados
5. Confirmation
6. Blues In A Flat
7. Medrey
 : Willow Weep For Me
 : Everything Happens To Me
8. Hot House

Richie Kamuca (as)
Blue Mitchell (ts)
Jimmy Rowles (p)
Ray brown (b)
Donald Bailey (ds)

Produced By Richie Kamuca
Originally released on Concord CJ-96
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