A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ビッグバンドのリーダーだけでなく、ジャムセッションリーダーとして適役と見込まれたのは?

2014-11-17 | CONCORD
Volume 3 Woody Herman Presents A Great American Evening

高齢者というと何歳からか?
以前は60歳、還暦を迎えると年寄りの仲間入りだった。
最近では高齢者というと65歳、60歳はまだまだ元気、定年も延長される世の中では還暦は年寄りの仲間入りにはまだ早すぎる。

65歳になるとやっと高齢者の仲間入り、健康保険証とは別に介護保険の保険証が届く。これが来ると何となく年寄りになった実感が沸く。気のせいか体力的な衰えも感じるが、これから鍛え直すには手遅れだ。

次なる節目は70歳、やはり60代とは違うのだろうが自分がどうなるかは想像できない。しかし、今日会社時代の先輩の集まりがあった。自分以外は全員70代以上だったが、何か異様とも思えるくらい皆揃って元気溌剌だった。このグループが別なのかもしれないが。

そして、次がいよいよ75歳、医療費も別扱いになり後期高齢者となる。ここからが本当の年寄りなのだろう。最近健康寿命という言葉を良く聞く。とりあえずここまで行くのにあと10年、何とかゴルフができる位の健康は維持したいものだ。

ジャズのミュージシャンでも生涯現役でプレーを続ける元気者は多い。ウディーハーマンもその一人だろう。このアルバムが録音されたのが1983年、ハーマンは1913年生まれなので、まさに70歳を迎えようとしていた頃の演奏だ。
単にプレーを続けているというのではなく、リーダーとしてもまだ大活躍をしていた。ハーマンは演奏活動自体が好きだったということもあるが、大きな負債を抱えていてこれを返さなければという事情も、常に演奏活動にオブリゲーションを与えていたようだ。

ハーマンは色々なレーベルに録音を残しているが、晩年の演奏はConcordに残されている。
自らのオーケストラの演奏は、1979年のモンタレー1981年のコンコルドジャズフェスティバルに登場し、そのライブアルバムがある。
その後も日本でのライブがあり、そしてハーマンのラストアルバムは、亡くなる年の1987年の録音となる。まさに生涯現役であったが、ビッグバンド一筋に生きてきたハーマンに相応しく、このラストアルバムもビッグバンド物であった。

コンコルドではこれらのビッグバンドリーダーとは別のハーマンの顔を捉えたアルバムを出している。ハーマンは昔から自分のオーケストラ以外にも色々なアルバムにゲスト出演することが多いが、コンコルドではWoody Herman Presentと銘打ったアルバムを出していた。これが3枚目になる。

これらは、ジャムセッションリーダーとしてのハーマンの才能をアピールしたものだ。
ジャムセッションを上手くやる秘訣はいくつかあるようだが、このハーマンは適役だということでこのシリーズができた。

一作目はコンコルドパビリオンの大きなステージでのライブ2作目はニューヨークのスタジオでの録音であったが、これは4人のテナーを揃えたフォーブラザースの再現でもあった。
そして、今回はサンフランシスコのGreat American Music Hallでのライブ。ここではメンバー達の実にリラックスした親近感を覚えるプレーが聴ける。

いきなり、ハーマンのボーカルとクラリネットが大きくフィーチャーされてスタートする。ハーマンは時々歌を聴かせてくれるが、このアルバムではクラリネット同様登場機会は多い。
ハーマンは盛り上げ役と纏め役としての責務は果たしているようだが、他のメンバーは熱がこもっているものの、お祭り騒ぎになることなく淡々とプレーをしている。コンコルドの常連メンバーにしてみれば、普段の演奏もジャムセッションのような物、ステージに立ったからといって改めて演奏スタイルを変える必要はないのかもしれない。
その中で、北村英治と少し前に口笛でデビューアルバムを出したロンマックロビーはゲスト役でのジャムセッションの舞台、緊張していたかもしれない。北村英治はお得意のアバロンで、マックリビーはウェイブで無事出番を終えた。
纏め役のハーマンの進行も的を得ていたのかもしれないが、クールな優等生が多いコンコルドのメンバーにはあまりノリノリになるリーダー役は不要のようだ。ハーマンの歌と演奏が少し浮いて聴こえてくるが、ステージはハーマン大得意のカルドニアで幕を閉じる。

大きな舞台を上手く纏めるのはやはり場数と年の功。ハーマンの役割が重要だったのだろう。

1. I've Got the World on a String  Harold Arlen / Ted Koehler 6:33
2. I Cover the Waterfront   Johnny Green / Edward Heyman 4:34
3. Leopard-Skin Pill-Box Hat            Bob Dylan 3:48
4. Avalon       Buddy DeSylva / Al Jolson / Vincent Rose 6:04
5. A Beautiful Friendship     Donald Kahn / Stanley Styne 5:17
6. Pennies from Heaven    Johnny Burke / Arthur Johnston 4:23
7. Wave                 Antonio Carlos Jobim 6:18
8. Caldonia                   Fleecie Moore 5:37

Woody Herman (cl,Vol)
Scott Hamilton (ts)
Eiji Kitamura (cl)
George Masso (tb)
Ron McCroby (puccolo)
Jack Sheldon (tp)
Cal Collins (g)
Nat Pierce (p)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Phil Edwards
Recorded live at the Great American Music Hall, San Francisco April 1983

Originally released on Concord CJ-220


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ステージのラストを飾るのに相応しい曲、インナメロートーン・・・・

2014-07-03 | CONCORD
Concord Jazz All Stars At The Northsea Jazz Festival Volume2

コンサートのライブアルバムというのは昔から数多くある。ニューポート、モンタレー、そしてモントルーなど有名なジャズフェスティバルでの過去の名演は、そのまま名盤として今でも楽しむことができる。
しかし、レコードの収録時間の制約もあり、その多くはその演奏の一部が収録されているものだ。中にはソロがカットされたものもあり、レコーダだけではなかなか当日の会場の様子の全貌を窺い知ることはできない。実際にライブやコンサートでその場に居合わせると、最後のフィナーレ、そしてアンコールでの盛り上がりを肌で体感できるのは格別である。これを疑似体験できたらと思うのはファンの願いでもある。
CDの時代になり、スタジオ録音でもお蔵になった未発表曲が収められ、アルタネイトを含むコンプリート盤が出るようになったが、ライブ物が完全に復活するのは別の意味での楽しみがある。先日記事にしたミンガスのタウンホールコンサートも、そんな一枚だろう。普通の盛り上がりとは別のそのコンサートの意味合いの全貌も明らかになってくる。
最近では映像も数多く発掘され、ビジュアルが加わると一段とリアリティーが増す。人間はやはり感動は五感で感じるのが本来なのだろう。

LP時代はより多くの曲を収めるために、2枚組になり、続編となってリリースされることが多かった。このコンコルドオールスターズのノースシージャズフェスティバルのアルバムもVol.2。以前CJ-182でリリースされたVol.1の続編となる。メンバーは当然同じで、当時のコンコルド専属のまさにオールスターメンバーのステージでの共演となる。

一曲目は、ハンクジョーンズのビグネット。自分は、この曲はコールマンホーキンスのThe Man and Mighty Hawkで初めて聴いた。まだジャズを聴き始めて間もない頃で何度も聴いた事もあり思い入れのある曲だ。

この手のステージはJATP時代からの常套手段、全員での競演やバトルがあったり、それぞれのソロをフィーチャーしたショーケースがあったりの構成になるが、皆腕達者揃い。時代はフュージョン全盛期であったが、ステージ上ではモダンスイングの好演をたっぷりと楽しめる。そして、最後の全員参加のジャムセッションへと。

素材は、エリントンの名曲、インナメロートーン。
この曲はジャムセッションの素材に良く使われることが多いように思う。
皆が知っている曲、そして曲想もテンポもバックのリフの入り方もジャムセッションにピッタリなのかもしれない。
聴く方もこの曲を聴くと何故かウキウキ感が高まってくる。
奇しくも先日紹介したミンガスのコンサートでもラストはこの曲であった。これまで紹介したアルバムでも印象に残る演奏が多い。ビッグバンドだけでなく、コンボでも、そしてヴォーカルでも。このコンコルドオールスターズも、他のステージで。エリントンの曲なのに、ベイシーのオーケストラも良く演奏しているのも不思議だ。

この曲も好きな曲のひとつだが、まだまだ聴いていない演奏や忘れてしまったアルバムもたくさんある。少し気にかけてみようと思う。

似たようなアルバムを数多く聴くとなかなか印象に残らないことも多くなったが、このアルバムのように好きな曲で始まり好きな曲で終わると、しっかり記憶に留めることができるものだ。

1. Vignette            Hank Jones 6:50
2. Can't We Be Friends?   Paul James / Kay Swift 7:43
3. Emily        Johnny Mandel / Johnny Mercer 4:57
4. Out of Nowhere    Johnny Green / Edward Heyman 4:21
5. Your Red Wagon   Gene DePaul / Richard M. Jones / Don Raye 4:46
6. Once in a While     Bud Green/Michael Edwards 4:57
7. Sweet Lorraine   Clifford R. Burwell / Mitchell Parish 4:05
8. In a Mellow Tone     Duke Ellington / Milt Gabler 7:48

Al Cohn (ts)
Warren Vache (cor)
Cal Collins (g)
Scott Hamilton (ts)
Dave Mckenna (p)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineers : John Van Den Houten-De Hister Wisseloord Studios
Recorded live at The Northsea Jazz Festival, The Hague, Holland, July 1981

Originally released on Concord CJ-205
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偶然生まれた名盤と、必然的に生まれる名盤・・・・・

2013-11-03 | CONCORD
Rosemary Clooney Sings the Music of Cole Porter

11月3日はレコードの日だそうだ。レコードが無くなりCDの普及に務めてきたレコード協会が作ったそうだが、今や時代はネット配信。レコードの日はいつまで続くのやら。
記念日という訳でもないが、今回はアナログディスク。

ジャズの醍醐味はインプロビゼーション。何もアドリブに限っただけでなく、メンバーの組み合わせ、その場の雰囲気までも含めた即興性が魅力だ。多くの名盤といわれるものは、そのSomethingを持ち合わせたものであろう。

ジャズのアルバムを買う時に期待するのはそんなものだ。ジャケットのデザインを含めて「きっとこんな音が聞こえてくるだろう」「この2人の組み合わせは?」「お初だけど一体どんな音が聞こえてくるか?」というワクワク感を感じさせるのがジャズのアルバム探しだ。
最近はライブに行くことが多いが、これも全く同じ。いつも聴きなれたバンドでも今日は何を聴かせてくれるのか、いつもと違うメンバーはどんなプレーをするのか、楽しみはたくさんある。

初期のコンコルドのアルバムはコンセプトが明確。そしてレギュラーメンバーも固定してくると、聞こえてくるサウンドは大方予想がつく。
新しいアルバムではそれに何が加わるのか?が興味の半分。そして半分は期待通りのサウンドが聞こえてくる安心感になる。
その結果は何も目新しさはなくとも、安定感に満ち溢れた名盤というものにつながる。

ロースマリー・クルーニーのコンコルドのアルバムはこれが7枚目。
それぞれ特徴があるが、エリントンビリーホリデイへのトリビュート物があったり、ソングブック物があったり。新旧曲の歌い較べがあったり、全体は同じコンセプトでもアルバムごとに微妙な拘りがあった。

しかし、よくあるスタンダード物の有名作曲家のSong Bookとしては前作のIra Gershwin一枚だけ。いつかは出るのではという期待があったが、ついにこのアルバムで実現した。
という意味では、このアルバムコール・ポーターの名曲集がSong Bookシリーズの本格スタートとなったアルバムともいえる。

バックはお馴染みのメンバーに加えて、フルートのDavid Laddが参加している。クルーニーのアルバムにはその後も参加しているので、相性が良かったのかしれない。
クルーニーの歌いぶりはいつも通り、というより益々貫禄がついてきた。美貌を誇ったクルーニーであったが、体格も貫禄がついて来たのはこの頃かもしれない。大歌手といわれる歌手は。エラにしても、サラもマクレーも皆揃って晩年は「貫禄十分」になる。
クルーニーもこれで大御所の仲間入りという訳でもないとは思うが。

クルーニーの歌い方は、フレーズを崩すでもなく、スキャットを使うでもなく、王道を行く。これをジャズボーカルというのか否かという議論はさておき、スタンダードを歌う見本のようだ。バックもまたアンサンブルワークとオブリガードの妙は、これぞ歌伴のお手本といってもいいだろう。

取り上げた曲を見ると、ポーターの初期の名曲、”Love for Sale”, ”Night And Day”,”Begin the begin”が見当たらない。とはいってもお馴染みの曲が並ぶが、選曲にも何か拘りを感じるアルバムだ。



1. In the Still of the Night 
2. My Heart Belongs to Daddy   
3. I Get a Kick Out of You
4. Get Out of Town
5. I Concentrate on You
6. Just One of Those Things
7. I've Got You Under My Skin
8. It's De-Lovely
9, You're the Top
10. Anything Goes

Rosemary Clooney (vol)
Warren Vache (cor,flh)
Scott Hamilton (ts)
David Ladd (fl)
Nat Piere(p)
Cal Tjader (vib)
Cal Collins (g)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Produced By Carl Jefferson
Engineer : Phil Edwards

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California, January 1982
Originally released on Concord CJ-185 (所有盤は東芝の国内盤)

Rosemary Clooney Sings the Music of Cole Porter
クリエーター情報なし
Concord Records
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ライブが先か、スタジオが先か・・・・

2012-05-31 | CONCORD
Tour De Force / Al Cohn, Scott Hamilton, Buddy Tate

Tour De Forceというとガレスピーの曲で有名だ。確か「妙技」とか「名人芸」とい意味だったと思うが、ガレスピー自身の演奏そのものが名人芸だ。さて、このアルバムでは誰の名人芸が登場するか?

新しいグループが誕生し、大物の顔合わせが実現する場は、ライブもあればスタジオもある。ボビーハケットの久々のジャックティーガーデンとの共演はコンサートのライブであった。メイナードファーガソンのドリームバンドのお披露目もバードランドでのライブであった。どちらも素晴らしい演奏をそのライブ限りにするには惜しいということで、ライブと一緒にスタジオでアルバム制作が行われた。

コンコルドではよく顔合わせアルバムが作られるが、これもコンコルドジャズフェスティバルの舞台で共演し、後にライブとは別にアルバムが作られることが多かった。
反対にスタジオで作られた顔合わせが好評でフェスティバルに、さらにはツアーに出ることもある。

コンコルドでスコットハミルトンとバディーテイトの顔合わせアルバムが何枚か作られたが、81年のコンコルドオールスターのツアーはこの2人が揃って参加した。実際のステージでこの2人の共演が聴けたことになる。さらに、この2人にアルコーンが加わり3テナーズという豪華版で日本にもやってきた。

この年のツアーは1ヶ月以上に渡り、ヨーロッパから始まり、アメリカ本土のコンサートを渡り歩き、8月1日の広島ジャズフェスティバルを皮切りに日本ツアーがスタートした。ツアーの始まりのヨーロッパでは、バディーテイトが参加できずウォーレンバッシェが代わりに加わっていたので、実はバディーテイトが加わった3テナーズは、アメリカでの数回と日本での公演だけであった。日本各地の公演を終え、最終公演が東京の虎ノ門ホールで行われ、その模様はNHKでもオンエアされた。そして同時にこのアルバムも誕生した。

オールスターズでの演奏の基本はジャムセッションだが、これだけ長期間同じメンバーで、ツアーをしながらステージを重ねると、単なるアドリブ合戦だけでなく、お互いのコンビネーションも良くなりアンサンブルワークも生まれてくる。アルコーンはズートシムスとのテナーバトルのグループ経験もある。このツアー最後のステージでは3人からレギュラーバンドのような一体感が伝わってくる

この当時は、各地で色々なジャズフェスティバルが行われ、コンサートも数多く開催された。自分も結構色々行ったが、このコンサートには行った記憶が無い。今であれば真っ先に駆けつけたと思うが。このアルバムにはステージのほぼ全貌が2枚のアルバムに納められていて、30年経ってから通して聴けるのはありがたい。

ライブが先でも、スタジオが先でも、ツアーに出るようになれば立派なレギュラーバンドの仲間入り。一人ひとりのプレーはもちろんだが、3人揃っての演奏がまさに「名人芸」だ。

1. Blues Up and Down          Gene Ammons / Sonny Stitt 8:57
2. Tickle Toe             Lester Young 7:31
3. Soft Winds             Tom Adair / Matt Dennis 10:29
4. Stella by Starlight         Benny Goodman / Fletcher Henderson 5:04
5. Broadway              Ned Washington / Victor Young 7:50
6. Do Nothin' Till You Hear from Me  Duke Ellington / Bob Russell 7:41
7. Jumpin' at the Woodside       Count Basie / Jon Hendricks 7:38
8. Bernie's Tune            Jerry Lieber / Bernard Miller / Mike Stoller 8:12
9. Rifftide               Coleman Hawkins 6:51

Buddy Tate (ts)
Al Cohn  (ts)
Scott Hamilton (ts)
Dave McKenna (p)
Cal Collins (g)
Bob Maize (b)
Jake Hanna (ds)

Produced by Carl Jefferson
Yoshihisa Watanabe : Engineer

Recorded live at Toranomon Hall, Tokyo, August 11, 1981

Originally released on Concord CJ-172

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有名になることがいつも幸せとは限らない・・・・・

2012-05-06 | CONCORD
Cross Country / Cal Collins

古めかしい蒸気機関車をバックに、ギターを片手のカルコリンズ。彼にはお似合いの絵柄だ。

シンシナティーでローカルな活動をしていたコリンズがベニーグッドマンに見出されたのが’76年。翌年にはジェファーソンの目(耳)に留まりConcordへ登場して4年目になっていた。デビュー作を含めて、最初はコリンズのギターを生かすトリオの演奏であったが、いつのまにかコンコルドのオールスターズに加わり世界を股に駆けて活動するようになっていた。ギター一本に賭けて長年ローカルで生活をしていたコリンズにとって、オールスターズでの活動はきっと嬉しくもあり反対にストレスの溜まるものであったのかもしれない。

それを察してかどうかは定かではないが、お祭り好きのジェファーソン親分とは別に、コンコルドのもう一人のプロデューサーであるフランクドリティーはコリンズのギターを存分に味わえるソロアルバム、”By Myself”を制作した。ジェファーソンのあっと驚く組み合わせにこだわるプロデュースと異なり、ドリティーのプロデュースはこれまでの他のアルバムでも、そのミュージシャンの本質により迫るアプローチをしていたように思う。ドリティーは今回はソロアルバムを選択した。
自己のプレーをある程度犠牲にしてでもジェファーソンのコンセプトに従わざるを得なかったミュージシャンにとっては、ドリティーの存在は救いだっただろう。

ミュージシャンにとって究極の自己のプレゼンテーションをする場はソロだ。リズムの良し悪しも、相方の良し悪しも、あるいはアレンジの良し悪しも関係ない、ソロはすべて自己責任の場である。
聴く方にとってもソロというのは、どんどん引き込まれてしまうものと、反対にすぐに飽きが来て眠くなってしまうものの両極端が多い。コリンズのギターは、最初のソロアルバムを聴いた時も惹き込まれてしまったが、このアルバムも同じである。ソロプレーになると彼のギターの素晴らしさがより浮き彫りになるがコリンズのスタイルというと・・・。

彼の音楽への取り組みは、最初はブルーグラスのマンドリンで始まった。その後いつのまにかアートテイタムやナットキングコールのピアノをギターでコピーするようになったそうだ。カントリーの盛んな中西部で生まれ育ったコリンズのギタースタイルは、知らず知らずのうちにジャズとカントリーのハイブリッドスタイルになっていったのだろう。コンコルドのモダンスイングの響きにそのギターはうまくマッチした。しかし、オールスターズの中では、彼のギターの良さがだんだん影が薄くなっていったのも事実だ。
小さい店を任されていた料理人が、たまたま大きなレストランの料理長を任され、それぞれはそれで嬉しいが、自分の本当の腕を試す機会が減ったと嘆くのと同じ心境かもしれない。

このコンコルドに残された2枚のソロアルバムは何故かCD化されていない。本人の意思であったのか、レコード会社の意思なのかは分からないが、今の時代に伝えられていないのは残念に思う。
ギターの演奏を知らない自分もこのコリンズのソロは絶品と思うので、気になって少しネットを調べてみた。このアルバムに収められている、オータムインニューヨークの演奏は多くのミュージシャンやギタリストにとっての宝物だとのコメントがあった。皆の想いは同じようだ。

一時はアメリカ大陸を、そして世界を飛行機で飛び回ったカルコリンズ、彼にとって気が休まるCross Countryとは蒸気機関車に乗ってのんびり出かけられる範囲だったのかもしれない。

1. On The Atchison, Topeka, and The Santa Fe
2. Poor Butterfly
3. Corina,Corina
4. But Beautiful
5. My Gal Sal
6. I Can’t Help It (if I’m Still In Love With You)
7. Suzie Q
8. When Sunny Gets Blue
9. Among My Souvenirs
10. Autumn In New York

Cal Collin (g)

Produced By Frank Dorritie
Engineer : Phil Edwars
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California, April 1981

Originally Released on Concord CJ-166


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ギタリストではなく、ギターコレクション・・・

2012-04-03 | CONCORD
The Concord Jazz Guitar Collection

自分はあまりオムニバス、コンピレーションアルバムというものは購入しないが、このようなベスト物というものはさわりを聴くには都合が良い。
Concordレーベルも、このアルバムが出るまで確かコンピレーション物は一枚だけ。"A Taste of JAZZ"というタイトルでConcord風ジャズのお試しだったがこれもギターの入った曲が多かった。ギターに拘るジェファーソンらしい。
今回のアルバムは2枚組み。登場するギタリストは全部で14人。収められている16曲はすべてこれまでのアルバムに収録されているもので、未発表物はない。

昔、ラジオのジャズ番組でブラインドフォールドクイズなるものがあった。要は名前を伏せて曲を聞かせてプレーヤーを当てる嗜好だ。極端に特徴あるプレーヤーならまだしも、予備知識無しに当てるのはなかなか難しい。中には「そっくりさん」などもいるし。
曲を聴いて、このアルバムに納められている14人のギタリストを当てられたら、なかなかのギター通であろう。



このアルバムのタイトルをよくよく見ると、”Guitarist Collection”ではなく”Gutar Collection”となっている。そして、クレジットにはギタリストの名前と一緒に、彼らが使っている愛用の楽器の機種も記載されている。確かに、演奏者による音色の違いは大きいが、各名人が操る名器の違いもプロの耳で聴けば分かるのかもしれない。
プロモーション効果も考えて、なかなか考えられた、コンピレーションアルバムだ。

1. La Petite Manbo “Tin Tin Deo” (CJ-45)
  Kenny Burrel < Gibson Super 400 >

2. Isn’t It A Lovely Day “Bluebyrd” (CJ-82)
  Charlie Byrd < 1967 Ramirez >

3. Dolfhin Dance “The Real Howard Roberts” (CJ-53)
  Howard Roberts < Gibson Howard Roberts Model >

4. Zigeuner “Ginza” (CJ-94)
  Eddie Duran < 1938 Gibson ES-100 >

5. Prelude To a Kiss “Seven Come Eleven” (CJ-2)
  Joe Pass  < Costom Electoric built by D’Aquisto >

6. I’m On My Way “Barney Plays Kessel” (CJ-9)
  Barney Kessel < Gibson ES-350 >

7. I Can’t Get Started “Venuti-Barnes Live at the Concord Summer Jazz Festival” (CJ-30)
  George Barnes  < 1962 Custom Guild Acousti-Lectic >

8. Side Track “Remo Palmier” (CJ-76)
  Remo Palmier  < Gibson ES-355 >

9. Geogia On My Mind “Herb Ellis at Montreux” (CJ-116)
  Herb Ellis  < Aria Pro-2 >

10. Blues On My Mind “Blues On My Mind” (CJ-95)
  Cal Collins < Customized 1957 Gibson Super 300 >

11. You Don’t Know What Love Is  “A Sign of the Times” (CJ-26)
  Tal Farlow < Gibson “Tal Farlow” Model >

12. Claire De Lune Samba “Chamber Jazz” (CJ-84)
  Laurindo Almeida  < his own design >

13. Seven Come Eleven “Seven Come Eleven” (CJ-2)
  Joe Pass  < Custom Electric built by James D’Aquisto

14.  Blues Going Up <a href="http://blog.goo.ne.jp/yan111949/e/3f2cbc17128a1171c1701e899cf68e1a">"Blues Going Up" (CJ-43)
  George Barnes  < Guile X-175 >

15. Orange, Brown And Green “Rhythm Willie"(CJ-10)
  Herb Ellis <Aria Pro-2 > & Freddie Green < Gretsch Eldorado >

16. Don’t Cry For Me Argentina “Brazilian Soul” (CJ-150)
  Charlie Byrd < Kohno-30 > & Laurindo Almeida < the Julius Gido instrument >



Produced by Carl Jefferson
Originally Released on Conord CJ-160

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異色の組み合わせもいいが・・・・やはり本命同士が一番

2012-02-27 | CONCORD
Swing Eiji / Eiji Kitamura

ジャズの世界では異色の組み合わせというものが結構多い。両方の名前を見て一緒にやると果たしてどんな音が飛び出してくるか想像し、レコードに針を落とすもの楽しみの一つだ。一方で、この組み合わせは絶対に相性がいいのではと、聞き手である我々が勝手に想像するのも楽しいものだ。そして、その組み合わせが実現できた時はなお更。

Concordレーベルが育っていった時、日本人が加わるのであれば北村英治が一番だと思っていた。日本での活動でも、よくジャズフェスティバルなどへは参加していたし、どこで誰と一緒に演奏しても、マイペース(スタイル)で素晴らしいクラリネットを披露していた。Concordオールスターが来日した時、当然のように両者には出会いがあり、一緒に演奏する機会もできた。

両者は自然に意気投合し、コンコルドのオーナーのカールジェファーソンも北村のことを「エイジ、君のサウンドには心酔した」といたく気に入ったそうだ。コンコルドにはその頃多くの名手が集っていたが、確かにクラリネットというとディックジョンソン位しか見当たらなかった。
そして、1980年のコンコルドジャズフェスティバルに北村英治は招かれ、晴れて地元でオールスターの面々と一緒に舞台に立った。ところが、この出演はあくまでもゲストとしての参加であった。

北村がリーダーとなった演奏は、フェスティバルが終わって中一日置いた8月12日と13日の両日、Concordのアルバムをいつも録音している、コースト・レコーダーズ・スタジオにいつもの面々が集った。
ピアノはナットピアース、アレンジも引き受けた、ベースは若手のブライアントーフ、ギターはカルコリンズ、そしてドラムはコンコルドの主であるジェイクハナ。さらに花を添えるゲストソリストとして、ハーブエリス、ウォーレンヴァッシェ、フレーザーマクファーソンが加わる。更には、翌日に録音を控えていた、スコットハミルトンとバディーテイトが見学に加わるというおまけまでついて。まさにオールスターズで、北村の地元での演奏を歓待する形になった。

演奏した曲はお馴染みの曲ばかりだが、唯一Eiji’s Bluesだけは、ジェファーソンの「ブルースでも一曲」の一言で、その場で北村が作った曲だそうだ。ジャムセッションのようなものだが、そのような時こそ本当に気心が通じ合ったかが分かるものだ。
演奏内容は、想像したとおりの好演が聴ける。順当な組み合わせで番狂わせもなく、まるでレギュラーバンドのような演奏だ。

このアルバムは、そもそもの企画、そしてプロデュースにも日本人のスタッフが加わったが、他にも当時出始めのデジタル録音機をスタジオに持ち込んでの録音であり、北村のクラリネットも日本製、日本のパワーが世界を席巻していた時代だ。このアルバムのA面とB面、日本盤とアメリカ盤で曲が反対に収められているそうだ。何か日本の拘りとアメリカのそれが相容れないものがあるのかもしれない。
“Swing Age”を復活させたのはカールジェファーソンだが、そのジェファーソンにさらに活力を注入したのは、タイトルどおり”Swing Eiji”だ。そして、JAPAN POWERが。日本が再び世界に物が言える時代に戻って欲しいものだ。

1. On Sunny Side Of The Street
2. Memories Of You
3. Secret Love
4. Rosetta
5. Eiji’s Blues
6. I Can’t Get Started
7. But Not For Me
8. Undecided

Eiji Kitamura (cl)
Nat Pierce(p,arr.)
Cal Collins (g)
Brian Torff (b)
Jake Hanna (ds)

Herb Ellis (g)
Warren Vache (cor)
Fraser Macpherson (ts)

Produced by Eiji Kitamura & Yoichiro Kikuchi
Exective Producer : Carl Jefferson & Nobuo Ohtani

Recording Engineer : Phil Edwards
Recoded on August 12 & 13 1980, at The Coast Recorders Studio San Francisco CA

Originally Released on Toshiba EMI, Concord CJ-152
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同じ楽器の競演をよくバトルというが・・・

2012-02-08 | CONCORD
Scott's Buddy / Scott Hamilton & Buddy Tate





60年代のスイングジャーナルを見ていたら、当時はよくドラム合戦とかドラムバトルとかが行われていた。有名ドラマーを複数舞台にのせて技を競うショー的な要素もある企画だ。いつもは裏方のドラムがこの時ばかりは主役になる。視覚的にもドラムソロは絵にはなるが、大体は終わってみればただそれだけ・・?という感じであった。

その延長上で、同じ楽器同士のバトルもよく企画される。レギュラーグループでは、アルトのフィルウッズ&ジーンクイル、テナーのズートシムス&アルコーンなどが有名だ。同じタイプであり音色の2人の演奏であり単独のプレーよりも、アンサンブルや掛け合いが加わる分だけスリルがある。この前の、ペッパーアダムスのバリトンの競演もその類だ。
こおアルバムの主役、バディーテイトが参加した、スイング派のテナー4人がご機嫌なバトルを繰り広げるアルバムもあった。

このアルバムもそのような意味ではテナーバトル、とはいうものの2人は親子ほどの年の差がある。事実、ハミルトンはテナーを始めた頃、最初に手本として学んだのがこのバディーテイトだった。実際に、ハミルトンの出身地ボストンにテイトが来た時には、何度か聴きに行ったこともあったそうだ。ということは、この2人の場合はバトルといっても師弟対決といったところ。普通であれば弟子が師匠を越えられるかが興味の対象になるが・・。

ハミルトンは、その後コールマンホーキンズやレスターヤングなど多くのスイング派のプレーを取り入れて、自分のスタイルを築きつつあった。したがって、2人が競演するからといって完全なテイトのコピーというわけは無い。しかし、2人がお互いを意識するところは自然と出てくる。息遣いなどはいつものハミルトンとは多少違うようにも聞こえる。実は、この2人の共演はConcordでは2枚目。レコーディング以外にもセッションの機会は何度も持っている2人の間柄だった。

バディーテイトは、カウントベイシーバンドの出身で、オリジナルカンサスシティーバンドの一員。当然のように、バンド全体の雰囲気もベイシースタイルになってくる。特に、ピアノのナットピアースはベイシーの影武者も務められる程ベイシースタイルのピアノを得意としている。ところが、ピアスもベイシーそっくりというのは"Swingin' Away"だけ。ギターのコリンズも確実なリズムを刻むところなどはフレディーグリーンを思い起こさせるが、しっかりソロもしている。バンド全体の響きもカンサスシティーサウンドをベースにはしているが、メンバーの持ち味をそれぞれ出し合ったオリジナルサウンドだ。
ハミルトンもテイトの間も師弟関係はすでに卒業し、立派にテイトと渡り合える関係に育っていた。ベテランにとって、後継者が立派に育ってきているのを見届けるのは楽しいものだ。そのような後輩を見ると、後進に後を譲って引退というよりは、ますます元気になるのは何の世界でも同じこと。テイトもこのレコーディングから20年以上活躍したが、2007年アリゾナに引退した途端に他界してしまった。

1. There Will Never Be Another You      Gordon, Warren
2. Everything Happens to Me         Adair, Dennis
3. Scott's Buddy               Pierce
4. Swingin' Away               Tate
5. Close Your Eyes              Petkere
6. I Want a Little Girl           Mencher, Moll
7. Scott's Soup               Tate
8. Doggin' Around              Battle,Evans

Scott Hamilton Tenor sax
Buddy Tate   Tenor sax
Nat Pierce   Piano
Cal Collins   Guitar
Bob Maize    Bass
Jake Hanna   Drums

Produced by Cark Jefferson
Engineer Phill Edwards

Recorded on August 1980 at Coast Recorders, San Francisco, California

Originally Released on Concord CJ-148
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ベテランロージーの次なるチャレンジは・・・新旧の名曲の歌い分け

2012-01-18 | CONCORD
With Love / Rosemary Clooney

しばらくヴォーカルのアルバムの紹介が無かったが、コンコルドの次なるアルバムはロージー。コンコルドでは彼女のアルバムとしては5枚目、彼女が参加している“Ellinton Tribute”のアルバムを入れれば6枚目になる。復帰後もうすっかりコンコルドの看板スターになっていた。バックはお馴染みのコンコルドオールスターズ。今回は新たにカルジェイダーが加わっている。お馴染みのメンバーなのでアルバムから飛び出す音はおおよそ想像がつく。となると、このアルバムでは彼女のどのような側面が引き出されているかが興味の対象になるが。

ジャズヴォーカルというとまずはスタンダード曲というのが通り相場だ。彼女のこれまでのアルバムもスタンダードが中心だった。ガーシュインの曲ビリーホリデーの曲などをテーマにアルバム作りをしていたのが特徴だ。スタンダードといっても、元を辿れば40年代、50年代のミュージカルや映画のヒット曲が多い。その時代に帰れば当時のヒット曲だ。このアルバムが録音されたのは’80年。その時には新しかった’70年代のヒット曲が半分入っているのがこのアルバムの特徴だ。古い歌の中では彼女のヒット曲Tenderlyの再演が聴き所 




サラヴォーンカーメンマクレーは新しい曲にも積極的にチャレンジしていたが、ロージーにとっては新たな試みだ。
結果はジョビンの”Meditation“なども見事にロージー節に料理している。もっともこれらの曲も今では作られてから30年以上経っているのですっかりスタンダード曲の仲間入りをしている。”The Way We Are“は当時から好きな曲のひとつだったが今では多分何百人に歌われていると思う。

そういえば、最近のヒット曲というものには全く疎くなっているが、30年後にジャズヴォーカルとして歌い続けられる曲は一体どんな曲なのだろう。きっと誰かが今の時点でチャレンジしているとは思うのだが・・・?

1. Just the Way You Are       Joel 5:11
2. The Way We Were         Bergman, Bergman, Hamlisch 5:04
3. Alone at Last          Cody, Sedaka 4:57
4. Come in from the Rain      Manchester, Sager 4:53
5. Meditation            Gimbel, Jobim, Mendonca 4:47
6. Hello, Young Lovers        Hammerstein, Rodgers 3:50
7. Just in Time           Comden, Green, Styne 3:20
8. Tenderly             Gross, Lawrence 5:11
9. Will You Still Be Mine?      Adair, Dennis 3:04

Rosemary Clooney Vocals

Scott Hamilton :TenorSax
Warren Vaché :Cornet, Flugelhorn
Cal Tjader :Vibraphone
Nat Pierce :Piano
Cal Collins :Guitar
Bob Maize :Bass
Jake Hanna :Drums

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards  Engineer, Remixing
Masterd by   George Horn

Recorded at Coast Recorders, San Francisco, California on November 1980
Originally released on Concord CJ-144 (所有盤は東芝EMIの国内盤)






With Love
Rosemary Clooney
Concord
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セッションリーダーによって、同じメンバーでも出来栄えが変ることが・・・

2012-01-13 | CONCORD
Woody Herman Presents Volume 1 Concord Jam / Woody Herman



Concordレーベルへのウディーハーマンの登場は、エリントンに捧げたアルバム“A Tribute To Duke Ellington”にゲスト参加したのが始めて。他には自己のグループでのアルバムはまだ無かったと思う。そのハーマンが1980年の”Concord Jazz Festival”に登場した。'78年には自己のオーケストラでチックコリアの曲にチャレンジするなど先進的な取組みをしていたが、今回は自己のバンドを引き連れてではなく、Concordでお馴染みの面々のジャムセッションへのゲスト参加であった。が、ゲストといっても“Woody Herman Presents”と銘打った、ハーマンがセッションリーダとなってコンコルドオールスターズのプレゼンテーションだった。

曲はハーマンの十八番、”The Woodchoppers’s Ball ”でスタートする。多分この曲にのってハーマンが舞台に登場したのであろう。聴衆の拍手で盛り上がりを見せて、ハーマンのクラリネットソロが始まる。ライナーノーツには、「彼の熱いクラリネットはジャムセッションに炎を点すトーチのようだ」と記されている。相変わらずのあまり綺麗な音色とはいえないハーマン節だ。そして、メンバー一人一人をフィーチャーして曲が進む。”Body and Soul”では北村英治が登場する。世界に通用する北村のクラリネットは流石に美しい。最後はやはりハーマンナンバーの”Apple Honey”で盛り上がってアルバムは終わる。

ライナーノーツを見ると、いきなり最初にこのセッションに参加したカルジェイダーのコメントが載っている。ジェイダー曰く、「こんなに盛り上がったライブセッション」は始めてだと。
ハーマンのオーケストラは、ファーストハードの時代から、多少荒っぽいがドライイブの効いたパンチのある演奏を得意としている。途中登場するハーマンの演奏は必ずしも上手いとはいえない。でも親分が先頭に立って突撃すると、いつの間にか他のメンバーはそれに巻き込まれていく。
きっとこれがハーマンの得意技なのだろう。持って生まれた才能を発揮する場所は、何も自分のオーケストラばかりではなく、今回のようなジャムセッションでも同じだ。いつものConcord All Starsの面々も、ハーマンが引っ張ることで、今までに無いエネルギーが引き出されていったのであろう。ハーマン自身も語っている、「自分の役割は一緒にプレーするメンバーに普段以上のプレーをさせること」と。

Concord All Starsの演奏は、これまでも毎年のConcord jazz festivalの舞台のハイライトだ。そして世界各地のツアーにも出かけて行って、その録音も残されている。しかし、ハーマンがプレゼンテーションをすると同じメンバーであっても確かに一味違ったダイナミズムが増す。このアルバムが、Concordが出した“Woody Herman Presents”シリーズのVol.1。カールジェファーソンも、多少マンネリ化してきた自分の子飼い達をもう一度奮い立たせるためにハーマンを使うとは、流石いいところに目をつけたものだ。

1. Woodchopper's Ball         Bishop, Herman
2. Rose Room              Hickman, Williams
3. Just Friends            Klenner, Lewis
4. Nancy (With the Laughing Face)   Silvers, VanHeusen
5. Body and Soul           Eyton, Green, Heyman, Sour
6. Someday You'll Be Sorry      Armstrong
7. My Melancholy Baby         Burnett, Norton
8. Apple Honey             Herman

Woody Herman Clarinet, Leader
Warren Vaché Cornet
Scott Hamilton Tenorsax
Dick Johnson Altosax, Flute
Eiji Kitamura Clarinet
Dave McKenna Piano
Cal Tjader Vibraphone
Cal Collins Guitar
Bob Maize Bass
Jake Hanna Drums

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer
Ron Davis Engineer

Recorded live at The Concord Pvilion, Concord, California on August 1980

Originally released on Concord CJ-142

Concord Jam Vol 1
Woody Herman
Concord Records
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今回の対戦相手は・・・

2011-12-06 | CONCORD
Interplay / Cal Collins & Herb Ellis

“Interplay”、良く聞く言葉だし、2人が舞台に上ればどのような演奏になるかは大体察しがつく。ジャケットの裏には「ジャズフェスティバルのディレクターは、格闘技のファイトプロモーターのように地方の隠れた逸材を見つけてきては、ファンの興味をそそるようなマッチを作り、その後何年も語り継がれるような何かをその2人に与える」と始まる。
たしかにその通りだと思うのだが、単に大物を集めて並べて舞台に立たせればそれなりに話題になり後世に記録として残すことができる。しかし、果たして歴史に残る名演がそれほど安易に生まれるものでもあるまい。やはり、「何か」が必要だ。

Concordのオーナーであり、プロデューサーのカールジェファーソンは最初から拘りを持って対戦相手を選んでいた。まずはギタリストであること。そして対戦場所。ConcordレーベルはConcord Jazz Festivalのライブ録音から始まったようにライブへの拘りは強い。ジャズフェスティバルでの対戦はやり直しのきかない一発勝負であり、聴衆を前に聴衆をそれなりに盛り上げなければならない。演奏する方もやはり通常のレコーディング以上に気を使うものだろう。

今回の対戦、ハーブエリスとカルコリンズはこの伝統あるConcordのギター対戦だ。どちらもすでにConcordレーベルでは有名になってはいたが、ハーブエリスはこの企画の最初からのプレーヤー、百戦錬磨の戦いを経験しており戦い方も熟知している。相手は何もギターだけではない。前回のモンティーのアルバムのようにピアノでもよし、3人で三つ巴の戦い方も知っている。一方のカルコリンズは、色々なセッションに参加して、海外にも遠征し、自分のトリオやカルテットでの演奏もある。そして歌伴もこなしているが、コンコルドの十八番のギター対決は始めてである。さてどうなるか?

プロデューサーの腕の見せ所はここからだ。2人の介添え役として、ベースのレイブラウンとドラムのジェイクハナはベストチョイスだろう。コンコルドの音楽ディレクターを務めていたレイブラウンは、ジェファーソンの意図をしっかり理解していただろうし、2人のプレーを引き出すためのベースプレーヤーとしても余人をもって代え難い。ジェイクハナは、ハウスドラマー兼スカウト役として全体の纏め役としてはうってつけだ。これで4人はきっちり纏まった。
そして、舞台に立った一曲目に何を弾かせて聴衆を惹き付けるか。これを間違えるといい結果に結びつかないのは想像できる。彼らが選んだのはベサメムーチョ。ベースでイントロが始まるとすぐにギターが加わる。テンポも良くリズムもいくつかのパターンで。これでウォーミングアップ完了、無事離陸できた。後は快調な飛行だ。レコーディングをしていることを意識して、「まだB面の途中。まだ演奏は続くよ」とジョークも飛び出す。I GAT IT BADで、バラードプレーで締めた後は、ライムハウスブルースで2人インタープレーは絶好調に。リズムセクションも入り難いのかリズム無しで2人のプレーが続き、無事フィニッシュ。2人の掛け合いには「何か」がある。
初対戦であったが、無事タイトルどおりの演奏で終えることができた。マッチメーカーのジェファーソンも一安心という所だろう。ベニーグッドマングループで大舞台はいくつも経験したコリンズも、エリスとの初舞台は違った緊張があったに違いない。

1. Besame Mucho              Skylar, Velazquez 7:52
2. I'll Be Seeing You            Fain, Kahal 5:49
3. People Will Say We're in Love    Hammerstein, Rodgers 4:36
4. That's Your Head            Collins 5:59
5. Tricia's Fantasy             Mariam, Negri 4:09
6. I Got It Bad (And That Ain'tGood)  Ellington, Webster 6:46
7. Limehouse Blues            Braham, Furber 3:22

Cal Collins Guitar
Herb Ellis Guitar
Ray Brown Bass
Jake Hanna Drums

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer
Recorded live at Concord Jazz Festival 1980
Originally released on Concord CJ-137


Interplay
Cal Collin & Herb Ellis
Concord Records
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これが最後のリーダーアルバムとは・・・

2011-09-16 | CONCORD
RAYAL BLUE / Marshal Royal


ベイシーのマーシャルロイヤル、エリントンのジョニーホッジス。2人は両バンドの番頭格だった。特徴あるサックスセクションを引っ張る牽引役として長年在籍して幾多のレコードに名を残している。2人の共通点は輝くアルト。パーカーのモダンアルトに先立つ、この2人にベニーカーターを加えた3人がスイングアルトの代表格で好きな3人だ。では、このアルトをじっくり聴きたいと思っても、マーシャルロイヤルの場合は、他の2人と較べてリーダーアルバムが見つからない。唯一と言っていいのが、Concordの2枚のアルバム。一枚は、先に紹介した”First Chair”。もう一枚がこのアルバムで、ラストリーダーアルバムになってしまう。1912年生まれのロイヤルはこの録音の時に78歳。年齢を感じさせない輝くアルトを聞かせてくれる。バックの4人はいつもの3人に、ドラムがジミースミスだ。
コンコルドレーベルの録音はどれも音のバランスがいい。レコーディングエンジニアとしてほとんどのレコーディング、マスター制作に関与しているフィルエドワードの好みなのだろう、ナチュラルな音質の物が多い。
このアルバムは特にアルトの響きと、それを囲むリズム隊のバランスもいい感じだ。多分に録音の質もあるが、マーシャルロイヤル自身のアルトの音が他のプレーヤーと較べて別格なのかもしれない。ボーカルで「ヴェルベットボイス」という表現を良く聴く。「ヴェルベットアルト」の番付があったら、3役入りは間違いないのがこのマーシャルロイヤル。
今年は、エリントン、ベイシーの両バンドが来日した。バンドカラーやアンサンブルワークはオリジナルのオーケストラの伝統を引き継いでいると思うが、両リードアルトの後継者となると、両巨匠の域に達するのは難しそうだ。
ROYAL BLUEというのは、青と紫を合わせた色、元の色に無い不思議な高貴さが漂う色だ。
マーシャルロイヤルも普段のビッグバンドとは違って、気心の通じ合うバックとのコラボレーションの中で、普段ビッグバンドでの演奏では一部でしか聴けないソリストとしての魅力をタップリ聴かせてくれる。

ベイシーオーケストラ時代の演奏


古いところでは、




1. Mean To Me
2. I’ll Be Comin’ Home
3. Avalon
4. Just Squeeze Me
5. Things Ain’t What They Used To Be
6. Teach Me Tonight
7. Royal Riff
8. I Got It Bad And That Ain’t Good
9. Everyting Happens To Me

Marshall Royal (as)
Monty Alexander (p)
Ray Brown (b)
Cal Collins (g)
Jimmie Smith (ds)

Produced By Carl Jefferson
Recorded at United Western Studios, Hollywood, CA, March 1980
Recording Engineer Phil Edwards
Originally released on Concord CJ-125
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時代の流れの変化は大きいけれど、変化しない音楽もある

2011-09-02 | CONCORD
CONCORD SUPPER BAND 2


1979年、70年代最後の年、10年毎の大きな節目の年だ。
今から30年前だが、この間で今やデジタル、IT、通信といったことを抜きには、ビジネスも我々の生活も語れない時代になってしまった。この70年代の最後の年は、そんな将来への兆しが見え始めた時代かもしれない。

この年、東芝がワープロを発売した。今や、携帯やPCにワープロ機能は組み込まれて、ワープロ自体が存在しなくなった。世に初めて登場したワープロは、630万円もして机の大きさもあった。10年前にはまだ珍しかった電卓がカード電卓になった。全国の電話がすべて自動化された(ということは交換台経由でしか繋がらない電話がそれまであったということか?)のもこの年。一方で、今の携帯の前身とも言える自動車電話が登場した。パソコンはまだフロッピーもついていない本体だけで16万8千円もした。この時代、自分もすでに会社勤めで中堅になっていて色々な事が思い出されるが、周りの環境は今とは隔世の感がある。月日の流れるのは早く技術の進歩に驚くばかりだ。

プライベートレーベルからスタートしたConocrdレコードのラインアップも100枚を越えメジャレーベルの仲間入りを果たして大きな節目を迎えていた。レーベルを核となって支えるConcord ALL STARSの面々は、この年6月にはスイスのモントルー、夏の8月には地元のコンコルドのジャズフェスティバルで多くの聴衆の前で演奏し、そして秋には日本ツアーで日本全国を廻った。いよいよ世界を股にかけた活躍になってきた。

日本へのConcord ALL STARSの訪問も、前年に続いて2回目。各会場では多くのファンを集めた。オーナーであり、プロデューサーのカーフジェファーソンも、前年に引き続き日本での評判と歓待に満悦だったようで、このツアーでますます日本贔屓になったようだ。
この秋に来日したのは、若手売出し中のSCOTT HAMILTONとWAREN VACHEのフロントラインに、レーベルのハウスカルテットともいえるベテランのリズム隊が加わったまさにオールスターズ。“Concord SUPPER BAND”と命名された。前年の来日とは、ピアノがロストンプキンスからデイブマッケンナへ、そしてベースがモンティーバドウィックからフィルフラナガンに代わっているが、スーパーバンドに変わりはない。

このサウンドもすっかり耳に馴染み、目新しさや物珍しさから脱して、じっくり聴く事ができる。日本でのライブというの、聴衆のノリが日本的にあり親近感が沸く。演奏の方はこの周囲の盛り上がりを見て推して知るべしといったところであるが、On the sunny side of the streetでは、アンリ菅野が登場する。リハーサル無しの登場であったようだが実にいい感じだ。Concord ALL STARSであればローズマリークルーニーが登場すれば完璧だったが、アンリ菅野も十分に仲間入りを果たしている。

そのアンリ菅野もガンに倒れて帰らぬ人になってしまってから10年以上。月日の経つのは早いものだ。



1. Crazy Rhythm
2. Gone With The Wind
3. Nancy
4. Out Of Nowhere
5. On Baby
6. Just Friends
7. In A Mellow Tone
8. On The Sunny Side Of The Street
9. Drum Boogie
10. The King

Warren Vache (cor,flh)
Scott Hamilton (ts)
Dave McKenna (p)
Cal Collins (g)
Phil Flanigan (b)
Jake Hanna (ds)
アンリ菅野 ( Anli Sugano ) (vo)

Recorded live at the Koseinenkin Kaikan , Tokyo, December 5.1979

Originally released on Concord CJ-120 (2-Record Set)
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ソロは究極の自己表現・・・・一人3役の出来栄えは

2011-08-21 | CONCORD
By Myself / Cal Collins


ジャズでソロをやれる楽器は限られる。ピアノが代表的だが、ギターソロアルバムもあるにはある。ギターはジャズではそもそもはリズム隊の一員、ソロの花形に加わったのはチャーリークリスチャンからだ。それ以来ギターはジャズの世界ではソロとリズムの両面で活躍している。

ちょうど中学生の時、ビートルズブームがあり、日本ではグループサウンズブームが起った。歌を歌いながら、リードギター、リズムギター、そしてベースギターを分担して演奏していた。しかし、ジャズを聴くようになりジャズの世界では一人のギタリストで、ソロもとりリズムも刻むことが分かった。でもギターはいつも脇役であり、表で出ないものと思っていた。主役になったギターを知ったのは、バニーケッセルのポールウィナーズであり、ウェスモンゴメリーのリバーサイド盤、そしてハーフノートを聴いてからだ。そし、ビルエバンスとジムホールのアンダーカレントを聴いた時、唯一のアップテンポの曲、マイファニーバレンタインでのギターの役割が実に新鮮に聞こえた。メロディーとリズムだけでなく、ベースラインコードの動きも実は役割にあることを。

チャーリークリスチャンはサックスのソロのようにギターを操ったが、ギターをピアノのように操るのが、このカルコリンズだそうだ。ソロはもちろん、単にリズムをとるだけでなく、細かいコードワーク、そしてベースラインも。まさに一人3役である。ソロアルバムを聴くとその技が良く分かる。

このカルコリンズは、シンシナティーのローカルミュージシャンだった。それを中央に引っ張り出したのは、ベニーグッドマン。そのグッドマンと一緒の演奏を聴いて、コンコルドのハウスギタリストに迎えたのは、オーナーのカールジェファーソンであった。
元々はカントリーのギターもやっていたというコリンズは、今回のアルバムでも、その片鱗を感じさせる部分がある。しかし、最後のルート66、そしてジャクソンカントリーブルースを聴くと、正真正銘のジャズギタリストであることは間違いない。ジャズ界で最も無名なギタリストの面目躍如である。

自分はギターも弾かないし、ギターフリークでもない。なのに、ギターのソロアルバムを退屈せずに聴きとおせるということはきっと名アルバムなのだろう。
そして、もうひとつこのアルバムの演奏の特徴を挙げておく。コンコルドではお馴染みのレコーディングエンジニアのフィルエドワードは、録音に当たって通常のギターアンプの音を録るのと同時に、コリンズのギター”Benedetto Cremona”の至近距離に高感度マイクを設置し、このギターのアコースティックなサウンドを同時に録音したそうだ。その結果が、実に切れのいい演奏の要因のひとつでもあるのだろう。

ベニーグッドマン時代のコリンズ



1. By myself
2. Where are you
3. What is this things called love
4. Stairway to the stars
5. No moon at all
6. P.S. I love you
7. Sunrise sunset
8. The gypsy
9. All the things you are
10. The nearness of you
11. Route 66
12. Jackson country blues

Cal Collins (g)

Produced by Frank Dorritie
Recorded by Phil Edwards
Recorded at Coast Recorders, San Francisco,CA. December 1979

Concord CJ-119
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「定職」も「アルバイト」もいつも同じメンバーで・・

2011-08-18 | CONCORD
The Concord All Stars / Ross Tompkins


このロストンプキンスもConcordレーベル設立以来の常連だ。ソロもあれば、色々なメンバーとの共演も多い。今回のフロントラインのスヌーキーヤングとマーシャルロイヤルとのアルバムも過去に出している。
お互い手の内が分かっているメンバーが集まり、1979年のコンコルドジャズフェスティバルでのライブのアルバムだ。この年のライブも先日紹介したマリアンマクパートランドのアルバムですでに5枚出ているので、これが6枚目になる。
という訳で、ALL STARSという看板を掲げているが、このフェスティバルのためにだけに集まった面々ではない。気心を知り合っている仲間なので、ライブ物といっても実にコンビネーションがいい。ビッグバンドではリードをとることが多いスヌーキーも、じっくりソロをとっているし、マーシャルの輝くアルトも健在だ。そして、最後のパビリオンブルースの盛り上がりはライブならではだ。

西海岸に居を移してからのトンプキンス活動はConcordの活動以外でも多忙だった。ルイベルソンのビッグバンドにも加わっていたし、何と言っても仕事の中心を占めていたのはドックセベリンセンのバンドだ。
昔はテレビの歌番組でもバックは生オーケストラ。番組にレギュラー出演していたBig bandは多い。日本では先日紹介した岡本章生もそうだったが、豊岡豊、スマイリー小原などもお馴染みであった。本場アメリカはというと、何といってもドックセベリンセン率いるTonight Show Big Bandだ。彼の普段の活躍の場所(仕事場)で、スヌーキーも一緒にこのオーケストラのレギュラーメンバーだった。

多彩なゲストを迎えて何でもこなさなければならないのがテレビのレギュラーバンド。ソロからビッグバンドまで何でもこなすロスにはうってつけの仕事だったかもしれない。このバンドにロスは88年まで在籍することになる。居心地が良かったのだろう。
JATPのお祭り騒ぎのジャムセッションとは違って、オールスターとはいってもレギュラーバンドと変わらない一体感を生んでいるのは、フェスティバルの大舞台といっても、トンプキンスにとっては日頃の活動の延長だったからだろう。

このTonight Showのリラックスした雰囲気を日頃から楽しんでいたら、何処に行ってもいい演奏ができそうだ。



1. Moten Swing
2. Don't Get Around Much Anymore
3. Willow Weep For Me
4. I Want A Little Girl
5. Sleeping Bee
6. Summer Wind
7. Exactly Like You
8. Pavilion Blues

Snooky Young(tp)
Marshall Royal(as)
Ross Tompkins(p)
Cal Collins(g)
Ray Brown(b)
Jake Hanna(ds)

Phil Edwards Engineer, Remixing
Carl Jefferson Producer
Recorded live at Concord Jazz Festival 1979
Concord CJ-117
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