A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

クインシーの新たな試みは・・・・映画の世界へ

2008-01-20 | MY FAVORITE ALBUM
QUINCY JONES explores the music of HENRY MANCINI

ニューポートジャズフェスティバルに出演した1961年を最後にクインシージョンンズは自分のビッグバンドを実質的に解散した。そして、この年クインシーは所属していたマーキュリーレコードの副社長に就任する。
立場上、ジャズに限らずマーキュリーにとって売れるアルバム作りが求められた。ジャズを離れPOPSの世界のプロデュースで最初に成功したのは、レスリーゴーアの"It's My Party"だった。これを契機に、クインシーのプロデューサーとしての活躍がスタートすることになる。
しかし、ジャズをまったく忘れてしまったのではない。レコーディングのためのオーケストラの演奏は引き続き行って、その後もマーキュリーからクインシージョーンズの名を冠したアルバムが何枚か発売された。

しかし、その内容は当時のヒット曲を選んだものであり、演奏の内容もいわゆる「世間受けする」軽いサウンドになっていった。ジャズの世界は一方で、マイルスやコストレーン、エバンスなどが、次なるジャズの世界へチャレンジを始めた時期でもある。硬派のジャズファンからは、「クインシーはジャズを捨ててコマーシャリズムの世界へ転進してしまった」と言われたものだ。

この間で一番有名なアルバムといえば、おそらく”BIG BAND BOSSA NOVA” であろう。
近年になっても、日本でテレビのコマーシャルにも使われているが、そのサウンドは40年以上経った今でも色褪せていない。今聴き直してみても、それまでのビッグバンドの音作りにこだわらないアレンジと演奏は、その後のクインシー、というよりも音楽の世界そのものの多様化への布石であったともいえる。

その“Big BAND BOSSA NOVA”から1年半後、1964年に録音されたのがこのアルバムだ。
タイトルどおり、全編映画音楽の世界の第一人者ヘンリーマンシーニの曲を選び、ここではクインシーは編曲と指揮に専念することに。
このヘンシーニ、あまり映画のことは詳しくない自分でも良く知っている映画音楽の巨匠だ。
あの「グレンミラー物語」でアカデミー賞のミュージカル映画音楽賞をとって一躍有名になったのは1954年のことだった。
実はこのマンシーニ、編曲を始めた頃は、メルトーメのコーラスグループ「メルトーンズ」のアレンジをしたこともあったとか。そして、奥さんは、このメルトーンズのメンバーのGiny O’Conner。ジャズの世界とも近い場所で活動していたようだ。ジャズプレーヤーが、彼の曲を良く取り上げるのも、きっと何か相性が良いものがあるのだろう。

この録音に集まったメンバーは、以前のオーケストラのメンバーも何人かはいるが、基本はこのアルバムのために集まった面々。
通常のビッグバンド編成だけでなく、ホルンを加えたり、メジャーホリー、ローランドカークやツゥーツシールマンなど特徴あるソリストが加わっている。ホリーが得意とするベースとのハミング、カークのサックスのマルチプレー、そしてシールマンの口笛など、彼らの「特技」のソロが実に絶妙に配されている。
あくまでもセクションごとのアンサンブルワーク、それらの掛け合いのリフやコールアンドレスポンスを多用する従来の手法によるビッグバンドの世界とは一味違うアレンジを提供している。

演奏している曲が最近のポピュラーなものだからといって、決して内容がコマーシャリズム害されたという訳ではない。
当時はビッグバンドを取り巻く環境は冬の時代、ベイシーもエリントンもポピュラーな曲を取り上げたアルバムを作っていた。その中で、それぞれのバンドカラーを出していたが、クインシーは一味違った。従来の手法にとらわれず一歩先を見た新たな「クインシーサウンドの世界」に一歩踏み入れた編曲になっていた。
このマンシーニのアルバムに刺激を受けたという訳ではないとは思うが、この年、クインシーは初の映画音楽”Pawnbroker“に取り組むことに。経営者、プロデューサー、作編曲家、それもジャズアルバムから、歌手の伴奏、そして映画音楽までいよいよ全方位の活躍が始まる。

1. Baby Elephant Walk *3
2. Charade *3
3. Dreamsville *1
4. Bird Brain *2
5. Days Of Wines and Roses *1
6. Mr. Lucky *3
7. The Pink Panther *2
8. (I Love You) And Don't You Forget It *1
9. Soldeir In The Rain *2
10. Odd Ball *2
11. Moon River *1
12. Pink Panther *2

<Perssonel>

【session1】

Jimmy Maxwell, Ernie Royal, Clark Terry, Snooky Young (tp)
Billy Byers, Urbie Green, Dick Hixson, Quentin Jackson, Tony Studd (tb)
Ray Alonge, Jim Buffington, Tony Miranda, Bob Northern (frh)
Harvey Phillips (tu)
Roland Kirk, Jerome Richardson, Stan Webb (Reeds)
Margaretha Ross (harp)
Gary Burton (vib)
Bobby Scott (p)
Mundell Lowe (g)
Milt Hinton (b)
Osie Johnson (d)
Martin Groupp (per)

Quincy Jones (arr, cond)

Recorded at A&R Studio NYC, February 5, 1964


【session 2】

Ernie Royal (tp)
Billy Byers (tb)
Gary Burton (vib)
Bobby Scott (p)
Major Holley , Milt Hinton(b)
Osie Johnson (ds)
Toots Thielman (hermonica.g.whistle)

Recorded at A&R Studio NYC, February 5, 1964


【session 3】

John Bello , Jimmy Maxwell , Snooky Young , Ernie Royal (tp)
Quentin Jackson , Urbie Green , Richard , Hixson , Tony Studd , Billy Byers (tb)
George Berg, Romeo Penque, Seldon Powell, Phil Woods (Reeds)
Gary Burton (vib)
Bobby Scott (p)
Vincent Bell (g)
Major Holley , Milt Hinton(b)
Osie Johnson (ds)
Phil Kraus (per)

Recorded at A&R Studio NYC, February 6, 1964


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