A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

決して表舞台を歩かなかったリチャードソンが久々に・・・・

2008-02-27 | MY FAVORITE ALBUM
Jazz Station Runaway / Jerome Richardson

ニューヨークの地下鉄の入り口にアルト手にした姿は、年老いたストリートミュージシャンのような雰囲気だ。陰の実力者でありながら、表舞台ではあまり活躍しなかったリチャードソンを象徴しているようだ。

1960年、予定していたミュージカルの仕事が無くなり、ストリートミュージシャンの如く演奏できる場所を求めてヨーロッパの放浪の旅に出たのはクインシージョーンズオーケストラ。
そのサックスセクションに陣取っていた2人の名手。一人はフィルウッズ、
そして、もう一人がジェロームリチャードソン。ジャズの世界で2人の歩んだ足取りは近いようでもあり、遠いようでもある。

クインシーのオーケストラでウッズの席はアルト、リチャードソンはテナーだった。
ウッズはパーカー派としてデビューから今に至るまで一貫してアルトが中心だ。
一方のリチャードソンはあらゆるサックスをこなす。事実、リチャードソンが在籍したサドメルのオーケストラでは貫禄のリードアルトを努めていたし、サドメルサウンドの特徴を、ソプラノサックスやフルートで引っ張っていたのもこのリチャードソンだ。
2人は、スタジオミュージシャンとしても活躍をしていたので2人が加わったアルバムは数知れないほどに多い。クインシーのオーケストラだけでなく、色々なセッションで2人が一緒に参加することも多かった。そのスタジオワークはジャズだけではなくPOPSやR&Bの世界まで幅広い。思わぬとこころで2人の名前に遭遇することがある。

ウッズはスタジオセッションに参加するだけでなく自己のグループも持っていた。ジーンクイルとの双頭コンビヨーロピアンリズムマシーンなど有名なグループを率いてきて、リーダーアルバムの数も昔から今に至るまで非常に多い。また、コンボだけでなくオーケストラをバックにしたアルバムも多く、自ら作編曲も手がけ、ジャズの歴史のあらゆるシーンに登場する実力者だ。
自分としてもこのウッズは好きなプレーヤーの一人だ。

ところが、一方のリチャードソンは、自己のリーダーアルバムとなると非常に数が少ない。自分の知る限り6枚しかない。
このアルバムは、その少ないリーダーアルバムの中の一枚。
1996年の録音で、リチャードソンはすでに76歳になっていた。その後のリーダーアルバムは知らないので、多分自分の名を冠したアルバムとしてはラストアルバムであろう。

このアルバムでは、リチャードソン自らの曲を多くとりあげている。リチャードソンの唯一といってもいいヒット曲「グループマーチャント」も入っている。彼のテーマソングのようなものだ。
アルトと得意なソプラノ、そして時にはフルートをフィーチャーした曲が気軽な感じで続く。その中で演奏ぶりにも重みを感じるのは、エリントンの2つの曲。身構え方が違うのかもしれない。いいプレーだ。
ファンでもなければ買い求めることもないような地味なアルバムであるが、いつもながらのリチャードソンの陽気な雰囲気で和気藹々と繰り広げられるセッションの様子が伝わってくる。どこかリッチーコールの軽いノリの演奏にも通じるプレーだ。いつもと同じ淀み無く綺麗なトーンは、とても80歳に近い超ベテランが吹くサックスとは思えない。

1. Jazz Station Runaway             Richardson 3:32
2. Lady Rowena                 Richardson 5:21
3. Midnite Strut                Richardson 6:01
4. Warm Valley                 Ellington 7:42
5. Con Man                   Reece 4:26
6. Autumn Lites                 Richardson 5:33
7. Freedom & Salvation             Richardson 5:01
8. Nouveau You Know               Richardson 6:18
9. Gumbo Robo                  Richardson 5:41
10. In a Sentimental Mood            Ellington, Kurtz, Mills 6:58
11. Groove Merchant              Richardson 5:56

Peter Schmidlin Executive Producer

Jerome Richardson (as,ss,fl)
David Hazeltine (p)
Russell Malone (g)
Howard Aiden (g)
George Mraz (b)
Frank Colon (per)
Dennis Mackrel (ds)
Lewis Nash (ds)

Recorded in New York , Jun 1996-Feb 1997

Jazz Station Runaway
Jerome Richardson
TCB

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