A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

エリスの復帰はこの一枚から・・・・

2008-02-13 | MY FAVORITE ALBUM
Hello Herbie / The Oscar Peterson Trio with Herb Ellis

ギターの名手ハーブエリスがスタジオワークをやっていた時の感想は、「譜面と睨めっこの演奏は何の刺激もなく退屈なものだった」ということらしい。ただし、TV-Showでゲストの歌手バックを努めた時は、リハーサルを含めて多少なりとも楽しい思いをしたそうだ。
そこにあるのは人との触れ合い。ジャズを演奏する者にとっての楽しさは、やはり「人」が身近にいることであろう。ジャズでは一緒に共演している相手の演奏ぶり、時には表情ひとつの変化が自分のプレーに影響する。いわゆるコラボレーションの楽しさだ。観客を目の前にした演奏、聴衆の反応もまたプレーに刺激を与えるものだ。

一方で聴き手にとっても、自分の目の前で繰り広げられる白熱のライブ演奏はジャズの醍醐味だ。きっと一番贅沢な聴き方は、自分のためのプライベートなジャズコンサートを開くことであろう。世の中にはこれを実現した人物がいる。大のピーターソンファンであるドイツのMPSレーベルの社長であったハンス・ゲオルク・ブルンナー・シュヴェアーだ。
自宅にピーターソンを招き、自分のためのライブ演奏を行った。そして、元々が録音技師であった彼はその演奏を記録に残した。それも最高の録音で。その素晴らしい音にピーターソンが驚嘆したそうだ。

これが、有名なMPSレーベルでのピーターソンのアルバムが生まれた経緯だが、その中で旧友のハーブエリスを招いてトリオと共演したアルバムがこの「ハローハービー」だ。
ピーターソンがスタジオの仕事をやっていたエリスをわざわざドイツに呼び寄せた訳であるが、これはハンスの念願でもあったそうだ。

初めて聴いた時、何ともいえぬ衝撃に近い印象を受けるアルバムがある。
エバンスのビレッジヴァンガード、マイルスのカインドオブブルー、ウェスのハーフノート、エバンスのモントルー・・・・など。いわゆる名盤といわれるものは枚挙にいとまがないが、その中でもそうそうたくさんあるものではない。このハローハービーもその中の一枚であるのは間違いない。

10年ぶりの再会は2人の間に何のブランクも感じさせない。
エリスはアルバム作りも時々やっていたもののなんとなく中途半端な出来。スタジオの仕事が日々続く中でこのようなダイナミックなジャズの演奏はエリスにとっても久しぶりであったのだろう。それも昔コンビを組んだピーターソンと一緒であればなおさら。
日頃の鬱憤を一気に晴らすような演奏だ。

エリスがスタジオの仕事からジャズの表舞台に復帰し、Concordの設立に大きく寄与したのはこのアルバムを録音してからそれほど年月が経ってはいない。このピーターソンとの共演がきっかけで現役復帰を決意した訳ではないとは思うが、ひょっとして・・・?
そしてこのエリスの復帰がコンコルドを生んだようなものだ。
最後の曲の"Seven Come Eleven"。グッドマンとクリスチャンとの共作の良くスイングするリフナンバーだが、Concordのエリスの2枚目のアルバムタイトルにもなっている。

1. Naptown Blues
2. Exactly Like You
3. Day By Day
4. Hamp's Blues
5. Blues for H.G.
6. A Lovely Way To Spend An Evening
7. Seven Come Eleven
 
Oscar Peterson (p)
Herb Ellis (g)
Sam Jones (b)
Bob Durham (ds)

Recorded on November 5,6 1969 in West Germany

Hello, Herbie
Oscar Peterson
MPS

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