A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ビバップの夜明けの時、BrownとJacksonは・・・・

2007-07-20 | MY FAVORITE ALBUM
THINGS TO COME / DIZZY GILLESPIE

ミルトジャクソンとレイブラウンのアルバムでついついコメントしてしまった2人の出会いが気になって、ガレスピーの古いアルバムを探ってみた。
といっても、自分が持っているアルバムだけであるが。
ガレスピーのSextetの46年のセッションに2人の共演があった。ガレスピーのオーケストラに加わる前だ。

せっかくの機会なので、自分の頭の中もこの当時のおさらいしておくことにした。
46年といえば昭和21年。終戦の翌年である。
このアルバムを改めて通して聴いてみて、パーカーとガレスピーのビバップへの挑戦は、第2次世界大戦の真最中に行われていたのを再認識した次第。当然日本は終戦前後の大混乱の時、ジャズどころではなかった時だ。
チャーリークリスチャンのミントンハウス演奏が41年。それから5年が経っていた。
その当時の話としては、軍の慰問に廻っていた時に亡くなったグレンミラーの話が有名だ。
1944年のことだが世の中のJAZZ表舞台はやはりスイング全盛期であった。

一方で、ニューヨークの片隅ではビバップの誕生への挑戦が続いていたのだ。
ここにも収録されている、ガレスピーとパーカーの45年の共演がビーバップの誕生の原点であるといわれている。
このアルバムに収められているのは、ギルド/ミュージッククラフト盤の演奏。確かに、ここで聴ける2人のフレーズは明らかにスイングジャズの世界とは異質なものだ。
パーカーとのセッションでは、リズム隊がスイング系なので、いまひとつ飛びきれていないといわれるのもよく分かる。
45年5月11日のセッションではサラボーンのラバーマンも聴ける。

そして、5月15日のセッションに。
アルトはパーカーと別れた後Sonny Stittに代っている。ここにレイブラウンとミルトジャクソンが加わる。ドラムのケニークラークである。
いきなり、得意の「ワンベースヒット」
レイブラウンの図太い音が、悪い録音でありながらよく分かる。
ここでは、完成されたバップの演奏になっている。

さらに直後の45年の7月、まさに第2次世界大戦が終わろうとしているとき、ガレスピーは最初のビッグバンドを編成した。ケニードーハムやチャーリーラウズ、そしてマックスローチを擁して南部のツアーに出たがこれは見事に失敗してすぐに解散。ニューヨークに戻る。
その後、パーカーと一緒に再びコンボを組んだが、結局46年の春にはパーカーと別れることに。

46年5月にガレスピーは再びBIG BANDを編成するが今度は大成功。
50年までの間多くの録音を残すことになる。
ビリーエクスタイン楽団によって、試みられたバップのビッグバンド化は、ガレスピーによって完成されたということになる。
衝撃的な爆発力を持ったアンサンブルは、明らかにスイングバンドとは異次元のBIG BANDの誕生だ。これが、50年代のモダンビッグバンドにつながっていくことになる。
このアルバムには、46年6月及び11月の録音が収められているが、これに参加しているのがRay BrownとMilt Jackson。バップオーケストラの筋金入りの経験者だ。
その後、2人がコンボであろうとビッグバンドであろうと、彼らのスイング感の原点はこの辺りにあったのであろう。

Milt JacksonとRay Brownの関係も詳しく調べるときっと逸話がいくつもあると思うが、研究家でもないのでこの辺りにしておこう。

●Blue 'N' Boogie
Dizzy Gillespie (tp) Dexter Gordon (ts) Frank Paparelli (p) Chuck Wayne (g) Murray Shipinski (b) Irv Kluger (d)
NYC, February 9, 1945

●Groovin' High
●All The Things You Are
●Dizzy Atmosphere
Dizzy Gillespie (tp) Charlie Parker (as) Clyde Hart (p) Remo Palmieri (g) Slam Stewart (b) Cozy Cole (d)
NYC, February 28, 1945

●Salt Peanuts
●Shaw 'Nuff
●Lover Man
●Hot House
Dizzy Gillespie (tp, vo) Charlie Parker (as) Al Haig (p) Curly Russell (b) Sidney Catlett (d) Sarah Vaughan (vo -3)
NYC, May 11, 1945

●One Bass Hit, Pt. 1
●Oop Bop Sha Bam
●A Handfulla Gimme
●That's Earl, Brother
Dizzy Gillespie (tp, vo) Sonny Stitt (as) Milt Jackson (vib) Al Haig (p) Ray Brown (b) Kenny Clarke (d) Gil Fuller, Alice Roberts (vo)
NYC, May 15, 1946

●Our Delight
●Good Dues Blues
Dave Burns, Talib Daawud, Dizzy Gillespie, John Lynch, Ray Orr (tp) Leon Comegys, Charles Greenlea, Al Moore (tb) John Brown, Howard Johnson (as) Ray Abrams, Warren Lucky (ts) Pee Wee Moore (bars) Milt Jackson (p) Ray Brown (b) Kenny Clarke (d) Alice Roberts (vo)
NYC, June 10, 1946

●One Bass Hit, Pt. 2
●Ray's Idea
●Things To Come
●He Bepped When He Shoulda Bopped
Dave Burns, Talib Daawud, Kenny Dorham, Dizzy Gillespie, John Lynch, Elmon Wright (tp) Leon Comegys, Alton "Slim" Moore, Gordon Thomas (tb) Howard Johnson, Sonny Stitt (as) Ray Abrams, Warren Lucky (ts) Leo Parker (bars) Milt Jackson (vib) John Lewis (p) Ray Brown (b) Kenny Clarke (d) Alice Roberts (vo)
NYC, July 9, 1946

●I Waited For You
●Emanon
Dave Burns, Dizzy Gillespie, John Lynch, Matthew McKay, Elmon Wright (tp) Taswell Baird, Al Moore, Gordon Thomas (tb) John Brown, Scoops Carey (as) Bill Frazier, James Moody (ts) Pee Wee Moore (bars) Milt Jackson (vib) John Lewis (p) Ray Brown (b) Joe Harris (d) Kenny Hagood (vo)
NYC, November 12, 1946

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