山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

演出ノート【5】

2015-11-13 11:58:16 | 声優A子の犯罪
「声優A子の犯罪」演出ノート【5】11月12日(木)

登場人物、音響や照明、会場整理係、受付などのスタッフまで区別なく「出演者」にした。
キャストスタッフはオールスターである。
しかも、登場人物はみんな「A」であり匿名であるが、固有名詞には犯罪名が付けられている。
 摸倣犯//昏睡強盗犯//誘拐監禁犯//器物破損犯などなど、思いつく限りの犯罪名が並ぶ。
 作・演出のところには「構成」が付け加えられた。
 実は寺山修司「レミング」と唐十郎「少女都市からの呼び声」を切り貼りしているのである。
 声優A子とはいかなる人物なのだろう?
 犯罪をデッチあげるとはどういうことだろう?
 ここに登場する人物たちは実在しているのだろうか?

 私は暗い演劇は好きではない。
 今から36年前の旗揚げ当初は、日本で2番目に暗い劇団だとこき下ろされたこともあるが、自分では「ただ明るさだけのアッパラパ~ではダメ!」と主張していた。
 悩み苦しむだけの劇はつまらない。それの中には滑稽さがある。滑稽さに恐怖や狂気を注入する。
 悲しい時に笑い出し、嬉しい時には歓喜の涙に代わる。怒りは希望に満ち溢れる。
 感情がストレートに表れず、歪む。歪みが現在を表す。
 いかにも複雑怪奇であるが、単純明快なことは
 劇は無罪であると言っておきます。

 稽古が終わって、遅い夜ご飯の時に、「この時代を例えるならば、猫ちゃんたちに癒されるね。」と実感した。現実社会では癒されないから、猫に癒しを求める時代になったのだと思う。