山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

熊本公演!楽日の朝。

2015-05-30 06:37:31 | 透明人間三部作-2014-2015
昨日5月29日「ねじ式」初日の朝、会場へ向かう車中で、俳優 今井雅之さんが28日(木)逝去した(享年54歳)ことを知りました。漫才コンビ「今いくよ・くるよ」の今いくよさん(享年67歳)も同じ日に亡くなられたことも!・・・ご冥福をお祈り致します。合掌。
同じような境遇にいる身にあって、「今を生きる!」ことの大切さをひしひしと思います。只、息をしているのではなく、生きていることを楽しみたい。体力がある限り、思考停止していない限り楽しみたい。悲しみも滑稽さも同居していたい。お二人の死を知って、とても強く思うようになりました。生きていることで未来ある子どもたちや孫たちへ、繋いでいけるものを探そう。個人の力では限られています。やっていることをまっとうすることです。喜怒哀楽!劇で!

昨日初日のエピソードは語りきれない。一日のことを全部語るとエンドレスになります。
その内の一点のみ紹介させて頂きます。
冗談で「玉ねぎ」役が足らないので、あなた(玉垣君・劇団みちくさ)に演って欲しいと言ったところ演ってくれました!役者たちが「玉ねぎ。」と騒ぎ出したら、舞台上で玉ねぎポーズを決めてくれました。「いいね。」を一万回押したくなりました。
尚、客席が満杯になったため、舞台袖部分にも移動して頂きました。そこに玉垣君がいたのであります。(笑)

劇団夢桟敷「ねじ式」
楽日の本日(土)は午後3時と午後7時の開演です。
熊本市中央区河原町2 ギャラリーADO

今夜は中打ち上げ交流会と称しまして金龍美食(台湾料理の店)にて午後11時より乾杯致します。一息ついたら速攻、札幌に向かいます!

開演前にADO路上でパンダZパフォーマンスをしてくれた空乃雲之さんのコメントを紹介させて頂きます。彼は秋葉原(東京)日本橋(大阪)界隈では超有名人です。6月27日(土)28(日)はADOにて「おやじ男優Z」上映会の関係者様(空乃雲之)です。

さきほど劇団夢桟敷さまの舞台拝見させて頂きました。素晴らしかったです!!
これぞアングラ!!本物のアングラ演劇!!某有名大学の文学部の学生さまが、そこの大学教授に進められて見に来ておられました。卒業論文のテーマが「寺山修司 論」で、山南先生にロングインタビュー、取材されておられました。
これはつかこうへい先生の「熱海殺人事件」よりも難解な本物のアングラ演劇です。
ピカソの絵です。すごかったぁ!!これを演出できる人は日本では少なくなったように思います。抽象的過ぎてワケワカラン世界観のはずなのに、ただただ涙がこぼれる。脳内物質に直接響く感覚は、緊縛SMの世界の「縄酔い」に近い感覚に思いました。刺激が強い演目です。
1970年に漫画家のつげ義春先生が発表された「ネジ式」の舞台公演。難解な、抽象的な、取りようによっては視聴者がいかようにも取れる、夢幻の世界。起承転結の脚本論からも逸脱した世界。ただただ一瞬一瞬の「絵」「演技」が光り、膨大な情報量の渦に視聴者は飲み込まれていく・・・・。
いやぁ。若々しさが、エネルギーが凄い演目でございました。1970年代の退廃した世相と学生運動の時代背景すらも読み解けるほどのエネルギッシュさ。
この世界観をず~~~~っと!2015年の今も、心を病むことなく描き続けている・・・。アングラの極致を今なお追い続けている演出家・山南先生という方が、凄かった!!「怖い」と思えるほど凄かったでした。SM緊縛の世界観の「縄酔い」に通じる・・・。精神を破壊してまで追い求めるほどの、恐ろしさと凄みをひしひしと体感しました。
アニメ「エヴァンゲリヲン」の最終回のワケワカラン心象風景の演出やアニメ「押井守監督の世界観」や当時のアングラ表現に刺激を受けた演出方法は、断片的には今も見ることができますが。・・・いや、それにしてはもっと奥行きと申しましょうか底が深い。
例えば・・・。エロの世界でいうと一般の人には、そのエロさが、わからない・・。伝わりにくいとされる・・。全身タイツのフェチズムのさら~~~に!濃ゆい所や、SM世界のドンドン濃ゆい濃ゆい所まで煮詰めていった・・コアな所や、グロスカに、性的興奮を覚えるようなフェチズムの世界。
音楽ならば一般の方には不協和音に聞こえてしまうような所まで行ったジャンルの音楽世界。
例えば全身タイツの「光沢フェチ」のマニアの方を取材したことがあるのですが。常人にはエロいとされる「顔の表情」すらも隠して、もっと行き着くと・・・「水道管の蛇口」の光り輝く無機質の光沢の方が、「全裸の美女」よりも性的快感を覚えるほどになってしまう・・・そんな底が知れない深さ・闇。
初代桂春団治のような破天荒な芸人を目指し、行きつくところまで御自身を追い込んで、しまいには精神を病んでいった、数多くのエンターテイナー。そんな表現が、この作品にはしっくりするほどの、狂気と刺激の強さでした。
ただ、ただ、凄かったでした。
物語はドンドン抽象表現のほうに加速度を増して、観劇者の思考回路を壊していくのですが。
前半部分。虚実入り乱れる導入部分が、現実の恐怖を描いていて凄く共感出来ました。日常生活にもある悲しみ、怖さ、の地続きの場面が、私がこの年齢になってみて人生経験を積むと、わかってくる面白さと怖さ・・・。
私が数年前に体調を壊して入院した時、麻酔で意識がもうろうとしている中で、家族や看護婦さんやお医者様までもが!? 一瞬!!「敵」に、感じてしまった時のような・・「正邪逆転現象」に見えた恐怖。大好物の食べ物が、病気になると美味しくなくなり、むしろ苦痛に感じる・・みたいな描写が丁寧に描かれていたり。
年老いて痴呆になったり、精神が壊れてしまった人から見たら、「現実世界はこんなに違って見えるんだ!?」・・・みたいな、世界観がひっくり返る恐怖とか。疎外され、隔離されたものになってみないとわからない悲しみとか。
「ゾンビブライド」という映画で、ゾンビを使ってそのあたりの悲しみをコメディタッチで描いていて。ゾンビ映画が大大大嫌いな私が、「この作品だけは、ちゃんと人生に根差した良い脚本だ」と思ったことがありました。ここを描き切ったら、どんなホラー映画よりも恐怖な「現実の怖さ」。
今回の演目「ネジ式」には、そこがしっかり描かれていて、怖いだけでなく、逆に救われたような感動で胸にジ~~~ンと来ることさえありました。
前半の導入部分ですら「この刺激の強さ」で。これを、二時間!!俳優の演技力だけで引っ張る面白さ!!この俳優様の演技力だけでも凄いです。
「役」や「脚本」に頼らずに、その数分間を自分の世界に引き込む俳優としての演技する面白さ。「ポ」「ポポポ」の、「ポ」のセリフと「語幹の響きの面白さ」だけで、俳優が観客を自分の世界に引きずり込み!!「ポポポ」を言うだけで10分くらいの長い長い時間を、お客様を楽しませる俳優の演技力!!
これ!凄かったぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~!!!刺激が強かったぁぁぁぁ~~~~~~~~~!!!
理屈ではワケワカランことをセリフで行ってるのに、心揺さぶられて涙する。ドラッグやアル中のフラッシュバック現象のようなところまで踏み込んだ「これぞ!本物のアングラ演劇!!」
というものを拝見させて頂きました。
この刺激の強さを、よくぞ演出つけられたと思います。
山南先生、全然お若いです。精神も御身体も健康そのものです。これを演出する「精神力」「体力」が、凄い!!
私だったら、3日で精神崩壊し、1か月でヤツレテ餓死してしまうことでしょう。
あともうひとつ。
「ギャラリーADO」さま、「熊本市河原町2」という住所なのですが、要は、地図に載っていない住所です。大きな川があって、その河川敷に商店街があるのですが、この一角だけ住所に載っていません。
「芸事を目指す者の祖先は、しょせん河原乞食が発祥の地なんだよ」みたいな差別表現を目にすることはありましたが、2015年のこの現代になって、この場所で「アンダーグラウンド」「アングラ演劇」を根ざしてやって来られて。
有名大学の文学部の知識人たちが、こぞって三重県や西日本各地の都道府県から見に来る。劇団「夢桟敷」・・・、本物の凄い劇団でございました。
そして、なかみつ先生!この場所で映画「おやじ男優Z」を上映する意味はありますね。凄く良い場所をお選びいただき、ありがとうございました。
劇団「夢桟敷」、つげ義春原作「ねじ式」何度見ても面白い!!「玄人受けする演目」なので、
明日も拝見させて頂きますのが楽しみです。

どうもありがとうございました。