そうすけ漫録

そうすけの一日の型録です。

言葉

2007年12月15日 | か行

詞を書かせるもの


 これらの詞は、すでに私のものではない。
 何故ならばその一語一語は、読まれた途端にその持つ意味がすでに読み手の解釈する、解釈できる、解釈したいetc・・・・・・意味へととって変われるのだから。
 「語」は、コミュニケーションの手段でありつつ、それ自体が人類の共通項でもなければ審判でもない。したがって、これらの詞はすでに私のものではない。
 ――といういいかたもできる。ところが同じ理由によって次のような言い方もできてしまう。
 したがって、これらの詞は、ついに私一人のものでしかない・・・・・と。
 はたまた、次のような言い方も。
 したがって、これらの詞は、わたしのものでさえもない・・・・・。
 

 言葉は、危険な玩具であり、あてにならない暗号だ。
 その信憑性のなさへの疑心が私に詞を書かせ、
 その信憑性のなさへの信心が私に詞を書かせ、
 そうこうするうちに詞はやがて私を、己れ自身に対する信憑性の淵へと誘い込んでいく。
 人を斬るための言葉はたやすい。己れを守るための言葉もたやすい。
 黙っていても愛し合える自信がないから、もう少しだけ、私はまだ詞を書くつもりでいる。


 私に言葉を教えてくれた父と母と、師たちへ。

                     中島みゆき
一九八六年十月

「中島みゆき全歌集」朝日新聞 

 〇 う~ん・・・深いですのぉ。なぜ、人類は言葉を創造したのか?

                  

 

 


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