段ボール箱から本を写したルーズリーフ用紙がでてきた。それは昭和六十三年十一月三日。その日は文化の日である。祝日である。余程、淋しかったのだ。
コンセプト――
○複数の着想を統合して、構想を構成して計画を創出する思考過程
○着想を入力として、計画を出力とする思考過程
○ビジネスでは着想と計画のあいだの思考過程であるとともに問題解決レポートのひとつ。
○標準化したファションで情報を伝達できるように様式化したマナーで述べたマネージメントの一般的着想。
○着想の構造。
昭和の末期に、何故にこのような本を写しているのか。筆記具はボールペン(黒)だ。
リスク――
●リスクを避けるひとつの方法は起業者が提出する事業計画者の様式とその審査方法を改善することである。
写本は更に続く。
▲レポートの基本型。レポート六原則。主題の構造と表現。主題構造の標準化。思考過程レポート。(詳細は省略)
20枚も書いていました。あれから20年が過ぎた。おかげさまで、全く役に立っていない。
私は相変わらず履歴書を書くだけで辟易してしまい。自分のレポートで他人の金が動いたことなどない。
この情熱はわからない。余程に他にやることがなかったのだろう。私の分裂している感情、人格を一時外へ言葉でこぼし、整理しようとしたのであろう。
哀しい男は言葉を作り出す前に言葉を入れる器を勉強する。器ができれば言葉があふれでて満たしてくれるだろうと思い込んでいた。
しかし器さえできることはなかった。器という文字とボールペンのインクと不安が消費される。
誰のためにでもなく自分のためのコンセプトでありレポートであるはずなのに、その自分に書けなかったのだ。ますます混迷していった。
昭和が終わるまで二ヶ月足らずというのに。