未明に雨が降る。
心にさざ波が起こる。スズメたちがさえずり戯れていた。静かな住宅街。誰もが祭日を楽しんでいるような。
Kさんに伝言を頼まれた。「昨日のことは気にしないでくれ」たったそれだけのことなのに、妄想だけがふくらんでしまった。仕事に影響が出る。
会社の入り口のわきに喫煙所がある。そうすけが歩いているとI島さんがすっと向こうへ歩いて行ってしまった。どうしたんですかと声をかけたら、いきなりサッカーの話をされた。Jリーグ最終節だからおかしくはない。でも気を使われていることはわかった。
そうすけの仕事の信頼感、人としての包容力が低い。これは、スタートがどん底に自ら穴を掘ってはまったころに比べれば、数段上がった。でも、こんなものだ。そうすけ自身が仕事に対してやる気がない。他人に心を開かない。「ふれあう」ことが苦手である。それを忘れて求めてしまうことによって生じる違和感なのだ。
すこしは愛をください。
愛を与え(られ)ない者が誰からもらえばいい。
今日、伝言を頼んできた人は言葉に慈愛が満ちあふれていた。日本だけで一億二千万人いるのだから。