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だらだらぼちぼち

トミー・エマニュエルからの贈り物

2010年01月11日 16時42分48秒 | 音楽
年が明けても、アップするのは去年のネタ、、、、、さすが、過去を引きずりながら生き永らえてきたワタクシの本領発揮。
早いとこ、過去から逃れて新ネタ勝負と行きたいが、そういうときに限って、リアルタイムでは何の事件も起こらない。
という事で、今回は去年10月20日、大阪厚生年金会館芸術ホールでのトミー・エマニュエル (TOMMY EMANUEL)のライヴについて、思い出し笑いしてみる。



アコギマガジン誌上で、トミー・エマニュエルというギタリストの名前だけは知っていたワタクシだったが、今回のライヴ観戦の狙いは、実は別のところにあった。
それは、このライヴのゲストに渡辺香津美が出るからだ。
ここしばらく、渡辺香津美のライヴを観賞する機会が無かった。
そして、焼き討ちにあったため損傷を受けたCDの中に、渡辺香津美じきじきにサインしてもらった物が含まれていたのが無念で無念でならなかったのだ。
日夜、唇を固く噛み締めて、涙に暮らす日々であった。
で、もしかしたら、今回のライヴ終演後にCDサイン会があるかも知れないと期待して、損傷したのと同じアルバムを新品で買い直して会場に持ち込んだのだ。
つまり、開演前までは、トミー・エマニュエル目当てではなくて、あくまでも渡辺香津美目当てだった。
上に貼り付けたチラシには『魅せる! 世界最高峰のギター・エンターテイナー来日』という文字が躍っているが、どうにも大げさな感じがして、狙いは渡辺香津美の登場場面だけだった。

開場時刻が少し遅れた(良くあることだが)ので、素早くグッズコーナーをのぞいてみた。
芸術ホールの狭いスペースにトミー・エマニュエルのCDやDVDやTシャツ、キャップなどのツアーグッズが売られていて、開場早々、ワタクシにとっては思いがけないような熱気マンマンのファン達が、競うようにトミー・エマニュエルのCDやDVDを買っていく姿に、まず驚いた
驚きながら、スタッフに近寄って、ワクワクしながら「終演後にサイン会はありますか?」とたずねてみたが、サイン会の予定は無いとのつれない返答が帰って来た。
つまり、サインしてもらおうとせっかくバッグに忍ばせてきた渡辺香津美のCDが活躍する場がなくなったのでガッカリ。
早々にグッズ売り場を立ち去る。
開場時刻が遅れたので、入場してから開演までの時間配分がいつもと違う感じで、妙に気分がそわそわしてしまって落ち着かない。
で、その気分を晴らそうかなと、もう一度グッズ売り場の人ごみを掻き分けて、Tシャツを物色する。
どのミュージシャンに限らず、コンサートグッズとして売られるTシャツは、どういうわけだか黒系統の物が多いので、いつの間にかワタクシのTシャツコレクションはほとんど黒一色となってしまったのが、前々から気になって仕方がなかった。
そう思っているところに、今回は白系統のTシャツがあったので1枚購入する事にした。アメリカンサイズだと言うことを確認して、MサイズにするかSサイズにするかしばし悩み多き人となる。
だいたい、このアメリカンサイズというのが曲者である。
日本サイズなら、試着せずともたいていはLサイズでフィットするのだが、過去の経験からいうと、アメリカンサイズっちゅうヤツは、単純に1サイズ小さい物を買えばいいと言うものではないのだ。
以前、エディー・バウアーのアウトレット品で、きっちりとした試着をせずにSサイズの襟付きシャツを買ったのだが、他の部位のサイズはちょうどいいのに、どういうわけだか首周りだけガバガバに大きかった事がある。
つまり、場合によっては、アメリカンサイズのSサイズでも合わない恐れがあるのだ。
その上、今回は、コンサート会場の混雑するグッズ売り場というシチュエーションで、試着までとはいかないものの、現物を手にとって広げて自分の体に合わせてみることさえできかねる状況。
周囲は混雑して騒がしいし、そろそろ座席に座っておいた方がいい時刻になってきたので、意を決してMサイズのを1枚つかんで支払いを済ませる。

座席に座っていると、開演前で、当然まだ何の曲も演奏されていないのに、妙な熱気が漂っている気がして仕方がない。
その妙な熱気は、静かにホールの床に堆積していて、座席に座っているワタクシの膝下5センチあたりまで、攻め上がってくる。
いったい、なんなんだ、この感触は?
トミー・エマニュエルがステージに登場するや、盛大な拍手が上がる。
やんやの歓声というヤツだ。
トミー・エマニュエルは、ゲストの渡辺香津美を紹介して一旦そでに引っ込む。
渡辺香津美のアコギソロで『アクロス・ザ・ユニバース』が鳴り出す。
この日の演奏は以前に聴いた時とは違って、硬質なサウンドセッティングで「この曲の生演奏を初めて聴いたのは、豊能町のホールだったなぁ、、、」などとうっとり聴き入っているうちに、あっという間に3曲が終了。
渡辺香津美のステージが終わり、続いてトミー・エマニュエルが一人で登場。
再度のやんやの歓声に迎えられて演奏が始まると、ワタクシがなんとなく予想していた、ギター雑誌がカテゴライズするところの、いわゆる『フィンガー・ピッキング・ギタリスト』だけではないように感じられた。
何曲目かで、『9ポンドハンマー』の演奏が始まったので、グッと引き寄せられる。
そうそう、ギター小僧気取りの高校生の頃、良く聴いたドック・ワトソンの9ポンドハンマーを思い出す。
意外にも、トラディショナルミュージックをルーツに持っているのか? このギター弾きは?
さすが、アメリカンミュージックの奥の深さを感じるなぁ、、、、などと思ったのだが、後で知ったことだが、このトミー・エマニュエルというギタリストは、オーストラリア出身だという、、、、、、、、どうなっているのだ、、、、、、、?
予備知識がないというのも、考え物だ。
もう既に3ヶ月ほど経過しているので、正確な演奏曲目に責任は持てないが、オリジナル曲あり、インストだけでなくヴォーカル入りもあり、おなじみのビートルズナンバーも何曲か散りばめながらステージが進んでいく。
『ミッシェル』のイントロで聴かせた、右手ハーモニックスと左手での押弦のコンビネーションは、まるでいっぱいの陽光を浴びた春のせせらぎの風景のようで、既に、この時点で、開演前に感じた、ホールの床に堆積していた熱気は、ワタクシの心の奥底まで浸透してしまった。
トミー・エマニュエルのギターは、指やピックで弾くためだけにある物ではない。
まず、叩く。
右手も使うし、左手も使う。
ギターのボディーを叩く、ボディーヒッティングは他のギタリストでもよく使う手だが、叩くだけではない。
そして、引っ掻く。
左手で弦を鳴らしながら、右手の爪でギターのボトム側のトップ板(ブリッジの下部分)を引っ掻いて、指に金属製の爪を付けて洗濯板を引っ掻いてパーカッション代わりにする、ジャグバンドのウォッシュボードのような効果を出す。
そして、引っ掻くだけでは飽き足らず、ドラム演奏用のスネアブラシまで使う。
右手に持ったスネアブラシでギターのボディーを叩いたり、こすったり、果ては目の前のヴォーカルマイクまで叩いてパーカッション効果を出す。
左手で弦を鳴らし、右手でスネアブラシでパーカッションをやっている時、両手がふさがっているので、絶妙のタイミングで、ヴォーカルマイクに頭突きまでかませてしまう。
それがまた、究極のパーカッション効果を生み出す。
なるほど、『世界最高峰のギター・エンターテイナー』というのは、こういうことを言うのか
あのチラシのコピーは、大げさでもなんでもなかった
曲間のMCもユーモアたっぷりで、高感度は急上昇
MCといえば、1曲演奏が終わると、客席からよく声がかかっていた。
中に、やたら「トミー!」と声をかける人がいて、トミー・エマニュエルは、そのたんびに声がしたらしいほうを向いて「イエス」と返事をする。
「イエス」というよりも、「イエス?」なのだ。
トミー・エマニュエルとしては、自分の名前を呼ばれたから、次にどんな言葉をかけられるのかを聞こうとして、「イエス?」と問い返しているのだが、さっき声をかけた人物はそれに対して何も答えない(あるいは英語で何も答えることができないのか?)というやりとりが、妙に面白かった。
終盤、再度、渡辺香津美を迎え入れて、今度はギターデュオ。ジャンゴ・ラインハルトの曲などを3曲ほど二人で演奏して、ジャズも弾けるトミー・エマニュエルをアピール。
アンコールの2曲が終わっても、拍手は鳴り止まないし、ステージのライティングも現状を維持したまま。
「これは、まだ再登場してくるだろうな」と思いながら、一生懸命手拍子を続けていると、再びステージに現れたトミーエマニュエルが、客席に向けて何かを投げてきた。
その何かが、ワタクシの左隣の座席のほうに飛んできた。
反射的に、思わず伸ばしたワタクシの左の手のひらに、ステージから飛んできた何かが飛び込んできた。



手のひらを開いてみると、さっきまで使っていたサムピックである。よくぞ、キャッチできた物である。
もしかすると、井上陽水が投げてきたハーモニカをキャッチできなかった禍根が、ワタクシのすっかり衰えた反射神経を、一瞬だけバージョンアップしてくれたのかも知れない。
このサムピックだが、今になって仔細に点検してみると、先っぽをやすりで削ったり、特に加工した形跡はない。
何の変哲も無いように見えるが、普及品なのだろうか?
それもトミー・エマニュエルの特注品なのだろうか?
どっかの橋のイラストが描かれているが、これが何かの手がかりになるかも知れない。
いったいどこの橋なんだろうか?
心当たりのある方、是非ともご連絡いただきたい。
トミー・エマニュエルが演奏中には、このサムピックを時々口にくわえて、直接指で弾いていたシーンを思い出して、とりあえずは水洗いをしてしまったのが、この行為が本人に対して申し訳ない気持ちでいっぱいである。
単価にするとたいした値段ではないが、とにかく、思わぬプレゼントをゲットしたのが嬉しくて仕方がない
ただ、1回目のアンコールで演奏した『SUKIYAKI(上を向いて歩こう)』のエンディングで、妙にチャーニーズなフレーズを使っていたのが、ちょいとばかり気になったが。
いい加減に、日本と中国の区別くらいしっかり付けて欲しい。
な事は、気にしない、気にしない。プレゼントされたサムピック1個で、ご機嫌なのだから


6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (コマイヌ)
2014-03-05 09:55:28
トミーのサムピックとか、羨ましい。
自分は、毎年来日するアーティストは、どうせ来年も来るし次回でいいや、ってなりがち
今年こそは、コンサート行きたい。
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Unknown (lizardbrain)
2014-03-15 16:48:38
コマイヌ様、返信が遅れまして申し訳ありません。
件のサムピックは、いまだに使わずに保存しています。
大事にとっておいても意味がないかと思われて、そろそろギターを引っ張り出してみましょう。
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Unknown (westvillage)
2016-02-11 21:55:11
今更ですけど、多分golden gateというブランドのサムピックですね。日本ではなかなか手に入らないはずです。それとjim dunlopのを彼は使ってます。
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Unknown (ぼち×2)
2016-02-14 11:38:49
westvillage様、古い記事にもかかわらず貴重な情報をありがとうございます。
この時のサムピックは使わずに今でも保管しております。
dumlopのカポは愛用してます。
トミー・エマニュエルのライヴはここ7年の間にたった2回しか行ってませんが、どちらも開場にはコアで熱いトミー・エマニュエルファンで埋まってました。
westvillage様もコアで熱いファンなのでしょうか?
次の機会にも是非とも参戦しようとたくらんでおります。
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Unknown (westvillage)
2016-02-16 23:12:33
実は、僕はまだ高校生なので、lizardbrainさんに比べたらファン歴はずっと浅いと思います。
ただ、トミーについてはかなり研究しました。それこそピックの種類とか、注目して見てみると面白いですよ笑
僕は元々エレキギターを弾いていたのですが、2年程前に初めてトミーの動画を観て衝撃を受けました。
それ以降はずっとソロギターにハマっています。
ライブですが、去年の10月末に渋谷で参戦したのが初めてです。凄すぎてあっという間の2時間でしたが、もしかしてlizardbrainさんもどこかにいらっしゃったのでしょうか??
今年も来てくれたら是非行きたいところですが、僕は受験を控えているので来年まで我慢です(笑)
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Unknown (ぼち×2)
2016-02-17 11:08:03
ワタクシのトミー・エマニュエルのライヴ歴は2009年大阪厚生年金会館と去年のBL大阪の2回だけです。
今後も関西圏で迎え撃つ事になると思います。
受験をクリアしたら、思う存分行ってやって下さい。
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