lizardbrain

だらだらぼちぼち

おにはそと

2011年02月03日 08時55分57秒 | 無駄話
想い出した。

まだ、可愛いおチビさんだったある日、

母親が、枡にいっぱい入れた煎り豆を手に、
「豆まきしようか」
と、ニコニコして言い出した。

TVで見るような豆まきを一度はやってみたいとは思ってはいたものの、
「あんな事、家の中でやったら後片付けが大変じゃないか」
と、どっか現実的な心配もしてしまう、純真な子供だった。
何しろ、家の中を散らかしていると、いつも鬼のような顔で怒っていたのは母親なのだから。

「いいから、鬼は外、しよう」
と、時には鬼のような顔で怒っていたはずの母親から、ニコニコしながら豆がいっぱい入った枡を手渡されたのだ。
さすがに最初は、できるだけそ~っとまいた。
障子にぶつけると破れてしまうので、障子は避けた。
襖のあるあたりにはできるだけそ~っとまいた。

居間や台所や玄関や、、、、、
豆まきをする場所が変わるたびに、ホントにここに豆をまいて良いのかどうかを母親に確かめながら、
「鬼は外、福は内~」
と、例の決まり事を口にして、家の中のあちこちにをまいた。
母親公認で家の中を散らかすという異例の事態に、最初はオドオドしながら豆まきをしたが、いつしか楽しくなってしまった。
何しろ狭い家なので、楽しくなった頃にはあっという間にまき終えてしまった。

今、考えてみると、豆まきの後に掃除した記憶など無い。
家の中だから、まいた豆は、誰かが片付けなければならないというのに。
という事は、ワタクシが風呂に入っている間に、母親が片付けをしてくれたのかな?
それならば、豆まきしたのは、夜だったのかもしれない。

あの日、父親は仕事で不在だったのだろう、母親の笑顔しか記憶に残っていない。
あの頃は、意思の疎通がうまく出来ていたんだろうかな。
そんな時期もあったんだ、きっと