lizardbrain

だらだらぼちぼち

アートな時間

2006年02月24日 14時20分51秒 | 無駄話

木村充揮30周年ライヴの翌日、次の予定をこなすまでの昼間の半端な時間に、ぽっかりと空き時間が出来てしまった。
本屋で立ち読みをするには長過ぎて、映画を観るには短か過ぎる、、、、、、
どうしようかと思って、文庫版ぴあマップをパラパラめくっていると、ひらめいた。
確か、梅田大丸ミュージアムで、『古代エジプトがどうしたこうした、、、、、』という催し物をやっているはずだと。

百貨店という所は、どうも苦手だ。
間が悪いのかどうか、エレベーターでの移動が思うように出来ない。
1階から上階へ上がるときはまだしも、帰りがけに途中の階から降りる時には、待てども待てども下りのエレベーターがやって来ない。
やっと止まったかと思ったら、必ず満員に近い状態で扉を開いてくれるので、オバサン達でギュウギュウ詰めのエレベーターに乗り込む勇気など持ち合わせていない。
従って、エレベーターをあきらめてエスカレーターで降りるはめになる。
このエスカレータで降りるという作業が、また長い時間がかかってしまう。
時間の余裕が無い時ほど、こういう事になってしまうのは何故だろう?
従って、ワタクシの中では、
「百貨店に行く人は、たっぷりと時間の余裕があって、定価で買わないと気がすまない人達」
というイメージが、いつの間にやら出来上がっている。

梅田大丸ミュージアムのあるフロアに出るが、ミュージアムらしいスペースが見当たらない。
通りがかった警備員さんに聞くと、
「そこですよ
と、指差す。
ミュージアムと名乗るからには、百貨店の売り場とは壁で仕切られて入り口には重厚な扉がある場所を想像していたのだが、そうではない。
売り場と同じような感じの、ごく普通のオープンスペースになっているのが、ちょっと意外だった。

入り口のどこを探しても、『古代エジプトがどうしたこうした、、、、、』という催し物の案内は無く、代わりに『版画販売会』となっていた。
古代エジプトがどうしたこうした、、、、、という展示館は、終了してしまったのか?
去年から、行きたいな、と思っていたのだが仕方が無い。
版画といっても良くわかんないのだが、せっかくの機会なので眺めさせていただく事にした。

ワタクシのようなシロートでも、何人かは、名前に聞き覚えがある画家の作品もある。
作品タイトルやら、作者名やら、製作年度やらが額縁の横に書かれている。
ついつい、真っ先に値段のところを見てしまうのが、やはりシロートのシロートらしきところか。
お値段は、5桁の物もあれば6桁の物もあり、ワタクシが予想するよりも安目に感じられるのは、何枚も量産できる版画作品だからだろうか?

わかったようなわかんないような顔をして眺めていると、首からスタッフパスをぶら下げた女性に声を掛けられてしまった。
おそらく、大丸の社員の人だろう。
これが噂の百貨店外商部の人なのだろうか?
この催し物は、単なる展示会ではなく「販売会」となっているので、何やらセールストークにつかまったのかな、と心配したのだがそうでもなさそうだ。

「今日はお買い物ですか?」
と訪ねられたので
「はいはい、ちょっと、時間つぶしを。」
「よろしければご説明させていただきますので、何でもお尋ね下さい。」
とも言うので、もしも万一、無理やりに版画を買わされそうな気配になってきたらばいつでもバックギアにシフトして逃げ出せるように、両足の踵に体重を乗せる体制を取りながら、せっかくの機会なので版画についてちょっと教えていただく事にした。

「版画と言うと木版画やゴム版画や、せいぜいエッチングくらいしか知らないのですが、ここにある版画の原版の材質は、どんな物なんですか?」
「材質としては色々とございますが、ただ今、お客様がご覧の物は石版を原版とするリトグラフでございます、、、、、、、(以下、リトグラフについての簡単な講義が始まるので、略す)。他の材質としては、例えばあちらの作品はシルクスクリーンと呼ばれる物でございます。」
「そのリトグラフの場合、同じ原版からどれくらいの数を刷るのですか?」
「何枚刷るのかは、特に決まっていません。ただ、この作品が、総数で何枚刷ったうちの何枚目になるのかは、○○○○○と申しまして、ここにこのように分数で書かれているように、作品に記されています。」(○○○○○というのは、何やらカタカナの言葉だったが、記憶に無い)
なるほど、絵の余白の端っこの方に『82/125』のように、分数で書かれている。この場合、同じ原版から全部で125枚刷った版画のうちの82枚目の作品という事になるらしい。
「でも、一度刷り上げたとしても、何年か後に、同じ原版から何枚でも刷れるのではないですか?」
「いえ、必要な枚数を刷り上げた後には、作者自身が原版を薬品で処理したり、刃物で傷をつけたり、割ってしまうなどして廃棄してしまいますので、後から刷り増す事はございません。作者が刷り上りをチェックして納得した作品だけに、このようにサインを入れます。このサインが入ることによって作品の価値が発生します。」

な~るほど、版画だから後から何百枚でも増刷できるのでは? と、疑惑の目を向けていたのだが、やはりそういうシステムになっていたのか~ (. .)φメモメモ
でも、原版を破壊したフリをして、、、、、と言うのはできそうな気もするが。
セキュリティの大切さは、どの世界でも同じと言う事か、、、、

美術作品については、プアな知識しか持ち合わせていないものの、なんとかここまで頑張って質問を試みたのだが、これ以上の突っ込み方がわからない。
それぞれの画家の人生の背景などを尋ねてみれば良かったのかもしれないが、何を聞いていいのかすらわからない。
お礼を申し上げて、いっそ、展示されている全部の作品を眺めてみる事にした。

ちなみに、ここに展示されていた版画のうち、ワタクシに聞き覚えがある名の作者はというと、
ラッセン、ドラクロワ、山下清、小磯良平、平山郁夫、ピカソ、ヒロヤマガタ、、、、、etc。
山下清は、題名に出てくる地名から察して、PLの花火大会をモチーフにしたらしい物と、もう1作、別の場所の打ち上げ花火の絵が2点出品されていた。
平山郁夫は、いうまでもなく、駱駝が砂漠を歩くシルクロード物が3点ほど。
ラッセンやヒロヤマガタのように鮮やかな原色を使ったポップな作品も良いが、ドラクロワがパリの街並みを捉えた作品に惹かれたかなぁ。

ず~っと見て回っているうちに、いつの間にやら絵の値段など気にならなくなっていた。
投機目的ではなく、自分の部屋に絵画を飾ってみたいという人の気持ちを、理解できそうかも知れない。