国際シンポジウムでパネル解説
11月11日(日)、富岡製糸場創業140周年を記念して県庁で開催された「国際シンポジウム」の会場前でパネル解説を行いました。
このシンポジウムは、富岡製糸場創業140周年記念事業実行委員会(群馬県・富岡市・当協会など)が主催したもので、「産業遺産の魅力~まもる、みせる、つたえる」をテーマとして、世界遺産の審査に関わる国際産業遺産保存委員会(TICCIH)の2人の代表者を迎え、講演とパネルディスカッションが行われました。
私たちはシンポジウム参加者に「富岡製糸場と絹産業遺産群」について、パネル解説をするため会場前の廊下にパネルを展示して待ちました。しかし、参加者は富岡製糸場等については熟知されている方ばかりで,パネルの前を素通りする方が殆どでした。このため、伝道活動に参加した6名の伝道師(近藤会長、中嶋、笠原、築比地、津久井、町田)も手持ち無沙汰の状態でした。
1時30分からシンポジウムが始まったため、私たちも会場で聞かせていただく事にしました。副知事、富岡市長の挨拶に続いて、松浦世界遺産推進課長が「富岡製糸場と絹産業遺産群・世界遺産登録への道」と題して報告をされた後、2人の海外専門家の講演に入りました。
TICCIHフランス代表のジュヌヴィエーヴ・デュフレーヌ氏が「フランスの絹産業遺産」と題して、フランスにおける絹産業の歴史
や織物博物館、展示室に改装された製糸工場など絹産業遺産について、写真を交えて解説をされました。続いて、TICCIHメキシコ代表の岩垂ミグル氏がメキシコ中部にあるディフイコルタ鉱山の機関室を復元して博物館や解説センターを設けた事例を挙げ、楽しみながら知識が得られる教育的な役割を果たしている状況などを紹介されました。
休憩を挟んで「世界遺産登録へ!産業遺産の魅力」をテーマにパネルディスカッションが行われました。このパネルディスカッションには前述の2人の講師とパネリストとして群馬県世界遺産学術委員会委員長の岡田保良氏、コーディネーターには日本イコモス国内委員会事務局長の矢野和之氏を交えて行われました。
パネルディスカッションでは、産業遺産の保存は建物や土地だけでなく技術や伝統も残す必要があることや、産業遺産を次世代に継承していくためには子ども達に理解してもらうことが必要で、このためには先生の研修が不可欠であることなどが取り上げられました。
また、参加者からパネラーに対し、フランスの産業遺産と比べて富岡製糸場の規模はどうか。産業遺産の展示施設のレベルをどの程度にすべきかについての質問も出されました。
こうした海外における産業遺産の保存や活用方法などについてのディスカッションに、100名ほどの参加者は熱心に耳を傾けていました。(M.M 記)