富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

「富岡市立黒岩小学校」で学校キャラバン(11/17)

2023年03月30日 15時38分45秒 | 世界遺産伝道師協会

「富岡市立黒岩小学校」で学校キャラバン

 令和4年11月17日(木)、富岡市立黒岩小学校で4年生1クラス18名を対象に学校キャラバンを行いました。

 本校は富岡市を東西に走る国道254号線の北側丘陵地帯に位置し、世界遺産センターからは10分ほどの場所にあります。

 12:30、会場の体育館前に集合した4名の伝道師で協力し資材を搬入しているところに担当の先生が挨拶に見えました。伺うと、4年生はカイコを飼った経験はないけれど製糸場とセカイト見学を済ませているとのことでした。機材のセットを終えると間もなく、担任に引率された児童がやってきました。体育用のマット6枚に3人ずつ腰を下ろし、機材や伝道師を見つめています。伝道師にとってこの児童との出会いは、何度経験してもとても新鮮に感じる瞬間です。

 開始時刻前でしたが準備も整ったので、あいさつと伝道師の自己紹介を終え、早速講話がスタートです。

 T越さんによる講話は、穏やかな語り口で紙芝居のように資料を活用し児童に質問しながらの進行なので、児童はぐんぐん話しに引き込まれていきます。
天+虫=蚕」には児童も思わず「それでカイコか~」。カイコの卵の実物を取り出すと、児童の目が点になったようです。T越さんは児童の中に入り、なるべく近くで見せます。さらに繭や生糸も取りだし、本物に触れさせます。最後は担任に絹織物の反物を羽織ってもらい、製品としての価値にも触れ、4つの構成遺産との繋がりも押さえるという約20分での中身の濃い講話になりました。

 トイレ休憩をとり13:50、座繰り体験を開始しました。担当はJ保(千)さん、M下さんです。今回は糸付け・箕箒・糸車を3人一組で児童に体験させる計画です。一番緊張していたのが糸付けです。片手に繭をもう片方に繭糸を持ち、鍋の中に繭を落とし繭糸を絡ませます。M下さんが手を添えながらですが、繭糸がすっーと巻き取られていく様子を不思議そうに見ています。

箕箒担当の児童にはJ保(千)さんが、「習字の筆を持つようにしてゆっくり、鍋の縁に沿って動かすんだよ。」と、糸車担当の児童には「ハンドルはちよっと速くだよ。」と指示が出ます。「難しい。」という児童の声に、「そうだねえ、すぐ出来たらおばちゃんたちの立場が無いんだから。」と、名(迷?)回答が返ります。児童が興味を持って取り組んでくると会話が弾んできます。児童に続いて担任、校長先生が座繰りを体験し最後に、担任が生糸のカットをして座繰り体験は終了しました。

 

 機材の片づけと積み込みを終え校長室に挨拶に伺い、丁寧に対応してくださったこと児童が集中して取り組んだことに対し、お礼の言葉を伝えました。見送ってくださる先生方

を後にし、体育館前で「富岡地区の学校キャラバンは今年最後です。少し早いけど、よいお年をお迎えください。」の言葉を添えて解散しました。

 本日参加の伝道師はJ保千代子、M下禮子、T越 朗、O形の4名でした。

                     (O形 榮一 記)

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サントリーフェローシップ 地域文化研修旅行で「座繰り」体験を指導(3/16)

2023年03月28日 10時17分25秒 | 世界遺産伝道師協会

サントリーフェローシップ地域文化研修旅行で

「座繰り」体験を指導

 サントリー文化財団が主催する「2021年度サントリーフェローシップ地域文化研修旅行」に際し、伝道師協会への案内役依頼があり、令和5年3月16日(木)サントリーフェロー6人及び同文化財団事務局員4名、計10名を富岡公民館でお迎えしました。

 サントリー文化財団は日本と世界の学術・文化の発展に寄与することを目的として、様々な事業を行うなか、サントリーフェローシップは「外国人若手研究者による社会と文化に関する個人研究助成」を行うもので、今回参加したフェロー(研究者)の出身国は中国4名、韓国・イラン各1名でした。

 参加伝道師は午前9時に富岡公民館へ集合しI川、Y田、K原を中心に会場設営に当たりました。予定時刻の10時に参加者が到着し研修を始めました。

 はじめに、近藤会長による歓迎のあいさつ

続いて「絹の文化を伝承する~富岡製糸場世界遺産伝道師協会の活動紹介~」と題して笠原副会長が講演(約40分間)し、これまでの伝道師協会の活動の様子を伝えました。

 その後「座繰り」を広岡、梨木の両伝道師の指導により体験して頂きました。皆さん興味津々の様子で、座繰り体験により自分で引いた生糸を手にして嬉しそうでした。参加者の出身地でも養蚕が行われていたとの話や「蛹」を食べる、食べないの話にも盛り上がりました。フェローの皆さんは日本語も堪能で何ら支障なく交流できました。

 また、U原伝道師たちが事前に用意した繭クラフトのプレゼントも喜ばれ、さっそくリュックサックに飾り付けた人もいました。

 座繰り体験の後は近藤会長、K原が同行して世界遺産センターを見学。「富岡製糸場と絹産業遺産群」について大型スクリーン・シアターで学び、展示施設の見学では「蚕神」に興味を惹かれた参加者もいて伝道師協会が作成したガイドブック『群馬の蚕神めぐり』を持ち帰りました。

 世界遺産センター見学に並行して参加伝道師は富岡公民館の会場片づけを行い、終了後は参加者と合流して「ときわ荘」での昼食となりました。研修参加者と伝道師が昼食中に交流が持てるよう座席配置を配慮して頂いたことから楽しいひと時となり、また、安田副会長が持参した「学校キャラバン」でのお礼の色紙をご覧頂き、伝道師の活動の様子や意義がなお一層伝わったようです。

 午後は富岡製糸場の見学となり、Y田、K原が同行し現地解説員の説明後の補足説明等にあたりました。予定見学時間は約70分でしたが、自由見学ではブリュナエンジンや西繭倉庫など駆け足となり、敷地の広さを実感できたものと思います。

 最後は、境島村の田島弥平旧宅に向けてのバス移動にはK原が同乗し、車中で絹産業に関する補足説明等をしました。

 田島弥平旧宅では、現地解説員による説明と周辺の蚕種農家を散策しましたが、幸いにも田島達行宅(對青蘆)の当主より家の中を案内され、明治期の顕微鏡や蚕種紙を拝見し、建物の説明を受けるなど境島村の養蚕農家を実感できたようです。

 午後4時過ぎに全日程を終え高崎駅へ向かい、K原は途中下車し案内役を終えました。

 伝道師協会は2015年にサントリー文化財団より「サントリー地域文化賞」を戴き、その副賞は『群馬の蚕神』(2018年)及び『富岡製糸場世界遺産伝道師協会15周年活動史』(2020年)の発行に充てるなど有意義に活用しています。また、2017年には第2回サントリー地域文化賞受賞地ツアーの受け入れを行うなど良い関係を持つ中、今回の研修旅行先に選ばれたことは有難いことでした。フェローの皆様には伝道師協会の活動や座繰り体験により絹産業遺産への理解が深まったものと思います。
 なお、サントリー文化財団事務局の皆様には事前の綿密な連絡調整を頂き感謝申し上げます。

 当日参加の伝道師は近藤会長、H岡誠、N木多恵子、Y田節子、I川武男、K原実の6名でした。

(K原 記)

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「富岡市立高瀬小学校」で学校キャラバン(2/16)

2023年03月18日 11時26分49秒 | 世界遺産伝道師協会

「富岡市立高瀬小学校」で学校キャラバン

 令和5年2月16日(木)、富岡市立高瀬小学校で3年生3クラス87名を対象に学校キャラバンを行いました。

 本校は富岡製糸場の南西、直線距離にしておよそ1.5キロのところに位置し、世界遺産センターからは車で10分ほどです。かつては養蚕業も盛んで組合製糸甘楽社高瀬組が明治18年、同下高瀬組が明治20年に創業しています。

 学校側が事前に隣接する高瀬公民館の駐車場を使用できるように依頼してくれたため、機材を積んだ軽トラを会場の体育館近くに駐車することができました。教頭先生がタイミング良く体育館の扉をあけてくださり、伝道師4名ですぐに機材2セットを搬入することができました。

 体育館内の日当たりのよい南側に座繰り機をセットし、話し声がダブらないように座繰り機と座繰り機の間に十分間隔をとることにしました。今回は講話なしで1時間30分が座繰り体験に当てられます。1クラス30分を目安に交代で座繰り体験をしてもらうことにし、学年主任の先生が見えたところで体験方法の確認をしました。

 煮繭をしつつ座繰りのための準備をしていると、問題が発生しました。ブレーカーが落ちてしまったのです。追加のお湯を沸かすため、一度に2台の電気ポットを使用したのが原因のようでした。教頭先生の協力で復旧はしたのですが、座繰りの熱源である2つの電磁調理器の使用に気を遣いながらの座繰りになってしまったことには反省が残りました。

 開始予定時刻を少し回って1クラス目の学校キャラバンが開始になりました。あいさつ、伝道師の自己紹介の後、2グループに分かれ2人一組での座繰り体験の開始です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

O野さんとK渕さんが1グループを、M下さんがもう1グループを担当しました。箕箒の使い方、ハンドルの回し方を教わり、早速2人一組になっての座繰り体験です。初めは手を添えてもらっていた児童も、すぐにスーとできるようになります。すかさず伝道師から「上手い上手い!」の声が送られます。見ている児童も集中します。伝道師の方々は、「(箕箒は)筆を持つようにね。」「力を抜いて。」ときには「友達がやるのをちゃんと見てね。」など、タイミングよく声をかけながら体験を進めていきます。

途中で生糸が切れたら、「結ぶところも見てくださいね。」と。興味をつないでいきます。サナギや繭糸の説明も加えながら。全員が体験し終えたところで、担任による巻き取られた生糸のカットです。児童は生糸にハサミが入ると、「ほうー。」「おおー良い音。」などと反応します。その言葉は伝道師の心に、いつ聞いても本当に新鮮に響きます。生糸をプレゼントすることを伝え、次のクラスと交代しました。

 こうして、3クラスの座繰り体験が少し時間オーバーしながらも終了しました。後片付けも含め3時間ちょっと、休憩なしで中身の濃い学校キャラバンとなりました。課題はありましたが、伝道師個々の機転のきいた対応に感謝し、互いの労をねぎらいながら体育館を後にしました。

 本日参加の伝道師はO野多美子、M下禮子、K渕秀子、O形の4名でした。

                    (O形 榮一 記)

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「富岡市立西小学校」で学校キャラバン(11/15)

2023年03月13日 10時01分23秒 | 世界遺産伝道師協会

「富岡市立西小学校」で学校キャラバン

 令和4年11月15日(火)、富岡市立西小学校で1年生1クラス28名、3年生1クラス32名を対象に学校キャラバンを行いました。

 本校は富岡製糸場の西方、世界遺産センターからは車で5分ほどの距離に位置しています。校区に接している富岡製糸場までは徒歩で10分ほどです。

 今回、1年生は5校時のみで座繰り体験を、3年生は5校時は講話、6校時に座繰り体験を実施しました。そのため、座繰り機2セットは1階の生活科室にセットし、5校時に1年生が6校時に3年生が体験できるよう配分しました。また、今回は職場体験学習に訪れている高校生2名を引率し、世界遺産センターの齋藤さんも途中から参加してくださいました。

 13:25より、1階生活科室と2階普通教室で同時にキャラバンを開始しました。
1階ではJ保(千)さんとO荻野さん、M下さんとJ保(明)さんがペアになり、話にジェスチャーを加えて1年生に座繰りの説明をしていきます。
カイコを飼った経験もない児童ですが、説明を聞きながら座繰りと座繰り機に対する興味は津々です。そこで、タイムリーにお湯に注意の話も盛り込んでいきます。
いよいよ3人一組での座繰り体験。初めは伝道師に手を添えてもらいながらの不安な作業も、「上手、上手!」の褒め言葉で手の動作もリズミカルに変わっていきます。生糸が巻き取られていく様子をじっと見つめています。最後に担任が一人で座繰りに挑戦すると、児童からは手拍子付きの「頑張って!」の声援がとびました。

巻き取られた生糸には日直の児童がハサミを入れて終了しました。「これは先生に渡しておきますね。」と伝えると、「ソー麺の塊だ。」の声。最後まで話題の尽きない、1年生にとって記憶に残る座繰り体験になったようです。

 同時進行で講話を担当したY澤さんは、3年生にパワーポイントを使い質問を交えながら話を進めました。聞くと、保育園でカイコを飼ったことがある児童もいればカイコに触ったこともない児童もいます。世界遺産の意味や世界遺産になったわけ、県内4つの構成遺産にも触れながら、その大切さや外国との関係性にも話をつなげます。児童はよく話しを聞きスクリーンを見ています。知っている言葉が出ると、小さくうなづきながら話を聞いている児童の姿が印象的でした。

 休憩をはさみ、3年生は1階に移動し座繰り体験です。3年生も3人一組で座繰りを体験。
伝道師の話をよく聞き、友達の作業を興味を持って見つめています。自分の番になると少し心配そうですが、すぐに箕箒やハンドル操作に慣れ座繰りを体験していました。最後に担任が緊張しながら座繰り体験をするのを見て、伝道師から「先生、がんばっているよ!」の一言が。担任も思わず笑顔になります。


巻き取った生糸を、今回は職場体験学習の一環で訪れた高校生がハサミでカットすると、「おー。」と静かな歓声が上がりました。

 座繰り担当の伝道師にとって5~6校時と連続の指導になり休憩もそこそこでしたが、児童の積極的な活動を引き出すことができ活気ある学校キャラバンになりました。
担任はもとより校長先生をはじめとする学校側の協力をいただく中で、改めて学校キャラバンの意義を再確認することができました。

  本日参加の伝道師はO野多美子、J保千代子、M下禮子、J保明子、Y澤朗夫、O形の6名でした。  (O形 榮一 記)

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「富岡市立丹生小学校」で学校キャラバン(10/11)

2023年03月11日 14時56分24秒 | 世界遺産伝道師協会

「富岡市立丹生小学校」で学校キャラバン

 令和4年10月11日(火)、富岡市立丹生小学校で3年生7名・4年生11名を対象に学校キャラバンを行いました。

 本校は富岡市の北西部にあり、丹生村(明治22年~昭和35年)当時は養蚕が盛んな地域でした。「丹生村郷土史」によると明治24年頃は総戸数424に対し製糸業戸数104(機械3、座繰り101)、織物業30と記されています。

 開始1時間前に校舎北側駐車場に集合した伝道師5名は、再会の挨拶もそこそこに協力し、運搬車両から座繰りセットを会場の体育館まで運びました。担当のS先生が運搬を手伝ってくださり、校長先生も顔を出してくださいました。

 会場の体育館のステージ寄りにすでに大型テレビやテーブル等を事前にセットしていただいてあったので、電源コンセントを確認し講話からの流れを考え、少し離れた場所に座繰り機をセットすることにしました。
 終了した頃電源ブレーカーが落ちるハプニングが発生しましたが、教頭先生の手助けで解決し、テキパキと準備が進みました。児童が入場するまで時間的な余裕ができ、伝道師間で下記のことを確認するとともに情報交換をタップリすることができました。

 ・45分の活動内訳は講話15分、座繰  り30分

 ・開会時のあいさつは簡潔にする

 14:10体育館に現れた児童18名は、3年生が前一列で4年生が後ろ二列に並び伝道師と向き合いました。児童の後ろには担任3人、ALT(外国語指導助手)2人、校長先生の6人が立っています。児童の号令で互いにあいさつをし、自己紹介をしてから鬼形が座繰り体験時に気を付ける点について話をしました。

 講話はK藤(基)さんが担当です。最初の画像にタイトルと丹生小の校舎の写真が入っています。学校のホームページからの引用とのこと。パソコンが得意なK藤(基)さんならではの工夫です。

「世界遺産とは」から始まり富岡製糸場の役割、他の構成遺産、蚕から生糸をとる座繰りの方法まで、限られた時間の中でパワーポイントを使い、質問を児童に投げかけながらの講話でした。蚕を育てた経験を持つ児童は、興味を持って話を聞き画像に食い入るようにみつめていました。

 座繰り体験はJ保(千)さん、M下さん、O野さんが担当です。ハンドルを回す児童とナベの中の煮繭をご箒で動かす児童の二人一組で、交代で両方の作業を体験していきます。繭の糸口を導き座繰りに取り付ける様子をじっと見ている児童に、「持ち手はゆっくり回してね。糸はよじれて良くなるからね。」と、助言します。

初めはおっかなびっくり回していた児童も「上手、上手。」と褒められるので自信を持って繭糸を巻き取れるようになります。ALTの先生方と校長先生にも体験していただき、J保(千)さんが糸口をつなぐ「び」の実演をしてみせ座繰り体験を終了しました。J保(千)さんの手元をじっと見つめる児童の姿がとても印象的でした。

 最後にJ保(千)さんがはいているちぢみ織りで制作された絹のズボンを紹介し、触ってごらんと児童の間をゆっくりと歩いてくれました。

 片付けが終了後、全員で校長室にご挨拶に伺いお茶をごちそうになり、校長先生から丹生小は創立150年になること、自身も座繰り体験は初めてで感動した等のお話をお聞きました。翌日6年生の修学旅行の引率で長野に出かけるという校長先生にお礼を申し上げ、校長室を後にしました。

 本日の担当はO野多美子、J保千代子、K藤基晴、M下禮子、O形の5名でした。

                (O形 榮一 記)

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