「養蚕・製糸WG勉強会」(第2回・製糸編)報告
5月29日(木)に「養蚕・製糸WG勉強会」(第2回製糸編)が県庁295会議室で午後1時半から行われました。小野世話人(養蚕・製糸WG)の司会で近藤会長あいさつ、その後、講師の元繭検定所長高橋榮志先生の丁寧で熱心な講義が行われました。今回は、主要な製糸行程(繰糸関係)について講義が行われました。講義の概要は下記のとおりです。
製糸行程(繰糸) 1
・繭の受付:入荷した繭の重量計測、サンプル採取、繭の区分を行う
・殺蛹:蛹が羽化する前に熱で殺蛹する。上蔟後7~8日目
・乾燥:長期保存とするため繭を乾燥する。生体量基準で40~42%を目安
・貯繭:貯蔵中の繭質変化、カビの発生、虫害、鼠防除対策
蛹の含水率を16%以下に、ヒメ、ヒメマル、トビカツオブシムシに注意
製糸行程 2
・選繭:調整:繭を混合しながら不良繭を選繭する。
・玉繭:二頭の蚕が吐糸(とし)した繭
・穴あき繭:出殻、発蛾、カツオブシムシで穴の開いた繭、ムシのなめた繭
・外部汚染繭:繭層の外部から汚染された繭
・内部汚染繭:繭の内部が汚染している繭、生産の時は見えないが、乾燥してから下からの光のある選繭台で選除する。大半が内部汚染繭です
・破風抜繭(はふうばつまゆ):薄皮繭、奇形繭、簇着繭、浮しわ繭、かび繭、つぶれ繭、二重層繭
製糸行程 3
・煮繭の目的:繭層の繭糸を膠着させているセリシン(溶解性の蛋白質)水、熱で軟和膨潤させ、繭糸が切断したり、もつれたりしないで繰り取られるように処理する
・湯浸透浮繰法:蒸気浸透沈殿法など小規模工場、試験研究所などで・煮繭機の開発は昭和8年頃エンドレスチーン方式であること、湯、浸透を蒸気浸透など隔版のないことなどで、各種機能を備えた煮繭機が登場した
・繭の特性:落緒の発生は繰りはじめ10%と繰り終わりに近い70%のところで集中して起こる
・繭の浮沈 浮く>0.03v>沈 ただしv…繭腔内の容積
製糸工程 4
・新繭補充:煮繭機から送られてくる繭を索緒機へ自動的に補充する
・索緒(さくちょ):煮繭された繭から実子箒で緒糸を求めることを索緒といい八重緒がでる
・抄緒(しょうちょ):索緒で出た緒糸を抄ぐって正緒をだすことを抄緒といい繭糸1本となる
・給繭器への繭補給:抄緒された正緒繭を移動する給繭器へ補給する
製糸工程 5
・糸道:粒付→接緒器(せっちょき)→集緒器→よりかけ→第一鼓車→第二鼓車→よりかけ→断続鼓車(だんぞくこしゃ)→感知器→第三鼓車→第四鼓車(感知レバー)→絡交稈→小枠
・よりかけ:トモヨリ方式・2緒の糸をよりあわせ再び2本の生糸にして小枠に巻き取る
ケンネル式・鼓車を使い緒内でよりあわせて小枠に巻き取る
製糸工程 6
・繊度感知器(ABS樹脂製):繊度感知器は昭和30年頃、蚕試式、片倉式、郡是式など開発され自動繰糸機に導入され、能率、繊度偏差の向上となった
・給繭器:給繭器は繰糸槽(そうしそう)に沿って移動し、感知器が細感知すると機械的に接緒稈が作動し給繭器から繭を取り出し接緒する、こうした接緒機構をそなえている
製糸工程 7
・検尺器:枠周1.125mに200回、糸を巻き取って225mの繊度糸を100本採取検査料糸とし、1本秤で繊度偏差を算出、さらに全量から正量繊度を計測する
・節:セリブレーン板に糸を巻きつけブレーン検査室で標準写真と比較し減点しながら点数を付ける
製糸工程 8
・ボイラー:製糸では熱源としてボイラー(気缶)を利用する、近年では貫流ボイラーという、講習可能程度で操作可能なものができている
・製糸用水:製糸では水商売といわれるほどで、生糸1㎏製造するのに用水0.85立方メートルが使用される、また水も無機塩類の少ない軟水でないとセリシンが収斂(しゅうれん)する
・廃水処理:製糸では有害物質はないが、蛋白質を含んでいるため水質汚染防止法が適用され廃水処理の必要がある
製糸工程 9
・枠湿し:小枠を枠挿棒にまとめて減圧タンクに入れ真空ポンプで減圧、戻し、加圧をくりあえし数回行う、糸量が多いと薬液が浸透いにくい
・スラブキャッチャー:糸の節を感知する装置で揚返機の各緒に設置してあり瞬時に糸を切断する
製糸工程 10
・揚返し(再繰):小枠に巻き取った生糸を、枠周1.5mの大枠に乾燥させながら巻き返して綛(かせ)に仕上げる
・あみそ(緒留(くちどめ)、力糸):糸の始めと終わりの糸を結ぶことを緒留、綛の2カ所に形が崩れないよう綿糸で割留すること力糸をかけるという
・水分調整:仕上がった綛を多湿なところで給湯させ水分率11%に調整、ストレス解消に努める
まだ勉強すべきところがありますが、今回の勉強会ではここまででした。
参加者の皆さんは講義を熱心に拝聴し、メモを取りながら勉強をしました。 講師の解りやすい説明有り難うございました。
次の養蚕・製糸WG(製糸編・最終回)の開催は、6月19日(木)午後1時半より県庁22階の222会議室開催されます。希望者は奮って参加くださるようお願いします。
(K川 記)