(図書紹介)『宮崎有敬の生涯と業績』
令和5年度の絹ラボ(世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」等研究奨励事業)研究で採択された「宮崎有敬研究会」による研究テーマ『宮崎有敬の生涯と業績』~宮崎勝美家文書を読み解く~ の研究成果をまとめた冊子が発行されました。
宮崎有敬(1833-1895)は明治時代前期に活躍した人物で、今からおよそ190年前となる1833(天保3)年に現在の伊勢崎市境伊与久に生まれ、その後、明治維新から8年間の官歴を経た後、地元ぐんまの県政及び地域経済の発展に尽力しました。
主な業績としては明治12年から5年間を初代の群馬県会議長、その後21年~24年まで県会議員を務めるなど政治家の一方で、蚕糸業の発展に尽くし、足踏み式繰糸器械の発明とその普及、県内の多くの蚕糸業者を結集して生糸の直輸出を行った上毛繭糸改良会社を牽引しました。
また、群馬経済協会の設立や農業金融公社に関する私見等の政策提言なども行いました。
現在の前橋公園内には楫取素彦撰文による「宮崎有敬翁紀功之碑」が建ち、群馬県議会議事堂の展示ホールにある県議会の歴史コーナーには「群馬県発足時に特に功績のあった4人が「四傑の碑」として紹介されています。
今年度の絹ラボ研究では「宮崎有敬」が蚕糸業に果たした功績を中心に、群馬県立文書館複製所蔵資料の「宮崎勝美家文書」より12件の翻刻を行い、その業績をまとめたものです。
冊子はA4判全100頁で1/3を本文、2/3を資料集(12件の翻刻ほかを収録)とし、今後の蚕糸業史研究の資料となるようまとめています。
発行部数は120部とわずかなため、県内外の公立図書館等を中心に寄贈しました。
目次は
はじめに
第1章 生い立ち
第2章 有敬の官歴
第3章 踏転繰糸器械と製糸勧奨組合
第4章 繭糸改良と国会開設運動
第5章 上毛繭糸改良会社
第6章 有敬と横浜同伸会社
第7章 県議会議員時代
第8章 有敬の政策提言
第9章 その他
むすび
略年表
参考文献
資料集
※「宮崎有敬研究会」は温井眞一、笠原実の2名(ともに伝道師)で構成しています。