富岡市立高瀬小学校キャラバン報告
11月13日(金)標記高瀬小学校体育館に於いて、J保千代子伝道師、M下禮子伝道師、Y澤朗夫伝道師、Y村和子伝道師、S藤和男伝道師、S藤裕子伝道師、I井規雄伝道師の7名が参加して、3年生(3クラス)78名を対象に、午前10時20分より同11時55分まで学校キャラバンを実施しました。予め了承を得てI井の自宅に保管した座繰り器2台(県1、セカイト1)を本日もS藤和男伝道師にお世話になり、2台の車に載せ高瀬小に向かいました。午前も半ばとなり、交通上の支障もなく、昨年もこんな小春日和の天候に恵まれた日であったことを思い出しながら、ゆったりとした速度で予定通りの時間に高瀬小に到着しました。
校務員さんの案内で、早く到着したS藤伝道師とI井伝道師で2台の座繰り器材を駐車場から校内の廊下を通って体育館まで運び入れました。体育館までかなり距離があり、校務員さんの計らいで台車に載せての運搬でした。校舎から出ると渡り廊下で体育館につながり、多少起伏もあるので器材が台車から崩れ落ちるようなこともあり、ときどき積み直ししては体育館に向かいました。教頭先生も体育館で搬入に付きいろいろお世話下さいました。
伝道師が揃った段階で、全員で校長室に向かい、ごあいさつと予め用意した本日のキャラバン日程案(別掲)をもとに担任の先生参加のもと、本日の打ち合わせをしました。また、新型コロナウィルス感染予防対策についても共通理解をしました。
打ち合わせ終了後は直ちに準備のため体育館に向かいましたが、途中本校のシンボルである北校舎の「高瀬黌玄関」が悠然と佇んでいるのが印象的でした。
本日は3クラスを2つのグループに分け、講話と座繰り体験をローテーションで実施し、体育館正面ステージ前で講話、入口から入った南側の2箇所を座繰り体験の場としました。校長先生、教頭先生、学年の先生からもいろいろご配慮いただき有難く思っています。やはり過日同様電熱器の調子が十分でなく、最初はポットに沸かしたお湯を繰糸鍋に使ったりしましたが、後半はどうにか使用できるようになりました。
本日の伝道師の分担は、講話をY澤伝道師、座繰りをJ保伝道師・M下伝道師組とY村伝道師・S藤伝道師・S藤伝道師組でI井伝道師は全体の調整や進行、渉外等に当たりました。予定の時間通りにA班は講話、B班(2組に分かれる)は座繰り体験から始めました(2コマ目はA班は座繰り体験、B班は講話)。
講話はY澤伝道師が大型スクリーンを使いパワーポイントで『学ぼう、生かそう、富岡製糸場と絹産業遺産群』と題して、3つの観点「なぜ世界遺産に登録されたのか、そのわけ」「世界遺産4箇所の名前と場所」「世界遺産の活躍」から話を進めました。
まず導入として「世界遺産とは何なのか」ということに触れ、具体的に中国の「万里の長城」やエジプトの「ピラミッド」の例を挙げて説明し、児童の興味・関心を惹き付けました。そして現在世界遺産は世界に1121箇所あり、日本には23箇所あることを話しました(覚え方も教える)。
そして本日の核心部分の4つの資産について何をするところなのかを理解させた上で、良質の生糸の大量生産の技術革新の舞台が4つの資産であること、そして4つの資産(「富岡製糸場の仲間たち」という言葉を使用)が協力し合って世界遺産を成し遂げたことをとらえさせました。各資産の説明で富岡製糸場については代表的な建物を児童にわかる言葉で話してくれました。さらに「座繰り製糸」や「自動繰糸機による製糸」についても触れ、製糸技術の革新にも言及してくれました。
また群馬県が新しく発行した子供用パンフレット『富岡製糸場と絹産業遺産群』の中からの写真をパワーポイントに取り入れるなど、その内容を生かした講話をしてくれました。
最後は「群馬の宝物を大事に守っていこう」と結び、児童の頷く姿も見られました。
子供たちは3年生という段階ですが、メモの取り方も上手で感心した次第です。
座繰りは前述の通り、2組に分かれて体験してもらいました。子供たちは座繰り器を目の前にしてやや緊張した様子でしたが伝道師とあいさつを交わし合うとその気持ちもほぐれ一心に座繰り体験に臨んでくれました。
体験の前にまず全体指導を行い、右手と左手の操作の仕方を手本を示しながら理解してもらいました。最初は片方ずつ、その後は両方の手を一緒にやってもらいました。児童も興味深く楽しげに伝道師の手本に合わせて動作してくれました。
次に体験に移り、全児童に右手ミゴボウキと左手ハンドルの操作をしてもらいました。「ミゴボウキは片仮名のノを書くように」「左手はゆっくりと」と声を掛けたり、「1、2、3」と手を打ちながら音頭を取ってやったり、「上手上手」と励ましたり、ときには手を携えながら体験してもらいました。上手にできると子供たちからも自然に拍手が起こりました。
併せて、繭が少なくなり同じ太さの糸にするために繭を足す「接緒」の仕方を見本を示しながら、そして戸惑っている子には児童に手を添えながら体験してもらいました。「糸が足されたのわかった?」と児童に確かめの声を掛けると児童からは「付いた、付いた」と思わず喜びの声を発する子もいました。そして上手に接緒ができると「そうそう」と褒めてやりました。児童の中には新しい繭糸が補給される様子を見て、不思議そうな顔を浮かべる子もいました。伝道師は「セリシン」という糊がついているからなのですと補足しました。
また座繰り体験の中で「ミゴボウキは何で出来ているのか」「綾振りのわけ」「セリシン、フィブロインで構成される生糸の構造」「繭糸、生糸、絹糸の違い」「白繭だけでなく着色繭もあること」「野蚕の存在と餌、特徴など」「蚕はなぜ繭を作るのか」「繭の中に入っているもの」「蚕の数え方・繭の数え方」「生糸は何に使われるのか」等適宜話してやると児童は納得した様子で聞いていました。
また、子供たちは繭の中から出てきた「蛹」に関心をもち、手にして観察していました。
座繰り体験のあとは自席に戻って感想を書いてもらいました(午後の時間に活用されるとのことです)。
本日の学校キャラバンに対し、子供たちは目的意識をもって真剣に取り組んでくれました。整列して体育館を去るときも、一人一人の児童が私たち伝道師に「ありがとうございました」と明るい声でお礼のあいさつしてくれ、私たちもすがすがしい気持ちになりました。
今日一日校長先生、教頭先生、担任の先生、校務員さん、ほか職員の皆様には大変お世話になりありがとうございました。
伝道師の皆さんには全力で、熱心に講話、体験指導をしてくれ内容のあるキャラバンとなりました。
末筆ですがS藤伝道師には器材の搬出入で車の提供、大変お世話になりました。
(I井 規雄 記)