富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

「富岡市立西小学校」で学校キャラバン(11/17)

2024年03月27日 09時16分05秒 | 世界遺産伝道師協会

「富岡市立西小学校」で学校キャラバン

 令和5年11月17日(金)、富岡市立西小学校で3年生1クラス33名を対象に学校キャラバンを行いました。
例年は、1年生も同時に実施してきた経緯があり、事前にキャンセルになったのは残念でした。

 今回は座繰り体験のみを13:25~15:00と時間に余裕があるため、座繰りも糸結びもじっくり体験してもらうことにしました。
座繰り機は2セット用意し、2教室に分かれての実施です。担当はK淵・O野グループとM下・J保(明)グループです。
始まりのあいさつや日程紹介は1つの教室に集まってもらい行いました。私以外は地元の伝道師の方ばかりなので、「住んでいるのは学校の近くの…」と紹介すると、児童の表情が緩むのがわかります。

 あいさつ終了後、2教室に分かれて座繰り体験を開始しました。
先ずは座繰り機や座繰りの手順についてジェスチャーを交えながら説明していきます。
タイムリーにお湯に注意の話を盛り込みながら、いよいよ3人一組での座繰り体験です。


1年生時にほとんどの児童が座繰りを経験しているので、糸結びの要領を覚えるため、待っている間の児童には繭の糸口から糸を取り出す活動を入れてみました。すると、繭糸を長く長く取り出すことに夢中になってしまい、伝道師に「こっち(座繰り)も見てくださいね!」と言われる場面もありました。糸出しも遊びにしてしまう児童の様子を見て「子どもは遊びの天才」の言い回しを思い出しました。

 級友の作業中に、生糸が均等に巻き取られ様子を見ている児童がいたので「坂道」の名称を教えると「これが仕組みか⁉」と感心したり、みご箒をカタカナのノの動きにする動作を体験して「ゲームみたいだ!」と言ったりしてみたりと、児童なりの視点でものを見ているのが伝わってきます。


同じ体験をしてもいくつもの見方や感じ方があるのです。
そのことを意識すると、さらに学校キャラバンは広がり・深まりを見せることができるのかもしれません。

 最後に担任が1人で座繰りに挑戦すると、児童からは「頑張って!」の声援がとびます。
巻き取られた生糸に担任がハサミを入れて終了しました。
生糸に触れた児童からは「スベスベ。」「気持ちいい。」との声。1年生時とはひと味違う座繰り体験になったようでした。

 伝道師にとって5~6校時と連続の指導になり休憩こそ取れませんでしたが、児童のパワー溢れる活動を引き出すことができ、富岡市内最後の活気ある学校キャラバンになりました。
担任はもとより校長先生をはじめとする学校側の協力をいただく中で、改めて学校キャラバンの意義を再確認することができました。

  本日参加の伝道師はO野多美子、M下禮子、J保明子、K淵秀子、O形の5名でした。 (O形 榮一 記)

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「富岡市立黒岩小学校」で学校キャラバン(11/16)

2024年03月11日 16時36分13秒 | 世界遺産伝道師協会

「富岡市立黒岩小学校」で学校キャラバン

 

令和5年11月16日(木)、富岡市立黒岩小学校で4年生1クラス13名を対象に学校キャラバンを行いました。

 集合時刻前に会場の体育館に集合した4名の伝道師で校長室にあいさつに向かうと、「富岡製糸場伝道師様」と記載された札が貼られた来校者用靴箱4つが用意されていました。掲示板には来校を歓迎する言葉が。丁寧な出迎えに心が温まるとともに身が引き締まる思いがします。

 映像を映す準備、座繰り機のセット、繭を煮る作業が着々と進む間も伝道師の情報交換は止まりません。活動時間を確認し後は自分の持ち場でどんどん準備を進めます。
戸惑いながらも見ていることが多かった私ですが、「今日は大ベテランのJ保さんからいろいろ学ばせてもらおう。」というO塚さんの一言に、ハッとさせられました。
O塚さんは学校キャラバン参加は2回目ですが、そのやる気と熱心さには感心させらればかりです。

 開始時刻前には、担任に引率された児童がそろい体育用マット4枚に座わり少しそわそわしています。
早くやりたいという気持ちが伝わってきます。準備も整いあいさつと伝道師の自己紹介を終え、13時30分に講話がスタートしました。

 K川さんによる講話は、穏やかな語り口で資料を活用し児童に質問しながらの進行なので、児童はすぐに話に引き込まれていきます。
①世界遺産について ②製糸場について ③絹産業についての3つの構成で、途中で「疲れたよね。」と、背伸びのリラクゼーションを取り入れるのもK川さんの講話スタイルです。
「レンガの実物があればなあ…」などのつぶやきも。

 トイレ休憩をとり14時から座繰り体験を開始しました。
担当はJ保(千)さん、O塚さんです。ご自身が身に付けているチョッキを「生糸からできた絹織物でできてます。」と、J保さんの解説は一気に児童の関心を引き付けていきます。
今回は一人で座繰りをやりもう一人が糸付けをするという2人一組です。
座繰り機を囲んだ児童は「右手はゆっくり、左手は早く。」の声に後押しされ、順番に座繰りに向き合います。「上手上手。」と褒められると、表情も変わりハンドルを回す手も軽やかに見えます。
生糸が切れたのに気付いた一人が「指にお湯を付けて結ぶといいよ。」と助言。聞くと「製糸場で教えてもらった。」とのこと。
体験したことは忘れないのですね。

 児童の座繰り体験が終わり、代わって担任の先生が体験しているところへ校長先生がいらしたので、「最後に校長先生にやってもらおうか?」と言うと、大きな拍手。
J保さんの助言を受けて挑戦した校長先生、「1本の生糸はカイコ何匹分ですか?」と質問。
「校長先生、今匹と言いましたね。」とJ保さんのツッコミが入ります。
児童に向かい「みんなカイコはなんて数えるんだっけ?」と、児童に話を上手に向けるのがJ保さんのうまさです。「頭(とう)!」と答える児童の説明に、校長先生も納得の笑顔。
校長先生を囲みとても良い雰囲気の中、座繰り体験を終了することができました。

  本日参加の伝道師はJ保千代子、K川尚允、O塚初子、O形の4名でした。 (O形 榮一 記)

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自主見学会報告

2024年03月07日 09時48分03秒 | 世界遺産伝道師協会

自主見学会報告

「岩佐中佐の墓」・「繭市場設立の額」

「西塚梅の墓」・「藩営前橋製糸所跡の碑」を訪ねました


2月13日(火)、県庁での役員会議の後、標記の研修を行いました。この2か月ほど前、「伝道師通信」などの発送作業に行く車中で町田睦伝道師と岩佐中佐の話題が出ました。だいぶ前の新聞に「歴史の流れとともに、岩佐中佐の存在を知る人も少なくなり、墓に参る人もめっきり減っている」という記事が載っていたというものでした。  

後日、町田さんから「岩佐中佐の墓所を知っているから案内しましょう」という連絡がありました。また「市内にある絹関係の遺産の2か所も案内しましょう」とも。

役員会後、数名が近くの店で昼食を摂る中で、その話をすると4名が参加を希望しました。昼食後近くの駐車場で町田さんと合流し、出かけました。

5名の乗った車は、最初に前橋市本町にある松竹院の岩佐中佐の墓に向かいました。寺域の一角にその墓はあります。墓の入口の左右の柱には「義烈」「忠勇」と刻まれ、上部に弾丸を模した装飾があるので、軍神の墓であることはすぐに想像できました。そこには岩佐中佐を讃える複数の軍歌碑や父母に宛てた遺書の内容が刻まれた石碑などが立っています。

1941(昭和16)年12月8日、ハワイの真珠湾攻撃の際、岩佐直治大尉は「甲標的」と呼ばれる二人乗りの特殊潜航艇5隻を率いて自らもその一隻に乗り、米海軍艦艇への決死の攻撃を行いました。結果は捕虜になった一人を除いて9名は戦死しましたが、この戦功が評価され「軍神岩佐中佐」・「真珠湾の九軍神」と讃えられました。岩佐大尉は、2階級特進し中佐に昇格。他の8名も2階級特進しました。国民に向けての戦意高揚・国威発揚に大きな功績を残しました。しかし、享年26歳と聞くと複雑な気持ちになります。

松竹院を後にして、住吉町の愛宕神社に向かいました。この神社は、1630(寛永7)年京都の愛宕神社から分社したものです。社殿東側面の上部に縦約50cm、横約2mの額が掲げられています。この額は、かつて旧安田銀行担保倉庫北側にあった八坂神社に掲げられていたのですが、2001(平成13)年に愛宕神社に合祀される際に移されたものだそうです。額には、1884(明治17)年に町の有志が高崎の糸商人とともに細ケ澤町(現住吉町)に繭市場を創設し、歳月を経るに従い隆盛繁栄していったと記されています。かつて八坂神社のあった辺りは、繭の一大集散地であり一大製糸工場地帯でありました。

次に昭和町にある森厳寺の西塚梅の墓に向かいました。寺の墓地の奥まった一角に西塚梅の墓があります。梅は1825(文政8)年、川越藩士の速水政信の長女として生まれました。実弟に速水堅曹と初代研業社社長の桑嶋新平がいます。17歳で川越藩士遠藤鐘平に嫁ぎますが死別。その後、上司の勧めで前橋藩士の西塚清造と再婚します。

1870(明治3)年、藩営前橋製糸所の設立後は、器械製糸に従事する工女の指導に当たりました。1875(明治8)年、前橋藩時代の堅曹の上司であった深澤雄象が士族授産施設として開業した研業社(関根製糸所)でも教婦兼工女取締として、多くの工女に技術指導を行い、器械製糸の普及に貢献しました。こうした功績により群馬県から2度にわたり表彰されます。1888(明治21)年、64歳で死去。前橋市三河町の東福寺に葬られますが、後に菩提寺である森厳寺に改葬されました。

二つ並んだ墓石のうち、左側が梅の墓石、右側が西塚家の墓石です。伝道師として活躍のN氏とK氏(ともに埼玉県在住)は梅の子孫です。

最後に、岩神町にある「藩営前橋製糸所跡」の碑に向かいました。風呂川のほとりに立つ碑を見ていると、2010(平成22)年12月18日の除幕式の光景が昨日のことのように思い浮かびます。建立に賛同された関係団体や蚕糸関係者、伝道師、一般市民など70名余の参加者があり、冬の寒さを感じさせない熱気にあふれた式典でした。建立委員会代表の近藤会長と委員会事務局長の町田睦さんも感慨深げに碑を見つめていました。数年前には、町田さんと伝道師の有志で碑の周辺に人工芝を敷きました。それまでは町田さんが折に触れ除草作業をしてくれていたのです。

研修を終え、集合した駐車場へ戻りました。今回研修した中から会員の現地研修コースに取り入れたい箇所もあり、有意義な見学会でした。

今回の参加者は、案内役の町田睦伝道師、近藤会長、安田副会長、市川理事、井上の5名でした。

最後に、参加者に熱心に分かりやすく解説してくださった町田睦伝道師に感謝いたします。  (井上 雄二 記)

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~セカイト交流だより~ 令和6年2月の活動報告

2024年03月05日 09時52分53秒 | 世界遺産伝道師協会

~セカイト交流だより~

令和6年2月の活動報告

群馬県立世界遺産センター(セカイト)では・・・

2月25日(日)天気(雨、一時雪)3連休の最終日でしたが、天気が悪いとの予報があり、お客様は少ないかと思っていたところ、やはり昼前から雪が降り始め寒い一日となってしまいました。それでも悪天候にもかかわらず、午前午後とも、一組お客様が終わると次の組が入り、客足が絶えることはありませんでした。

高崎市吉井町からの親子(母子)は、息子さんがセカイト2階で繭クラフトを行っているのを知っていて、お母さんを連れて来てくれました。また、川越から電車を乗り継いで一人旅で来た男性は、ぐんまちゃん大好きで、バックにぐんまちゃんのぬいぐるみを入れて一緒に旅しているとのこと。ぐんまちゃんのぬいぐるみとストラップと一緒に写真を撮られていました。

また、中国上海からの観光旅行のご夫婦は、日本語があまりわからないとのことで、伝道師のスマホ翻訳アプリ、英単語、身振り手振りで会話し、繭クラフト作りを楽しんでいただきました。皆さん、熱心な方ばかりで、伝道師も一日楽しく過ごさせていただきました。宮寺清江伝道師が、繭花作品で最優秀賞を受賞されました。群馬県立絹の里で展示中(2月17日~4月8日)です。是非ご覧ください。(S藤裕子 記)(活動伝道師 J保千代子 M寺清江 Y野まゆみ K澤壮子 U原一美 S藤裕子)

お客様のご感想ノートより

・珍しい体験が出来て楽しかったです。(群馬県3名)
・面白い体験でした。繭クラフトをやりたくて2週間前に来たのですがやってなくて今日やれてよかったです。(群馬県2名)
・初めて繭をさわりました。かいこの目は片目で6つだったんですね!興味深い体験でした。(東京都4名)
・繭でぐんまちゃん作り、楽しい思い出が出来ました。有難うございました。(富山県2名)
・観光で中国上海から来ました。非常美妙的体験、非常感謝(中国上海2名)

🏠群馬県10名(4組)・埼玉県1名(1組)・東京都4名(1組)・富山県2名(1組)・中国上海2名(1組)(計8組19名)

 「2月1回 都道府県内訳とお客様総数」

都道府県内訳:1都3県中国      繭クラフト:合計8組19名

 9時頃より小雨が降り始め雪となり、お昼前には、ぼたん雪、午後になると粉雪から霙、そして小雨へと変わりました。厳寒の季節で天候も雪、お客様は少ないのではと思っていましたが、たくさんの方が来てくださいました。バレンタインの月でお客様にはハート形繭とぐんまちゃんの2つの繭クラフトを楽しんでいただき皆様とても喜んでいらっしゃいました。セカイト職員の方々にはお心配りとご配慮、温かなお声掛けをいただき、いつも本当に有難うございます。

本日活動者の宮寺清江伝道師が「群馬県立絹の里」繭花展最優秀賞を受賞され、授賞式のお話等伺いました。おめでとうございます。J保千代子伝道師がお祝いにとお手製のお赤飯とお料理を持参下さり皆でお祝いをしていただきました。本当に有難うございます。繭花題目「幸道(みち)」は、春からの繭花ワーキングの幸先のよい「幸道(みち)」になります。最優秀賞受賞された見事な繭花を是非ご覧ください。(U原一美 記)

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本庄市児玉町「K宅」伝道活動報告

2024年03月02日 10時32分36秒 | 世界遺産伝道師協会

     本庄市児玉町「K宅」伝道活動報告

 本庄市児玉町K様から、座繰り体験と講話の依頼を受け、令和6年2月15日(木)にM寺・U原・K澤の3名の伝道師はKさん宅へ行ってまいりました。Kさんは、「児玉再発見の会」「高山社顕彰会」「富岡製糸場を愛する会」などでボランティア活動をなさっている方です。

児玉町のメインストリートに面したKさん宅へは早めに到着。Kさんと奥様が笑顔でお出迎え。白壁の蔵続きの古い養蚕農家、ここが本日の活動の場です。児玉小学校3年生3組77名、先生5名。午後1時15分から2時30分の予定です。午後1時過ぎ、小学生がヘルメットをかぶり元気に到着。庭で一緒にご挨拶。東京国立市からT原さん、養蚕農家だったという90才を超えたKさん知人男性も交えて、総勢80余人。座繰り体験と講話の2班に分かれての体験学習でした。

座繰りは、二人一組になり、真剣に、みごぼうきとハンドルを廻す子供達。興味津々ながらとっても楽しそうでした。流石ベテランのM寺伝道師、やさしく声掛けしながらの手さばき。補助のU原伝道師と一緒に座繰り体験の流れは順調でした。

講話はK澤でした。世界遺産富岡製糸場と高山社を中心にお話をしました。富岡製糸場にはまだ行ってない子供がほとんどでしたが、耳を傾け、次々と質問する子供達。近い将来きっと富岡製糸場に来てくれるのではと確信しました。

講話の最後はKさん。Kさん宅の蔵からの宝物、昔のアイロンや紙で作った火おこし器など珍しいものを見せて下さり、ワッと歓声があがりました。

短い時間でしたが、校外学習に力を注いで下さった先生方、未来に繋がる子供達に貴重な体験の場を提供して下さったKさん、そのお手伝いが出来た事に感謝して帰途につきました。春一番が吹いた暖かな一日でした。

 東京都国立市からT原美智子さんも参加して下さいました。T原さんは、「富岡市指定重要資源」『上野の蔵』の持主で、東京農工大絹サークルで作成した真綿のウェディングドレスを県立世界遺産センターで昨年10月展示されました。その後にKさん宅でも展示し好評だったそうです。今年は県立世界遺産センターで絹布を使った吊るし雛を2月29日~3月20日まで展示します。是非見に来て下さい。(K澤壮子 記)

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