年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

7月30日梅干しの日 730 難(7)が去る【申】。さる年の梅干

2024年07月31日 | 梅干
漬物業界に入って、長いのに申年の梅干しという言葉を聞いたのは20年程前の事だった。江戸時代の申(さる)年に病が流行り、梅干しを食していた人が難を逃れたという言い伝えから始まる。申年自体は12年に1回ほど回ってくるので、もっと早く知っても良いはずなのになぜか知識として知らなかった。ある年の梅干しの包装に縁起の良い申年の梅干しと書いてあり、その由来とかの記述があった。
 縁起物といわれる申年の梅の中でも、60年に一度の甲申年の梅は特に縁起物中の縁起物という宣伝文句。最近の甲申年は平成16年・2004年です。今の梅干しは塩分控えめになって、長期保存食の役目が終わり、賞味期限が設定され、保存食の役目が終わりました。商品によっては塩分3%程度のものがあります。この塩分低下は調味料の添加でもたらされていて、保存料の使用はされていません。これは梅干し業界の協定で保存料不使用が梅干しという表示の絶対要件となっているからです。従って保存料不使用という広告で梅干しと名乗ることは違反となります。
 梅干し自体の塩分は15%を超すと保存性がまします。そして20%を超すとほぼ管理が良ければ長持ちします。多くは甕入りで保存されていました。多くの塩分が多い梅干しの味が良いと言われるのが3年物から5年ものです。それはクエン酸と塩分のバランスが良い時間です。市販されているのは通販しかないようです。多くの梅干しの宣伝文句では昔ながらの梅干し。着色料は赤シソの葉、自然塩。15%以上の塩分。
 しかし5年以上たつと、梅の表面に梅干しから出た塩分が再結晶し、白いカビのようなものが出ます。これは業界用語で白カビと言われ、商品価値が減ります。本当にカビの様に見えます。ある時小田原の業者が台湾から輸入した梅干を放置していた所、白カビが出て、お湯で白カビ化した塩分を取り除いて、販売しようとしましたが、表面は塩分が消え、中がしょっぱい梅干し状態でした。これでは販売できないので鰹節にシソの葉を混ぜ、白カビ除去のかつお梅干しが出来ました。この混ぜる梅干しは皮が固い台湾産梅干しです。今のエキスの調味かつお梅干しは梅の皮の破けやすい紀州の梅です。
 多くの失敗から再利用の工夫が始まります。梅干しにハチミツを混ぜる工夫があった時は驚きました。
 
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