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欧米金融の日本化

2011年10月10日 | Weblog
 リーマンショックから3年が経ちますが、住宅不動産価格は下落を続け、また米国の失業率は9%以上に達して高止まりしています。一方欧州では、ギリシャ債務問題がポルトガル、スペイン、イタリアの南欧各国に飛び火し、また国家債務危機が債権者である銀行に飛び火して、ベルギーとフランスにまたがる大手銀行デクシアが経営破綻に追い込まれました。
 欧米の状況を見ていると日本のバブル崩壊後の不動産、株式等の資産下落とそれに続き銀行の流動性危機、銀行への公的資金注入とほとんど同じパタンーを辿っています。また公的資金で銀行救済がなされる一方、個人や中小企業は自己破産、倒産が増え、また銀行の貸し渋りが発生していることも同じです。米国で起こっている若者デモによるウォール・ストリート占拠の運動は、バブル崩壊による景気低迷、新卒者の雇用減に対する不満によるものです。
 日本の場合、バブルが崩壊して20年間はゼロ金利などの超金融緩和を行っても本格的な景気回復が見られませんでした。その間公共事業等の拡張的な財政政策によりGDPの約2倍の国と地方自治体の借金が生まれました。もし欧米が日本と同じ歩みをするとすれば、大きなバブル崩壊が発生すると10年以上は資産価格下落、低成長、失業率増加を経験することになります。最初に財政負担を少しでも減らすために、金融政策を総動員して金利大幅な金利引き下げとQE(量的金融緩和)が採用されますが、それだけでは本格的な景気回復に至りません。
 欧米で同様なことが同時に発生した場合、かなり深刻な状況を覚悟する必要があります。欧米同時の超金融緩和が世界的な過剰流動性を発生させ、新興国、特にBRICsに深刻なバブルを発生させる恐れがあります。もし経済的に、また大きな経済格差と民族問題等があるという意味で社会的にバブル崩壊後の経済危機に抵抗力が乏しい新興国の場合には、一旦バブルがはじけると先進国以上の社会的な問題が発生することになります。その点で要注意です。
 失われた10年、20年といわれる通り日本はバブル崩壊後塗炭の苦しみを経験しました。しかしその間、暴動や社会崩壊を起こすことなく、何とか持ちこたえてこれたのも日本人と日本社会の強さです。米国ではサブ・プライム・ローン・バブルが崩壊し、欧州ではユーロという単一通貨により発生した南欧のバブルが崩壊し、かなり長期間経済的、社会的な低迷を経験することになるでしょう。欧米の政治、経済分野の指導的立場の人は、日本の経験を踏まえて、10年以上バブル崩壊の影響が続くものと覚悟して危機に対処することを期待します。十数年後に危機を脱した欧米社会は、相当価値観や社会構造が変化していると予想されますし、世界経済の枠組みは大きく変化していることでしょう。世界の経済大国が、中国、インド、ブラジル等に取って代わられている可能性は否定できません。