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5月26日(土)  夜の海

 落語に「饅頭こわい」という落語がある。噺の登場人物が最初にこわいもんを色々聞かれるが、小生にとって何が一番恐かったか考えた。
 お化け幽霊の類には強い方だ。高校生のころは夏休みにキャンプに行った。夜は定番のキモ試し。夜の墓場を歩いたこともあったが、あまり恐くなかった。
 墓場より真夜中の神社の方が恐い。墓場は住民が死人とはいえ人知のおよぶ範囲で、あまり恐くない。真夜中の墓場は妙にザワザワしているようで、なにか馴染みがある。神社は神の領域なので人知の外、シーンと静まりかえっている。こっちの方が恐い。
 幽霊とUFOを一度は見てみたいと思っている。表六甲ドライブウェイで死亡事故があった現場に幽霊が出るということなので、昔、真夜中に車で走ったことがあったが何にも出なかった。人が死んだ場所に幽霊が出るならば、小生が住んでいるここは幽霊だらけのはず。ここは阪神大震災で一番たくさん人が亡くなったところなのだから。
 やっぱり一番恐いのは夜の海。大学は海の関係の学科だった。実習で漁船に乗った。真夜中に海に落ちたことがある。ただちに救助されたが、10分ほど真っ暗な海を漂流した。このあいだが小生が生涯で最も恐い時間だった。
 海はすべての生き物の故郷とはいえ、私たち陸の生物にとって縁を切った場所。いてはいけない場所だ。そこに光のない夜になんの装備もせず一人でとり残される。物凄い恐怖だった。深い海の中から「何か」が出てきて引きずり込まれるよう。
これに比べると陸上ならいくら恐いといってもたかが知れている。試しに、今度、泊りがけで海水浴にでも行った時、真夜中の海に泳ぎ出てごらんなさい。沖のどのへんまで行けるかな?
 これが宇宙ならもっと恐いだろう。宇宙遊泳なんか絶対したくない。もしロープが切れて宇宙を漂流なんてことになったら。永遠の名画「2001年宇宙の旅」でそういうシーンがあったが、見てるだけで恐怖に打ち震えた。

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