雫石鉄也の
とつぜんブログ
とつぜんSFノート 第102回
ハーラン・エリスンが亡くなった。享年84歳。そうかエリスンがもう84歳だったのか。しかも亡くなったのか。
人間だれでも歳を取るし、亡くなる。しかし、この事実とエリスンはどうも違和感がある。他の人ならいざ知らず、エリスンが歳取ってなくなる。不思議な感じだ。
今の若い人はベタな恋愛小説の元ネタの作者ぐらいの認識しかないかも知れないが。エリスンの小説をSFマガジンでリアルタイムで読んでいた、小生のごとき古狸SFファンはハーラン・エリスンといえば、アメリカSF界の大スターであった。
才人とはエリスンのような人をいうのだろう。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、そしてもちろん日本の星雲賞海外部門、主たるSFの賞の大常連にして受賞した賞は凄まじいばかりの数である。エリスンの才能はSFばかりではない。「スタートレック」「アウターリミッツ」「ラット・パトロール」など数多のテレビドラマの脚本を書き、まさに八面六臂の大活躍である。
人間、賞を取ったら大人しくなるとか。福本豊さんは国民栄誉賞を打診された時「そんなんもろたら立ちしょんべんもでけへん」といったとか。エリスンは違う。立ちしょんべんはしたかしてないか知らないが。アメリカSF界一のカリスマであり、たいへんなごんたくれ。問題児、トリックスターなる立居地は維持していた。
その戦闘的な姿勢は仕事にもあらわれていて、「危険なビジョン」なんて先鋭的なアンソロジーを編んでいる。
「死の鳥」は読もうと思って買ってある。読まなくっちゃ。
ハーラン・エリスンさんのご冥福をお祈りする。
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