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とつぜんコラム №175 どのあたりの灰色で見極めるか

小生の本業は購買仕入れ。製造業の現場で必要なモノを買っている。もちろん小生のカネで買うのではなく、会社のカネで買う。いろんなモノを買う。溶接用の液化炭酸ガスも小生の購入しているモノのひとつ。炭酸ガスはアーク溶接用のシールドガスとして使う。この炭酸ガス、噴出する圧力が低いと作業がしにくく、溶接作業している現場のおじさんたちが不満をいう。それではと、圧力を高めてやると、今度はガス使用量が増えて、月末の支払いが増え、経理が文句をいう。現場と経理、双方を満足させることは不可能。それでも、不満だが、小生に文句をいうほどではない、双方だまっているという、見極め点=スウィートスポットというものがある。CEタンクの圧力調整レバーを微妙に操作して、どのあたりに落ち着かせるかが小生の腕の見せ所である。
これ、政治にもあてはるのではないか。産業振興、国防、国土開発といった分野に予算をつぎこむか、社会福祉、医療、教育といったことに予算を使うか、もちろん、あらゆることに、潤沢に予算を使えば、だれも文句をいわない。しかし、国の予算の原資には限りがある。どこかを手厚くすれば、どこかを薄くしなければならない。それのどこあたりで線を引くかが、為政者の腕の見せどころではないか。これと真逆の極限が独裁ということだろう。北の某国のように、軍事に山盛りに盛って、国民は飢えている。こういう為政は簡単だ。国のトップは頭を悩ませる必要がない。サジ加減に心をくだかなくてもいいからだ。トップの取り巻きも頭を使わなくてもいい。機嫌をそこねたら命が危ういが、トップのいうとおりすればいいのだから、ある意味楽である。
かような独裁国は論外として、いまどき世界のほとんどの国は、国のトップが思うがままに動かせる国はないだろう。中国のような社会主義国でも国家主席の習近平といえども、好き勝手はできないだろう。それが民主主義の国ならいわずもながらである。
日本はご存知のように民主主義国家である。だから為政者は、国民の意向にそう政治をしなくてはならない。それに逆らえば、次の選挙で落選して為政者にはなれない。選挙は多数決である。だから、多数派の有権者に受けの良い為政を行おうとする。100人有権者がいれば51人が喜ぶことを、行う/行うふりをする/行う約束をする、わけだが、49人の意向が為政に反映されないことが多い。
2005年の解散総選挙は郵政解散と呼ばれる。当時の首相小泉純一郎は国民にYESかNOかを迫った。郵政民営化賛成か反対かということ。結果はご存知の通り与党小泉自民党は大勝して、郵政は民営化された。そのあと、なんでも民営、官から民、規制緩和という路線をつっぱしり現在の格差拡大社会となったのではないか。本来ならば官がしっかり規制しておかなければならないモノまで、緩和して好きかってさせておくものだから、ひずみや不具合が頻発しているのである。先般の軽井沢のバス事故もその犠牲ではないのか。今になってバス事業を規制しようとしている。15人もの犠牲者がでないとできないのか。
なにごともYESかNOか。白か黒か。賛成か反対か。敵か味方か。二者択一で行うのは容易い。かようなことを迫る為政者は思考停止におちいっているといわれてもしかたがないだろう。真に有能な為政者は灰色を認める為政者だと思う。確かに白黒為政者は歯切れが良く、見てくれはいいだろう。灰色為政者はどっちつかずでパットしないように見える。しかし、真に有能な為政者は白と黒の間の目盛りのどのあたりに針を置くか見極めのできる人ではないだろうか。 
コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
小泉首相以降 (giants-55)
2016-03-10 04:43:06
小泉首相、キャラクター的には特筆すべき物が在ったけれど、彼が登場して以降、政治が格段に劣化した気がしています。雫石様も指摘されている様に「白か黒しか在り得ないといった風潮。」、「仮想敵を作り上げ、其れを只管叩く風潮。」、そして何よりも「質問に対し、真摯に答えず、『其れがどうした?何が悪い!』といった開き直りや論点の摩り替えを許す風潮。」が一般化してしまった。最後の点に関しては、安倍首相が特に酷く、其の遣り口も(陽性の小泉元首相と比べると)非常に陰湿で粘着的な感じが。そういうのを許し続けてしまう国民というのが、一番悪いのだろうけれど・・・。
 
 
 
giants-55さん (雫石鉄也)
2016-03-10 09:18:23
安倍さんは、なんか経済さえ良ければええという感じですね。経済が悪くなれば支持率が下がると思います。その経済も減速気味です。だから、安倍さん、あせっている感じです。今の支持率のうちに念願の憲法改正と行きたいのではないですか。
特大の「白黒為政者」トランプ大統領がアメリカに誕生しそうで、こわいですね。
 
 
 
Unknown (悠々遊)
2016-03-10 10:15:44
国民の側に難しいことは考えたくない、白黒選択を望む風潮があるのが原因ではないでしょうか。
だから、下心ある政治屋にとっては好都合。何でもかんでも白黒決着を煽って、肝心なところを考えさせない。
首相公選・直接選挙で首相を選ぼうなんて、ただの人気取り合戦にしかならないのに、それを目指す腹黒い政治屋もいるようだし。
 
 
 
悠々遊さん (雫石鉄也)
2016-03-10 10:31:34
衆愚政治という言葉がありますね。人間は感情で動く動物でもありますから、理性ではなく感情で投票することも多いでしょう。
3人寄れば文殊の知恵といいますが、1億人寄れば文殊の知恵とはならないところが、多数決のいまの選挙制度の欠点ですね。
 
 
 
弱点は首相 ()
2016-03-10 23:50:15
小泉元首相は愛すべきキャラクターではあったと思いますが、実際には、コミュニケーションを必要としなかった、つまり、完結していて、政策も実現を大前提として、試行錯誤をする、という事が少なかったかも知れませんね。それをリーダーシップとも呼ぶのでしょうが、民営化で最大のギャップを生むのは、新自由主義であり、保守派の改革による、地域であったり、企業でも密着型のサービス向上を目指したものを、もっと奨励すべきと思います。

リーダーシップを欠いた指導者というと、オバマ大統領が浮かびますね。彼は、新自由主義化が進んだ米国において、GMなどの救済を国策に掲げました。ですが、米国で企業権力を擁護しても、外国資本が入り込んで、競争を展開するのを阻害するだけです。老後の年金や保険を企業として提供出来なくなったGMは破綻すべきです。

日本屈指の大企業であるトヨタは、そうした労働者の生活設計には、比較的敏感だと思います。労働者を一門の中の人材として観ているからだと思います。脱派閥、小泉元首相が掲げた理念は、それまで、派閥に擁護されて来た人材を解散させたのであって、指導者というよりは、周辺の人材の劣化、つまり、官僚と距離を置いた事による情報源の停止が原因で、政治が常態を失ったのではないかと思います。官僚の言いなりではなく、操縦できる首相は、公選でも構わないと思いますし、官僚の中から立つ人が出て来て欲しい、と個人的には思っています。
 
 
 
こんなのは? (アブダビ)
2016-03-11 04:03:34
世界がさぁ、いまさら大規模な戦争をしている余裕ってあるんすかね?
まぁ、それでも戦争して利権を争うのが人類なのかもしれませんが。
石油も、南極と北極の未開発油田を除けば、全て海水を注入しての圧力噴出で、自然噴出できる油田などない状況です!

どうせ、Webとかで世界は(嫌だけど)つながってしまってるのでょ?
だったらネット配信で、
「それぞれの国々で、代表の力士を出してネット配信の上で、勝敗を持って、その主張をみとめる!」ってのは?
ルールが世界で違うから、「武器を持たない素手なら何でもあり!」
当然ですが、力士と家族の為に、その勝敗に関わらず、不具になったり、死傷した場合の一切の保証は、参加国が保証をする。
別に格闘技でダメなら、同数の兵士による戦闘でも可能ですが、見たくないでしょ?
そんなのは?
多くの若者を死なせるよりは、遥かに合理的な解決だと思いますが。
 
 
 
ただし… (アブダビ)
2016-03-11 04:15:32
死人が出ることは必須の条件!
血を流さないチェスや将棋やカードでは、
誰も決着を認めませんよ!
だから出るときは一人のルールを護らざる得ない!
どうせ、バカにされる意見なのでしょうが、人間が感情的な生き物なのを私も社会経験で知ってもすので、生死を懸けたリアルの殺しあいなら、結構、庶民は納得すると
思いますが?
 
 
 
別に… (アブダビ)
2016-03-11 04:40:47
国家間の紛争ではなく、国内の意見調整ても上記の問題解決はありです!
眼を塞ぎたくなる残忍な事件から、面倒な経済犯罪まで、うぜー事件が多すぎるのですよ!
ぐだぐだと意見なのばっかり!
んなもん、税金を払う庶民はうんざり!
どーせ、人間は暴力から離れられない!
女性も自分より弱い子供に虐待するし、子供は苛めだ!
だったら、暴力による解決を犠牲が最小限で認めたら?
 
 
 
決闘の許可は? (アブダビ)
2016-03-11 04:59:10
仇討ちは過去の日本では認められてました。だいだい、全てを賭けて殺しとたい!
そういう主張の何がいけないのでしょうか?
政治の中枢が暴力を自分の刃に置いておきたいだけの理由でしょ?
暴力は歴史上で何よりも高い解決手段でした。アメリカと日本は中国に対して、
「力による国際秩序の変更は認めない」
と反発してますが、その背景も軍事力じゃん!別に中共の味方する気持ちはさらさらないけど、歴史は常に力によって変更をされてきました。
だったら個人の暴力で、代理戦争で決着を着けるのが、何がいけないのですかね?
俺は身内に手を出されたら、裁判では謙虚にして、そいつが出所後につけ狙い、必ず惨い殺し方をしてやる!
そう20年前に元妻が強姦未遂されてから決めてます。
暴力は悪くない、その行き先に理念があるのなら!
人類史がそれを証明している!
 
 
 
元師匠がさ (アブダビ)
2016-03-11 05:08:42
クンフーの達人か何か知らないけど、俺の意見が気にくわなくて、一晩でお前の実家で、家族の目玉を全てえぐり取れるぜ!
私の前で言った!
私はカンフーも未熟でしたが、某団体から仕入れた手流弾を作動させて、一発でも俺に決めたら、あんたも吹っ飛ぶ!
やれる度胸があるならば、やってみな!
野郎はイモを引きましたね!
別に武勇伝として書いた訳ではない!
でも、力を盲信する連中を止めるのは、
奴等も死ぬと言う力による抑止しかない!
ハインラインは偉かった!
クラークは糞だ!
 
 
 
結論! (アブダビ)
2016-03-11 05:17:38
人類は絶体に暴力の行使から免れない!
ならば、それを最小限でコントロールするのが、最も具体的な方法ではないのか?
 
 
 
だいたいさぁ (アブダビ)
2016-03-11 05:39:02
人間が武器を開発する度に死者を増やしてきたと言うのは嘘なんだよね!
実は先史時代から戦争は多くあり、その人口辺りの戦死者は、先史時代の方が高かったって考古学者も認めてるよ!
出典が今。出てこないけどね。
実は兵器が発展する毎に、人口辺りの戦死者の%は減ってるそうだ!
暴力は嫌で、戦争は考えたくない!
そーいう奴等が、9条さえあれば、戦争は起きないと盲信して、次の戦争を起こすんだよ!きっと!
戦争が嫌なのは私も同じだが、平和教徒には真底うんざりする!
おまえら9条教徒か?
憲法9条って宗教なのか?
暴力は個人から国家まで、嫌でもそこに存在する!
結局、平和主義者が戦争を起こす!
ナチスを見過ごしたイギリスが二次大戦を引き起こしたのが、史実ではないですか?
 
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