雫石鉄也の
とつぜんブログ
アルゴ
監督 ベン・アフレック
出演 ベン・アフレック、ブライアン・クランストン、アラン・アーキン
1979年イラン革命。国王パーレビはアメリカに逃げた。最初になぜ革命が起きたのかを簡潔に説明している。ようするに西欧各国はイランの石油が欲しかった。首相モッサデグが石油を国有化。それが気にくわん英米は自分らに都合の良いパーレビを国王に据える。パーレビは独裁。民衆は怒りパーレビを追放。イスラム最高指導者ホメイニ師をトップに革命政権が樹立された。
怒った民衆はアメリカ大使館を占拠。50人を越える大使館員民間人が人質になった。この時、6人のアメリカ人が大使館を脱出。カナダ大使私邸にかくまわれた。この6人、見つかれば殺される。
アメリカ本国ではさまざまな救出案が検討される。どの案も難しい。元阪神の下柳そっくりなCIAの人質救出の専門家トニー・メンデスは、映画のロケハンだといってイランに入国。6人を映画のスタッフに化けさせて脱出させる案を提案。実行することになる。ハリウッドのプロデューサー、メイクアップアーチストの協力を得て、「アルゴ」なるニセのSF映画がでっち上げられる。アメリカ国内にもホメイニの手の者がいる。ばれたら6人とトニーに命はない。カナダ大使にも迷惑がかかる。「アルゴ」撮影のための事務所も設置して、脚本を作成。絵コンテまで作る。「アルゴ」の撮影準備は着々と進む。そして、下柳いや、トニーはイランに入国6人と接触する。
1本の映画で2度楽しめる。前半は映画が企画されて実行に移すまでが、面白おかしく描かれている。ハゲのじいさんとデブのおっさんがハリウッドの映画関係者で下柳に協力するのだが、この二人がおもしろい。映画製作の大ベテランだが「映画なんてみんなウソっぱちさ」などと自虐的な言葉をいいながら、けっこううれしそうに本気でニセ映画を作ろうとする。このニセ映画「アルゴ」いかにもB級なSF映画で、「スターウォーズ」人気にあやかったキワ物臭がプンプン。しかし面白そう、ほんまに「アルゴ」が製作されたら見てみたい。
後半はサスペンスがいっぱい。ハラハラドキドキ。6人の正体がいつばれるか。6人の顔は割れてない。ところがシュッレダーにかけられた6人の写真は、シュッレダーの細片をつなぎあわせて再現しようとしている。飛行機のキップがキャンセルされている。本国から計画中止をいってくる。空港の係官が確認のためアルゴ製作の事務所に電話をいれる。事務所にはだれもいない。電話に出なければばれる。6人と下柳は無事飛行機に乗れるか。最後まで安心させない。
しかし、計画を立案実行した下柳ことトニー・メンデスも偉いが、6人をかくまったカナダ大使も偉い。シンドラーや杉原千畝に匹敵する英雄的なことだと思う。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
« オイルフォンデュ | 人間ドックを... » |
で、全然違うのですが…映画好きの冒険活劇やスパイもの好きを「くすぐる」ストーリー!
なんか山田正紀行ぽいハラハラ感。
復職初出勤後の最初の休みは、この映画と
機龍警察で決まりです!
とつぜんブログ、開いてて良かった!
アメリカという国の信頼という以前に、個人の生命が懸かった作戦。その最前線に居る彼らの危機とは、革命の余波による人の危機だと思います。彼らを助けられない事により、ライバル国との折衝に立つ人材が現れなくなってしまう。
国交を絶つというのは、そうした人の動き、前線で起きる変化、繋がる国の変化、にリアクション出来なくなる、と言う事で、イランの重要性は、このイラン国民たちによる、アメリカへの追及に現れていますね。
革命期とは、あらゆる暴力が許され、法治による警戒と保守作業が、限界を超えてしまう事だと思いますので。だから、こうした国柄、独裁に陥りやすい国であるほどに、言論の自由による緩衝あるいは、ガス抜きというのは重要になって来ると思います。
アメリカとイランの正義を問うスタイルではなく、極めて、個人の視点から描かれた本作は、優良作品ですね。
面白い。プロデューサーと特種メイクのおっさん二人と嘘映画の算段するあたりまでニヤニヤして観てましたが、後半の追い込みは凄いです。手に汗を握る。
いつ露見するか…拘束されるのか、飛行機に乗っても追跡される。イラン領空を出るまで気が抜けない。
しかし、これが実話ってのは凄い!こんな作戦を許可するCIAも信じられん。アメリカ人って実践主義なの良く解る。こういう処は日本も見習って欲しいもんです。
蛇足ですが、カナダの大使も偉いけど、革命防衛隊の尋問に庇った大使宅のメイドも偉い。
ちらと彼女がイラクに出国するシーンがあって、ほっとするというか、芸の細かい事だと感心しました。
ご満足していただけたようす。よかったです。
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。