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テレビCMとネット広告

 あとわずか2年後に迫った、地デジ切り替えに関連して、放送の世界が大きく変わろうとしている。それに関連して、宣伝会議9月1日号で「放送と通信の融合で変わる広告」と題する特集記事を掲載していた。
 この記事を読んで、小生の愚見を少々。小生は、タイガースの試合中継以外、民放テレビはあまり観ない。とはいいつつも自然と目につくこともある。お気づきの方も多いと思うが、最近のテレビCMはかなり様変わりしている。大手の企業のCMが減り、代わりに通信販売、自局の番組宣伝が増えた。盛んにCMを打っているのはパチンコ台のメーカーと、ハウス食品ぐらいだ。これは、この不況により各企業が広告宣伝費を大幅に削減しているからだ。
 テレビのCMは削減したが、広告そのものを止めるわけにはいかない。不景気だ、モノが売れない、利潤が出ない、といって広告宣伝を止めれば、いつまで経ってもモノが売れない、景気が回復しない、利潤が出ないと、悪循環におちいる。と、いうわけで新しい形の広告が模索されている。
 テレビCMなどに代表されるマスコミ広告は、いわば大きな投網で魚を獲るのと同じ。鯛を狙っているのに、海全面に巨大な投網を投げて、そこにいる魚全部に網をかける。その中に鯛が一尾もいなかったら、全くのムダとなる。女性用生理用品のCMを男性に見せてもムダ。育児用品のCMを独身の男子高校生に見せてもムダ。
 こういう状況で、現代、出稿量が増えているのがインターネットを使った広告。色々なポータルサイトのホームページにはたいてい広告が貼り付けてある。また、小生はやってないがアフリエイトを貼り付けているブログもある。あれも広告だ。中にはアフリエイトや広告だらけで、耳無し芳一みたいなブログもあるが。
 また、キーワードを検索して目的のサイトが出ると、それに関連した広告がそこに貼り付けてあるようになる。例えば、ハイブリッドカーというキーワードで表示された記事には、トヨタのプリウスやホンダのインサイトの広告が貼り付けてあるという具合だ。これだと、ハイブリッドカーに興味を持っている人に、ハイブリッドカーの広告を見せることができる。投網ではなく、鯛だけを狙って1本釣りが出来るというわけだ。
 このやり方は確かに効率が良いように見える。しかし、大きな欠点がある。これでは新しい客層の開拓が出来ない。自動車なら自動車、オーディオならオーディオに興味を持つ人にしか、それらの商品の広告を届けることしかできない。まったく自動車には興味はなかったけれど、なにかの拍子で、こんな車があることを知り、欲しくなって買う、という客にはインターネット広告は不向きだ。
 しばらくの間は、従来のマスコミ広告とインターネット広告の併用ということになるだろう。ただし、今のかたちのテレビも新聞も、近い将来、消滅するか、全く別の媒体へと変化/進化することは間違いないと小生は思う。そのことを考えると、広告そのものも変化/進化せざるを得ないだろう。しかし、今の広告を見ると、伝達手段の模索はしているようだが、肝心のクリエイティブそのものは旧態然とした印象を受ける。クリエイターにとって一番大切なことは「現代」を感じることだが、それだけでは不足だ。「未来」も感じなければならない。
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