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とつぜん対談 第81回 マニュアル車との対談

きょうの対談相手は、この駐車場におられます。自動車さんです。最近、乗ってくれる人がいなくて、少々、くさっておられます。
 あ、あそこにおられます。マニュアル車さんです。

雫石
 こんにちは。

マニュアル車
 なんや。なんか用か。用ないんやったら帰れ。

雫石
 ちょっとお話させてください。

マニュアル車
 なんの話や。ワシみたいな時代遅れの車にゃ用はないやろ。

雫石
 そんなこといわずにお願いしますよ。これ食べてください。

マニュアル車
 お、かりんとうや。わしゃ、これが大好物でな。ところで、あんた車は、どうせオートマ車やろ。ぽりぽり。

雫石
 わたし、オートとか自動とかゆうのん大嫌いで、もちろん愛車インテグラは5速マニュアルシフトでした。

マニュアル車
 そうかそうか。それ以前はどやねん。

雫石
 私はマニュアル車以外は持ったことはありません。会社の車を運転した時ぐらいですね。オートマ車に乗るのは。それに、私、会社のフォークリフトの管理責任者なんですが、今のフォークリフトを買う時も、私が強く主張してマニュアルのフォークリフトにしました。みんなオートマにしたかったらしいけど。

マニュアル車
 どうゆうてみんなを説得した。ぽりぽり。あんたも食え。

雫石
 マニュアルの方が燃料食わへんからランニングコストが安くなるといいました。コストが安いというのが会社には一番効きます。ぽりぽり。

マニュアル車
 で、どうや。マニュアルのフォークリフトは。

雫石
 ええですね。燃費は比べてないから判りませんが、ひと月に、ディーゼルですから軽油が60リットルというところでしょう。それに車検(フォークリフトの場合は特定月例点検という)や修理の時に代車でオートマ車を貸してくれるけど、どうもカン狂うな、オートマ車のフォークリフトはなんか、ひと呼吸反応が遅れるんです。ぽりぽり。

マニュアル車
 フォークリフトの話はともかくとして、なんであんたはマニュアルが好きなんや。

雫石
 運転していて楽しいからです。

マニュアル車
 あんたみたいに、楽しいという人もおるけど、面倒という人もおるで。ぽりぽり。

雫石
 その面倒が楽しいんですよ。クラッチを踏んで、シフトレバーをカチカチ動かしながら運転する。それが楽しいんですよ。ハンドルと、ブレーキ、アクセルこれだけ操作して、肝心の変速ギアの選択は機械まかせ。こんな運転なにが楽しいんでしょう。ぽりぽり。

マニュアル車
 そういってくれるとワシもうれしい。ワシら機械はあくまで人間の支配化にあってなんぼのもんや。ワシら機械は人間の指示に従って行動する。ワシらに何をさせるか、それを考えるのんは人間の領分や。例えばワシのように車の場合、このスピード、この積載量、この道路状況、これらのデータを総合的に判断して、ギアは2速にするか3速にするかを判断するのんはあんたら運転者の仕事や。それなのにオートマチックは何も考えないで自動でギアを入れよる。

雫石
 そうですね。例えば、どうしても登れない坂道を登らなくてはならない時、一番ギア比が高い1速でも登れない。こんな時はどうするか?バックでなら登れるかもしれない。車のバックのギア比は1速より大きいからバックの方がトルクが大きいですね。バックで登る、なんて判断はオートマチックではできませんね。

マニュアル車
 そうなんだ。ワシら機械は人間に使われるようにできとるんや。ぽりぽり。あ、もう、かりんとう、のうなった。

雫石
 最近はオートマチック化もどんどん進んで、危険を察知して自動でブレーキをかけるとか、道路を読んで走行ラインを車が判断するとか、このままで行くと完全自動運転。人間は乗ってるだけ。なんてことになりますね。

マニュアル車
 どうなろうとワシの知ったこっちゃないけど、ただ、これだけはいえる。完璧な機械はない。機械は故障する。機械に頼りっぱなしやったら、故障したら人間はお手上げやで。

雫石
 人間はミスします。ブレーキとアクセルの踏み間違いでの事故がよくありますが、あれはオートマ車ならではの事故ですね。かりんとう、また買ってきますよ。

マニュアル車
 そやねん。ワシらマニュアル車やったら絶対あんな事故はおこさへん。

雫石
 そうですね。オートマ車はクラッチがないから、セレクトレバーがDになっていればアクセルを踏んだだけで車は走り出します。マニュアル車は、アクセルを踏んだだけでは車は走りません。エンジンが回るだけです。クラッチを踏んでギアを入れて、アクセルを踏みつつクラッチを離すと車は走り出します。マニュアル車の方が発進までの手間が多いんですね。オートマ車は手間が少ない。手間が多いということは人間は冷静になり、ハッと気がつくわけです。動転して事故を起こすことも防げるわけです。

マニュアル車
 なんべんもゆうけど、ワシら機械は人間が操作するもんや。機械の操作に頼りっぱなしやからあかんのや。


雫石 
 人間と機械のええとこどりしたらいいんですね。

マニュアル車
 そやな。かりんとう、また頼むわ。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
ふーん… (アブダビ)
2015-10-15 12:53:21
ちと感心いたしました。そうなのか…
私は免許はあるけれども完全なペーパードライバー。20年ハンドルを握ってません。
先日やめた介護予防ジム(接骨院の経営で、運動療法とマッサージを供給する)の送迎ドライバーに、
「今どき営業車だってマニュアルなんかありませんや!」
と言われて驚く。
オートマが普通になってしまい、マニュアルの方が高くつく…とか。
20年前はオートマは+10万円くらい高くつくので、仕事探しながら用のクルマはマニュアルが基本だったんだけど。
私が、ハンドルを握らずにいた15年ほどの間に車社会は変わったらしい…

ちなみに私が唯一、それなりに乗りこなしていた車がホンダのインテグラです。
当時、私の家には居候がいて彼の持ち車でした。軽快で小回りのきく良い車と思います。まあ…比較対照には軽トラやハイエースとか知らないのですが(笑)

車の個とは興味ないのに、田中光二の「白熱」が好きだったり、映画「ワイルドスピード」シリーズや、漫画「頭文字D」は読むのですね(笑)
車ものの活劇をウエスタンの一種と認識しているからかも知れません。

このところVW社のディーゼルエンジンの
不正を契機に、ドイツ経済が苦境に陥ってますが、昔、徳大寺さんて車評論家が
ディーゼルエンジンの低公害化について
悲観的な記事を読んだことがあり、やっぱりか…と思いました。
車を持たない事が支出を抑えて、低コストで生きる術の一つとしてますが、それにしても今の若い方の車離れは顕著ですね。
 
 
 
アブダビさん (雫石鉄也)
2015-10-15 13:44:46
インテグラですか。
私の愛車もインテグラでした。
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/e/bef55846ef6ea2c2ac0a94367b38bf5c
なかなか良い車でした。
 
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