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12月20日(木) とろろ昆布の作り方

 社会人になって最初に勤めた会社は昆布食品の会社だった。また、5年前にリストラされて今の会社に落ち着くまで、契約で別の昆布会社にも勤めていたこともある。両方の会社でとろろ昆布の製造をやらされた。そこで、何かの参考にと、とろろ昆布の製造方法を紹介しよう。
 まず、倉庫から原料の昆布を取り出す。1束20キロか15キロ。これを原藻(げんそう)という。利尻や羅臼といった出し昆布に使うような上等の昆布は使わない。日高、香深、大間、増毛といった昆布がよく使われる。
 この原藻を調味した酢に漬ける。これを漬け前という。数日間置いていた漬け前を機械にかけて砂取りをする。昆布に砂や小石が混ざっていれば削る時の障害になる。砂取りした昆布は油圧の機械にかけて、重さ60kgぐらいの四角い昆布のキューブを作る。これを乗せ前という。乗せ前は鉄のバンドをはめて膨張しないようにしてある。
 削る時は鉄のバンドを外し、昆布のキューブの端を切り落とす。切断面を刃物で削る。削る刃物は非常に鋭利に研ぐ。研いだ刃先を金属のヘラでこすりそり返しを刃先につける。この刃先のそり返しのことをアキタという。
 乗せ前を削りの機械にセットして切断面を刃先のそり返しで削っていってとろろ昆布を削り出していくわけだが、このアキタの立て方がとろろ昆布削りの命。うまい人がやるときれいな半紙みたいなとろろ昆布が削れる。へたな人がやるとスダレみたいなとろろ昆布になる。このへんがとろろ昆布削り職人の腕の見せどころ。
 お手元にとろろ昆布があると袋から出して見ていただきたい。外側はきれいなとろろ昆布で、中は丸めたとろろ昆布が入れてある。
 中身のとろろ昆布は、外から見えないから少々見場の悪いとろろでも良いが、外は客に見えるのできれいなとろろを使っている。見場の悪いとろろはいくらでも削れるが、きれいなとろろを削るのは難しい。小生も「そんなにアンコばっかり削ってもあかんで」と良くしかられた。
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