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楽しいお食事

 C-1576 黄色のパッケージ
 3次会までハシゴ酒だ。久しぶりのクラス会は盛り上がった。特に仲の良かった3人が夜の街を歩く。けっこう酔っぱらっている。
「小腹がすいたな」
「そうだな。ラーメンを食べよう」
「賛成。駅の裏にうまいラーメン屋がある」
 駅の裏に自転車が乱雑に駐輪してある。その向こう側、閉店した金券ショップの隣にそのラーメン屋がある。
 黄色いノレンをくぐるとカウンターだけ。おやじが上目づかいでジロリとにらむ。
「いらっしゃい」
 カウンターに座る。客は俺たち3人だけ。メニューがない。おやじ、注文を聞かない。
「メニューがないけど、なにができる」
「うちはラーメン屋だから、ラーメンしかできません」
「どんなラーメンだ。味噌かとんこつか塩か」
「醤油ラーメンしかできません」
「じゃ、それを」
 ラーメンはすぐできた。ひと口スープをすする。衝撃的な味。こんなラーメンのスープは初めてだ。
 オーソドックスな醤油味のスープだ。ダシは鶏ガラがメイン、それに魚介系の味がする。イリコにサバかカツオの削り節。それに昆布だ。旨みの強い羅臼の昆布を使っているな。醤油と塩の塩分が絶妙。この塩味が味の柱となって、甘み、苦味、それに強い旨み。押しの強い旨みではあるが化学調味料は全く使っていない。醤油味のラーメンスープとしては完成されたスープだ。それも考えられる限り高いレベルで。
 麺を食う。細めの縮れ麺だ。中華麺だからカン水を使っているがクセを感じさせない。小麦の味がしっかり残っている麺だ。コシはあるが、硬くはない。ごくわずかに麺の芯の名残を感じさせる。絶妙なゆで具合だ。

J-1877 青のパッケージ
 桜の花が池に浮かんでいる。錦鯉が泳いでいる。池の上に小さな木の橋。橋を渡ってしばらく歩くと玄関。ウグイスの声が聞こえる。
 玄関で靴を脱ぎ、女将の案内で部屋へ。二人の先客はもう来ていた。床の間を背に座る。軸は鉄斎のようだ。先客が女将に目配せする。「初めてくれ」
「ま、先生、どうぞ」ビールを注ぐ。先客二人のグラスにもビール。女将が部屋から出て行く。
「まずは、先生、これを」
卓の下をくぐって風呂敷包みをこっちに押す。
「ふぅおふぅおふぅお。新潟重工よ。お主もアクよのう」
仲居が入ってきた。
「八寸でございます」
 蛍烏賊の酢味噌和え。空豆。菜の花の辛子和え。飯蛸の煮付け
「椀物でございます」
若筍とワカメの椀。ちあいの無い極上の枕崎の枯れ節と利尻の昆布でひいた出汁の吸い地が素晴らしい。木の芽が2枚浮かべてある。
「お造りです」
 桜鯛、サヨリ、タコの三種のお造り。ここは明石が近い。瀬戸内の春の恵みを味わう。
「煮物でございます」
 鯛のかぶと煮。鯛を頭をこっくりと煮てある。鯛の一番うまいところは頭だ。いっしょに煮てある新ごぼうがいい香り。
「焼き物です」
 マナガツオの幽庵焼き。マナガツオのぽくぽくした身がうまい。
「揚げ物でございます」
 川津えびの素揚げ。穴子の天ぷら。
「お食事でございます」
 ヒイカとキビナゴの手まり寿司。
 最後に季節の果物が出た。近郊でとれた苺とのこと。
 例を風呂敷包みをくれ、これだけの食事でもてなしてくれる。彼らは私に何を期待しているのだろう。なにはともあれ今度の選挙で当選することが先決だ。

 F-1495 赤のパッケージ
 閑静な住宅街。大きなお屋敷が立ち並ぶ、この街の一角にそのレストランはある。先方は先に来ているはず。彼女の自宅、芦屋の六麓荘からはここは近い。駐車場を見る。ロールスが留めてある。ご両親も来ているのだろう。いまは神戸女学院は春休み。これがすめばヨーロッパにご旅行だそうだ。
「やあ、ようこそ。こちら石本造船社長ご令嬢の百合子さん」
「こちら、佐伯商店の祐三さん」
 神戸の大きな造船会社の社長の娘。そっと立って、こくりとあいさつをした。
「では、あとは若い二人で」
 百合子お嬢様と二人だけになった。ソムリエにワインを選んでもらって、シェフにおまかせのコースを頼んだ。
「春の野菜の前菜でございます」

「もういい。火星までの航行中の食事は、1回の食事にこの2錠の錠剤を飲むのだな」
「はい。白が栄養剤。色つきが特別錠剤です」
「白だけでも生命の維持はできるのだな」
「24時間にこの白い錠剤を1錠飲むだけで充分健康な生活はできます。でも、それではあまりに味気ないので、今、お試しいただいた錠剤もあわせて飲んでもいいわけです」
「これを飲むと、今、私が経験した疑似体験ができるのだな。健康を損ねないのか」
「まったく大丈夫です」
「この色は何をあらわしている」
「このセットは日本人向けです。黄色は中華系、青は和食系、赤は西洋料理系です」
「ラーメンは中華か」
「便宜上そう分類してます」
「C、J、Fは判る。次の数字はなんだ」
「季節です。1は春です。2が夏、3が秋、4が冬です」
「あとの3ケタの数字は」
「シチュエーションです。576が飲んだあとのラーメン。877が代議士になって賄賂を受け取る、495が美人のお嬢様とお見合い」
「他にどんなのがある」
「例えばC-2965。これは真夏に高架下の餃子屋でビールです。J-4231はお正月に家族で回転寿司です。F-3587は高校生になってガールフレンドとマクドです」
「ふうん。この黒でX-0000は」
「それは毒薬です」
「毒!」
「なにせ長い旅です。ひょっとして必要になるかもしれません」


 
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投壊タイガース

今年の阪神の心配のタネやけどな。打線と先発ピッチャーのコマ不足。先発ピッチャーのコマ不足は、その少ないコマの能見が少々調子悪そうで心配やな。それ以上に心配なんは中継ぎ。安藤、加藤、福原の年より3人組はまあ、へこへこしながらも仕事しとうやんか。その他の二神、鶴、筒井は重症やな。きょうなんか中継ぎが筒井やのうたら勝ったかもしれんで。クローザーの呉昇桓もピリッとしとらんし。困ったもんや。
 打線が、上本、大和の1、2番コンビ、ゴメス、マートンの両外国人が調子ええさかいに、ピッチャーさえよかったら貯金ができると思うねんけどな。きょうなんかもったいない試合やで。
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