人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

キウィ・チョウ監督「時代革命」を観る ~ 2019年、民主化を求めてデモを繰り広げる香港の若者たちを追った迫真のドキュメンタリー映画:ユーロスペース

2022年08月16日 07時13分03秒 | 日記

16日(火)。わが家に来てから今日で2774日目を迎え、北朝鮮の対南宣伝サイト「わが民族同士」によると、北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は13日、統一教会(現世界平和統一家庭連合)の創設者、文鮮明氏の死去から10年を前に 文氏と遺族に弔電を送ったが、文氏は1991年11月末に訪朝し金日成主席と会談、離散家族捜索事業の推進や統一教会グループによる北朝鮮での経済事業支援展開などで合意していた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「経済事業支援」の資金源は 日本で霊感商法で搾取した献金だ 北朝鮮よ お前もか!

 

         

 

昨日、夕食に「サーロインステーキ」「卵スープ」を作りました 野菜類はワンプレートに収めました。ステーキはレアに焼けて美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、渋谷のユーロスペースでキウィ・チョウ監督による2021年製作香港映画「時代革命」(158分)を観ました ユーロスペースで映画を観るのは3日連続です

2019年、中国当局の締め付けにより自由が失われてゆく香港で、民主化を求める大規模デモが起きた デモの発端は、犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」が立法会に提出されたことだった 参加者たちは同案の完全撤回や普通選挙の導入などを5大要求として掲げ、6月16日には香港の人口の約3割を占める約200万人にまでデモ参加者が膨れ上がったと言われる デモ参加者には10代~30代の男女が目立ったが、70代の男性の姿も見られた。映画では、警察との衝突が激しさを増していく最前線の様子を中心に、中核的な組織体やリーダー不在の運動ながらもSNSを駆使して機動的に統制されていく実態が明らかにされていく 立法会、地下鉄駅、香港中文大学、香港理工大学など各地のデモの様子を約180日間にわたって記録し、大きな運動のウネリを多面的に描き出す 運動が激化するにつれ、逮捕者が増え、香港を離れる人も増えていく 民主化運動は「逃亡犯条例改正案」の撤回を勝ち取ったものの、2020年夏には、中国当局の意向を踏まえ、より強圧的な「香港国家安全維持法」が施行され、自由への制限・圧迫はますます強まっていく 当局は新型コロナウイルス感染症拡大を理由にデモを禁止し、言論・表現の自由は封じられる

 

     

 

この映画を観て印象的なシーンがいくつかあります。その一つは、立法会占拠のシーンです 急進派の学生たちが立法会の建物に突入して占拠した後、警官隊が逮捕に来るという情報が流れます 彼らは最後まで立て籠って警察に抵抗しようとしますが、穏健派の学生たちが建物に入り、引き上げるよう説得します 女子学生に「(これから警官隊が来るかもしれないときに)建物の中に入るのは怖くないか」と問うと、彼女は「中に4人の仲間がいます。その4人が(警察に連れていかれて)いなくなる方が怖いです」と答え、入っていきます その様子はSNSを通じて仲間たちに発信されますが、急進派の一人は後で彼女の言葉を知り涙が出た、と語ります 彼らにはお互いに思いやる心がある、と思わされるシーンです

2つ目は、警官隊に追われる時のデモ隊の鮮やかな逃走シーンです ブルース・リーの武術哲学と言われる「水のように」逃げていきます デモ参加者はスマホで連絡を取り合って集合し、「光復香港、時代革命」「香港人、加油(がんばれ)」と叫びながらデモを続け、警官隊に追われると「水のように」飛散していきます ドローンで上空から撮影されたデモ隊の逃走の様子はまるで水が四散してビルの谷間に流れて消えていくように見えます

3つ目は、最後のクレジットです 監督の名前でも製作者の名前でもなく「香港人作品」と表示されます これは、本作が一監督の作品ではなく、一人ひとりは「無名」だが、香港人が力を合わせて製作した「香港人の魂がこもった作品である」という意味が込められていると思います

それにしても酷すぎると思うのは警官隊の非情な暴力です 無抵抗な人々を数人で囲んで容赦なく警棒で殴る 報道陣にも襲い掛かり、最も酷いのは報道陣の目の前で若者を銃殺してしまう ところが、彼らは権力側の人間なので裁判にかけられても何の罪も問われません

2時間38分に及ぶこの映画でチョウ監督が一番言いたいことは何か? この映画の核心は何か? と考えるに、私は「香港と台湾を完全に吸収して一つの中国を完成させることにより、習近平の名が毛沢東らと並ぶ偉大な人物として歴史に残るようにするため、香港は犠牲にされている 次は台湾だ」ということではないか、と思います

周知の通り、香港は1997年7月1日に英国から中国に返還されましたが、中国はそれから50年間は「一国二制度」の元、香港に高度な自治を認めると約束していました しかし、習近平政権は上記の目的のため、その約束を反故にし、香港傀儡政権のもと「香港国家安全維持法」を根拠に香港人の言論・行動の自由を奪っているのです 中国共産党の強国路線・覇権主義は留まるところを知らず、次は台湾に向かい、尖閣列島、重要な海上輸送路である南シナ海に及ぶ可能性が高いと思います この映画を注意深く観ると、香港問題は日本にとって決して他人事ではないことが分かります

8月11日の朝日新聞朝刊「ひと」欄でキゥイ・チョウ監督が取り上げられています 超略すると次の通りです

「当局が放つ催涙弾やゴム弾を浴びながらカメラを構えた 『香港の自由を守るため、何ができるのか。映画人なら、大きな事件と一人一人の思いを映画に記録することだと思いました』と語る 中国という国家の安全に危害を与えることを禁じる香港国家安全維持法では、『革命』などの言葉を発することすら逮捕の理由になりうる この作品は、タイトルだけでも問題視されかねない 香港の劇場では公開できない。それでもスタッフでただ一人名前を明かす 『危険を承知で撮影や取材に応じてくれた人たちの思いを世界に伝える責任があります』。香港には家族と残る覚悟だ。東京、仏・カンヌの映画祭や台湾などで上映された。『映画館で見られる皆さんがうらやましい。今ある自由を大切にしてほしい』」

チョウ監督はよくこの映画を撮ってくれたと思います 命がけの覚悟がなければ実現不可能だったでしょう 彼の強い責任感と不屈の意思を無駄にしないためにも、彼の言葉を重く受け止めなければならないと思うと同時に、一人でも多くの人に観てほしいと思います

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