人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ストラヴィンスキーの室内楽~都響メンバーによる《20世紀音楽集》」を聴く~東京・春・音楽祭

2016年03月31日 07時39分24秒 | 日記

31日(木)。早いもので今日で3月も終わり。平成27年度も終わりです 昨日は天気が良かったので池袋まで歩き、西武デパートのリブロ跡に入居した三省堂書店に行って文庫本を物色しました。西口に回ると東京芸術劇場前広場の桜は8分咲きでした

 

          

 

ということで、わが家に来てから550日目を迎え、去りゆく平成27年度を惜しんでいるモコタロです

 

          

           平成27年度も今日で終わりかぁ いろいろあったなぁ

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「豚肉のソテー」と「生野菜とワカメのサラダ」を作りました。夜コンサートを控えているので超簡単メニューです

 

          

 

  も一度、閑話休題            

 

昨夕、上野の東京文化会館小ホールで「ストラヴィンスキーの室内楽~都響メンバーによる≪20世紀音楽集≫」コンサートを聴きました プログラムは①ストラヴィンスキー「イタリア組曲」、②同「クラリネット・ソロのための3つの小品」、③スリマ・ストラヴィンスキー「無伴奏ヴィオラ組曲」、④ストラヴィンスキー「エレジー」(ヴィオラ・ソロのための)、⑤武満徹「鳥が道に降りてきた」、⑥ストラヴィンスキー「ディヴェルティメント『バレエ《妖精の口づけ》より』」、⑥同「弦楽四重奏のための3つの小品」、⑦同「弦楽四重奏のためのコンチェルティーノ」、⑧同「七重奏曲」です

出演は、ヴァイオリン=四方恭子、吉岡麻貴子、ヴィオラ=鈴木学、チェロ=田中雅弘、クラリネット=三界秀実、ファゴット=岡本正之、ホルン=西條貴人、ピアノ=占部由美子です

 

          

 

自席はE列28番、右ブロック左通路側席です。会場はやっと6割方埋まっている感じでしょうか 実は私もこの公演のチケットを買うかどうか相当迷ったのです というのは、すべての上演曲目が初めて聴く”未知の曲”だったからです。ストラヴィンスキーで馴染みの曲と言えば「春の祭典」「ペトルーシュカ」「火の鳥」といった三大バレエ音楽と、あと数曲のみです それでも聴いてみようと思ったのは、室内楽だけ集めたコンサートも案外面白いかも知れない、という好奇心です 

 

          

 

1曲目の「イタリア組曲」はコンミスの四方恭子とピアノの占部由美子によって演奏されましたが、第1曲の音楽を聴いて「ああ、プルチネルラの音楽だ」と気が付きました この曲の原曲はディアギレフの依頼で1919~20年に書かれたバレエ音楽「プルチネルラ」(コメディア・デラルテの主人公の名前)なのです。唯一、この曲だけが分かりました

演奏曲目を一度も聴いたことがないというのは辛いものがあります どうしても終始 緊張して聴くことになり息つく余裕がありません それでも2曲目のクラリネットのソロによる作品は、この楽器特有の音色の変化を楽しむことが出来ました

次の「無伴奏ヴィオラ組曲」の作曲者であるスリマ・ストラヴィンスキーは、大作曲家の末っ子だそうです。父親が偉大過ぎて歴史に埋もれているようですが、ヴィオラの音色を活かした曲想で良かったと思います 続いて演奏された「エレジー」はプロ・アルテ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者を追悼するために作曲されたとのことですが、哀愁に満ちていました

意外だったのは、次に置かれた武満徹の「鳥が道に降りてきた」です オール・ストラヴィンスキー・プログラムの中に、なぜ武満を持ってきたのか、今一つ理由が分かりませんが、ストラヴィンスキーは来日時、偶然武満の音楽を聴く機会があり 高く評価したという話を聞いたことがあります そういう繋がりでプログラミングしたのかも知れません。ヴィオラの鈴木学とピアノの占部由美子による演奏ですが、これが実に素晴らしい演奏でした これまで、武満徹というと「なんだかなぁ~」という感じでしたが、この日の演奏を聴いて「武満徹もいいな」と思いました

 

          

 

20分の休憩後、後半のプログラムに入りますが、再び”未知との遭遇”で、緊張して聴きました 

最後に演奏された「七重奏曲」はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ホルン、ファゴット、クラリネット、ピアノの7つの楽器によって演奏されますが、ストラヴィンスキーが70歳頃に書かれたそうです 老人をまったく感じさせない意欲的な作品で、各楽器の音色が鮮やかに対比される音楽です

コンサートが終わるに当たって感じたのは、やっぱりまったく知らない曲ばかり聴くのは緊張が途切れず、辛いものがあるということです 一番いいのはCDで予習をしておくことですが、CDを持っていない場合(今回がそう)、コンサートの予習のためにわざわざCDを買うかという問題です これから何回も聴く音楽かどうかが買うかどうかの判断基準になりますが、私の場合、ストラヴィンスキーはそういう範疇に入りません 所有する約4,000枚のCDを あまり増やしたくないというのが本音です

 

          

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「恋人たち」「あん」を観る~生きる意味を問う映画~ギンレイホール

2016年03月30日 07時37分24秒 | 日記

30日(水)。わが家に来てから549日目を迎え、段ボール箱の下でリラックスするモコタロです

※耳が後ろに寝ているときはリラックスしている状態です。

 

          

                おいら ここが一番落ち着くんだよね

 

          

               背中かゆいなあ でも届かないし・・・・

 

          

           いつまで こっちを覗いてんの? NHK(日本ヒマ人協会)?

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「赤魚の粕漬け焼き」「生野菜のサラダ」「ホウレン草のお浸し」を作りました 「赤魚」っていったい何の魚なんでしょうね? アコウダイっていう魚があるけど 違うみたいだし

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで映画「恋人たち」と「あん」の2本立てを観ました

「恋人たち」は2015年、橋口亮舗監督による140分の長編映画です 

通り魔殺人事件によって妻を失った男、退屈な日常生活に突然現れた男に心が魅かれる平凡な主婦、同性愛者で完璧主義のエリート弁護士の3人が、それぞれの恋人たちとの間に繰り広げる悲劇と喜劇を描いています

 

          

 

この映画を観て気づくのは、3人の主役たちは名もない新人俳優だということです 監督自らがオーディションで選んだ無名の新人だそうです。映画の冒頭の篠原篤の独白のシーンを見ていると、セリフとは思えない自然さ、言ってみればドキュメンタリーを見ているような錯覚に陥ります 成嶋瞳子にしても池田良にしても同様です。どこにでもいるような普通の人たちが目の前にいます 監督の意図がぴったりはまった配役と言えるでしょう 3人はそれぞれ絶望の底に落ち込みますが、懸命に生き抜き、最後にかすかな希望が見えるのが救いです

 

          

 

2本目の「あん」は2015年、河瀬直美監督による113分の日本・フランス・ドイツ合作映画です

ある事件から刑務所暮らしを経験し、小さなどら焼きやの雇われ店長として日々を過ごす千太郎の店に、求人の貼り紙を見て一人の老女・徳江が訪ねてくる 彼女が作る美味しい粒あんが評判を呼んで店は繁盛していく しかし、徳江がかつてハンセン病を患っていたという噂が流れ、店は閑古鳥が鳴くようになり、千太郎は徳江を辞めさせなければならなくなる 徳江はおとなしく辞めて去ったが、千太郎は彼女が気になり、徳江と心を通わせていた近所の女子中学生ワカナとともに徳江の暮らす療養所を訪ねる 

 

          

 

この映画では、満開の桜のシーンが何回も出てきます。さすがカンヌ国際映画祭で新人監督賞やグランプリを受賞した河瀬直美監督だな、と思います 日本を印象付けるのはやっぱり桜です 

この映画は何といっても徳江を演じた樹木希林に尽きます 徳江が丁寧に作る「あん」のように演技に味わい深さがあります。この人は存在しているだけで何かを語っているようなところがあります

女子中学生のワカナを演じた内田伽羅は なかなか良い味を出しているな、と思って 後で調べたら樹木希林の孫娘だそうです どうりで存在感があるはずです

療養所を訪ねたワカナが徳江に「いつからここにいるのですか?」と尋ねると、彼女は「ワカナちゃんぐらいの時からかなぁ」と答えます。ハンセン病はその昔「らい病」と呼ばれ、患者は施設に隔離され「外の世界」と断絶されていたのです この映画は、何の束縛もなく自由に生きられることが いかに素晴らしいかを主張しているように思います

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ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第9番」、ブラームス「弦楽六重奏曲第1番」を聴く~第一生命ホール

2016年03月29日 07時31分08秒 | 日記

29日(火)。わが家に来てから548日目を迎え、2年前に埼玉の女子生徒が誘拐された事件の容疑者が逮捕された新聞記事を見て 何やらつぶやいているモコタロです

 

          

                       容疑者に尋ねた言葉は「誘拐したのは You かい?」だったとか

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「豚肉のアスパラガス巻き焼き」と「生野菜とワカメのサラダ」を作りました 「豚肉~」は黒コショウと塩で味付けし、レモン汁を絞って食べます。すごく美味しいです

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

当ブログの読者Nさんから戴いた「ブロワ珈琲焙煎所」の最後の袋を冷凍庫から出して、さっそくいただきました 東ティモール エルメラ産のレテフォホです。新調したばかりのペーパーレス・ドリッパーとコーヒー・サーバーで淹れるコーヒーは最高です

 

          

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日、晴海の第一生命ホールのロビーで「ロビーコンサート~室内楽アウトリーチセミナー講師と受講生による~」を聴きました プログラムはベートーヴェン「弦楽四重奏曲第9番ハ長調”ラズモフスキー第3番”」、②ブラームス「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」です 出演は、セミナー講師の松原勝也(ヴァイオリン)、ゲストの柳瀬省太(ヴィオラ)、同・久良木夏海(チェロ)、セミナー受講生の羽子岡智美(ヴァイオリン)、同・市川友佳子(ヴィオラ)、同・和泉景子(チェロ)です

 

          

 

11:45開場、12:15開演ということで、早めに昼食を取ってから ホール直下階のエスカレーターの踊り場で11:15から並びました 時間になると案内係が上の階のホール内「ホワイエ」まで案内してくれました。どうやら「ホワイエ」のスペースで演奏するようです。すでにパイプ椅子が100席近く並べられています。早めに並んだお陰でセンターブロック2列目の左通路側を押さえることができました 参加費無料ということもあって、80席くらいは埋まったでしょうか。演奏者はエスカレーターの壁を背にして演奏するようです

最初に主催者が、ヴァイオリニストの松原勝也とともに登場し、今回の「アウトリーチセミナー」についてインタビューの形で話を進めました それによると、オーディションで選ばれた受講生たちは講師とともに弦楽四重奏を組んで、1年かけてトリトン・アーツ・ネットワーク主催の小学校3校でのアウトリーチを実践したとのこと 松原氏の話によると、「コンサートは聴きたい人が聴きにくるので目的が明確だが、小学校は音楽の好きな子もいれば興味のない子もいる。そうした中で、いかにして一人でも多くの子どもたちに音楽への関心を高めていくかが課題となる。しかし、予想外の反応があったりして手応えもある」ということのようです 今回のロビー・コンサートはそうした活動の集大成とでも言うべき演奏会です

あらためて4人の演奏者が登場します。左から第1ヴァイオリン=松原勝也、第2ヴァイオリン=羽子岡智美、ヴィオラ=市川友佳子、チェロ=和泉景子という態勢です 松原は1989年から1998年にかけて新日本フィルのコンサートマスターを務めた人で、現在 東京藝大音楽学部教授です。女性陣は色とりどりの衣装に身を包まれていて春らしく華やかです

1曲目のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第9番ハ長調”ラズモフスキー第3番”」の演奏に入ります 終始 松原のリードで進められますが、他の3人は松原との間合いを取りながら演奏している様子が見て取れます。前から2列目で 第1ヴァイオリンがすごく近いので迫力のある演奏が直接耳に響いてきます やはり室内楽は出来るだけ演奏者に近い席で聴いた方が 演奏とともに彼らの息づかいが聞こえるので良いと思います

良い演奏というものは、演奏者が前面に出るのでなく作曲者が頭に浮かぶものですが、そういう意味では、4人の演奏は強くベートーヴェンの意志を感じさせる素晴らしい演奏でした 受講生たちに拍手を送ります

 

          

 

休憩後は、第1ヴィオラに読響首席の柳瀬省太、第2チェロに山形響の久良木夏海が加わり、ブラームス「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」が演奏されます 左から松原、羽子岡、柳瀬、市川、久良木、和泉という態勢ですが、チェロの2人以外は立って演奏します

この曲でも、第1ヴァイオリンの松原によるリードで進められますが、演奏を聴いていると つくづく良い曲だと思います とくに第2楽章「アンダンテ・マ・モデラート」における松原と柳瀬の掛け合いはロマンティシズムの極致をゆく素晴らしい演奏でした また、和泉景子のチェロ独奏もなかなか聴きごたえがありました この楽章は、先日のブログにも書きましたが、1958年ルイ・マル監督によるフランス映画「恋人たち」で使われて有名になりました

第3楽章「スケルツォ」では、松原がステップを踏みながら楽しそうに演奏していたのが印象的でした この楽章はそんな曲想です。そして第4楽章「ロンド」はいかにもブラームスらしい穏やかな曲想で、室内楽の良さが十二分に楽しめる音楽です 全楽章を通して言えるのは、ヴィオラに柳瀬省太が加わったことにより音楽の幅が広がり厚みが増したということです

大きな拍手に6人は「弦楽六重奏曲」の第3楽章「スケルツォ」をアンコールに演奏し、コンサートを締めくくりました

この公演は第一生命ホールを運営する「トリトン・アーツ・ネットワーク」による音楽推進事業ですが、こうした試みは是非これからも続けてほしいと思います 一昨日の「オペラの楽しみ~林美智子90分の『コジ』!」にしても、昨日のロビーコンサートにしても、第一生命ホールがらみの一連の音楽普及活動は素晴らしいと思います 企業メセナとして成功している事例と言えるでしょう

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「オペラの楽しみ~林美智子90分の『コジ』!」を聴く~アンサンブル・オペラの傑作をシンプルに!

2016年03月28日 07時29分54秒 | 日記

28日(月)。わが家に来てから547日目を迎え、上からのアングルで写されて不平不満を口にするモコタロです

 

          

               そういうのを 上から目線って言うんだぜ

 

  閑話休題  

 

昨日、晴海の第一生命ホールで「オペラの楽しみ 林美智子90分の『コジ』!」聴きました 『コジ』とは 言うまでもなくモーツアルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」(女はみなこうしたもの)のことです 正味3時間かかるオペラを90分でどうやって歌い 演じるのか、興味深々で出かけました

出演はフィオルディリージ(姉)に澤畑恵美、ドラヴェッラ(妹)に林美智子、フェランド(ドラヴェッラのフィアンセ)に望月哲也、グリエルモ(フィオルディリージのフィアンセ)に黒田博、ドン・アルフォンソ(哲学者)に池田直樹、デスピーナ(姉妹の侍女)に鵜木絵里、影の実力者(ピアノ演奏)は河原忠之です

 

          

 

自席は5列24番、センターブロック右通路側です。会場は9割方埋まっている感じでしょうか ステージ後方の上部には巨大スクリーンが設置されており、右サイド後方にはグランドピアノが、そして舞台上に出場者の顔写真を背もたれに張り付けた6つの椅子が並べられています

「どういう風に始めるのだろう?」と思っていると、最初に哲学者ドン・アルフォンソ役の池田直樹(バス)とピアノの河原忠之が登場、池田アルフォンソが、これから2人の若者に仕掛ける賭け(恋人が浮気をするかしないか)について語ります バスによるその語り口は まるでミュージカルの男優そのものです セリフ(もちろん日本語)だけで聴衆の心を把握できるのは流石だと思います そして、河原のピアノ独奏によって”序曲”が華々しく演奏されますが、その間に このオペラの主役たちが登場して、それぞれ自分の顔写真が付けられた椅子に座り、再び去っていきます。男性陣も女性陣も黒を基調とする衣装で統一し、聴衆の関心を歌に集中させようとする意図が感じられます

次に2人の若者が登場し、アルフォンソが賭けを提案しますが、グリエルモ役の黒田博が「賭けだって?まあ、野球じゃないからいいか」と時事ネタを披露すると、聴衆がドッと湧きました プロ野球しっかりせい そして、「私のドラベッラだけはそうじゃない」の二重唱を、次いでアルフォンソとの三重唱で「女というものは」と「美しいセレナードを」を歌います その間、スクリーンには日本語の対訳が表示され 聴衆を助けます 

次に2人の姉妹が登場し「妹よ、見てごらん」の二重唱を歌いますが、澤畑恵美と林美智子のアンサンブルはとても美しいですね 歌手たちは、時にステージを降りて客席の通路を歩きながら歌うシーンもあり、私のすぐそばを美しい澤畑恵美さんが美しいソプラノで歌いながら歩いて行ったときはドキがムネムネ、もとい、胸がドキドキしました 通路側席は時にこういうメリットもあるのでやめられません

そして、ドン・アルフォンソが軍服姿の2人の若者を庭園に招き入れます。突然の別れに嘆き悲しむ姉妹、神妙に戦争に赴く芝居をする2人の若者、賭けの仕掛け人ドン・アルフォンソによって別れの五重唱が歌われます。5人はそれぞれの椅子を小道具として巧みに使いまわしながらアリアを歌います アンサンブル・オペラの真骨頂です

ここで、いきなりピアノを弾いていた河原が白い横断幕を持って舞台前方に出て来ます 横断幕を見ると「それから88分09秒経過」と書かれています。聴衆が「どういう意味だ?」と訝っていると、河原が「は・や・お・く・り」と”解説”してピアノに戻ります。聴衆にバカ受けです

そしてドン・アルフォンソと2人の姉妹は2人の若者の航海の無事を祈り「さわやかに風よ吹け」の三重唱を歌います これもアンサンブルの魅力溢れる三重唱です

ここで、ドン・アルフォンソは姉妹の女中デスピーナ(鵜木絵里)を仲間に引き入れるのですが、このデスピーナが素晴らしい 鵜木絵里という人は、新国立オペラでお馴染みのソプラノですが、この役のようなコケティッシュな役をやらせたら右に出る者はいないほど役に”はまって”います 歌も素晴らしいし、演技も最高です

ここで、2人の若者は異国人に変装して姉妹の前に現れることになるのですが、私が興味を持ったのは二人の若者がどんな格好に変装して登場してくるかということです。再登場した2人を見て「なるほどね」と思いました 二人ともグラサン(サングラス)をかけて、黒田はワイシャツ姿、望月はベスト姿、つまり上着を脱いだだけの恰好なのです 「いかにお金をかけないことに命をかけるか」というプロデューサーの意気込みが伝わってきます まさに「シンプル・イズ・ベスト」。望月には「ベスト・ドレッサー賞」を授賞しましょうか

第1幕は男女2組とドン・アルフォンソ、医者に扮したデスピーナの六重唱による大混乱の中で幕を閉じます。モーツアルトのオペラは、「フィガロの結婚」にしても この「コジ・ファン・トゥッテ」にしても、第1幕のフィナーレは登場人物を総動員して大アンサンブルで終わりますね。この高揚感が堪りません

20分の休憩後は第2幕です。この幕でも二重唱、三重唱、三重唱、六重唱が歌われ、このオペラが「アンサンブル・オペラ」の理想形であることが証明されます

 

          

 

カーテンコールは全員がステージに並びましたが、歌手の一人一人に大きな拍手が寄せられました。澤畑恵美、林美智子の二人による二重唱はとても素晴らしかった さらに、林美智子は ソロのアリアをカットし 重唱のみによる90分公演のプロデューサーとして尽力した人です。こういう才能があるとは思いませんでした。素晴らしいと思います 望月哲也と黒田博は素晴らしい歌声に加え、ユーモア溢れる演技が予想外で、とても好感が持てました 池田直樹は役者としてもやっていけるのではないかとさえ思えるほど演技力抜群でした 鵜木絵里は、今後デスピーナが当たり役になりますね。どこかの歌劇場から絶対声がかかると思います そして、影の実力者である河原忠之は 只者ではありません。日本の歌手たちから引っ張りだこのピアニストであり、新国立劇場オペラ研修所の音楽主任講師も務め、2月には同研修所公演「フィガロの結婚」の指揮を担当しました

結論を言えば、今回の公演は「モーツアルトの歌劇はピアノ1台と歌手陣が揃っていれば、余計な舞台装置などいらないことを証明して見せた」ということです。私は今年に入ってから昨日まで39回コンサートを聴いてきましたが、最も印象に残るコンサートの一つだと言っても良いでしょう これ程レベルが高く、楽しく、しかも安い(一般4,000円)公演は他に望むことが困難です 私は余程のことがない限りアンケートには協力しないのですが、今回はどうしても書かずにはいられず、「次は『フィガロの結婚』を是非」と書いて提出しておきました 

この公演は第一生命ホールの「ライフサイクルコンサート」という位置づけですが、もっともっと今回のような素晴らしい企画を打ち出してほしいと思います。オペラは楽しい モーツアルト最高

 

          

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キタエンコ+東京交響楽団でショスタコーヴィチ「交響曲第5番ニ短調」他を聴く

2016年03月27日 09時21分08秒 | 日記

27日(日)。昨日は息子と買い物ツアーに出ました まず、日本橋高島屋に行って息子のワイシャツを仕立て、デパ地下のレストランRで昼食を取って、渋谷に出ました。息子の靴に穴が空いていて 早く買わないと梅雨になってから雨が染み込む、というので ついでに買い物に付き合ったのです 渋谷のABCマートに行きましたが、気に入った靴がなく、新宿店に移動しましたが、ここでも気に入らず、池袋店に来てやっと欲しい靴が見つかったようです 買い物については娘も妥協のない人間ですが、弟も負けず劣らず妥協のない人種のようです 付き合う方は疲れます

コーヒーサーバーを洗っているときに水道の蛇口の角にぶつけて一部割れてしまい、それが元で指を切ってしまったので 新しいのに買い替えることにしました 池袋の東急ハンズが靴屋に近かったので、そこで買いました。ついでにペーパー不要のドリッパーも買いました。長い目で見ればこちらが得です

 

          

 

ということで、わが家に来てから546日目を迎え、リビングに入ろうかどうか迷っているモコタロです

 

          

               中に入ろうかな どうしようかな

 

          

                おやつがあれば入るんだけどな

 

          

                   おやつないじゃん

 

          

              やっぱ 自宅に戻って寝ることにしようっと

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第638回定期演奏会を聴きました プログラムは①チャイコフスキー「歌劇”エフゲ二・オネーギン”」から「ポロネーズ」、②同「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」、③ショスタコーヴィチ「交響曲第5番ニ短調」で、②のヴァイオリン独奏は成田達輝、指揮はドミトリ・キタエンコです

 

          

 

会場に入って、いつもの通り4番口から入ろうとすると、両サイドにコンミスの大谷康子さんあての大きな花が飾られていました 「祝 新スタート」「祝 21年間ありがとう」と書かれています。これを見て「今日の東京公演と明日の川崎公演で大谷康子さんのコンミス姿も見納めか」と感慨深いものがありました。私は秋山和慶さんが常任指揮者だった頃からの定期会員ですが、10年くらいは大谷コンミス時代を聴いてきたことになります

オケのメンバーとともに大谷さんが大きな拍手に迎えられて登場、コンマス席に着きます ロマンスグレイのキタエンコが登場、1曲目のチャイコフスキーの歌劇「エフゲ二・オネーギン」から「ポロネーズ」の演奏に入ります 彼のタクトで冒頭の華やかな音楽が鳴った途端、会場は舞踏会の雰囲気に包まれました 私は、METライブビューイングで観たこの歌劇の舞踏会のシーンを思い出していました

2曲目は同じくチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です。ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーンと並ぶ4大ヴァイオリン協奏曲の1つですが、私はこの中でチャイコフスキーの作品が一番好きです

成田達輝がキタエンコとともに登場します 第1楽章「アレグロ・モデラート」成田は慎重に進めます。成田の本当の実力が発揮されたのは第2楽章「カンツォネッタ、アンダンテ」です。実によく歌うヴァイオリンです しかも音自体が非常にソフトで美しいのです。あらためてプログラムで確認すると、彼の使用楽器は 匿名の所有者から貸与されているガルネリ・デル・ジェス(1738年製)であることが分かりました。弱音でも遠くまで美しい音が飛びます

もちろん、最後の第3楽章での追い込みも見事でしたが、それを支えた管楽器群、とくにオーボエの荒木奏美、クラリネットの吉野亜希菜、ファゴットの福士マリ子、フルートの相澤政宏の演奏は聴きごたえがありました

気を良くした成田はバッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」から「ラルゴ」をしみじみと弾き、熱くなった聴衆をクールダウンしました

 

          

 

休憩後はショスタコーヴィチ「交響曲第5番ニ短調”革命”」です ステージ左サイドにはピアノ、ハープ2台、オルガンがスタンバイしています。この曲は管、弦、打、鍵盤楽器総動員の曲です

この曲の第1楽章冒頭を聴くと緊張します 「これは、当局から批判された第4番の名誉挽回を意図したものか、あるいは、スターリンに対する表に出せない怒りか」と考えてしまいます 第2楽章では途中、ヴァイオリン・ソロの部分がありますが、大谷康子さんの演奏は素晴らしかったです

第3楽章では、再び木管楽器群が活躍します。とくに荒木奏美のオーボエが素晴らしい 彼女は4月12日に上野学園・石橋メモリアルホールでオーボエ・リサイタルを開きますが、東響のメンバーも共演するようです。もちろん私も聴きに行きます。なお、彼女は東響の首席ですが、東京藝大在学中です

 

          

 

さて私が興味があるのは第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」をどういうテンポで開始するのか、ということです キタエンコは かなりゆったりとしたテンポで始めました。まるで重戦車がロシアの大地を進んでいくような重量感があります もちろん、そのまま最後まで続けるわけではなく、徐々にテンポアップしてフィナーレになだれ込むわけですが、オケは、もうこれ以上は無理、というほど持てる力を振り絞って演奏に集中し、大音響の中、圧倒的な迫力で曲を閉じます

何度もカーテンコールがあり、キタエンコはステージに呼び戻されましたが、ステージに向けた拍手はキタエンコへの拍手であるとともに、東京ではこの日が最後の大谷康子さんへ向けた拍手でもあったと思います 「21年の長きにわたりオケを束ねるコンミスをお務めいただき 本当にお疲れ様でした」という感謝の心が込められていました 聴衆の想いはきっと大谷さんに届いたと信じます

 

          

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バッハ・コレギウム・ジャパンでバッハ「マタイ受難曲」を聴く~日韓のバッハ歌いが競う

2016年03月26日 08時59分54秒 | 日記

26日(土)。わが家に来てから545日目を迎え、リビングのテーブルの下にたたずんで、「男はつらいよ」を口ずさむモコタロです

 

          

            どうせおいらはヤクザな兎 わかっちゃいるんだ妹よ ってか

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「豚肉の生姜焼き」「生野菜とシラスのサラダ」「ホウレン草のお浸し」を作りました またしてもキャベツは千切りならぬ百切りになってしまいました 原因は明らかです。キャベツの正しい切り方を知らないからです

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの第117回定期演奏会を聴きました プログラムはバッハの「マタイ受難曲BWV244」です 今回は「日韓バッハのスペシャリスト、ここに集う」という謳い文句で、日本のB.C.Jと韓国のバッハ・ゾリスデン・ソウルからバッハ歌いが揃いました。当初発表された出演者は、ハナ・ブラシコヴァ(ソプラノ1)、ソン・スンヨン(ソプラノⅡ)、青木洋也(カウンターテナー1)、ジョン・ミンホ(カウンターテナーⅡ)、パク・スンヒ(エヴァンゲリスト)、櫻田亮(テノール)、パク・スンヒョク(イエス)、浦野智行(バス1)、加来徹(バスⅡ)というメンバーでした

ところが会場に行ってみると、「出演者変更のお知らせ」が掲示されており、ハナ・ブラシコヴァが急病のため来日できなくなり、代わりに松井亜希がソプラノ1を務める、と書かれていました。この時点でガックリきました 彼女の透明な歌声を聴きたくて来たようなものだったからです まあ、代演で成功を手にする演奏家もいるから、やってみなければ分からないな、と自分に言い聞かせて素直に聴くことにしました

さて、この公演は3月の開催ですが、2016-2017シーズン第1回目のコンサートという位置づけです B.C.Jの定期演奏会は年度初めに「マタイ受難曲」か「ヨハネ受難曲」を演奏するのが習わしのようになっています。「マタイ」や「ヨハネ」を聴くたびに また1年が経ったんだな、と感慨にふけります

 

          

 

S席からA席に移って初めての定期演奏会です。以前は21列21番とほぼセンターの通路側でしたが、今度はずっと下がって後ろから3列目です。それでも長い間定期会員になっている功績が認められ(?)てか、通路側席が確保できました 会場は例年通り「マタイ」の時は ほぼ満席です 私は前回から公演プログラムを買わないことにしています。とくに今回は1冊1,600円と通常より500円も高い設定なのでなおさら買う気が起きません したがって、出演している演奏家はレギュラー以外はまったく分かりません。でも仕方ないことです

 

          

 

「マタイ受難曲」の時は、オケが左右対称の態勢をとります。向かって左側に第1群が、右側に第2群が配置されます 第1群のコンマスは寺神戸亮、第2群のコンマスは若松夏美。第1群にはフラウト・トラヴェルソの前田りり子、菅きよみ、オーボエの三宮正満、チェンバロの鈴木優人らB.C.Jを代表する古楽器演奏家が揃っています 日韓合同合唱団が入場し、2階パイプオルガンの下のバルコニーには13名の子どもたち(中高生か)がスタンバイします

鈴木雅明の指揮で1曲目「序:シオンの娘の対話」が演奏されます この曲を聴くと「さあ、これから正味3時間のバッハへの旅が始まるぞ」という気持ちになります。と、そこまでは良かったのですが、この曲が終わるや否や、後方の扉が開く音がして、ドヤドヤと遅刻者が入場してきました 通常は7時開演のところ、休憩時間を入れて3時間半かかる「マタイ」ですから開場が6時半と30分早まります。したがって、いつもは遅刻しない人が遅刻してしまうのはある程度仕方のないことだと思います が、ドヤドヤは止めてほしいと思います。あくまでも演奏の途中での入場なのですから、出来るだけ音を立てないように静かに歩いて 静かに席に着いてほしいと思います 音を立てない歩き方というのがあるのです。それが出来ない人は『下品な人』と呼ばれるのを覚悟しなくてはなりません

この曲は途中20分間の休憩を挟んで第1部と第2部とに分かれていますが、第1部での松井亜希と青木洋也の二重唱は聴きごたえがありました また、ソリストの中で一番良かったのは韓国ではイエスを歌ったパク・スンヒョク、日本ではカウンターテナーの青木洋也だったと思います とくに青木洋也はこのところメキメキと力を付けてきており、安定した歌声を聴かせてくれるようになりました。かつてはロビン・ブレイズの陰に隠れて目立たない存在でしたが、今や前面に出て堂々たる態度で歌っています

歌手と同じくらい 私がこの曲で楽しみにしているのは、歌手の歌に伴奏を付ける管楽器や弦楽器の演奏です フラウト・トラヴェルソの前田りり子と菅きよみの演奏、オーボエ&オーボエ・ダ・カッチャの三宮正満の演奏、ヴァイオリンの寺神戸亮、若松夏美の演奏、チェロの武澤秀平の演奏・・・・彼らの演奏は何回聴いても素晴らしいものがあります。いずれも伴奏の域を超越しており、演奏そのものが芸術です

毎年「マタイ」を聴いて思うのは、バッハはよくこんなに長い、しかも充実した曲を書いたものだな、ということです 最後の「哀悼と告別」が終わると、しばし しじまが訪れ、鈴木雅明の両手が下りると会場いっぱいのブラボーと拍手がステージに押し寄せました。例年の年中行事とは言え、いつも感動的なものがあります。1年後に「マタイ」を聴くとき 自分はどういう状況下にあるのだろうか、といつも思います

 

          

 

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「N響メンバーによる室内楽~ブラームス弦楽六重奏曲第2番」他を聴く~東京・春・音楽祭

2016年03月25日 07時45分26秒 | 日記

25日(金)。わが家に来てから544日目を迎え、足裏ツボ・マッサージ器具に遭遇して 利用方法を考えているモコタロです

 

          

                お兄ちゃんが「ツボ・ゾーン」を買ってきたよ

 

          

                                        これ どうやって使うんだろう・・・・?

 

          

             上に乗って使うらしいけど ぼくの足には合わないなぁ サイズが

 

          

                                  どうも ぼくには無縁の道具らしいな だいいち 食べられないし・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「ウインナ入り玉子焼き」と「生野菜とワカメとシラスのサラダ」を作りました 昨日は下記の通り超多忙だったため、料理とまでは言えない超簡単メニューを作りました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で「この国の空」と「さよなら歌舞伎町」の2本立てを観ました

「この国の空」は荒井晴彦監督による2015年制作の映画で、1945年、戦争末期の東京・杉並区が舞台です

空襲の脅威に晒されながら食糧事情が悪い中、19歳の里子(二階堂ふみ)は母(工藤夕貴)や叔母とつつましく暮らしていた 隣に住む市毛(長谷川博己)は徴兵検査で丙種となり赤紙を逃れ、妻子を疎開させて一人東京に住んでいた。いよいよ敵国が本土に上陸かという不安に怯える市毛に対し、結婚など望むべきもない状況の中、何も知らずに死んでいくのかという不安を抱える里子は、いつしか女が目覚めていく

 

          

 

この映画の冒頭に、メンデルスゾーンの有名な「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」の冒頭部分が無伴奏のヴァイオリンで奏でられます 市毛がかつてヴァイオリンで身を立てようとして挫折したことが後で語られます 第1楽章はまさに”ロマンティック”の極みと言ってもよいほどの曲想で、市毛と里子の求め合う心を表しているかのようです しかし、第3楽章の喜びの音楽は、市毛に訪れても里子には訪れません。それは最後の里子の独白に現れています。「戦争が終わって、この日から私の戦いが始まった

言うまでもなく、戦争が終わると 市毛は妻子を迎い入れ また元の生活に戻れるが、里子はおそらく市毛の子を宿していて、これから厳しい人生を歩まなければならない、ということを暗示しています 戦争が終わって誰もが万歳ではなかったということです

里子を演じた二階堂ふみは、園子温監督映画「ヒミズ」で、第68回ヴェネツィア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞に該当)を受賞していますが、私としては、それほど強い印象は残りませんでした むしろ、彼女の存在を認めたのは同じ園子温監督の「地獄でなぜ悪い」でヤクザの娘ミツコを演じた二階堂ふみです 彼女は激しい動きのある役柄の方が魅力があるように思います

 

          

 

2本目の「さよなら歌舞伎町」は廣木隆一監督による2014年制作映画です 歌舞伎町の一角にあるラブホテルの店長・徹(染谷将太)は、プロのミュージシャンを目指す沙耶(前田敦子)と同棲しているが、倦怠感が漂っている この映画はそのラブホテルに出入りする何組かのカップルの一日の出来事を描いた作品です

 

          

 

店長の徹を演じた染谷将太は、二階堂ふみとともに「ヒミズ」で第68回ヴェネツィア国際音楽祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞しています 「今はこんなラブホテルの店長なんかをやっているが、本当の自分は一流ホテルのホテルマンになるべき人間なんだ」という 若者が陥りがちな 独りよがりで自尊心丸出しの しがない店長を見事に演じています AKB48卒の前田敦子は、涙を流しながらギターを弾いて歌う演技が真に迫っていました 「孤独のグルメ」の”井の頭五郎”でお馴染みの松重豊が、もうすぐ時効を迎える逃走犯を演じているのも見ものです 笑いにぺーソスが加わったブラック・コメディの傑作と言っておきましょう

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨夕、上野の国立科学博物館「日本館講堂」で「N響メンバーによる室内楽~ブラーム弦楽四重奏曲全曲演奏Ⅰ」を聴きました プログラムは①シューマン「弦楽四重奏曲第1番イ短調」、②ブラームス「弦楽四重奏曲第3番変ロ長調」、③同「弦楽六重奏曲第2番ト長調」です 出演は、ヴァイオリン=山口裕之、宇根京子、ヴィオラ=飛澤浩人、川崎和憲、チェロ=藤村俊介、木越洋です

 

          

 

全自由席です。会場の国立科学博物館の入口に開場時間の6時半に着いたら、すでに長蛇の列ができていて整理番号札を配っていました。私は72番。相当出遅れです それでも日本館のセンターブロック7列目、右通路側席を押さえました。200数十名は入るのでしょうか。会場はほぼ満席です

演奏者が登場します。左から第1ヴァイオリン=山口、第2ヴァイオリン=宇根、チェロ=藤村、ヴィオラ=飛澤という編成です

1曲目はシューマン「弦楽四重奏曲第1番イ短調」です。シューマンは1842年に3つの弦楽四重奏曲を書きましたが、これは最初の曲です 私はこの曲を聴くのは初めてです。CDを持っていないので予習が出来なかったため、ぶっつけ本番で聴きました そのせいか、どうもしっくりこないのです。4人の奏者がかみ合っていないように感じます。それは次のブラームス「弦楽四重奏曲第3番」でも同様でした この曲については、イタリア弦楽四重奏団の演奏によるCDで予習していたので、曲想については頭に入っていたのですが、どうも引っかかるのです。アンサンブルがしっくりいっていない、どうも両サイドの奏者に問題があるような気がします。それでも第4楽章までくるとさすがにかみ合ってきてフィナーレを迎えました

 

          

 

休憩後は、ブラームス「弦楽六重奏曲第2番」です 奏者が2人加わり、左から山口、宇根、藤村、木越、飛澤、川崎という編成をとります。この曲は1866年に初演されました。演奏は、N響と新日本フィルで首席チェロ奏者を務めた木越洋と、N響で首席ヴィオラ奏者を務めた川崎和憲の二人が加わったことにより、全体的に安定感が増し、アンサンブルが見事にかみ合ってきました N響の演奏者たちは人数が多くなるほど良い演奏をするのだろうか、などと余計なことを考えてしまいました

6人はアンコールにブラームス「弦楽六重奏曲第1番」から第4楽章「ロンド。ポコ・アレグレット・エ・グラチオーソ」を演奏し、大きな拍手を受けました この曲の第2楽章「アンダンテ・マ・モデラート」は哀愁に満ちたロマンティックな曲で、1958年 ルイ・マル監督のフランス映画「恋人たち」にも使われて有名になりましたが、全楽章とも素晴らしい音楽です

 

          

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高関健+東京シティ・フィルでブルックナー「交響曲第4番”ロマンティック”」他を聴く

2016年03月24日 07時52分29秒 | 日記

24日(木)。わが家に来てから543日目を迎え、大好物の干しパパイヤをほおばるモコタロです

 

          

                 パパイヤ最高にウマいんだよね~

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「白菜とひき肉のうま煮」と「生野菜とシラスのサラダ」を作りました 先日、1.1キロの「鶏のから揚げ」を作った時、下味用に作った「香味醤油」が残っていたので使いましたが、これが大正解でした 自分で作っておいて言うのも何ですが、本当に美味しくできました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで東京シティ・フィルの演奏会を聴きました これは「2016都民芸術フェスティバル」の一環として開かれた公演です。プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K467」、②ブルックナー「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」です。①のピアノ独奏は山元香那子、指揮は常任指揮者・高関健です

 

          

 

自席は2階F列25番、センターブロック左から3つ入った席です。会場はほぼ満席 オケの面々が入場して配置に着きます。高関健の時はヴァイオリンが左右に分かれる対向配置をとります。コントラバスとチェロは左サイドです コンマス松野弘明の合図でチューニングが行われ、ソリストの山元香那子が純白のラメ入りドレスで高関とともに登場します 山元香那子は国立音楽大学大学院修士課程修了、国際ウィーンピアニストコンクール第3位とのことです

高関のタクトで第1楽章「アレグロ・マエストーソ」が軽快に始まります モーツアルトのピアノ協奏曲は一部の曲を除いて、長い序奏の後にピアノが女王のごとく鮮やかに登場します 山元のピアノは高関の指揮に呼応して軽快に奏でられます。第2楽章「アンダンテ」は1967年スウェーデン映画「短くも美しく燃え」で使われて有名になった曲です 高関は、ちょっと速めか、と思われるテンポで開始しますが、ピアノが入ってくると適切なテンポであることが感じられます 毎年5月の連休に東京国際フォーラムで開かれているラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの第2回目は「モーツアルト」がチューチャーされていましたが、この曲がフォーラムの広場の大スクリーンに何度も繰り返し流されていたのを懐かしく思い出します

第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」にはカデンツァがありますが、聴きなれないメロディーでした モーツアルト自身のではないと思いますが、誰のカデンツァだろうか?誰のであれ、山元のピアノは優雅に、そして流麗に流れていました

 

          

 

休憩後はブルックナー「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」です ブルックナーは、この曲を1874年11月に完成しましたが、誰も演奏してくれませんでした そこで、彼は演奏してもらうために改訂作業に取り組みます そして、7年後の1881年2月にやっとハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルの演奏により初演に漕ぎ着けました

「ロマンティック」という題名はブルックナー自身が付けたものですが、われわれが良く使う「ロマンティックな音楽」という言い方よりも、むしろ「ロマン的な音楽」と解した方が相応しいと思われます

第1楽章冒頭は、いわゆる”ブルックナー開始”と言われるもので、弦楽器のトレモロ奏法を背景に、ホルンがテーマを奏でます ホルンは出番が多くて大変ですが、頑張ってます 第3楽章はスケルツォですが、ブルックナーのスケルツォは独特です。ちょっと聴いただけでブルックナーだ、と分かります そして第4楽章フィナーレは圧巻です。次々と音の大波が押し寄せてくる感じです 管楽器を聴いていて特に素晴らしいと思ったのはフルートです。全楽章を通じて冴えわたっていました

高関健はテキパキと”交通整理”をして音の大伽藍を築き上げます 彼の指揮ぶりを見ていて いつも思うのは、高関健という人は”職人気質の指揮者ではないだろうか”ということです 実にそつがなく、要所要所をビシッと決めていきます。指揮が正確なので楽員は演奏しやすいのではないかと想像します

この人を昨年4月から常任監督に迎えた東京シティ・フィルの判断は正解だったと思います 正解ついでに言うと、今回の都民芸術フェスティバル「オーケストラ・シリーズ」に参加した8つのオケ(日本フィル、新日本フィル、東響、東京フィル、N響、都響、読響、東京シティ・フィル)の中で、常任指揮者自らが指揮をしたのは東京シティ・フィルだけです 定期演奏会でない「フェスティバル」コンサートこそ、定期会員獲得のための絶好のチャンスのはず それを意識して常任指揮者を投入した東京シティ・フィルの意気込みは買うべきだと思います

ついでに言えば、高関+東京シティ・フィルは昨年夏の「フェスタ・サマーミューザ」でベートーヴェンの「第9」を取り上げ「やってやろうじゃねえか」という意欲を見せつけました 先日、7月定期公演(ブルックナー「第9」、「テ・デウム」)のチケットを買ったばかりですが、今年は東京シティ・フィルが面白いと思います

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「ヴィンセントが教えてくれたこと」「エール!」を観る~ギンレイホール

2016年03月23日 07時41分36秒 | 日記

23日(水)。わが家に来てから542日目を迎え、ゲージに前足をかけて おやつをねだるモコタロです

 

          

           ぼくはおやつに目がないんだよ・・・(ホントだ!目がない!)

 

  閑話休題  

 

昨日は、夕食に「豚肉のスペアリブ」と「生野菜とワカメとシラスのサラダ」を作りました スペアリブは中まで火を通すのに時間がかかりますね

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「ヴィンセントが教えてくれたこと」と「エール!」の2本立て映画を観ました

「ヴィンセントが教えくれたこと」は2014年、セオドア・メルフィ監督によるアメリカ映画です 酒とギャンブルを生涯の友とするチョイ悪オヤジのヴィンセント(ビル・マーレイ)は、誰も愛さないし誰からも愛されないようなひねくれ者 そんな彼の家の隣にシングルマザーのマギー(メリッサ・マッカーシー)が12歳の息子オリバー(ジェイデン・リーベラー)とともに引っ越してくる。仕事で遅くなるマギーはヴィンセントにオリバーのシッターを依頼するが、ヴィンセントは、オリバーを行きつけのバーや競馬場に連れ歩き、バーでの注文の仕方や競馬のオッズの計算方法などを教えるほか、いじめっ子の鼻のへし折り方などを教え込む マギーはクレームを付けるが、彼は意に介さない しかし、オリバーは彼と一緒に行動していくうちに、ヴィンセントの優しい側面に接し、何とか彼の想いを周囲の人たちに伝えようとする。ちょうどその頃、学校で「身近な”聖人”を見出し、なぜ聖人なのかを発表するように」という課題が出される。オリバーはヴィンセントを”聖人”に選ぶ

 

          

 

まあ、映画だからいいようなものの、普通の母親だったらマギーのように「あんたに子供を預けたのが間違いだったわ」と言いたくなるでしょう。なにしろ、小学生をバーや競馬場に連れていってしまうのですから その半面、どんなチョイ悪オヤジにも弱点があるし、それを表に出さないようにしてツッパッて生きていく姿勢にも若干の共感を覚えたりします

2本目の「エール!」は2014年、エリック・ラルティゴ監督によるフランス映画です

フランスの田舎町で酪農を営むベリエ家は、高校生のポーラ以外、父も母も弟も全員耳が聴こえない ある日、ポーラの歌声を聴いた音楽教師は彼女の才能を見い出し、パリの音楽学校のオーディションを受けることを進める 田舎から都会へと夢が膨らむポーラだったが、彼女の歌声を聴くことが出来ない家族は彼女の才能を信じることが出来ず、彼女が家から居なくなることによる不安を訴え パリ行きに反対する ポーラは自分が家を出たら家族が困る、と一旦は諦め、音楽教師にオーディションは受けないと伝えるが、悩んだ末に夢に挑戦することを決心する そして、オーディションに駆けつけた家族の前で手話を交えて 自分の想いが込められた歌を歌う

          

          

 

ポーラを演じたルアンヌ・エメラはフランスで人気の歌オーディション番組「The Voice」で”奇跡の歌声”と称賛され、歌手としても活躍しているとのことです  歌はもちろん上手ですが、演技もなかなかのものです 自分自身のオーディションの経験を活かして演じていたのかも知れません エメラ以外で感心したのは、母親役を演じたカリン・ヴィアールという女優です。「幸せの雨傘」という映画に出演しているそうですが、驚くべき迫真の演技です

どこの国でも、親や兄弟は、その子に 夢があり才能があるなら 喜んで送り出すべきものなのでしょう  そんなことを思いながら観ていました

 

          

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花房晴美「パリ・音楽のアトリエ」、東京シティ・フィル「ブルックナー第9番」のチケットを買う

2016年03月22日 07時31分01秒 | 日記

22日(火)。昨日、埼玉県S市の実家に行き墓参りをしてきました。朝出かける時は寒ささえ感じていたのに、帰宅する3時ごろにはぽかぽかと暖かい陽気に変わっていて、春を感じました ということで、わが家に来てから541日目を迎え、一層の飛躍を目指すかどうか迷っているモコタロです

 

          

            さて ここから 飛び降りたものかどうか・・ウサギ飛びで

 

  閑話休題  

 

コンサート・チケットを2枚買いました 1枚目は4月22日(金)午後7時から東京文化会館小ホールで開かれる「花房晴美 室内楽シリーズ パリ・音楽のアトリエ 第11集 Chic  &  Shock」です プログラムは、エリック・サティの「グノシュエンヌ第1番」、「同・第4番」、「スポーツと気晴らし」、「猫のシャンソン」、「あなたがほしい」他、ストラヴィンスキーの「タンゴ」、「春の祭典(2台ピアノ版)」です このシリーズは日程が空いている限り聴くようにしています

 

          

          

 

2枚目は7月5日(火)午後7時から東京オペラシティコンサートホールで開かれる東京シティ・フィル第299回定期演奏会です。プログラムは①ブルックナー「テ・デウム」、②同「交響曲第9番ニ短調」(いずれもノヴァーク版)です ①のソプラノ=安井陽子、メゾ・ソプラノ=増田弥生、テノール=福井敬、バス=清水那由太、指揮は桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎です

明日、常任指揮者・高関健+東京シティ・フィルでブルックナー「交響曲第4番”ロマンティック”」を聴きますが、飯守泰次郎+東京シティ・フィルの演奏を聴くのは久しぶりです

 

          

          

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