人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

秋山和慶 ✕ 洗足学園音楽大学 ✕ 谷桃子バレエ団・東京シティ・バレエ団・牧阿佐美バレエ団 他でグラズノフ「ライモンダ」、ボロディン「イーゴリ公」、ドリーブ「コッペリア」の抜粋を鑑賞する

2021年07月31日 07時18分21秒 | 日記

31日(土)。早いもので7月も今日で終わりです でもコロナもオリンピックもまだ終わっていません 明日からの8月は何が待ち構えているのでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で2394日目を迎え、日本と米国、台湾の有力議員らによる初の「日米台戦略会議」が29日、ウェブ会議形式で開催され、主催した超党派の議員連盟「日華議員懇談会」顧問である自民党の安倍晋三前首相は、中国による軍事的覇権拡大の動きに懸念を示し、新疆ウイグル自治区や香港での人権侵害に警戒感をあらわにし、「香港で起こったことが、台湾で起こってはならない」と強調した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     珍しくご主人様と意見が一致したけど  モリカケサクラ問題は忘れていないってさ

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」を作りました 鶏の唐揚げとチキンステーキを1週間おきに作るサイクルが定着してきたような気がします

 

     

 

         

 

昨日、ミューザ川崎で「フェスタサマーミューザ」参加公演、洗足学園大学のコンサートを鑑賞しました 普段バレエを鑑賞する習慣のない私にとって、この公演は1年でただ1度のバレエ公演です 昨年はコロナ禍の影響で中止になったので2年ぶりです 「フェスタサマーミューザ」の中で、この公演だけは理屈抜きに楽しもうと思っています

プログラムは①グラズノフ:バレエ音楽「ライモンダ」から第1幕、第2幕の名曲選、②ボロディン:歌劇「イーゴリ公」から「だったん人の娘の踊り」「だったん人の踊り」、③ドリーブ:バレエ音楽「コッペリア」から第1幕、第3幕です

出演は、管弦楽=洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団、バレエ=谷桃子バレエ団、東京シティ・バレエ団、牧阿佐美バレエ団、洗足学園音楽大学バレエコース学生(4年生中心)、指揮=秋山和慶(洗足学園音楽大学芸術監督)です

 

     

 

自席は2CA1列30番、2階席の最前列、最良の席です バレエは1階席で観ていては全体像が把握できない、2階以上からステージを見下ろして初めて全体像が俯瞰できるのではないかと思います 会場は1階席と2階席に客を入れていますが、結構入っています 出演学生の家族、友人・知人、洗足学園を受験する高校生、バレエ教室に通う将来のバレリーナ、オリンピックに興味がなく行き場のない高齢層など、さまざまな観衆が集まりました 通常のコンサートと異なるのは若い人、とくに女性が多いということです 通常のコンサートでは特に男性トイレに長蛇の列ができますが、本公演では男女ともまったく列が見られませんでした 途中休憩(15分)が2回あることも要因の一つかもしれません

ステージの奧に学生オーケストラがスタンバイし、その手前のスペースでバレエが踊られます オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びです。コンマスは女性です

1曲目はグラズノフ:バレエ音楽「ライモンダ」から第1幕、第2幕(抜粋)です この曲はアレクサンドル・グラズノフ(1865‐1936)が1897年に作曲、翌1898年1月にサンクトペテルブルクの帝室マリインスキー劇場で初演されました ヒロインのライモンダは南仏プロヴァンスの城のお姫様です。婚約者の騎士ジャン・ド・ブリエンヌが十字軍の遠征中に、サラセンの騎士に襲われるが、帰還したジャンに救われ、二人は目出度く結ばれるというストーリーです 舞台は第1幕がフランス、第2幕がアラブ、第3幕がハンガリーと3カ国にまたがって展開しますが、本公演は第1幕と第2幕からの抜粋です

ダンサーのバレエを観ていて思うのは、よく脚がつらないなぁということです 特に印象に残ったのはプリンシパルの奧山紗希子さん(間違ってないだろうな)のアラブの踊りです

 

     

 

2曲目はボロディン:歌劇「イーゴリ公」から「だったん人の娘の踊り」「だったん人の踊り」です この曲はアレクサンドル・ボロディン(1833‐1887)の未完の歌劇で、作曲家の死後、リムスキー・コルサコフとグラズノフによって全4幕が完成、1890年にサンクトペテルブルクの帝室マリインスキー劇場で初演されました

この作品のバレエの大きな特徴は男性のバレエが見られることです 勇壮なテーマに合わせて群舞が踊られます 学生オケは、この時とばかりに会場を震わせるほどの迫力のある演奏を展開し、存在感を示します

 

     

 

最後はドリーブ:バレエ音楽「コッペリア」から第1幕、第3幕です この曲はレオ・ドリーブ(1836-1891)がドイツの幻想怪奇作家ホフマンの「砂男」を原作にしたバレエで、1870年にパリ・オペラ座で初演されました 物語は、人形師コッペリウスの作った人形コッペリアを巡って、スワニルダとフランツの恋人たちの間に誤解が生じるが、真実が分かって全て丸く収まるという喜劇的な内容です 第1幕が村の広場、第2幕がコッペリウスの仕事場、第3幕が「鐘の祭り」と題されたスワニルダとフランツの結婚式です 本公演では第1幕と第3幕から抜粋して踊られます

第3幕でスワニルダを踊った新里茉莉絵は上手いなぁと思ったら、東京シティ・バレエ団所属のバレリーナでした また、フランツを踊った本間響はプロかと思いましたが、何と3年生とのこと。将来が楽しみです

娘が小学校の6年間バレエ教室に通っていたので、発表会などでバレエに接する機会はありあましたが、今はほとんどありません それだけに貴重な機会でしたが、今回も十分楽しめました

オペラが総合芸術だとすれば、バレエも総合芸術だと言えるかもしれません バレエも年1回ではなく、定期的に観ていれば愛着も湧くし、内容も理解できるようになると思います しかし、現在以上に興味のジャンルを広げることは簡単にはできません その前に、クラシック・コンサート年間200回の目標を達成しなければなりません しかしコロナ禍のもと、現実には厳しいものがあります

 

     

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下野竜也 ✕ 小山実稚恵 ✕ 東京シティ・フィルで伊福部昭「ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲」、バーバー「交響曲第1番」「弦楽のためのアダージョ」を聴く

2021年07月30日 07時14分46秒 | 日記

30日(金)。わが家に来てから今日で2393日目を迎え、東京五輪選手村の居室内に置かれた段ボール製ベッドの上でイスラエル選手ら9人が飛び跳ね、破壊する様子を写した動画がインターネット上に掲載され物議を醸している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     図らずもイスラエル選手のモラルの低さを証明する出来事になってしまった 残念!

 

         

 

昨日、夕食に「牛豚バラ肉カレーライス」と「生野菜サラダ」を作りました 夏はカレーが食べたくなります。お酒はワインですね

 

     

 

         

 

28日(水)午後7時から東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第343回定期演奏会」を聴きました プログラムは①バーバー「弦楽のためのアダージョ 作品11」、②同「交響曲第1番 作品9」、③伊福部昭「ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲」です 演奏は③のピアノ独奏=小山実稚恵、指揮=下野竜也です

 

     

 

東京都は現在、新型コロナに係る緊急事態宣言下にあるので、宣言に基づく入場制限のためか、会場の後方はがら空きです せっかく良い企画なのに惜しいと思います

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの編成。コンマスは長年 東京フィルのコンマスを務め、現在は東京シティ・フィルの特別客員コンマスを務める荒井英治です チェロのトップにはクァルテット・エクセルシオのチェリストでもある客員首席チェロ・大友肇がスタンバイします 私は大友氏のチェロが大好きです

1曲目はバーバー「弦楽のためのアダージョ 作品11」です この曲はサミュエル・バーバー(1910‐1981)が1936年に留学先のローマで作曲した「弦楽四重奏曲 ロ短調 作品11」の第2楽章を、翌年の1937年に弦楽合奏用に編曲したものです 私はこの曲を聴くとデイヴィッド・リンチ監督による1980年製作映画「エレファントマン」を思い出します

下野の指揮で演奏に入ります。静謐で緻密なアンサンブルが心に沁みわたります 東京シティ・フィルの定期会員になってまだ半年にもなっていませんが、精魂込めた弦楽合奏の素晴らしさは特筆に値します

2曲目はバーバー「交響曲第1番 ホ短調 作品9」です この曲は1935年から翌36年にかけて作曲、1936年にローマで初演されました 単一楽章の作品ですが、実質的に 第1部「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2部「アレグロ・モルト」、第3部「アンダンテ・トランクィロ」、第4部「コン・モート」の4つの部分から成ります

下野の指揮で第1楽章に入ります 冒頭の木管と弦楽器との演奏を聴いていて、なぜか「和風のテイスト」を感じました どこかで伊福部昭の音楽に繋がっているような気がしたのです 2人はほぼ同じ時代を生きたので、同じように時代の雰囲気を感じ取っていたのかもしれません 第3楽章ではオーボエの本多啓祐の演奏が印象的でした 全体を通してホルン、トランペット、トロンボーン、チューバといった金管楽器が良く鳴っていました

 

     

 

プログラム後半は伊福部昭「ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲」です この曲は伊福部昭(1914‐2006)が1941年に作曲、翌42年3月に松隈陽子のピアノ、グルリット指揮東京交響楽団(現在の東京フィル)により初演されました 第1楽章「ヴィヴァーチェ・メカ二コ」、第2楽章「レント・コン・マリンコニア」、第3楽章「アレグロ・バルバロ」の3楽章から成ります

小山実稚恵がピアノに向かい、下野の指揮で第1楽章に入ります 冒頭から伊福部昭のトレードマークとも言えるリズミカルなオスティナートが展開します 激しく打ち降ろされる独奏ピアノは鍵盤楽器というよりも打楽器として使われています ピアノは協奏曲の主役というよりもオーケストラの一部といった印象を受けます 第2楽章は一転、静謐な世界が繰り広げられます。オーボエのソロ、イングリッシュホルンのソロが郷愁を誘います 極めつけは竹山愛による抒情的な長いソロです 第3楽章に入ると、再び伊福部ワールドが全開します 北国の広大な大地に根差した民族的な音楽が強烈なアクセントで展開し、圧倒的なフィナーレを迎えます

熱演の小山実稚恵が何度もカーテンコールに呼ばれます 「つくづく伊福部昭はいい」と思います。東京シティ・フィルには今後も、どんどん伊福部作品を取り上げてほしいと思います

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N響メンバーによる室内合奏団でマーラー「交響曲第4番」(室内楽版)、ヨハン・シュトラウスⅡ世「南国のバラ」他を聴く ~ フェスタサマーミューザ参加公演

2021年07月29日 08時02分16秒 | 日記

29日(木)その2.よい子は「その1」も見てね。モコタロはそちらに出演しています

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ」参加公演、「N響メンバーによる室内合奏団」のコンサートを聴きました 本公演のテーマは「新たな時代に蘇る世紀末ウィーンの香り」です

プログラムは①ヨハン・シュトラウスⅡ世「南国のバラ」(シェーンベルク編)、②同:喜歌劇「ジプシー男爵」から「宝石のワルツ」(ウェーベルン編)、③同:「酒・女・歌」(ベルク編)、④マーラー「交響曲第4番 ト長調」(クラウス・ジモン編:室内楽版)です

出演は 指揮とヴァイオリン独奏=篠崎史紀、ヴァイオリン=白井篤、ヴィオラ=中村翔太郎、チェロ=市寛也、コントラバス=西山真二、フルート=甲斐雅之、オーボエ=池田昭子、クラリネット=松本健司、ファゴット=水谷上総、ホルン=今井仁志、ハーモニウム=山口綾規、打楽器=植松透、同=竹島悟史、ピアノ=入江一雄、ソプラノ=盛田麻央です

会場は7割くらいの入りでしょうか。N響メンバーではあるものの、フル・オーケストラではないためか満席には出来なかったようです

 

     

     

宮本明氏のプログラムノートによると、「1921年5月27日に開かれた『ワルツの夕べ』は、1918年にシェーンベルクが立ち上げた『私的演奏協会』の財政強化のための特別演奏会だった ヨハン・シュトラウスの人気曲を演奏して運営資金を工面しようと試みたのだ この日演奏される3曲に『入江のワルツ』を加えた4曲が弦楽四重奏+ハーモニウム(リード・オルガン)とピアノという六重奏曲に編成され、シェーンベルクはヴァイオリンを、ウェーベルンはチェロを、ベルクはハーモニウムを弾いて演奏に参加した 公演は大成功に終わった」とのことです。今からちょうど100年前のこの時期は「スペイン風邪」のパンデミックの真っ最中だったそうです 新型コロナのパンデミックの真っ最中の現在、彼らの編曲によるシュトラウスのワルツはどう響くのかが聴きどころです

プログラム前半はウィンナワルツが3曲続けて演奏されます 1曲目はヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ「南国のバラ」(シェーンベルク編)です この曲はヨハン・シュトラウスⅡ世(1825-1899)が1880年に作曲、同年ウィーンで初演されました 2曲目はヨハン・シュトラウスⅡ世:喜歌劇「ジプシー男爵」から「宝石のワルツ」(ウェーベルン編)です このオペレッタは1885年にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました 3曲目はヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ「酒・女・歌」(ベルク編)です この曲は1869年にウィーンで初演されました

演奏は弦楽器が篠崎史紀、白井篤、中村翔太郎、市寛也、西山真二の5人、それにハーモニウムの山口綾規、ピアノの入江一雄が加わります

これは実に楽しい演奏でした 楽器が少ない分、曲の構造が浮かび上がり、一人一人の演奏が明確に聴きとれます とくに弦楽奏者はノリノリで、ウィンナワルツ独特のアクセントを付けながら楽し気に演奏している姿が印象的でした

 

     

 

プログラム後半はマーラー「交響曲第4番 ト長調」(室内楽版)です この曲はグスタフ・マーラー(1860‐1911)が1892年、1899年から1901年にかけて作曲、1901年にミュンヘンで初演されました この日の演奏は2007年にドイツの指揮者クラウス・ジモンが編曲した室内楽版によります 前出の「私的演奏会」でもこの曲が室内楽で演奏されています(エルヴィン・シュタイン編)が、ジモン編の方がホルンが入るなどオリジナルに近い形になっているとのことです 第1楽章「ゆっくりと、急がずに」、第2楽章「気楽な動きで」、第3楽章「平安に満ちて」、第4楽章「極めて和やかに」の4楽章から成ります

弦楽奏者の後ろにホルン=今井仁志、フルート=甲斐雅之、オーボエ=池田昭子、クラリネット=松本健司、ファゴット=水谷上総が並び、その後方に打楽器の植松透、竹島悟史、ピアノの入江一雄、ハーモニウムの山口綾規が並びます

篠崎マロさんの合図で演奏に入ります。木管が良く歌います ホルンの演奏を聴いていて、この曲はホルンが入らないと「クリープを入れないコーヒーなんて」状態になってしまうと思いました ジモンの編曲版で良かったと思います 第2楽章では、マロさんによる死神のソロが聴きどころですが、ヴァイオリン2挺をとっかえひっかえ弾いていました 第3楽章がこの曲の白眉です 穏やかで美しいメロディーが低弦によって奏でられ、ヴィオラ、ヴァイオリンへと受け継がれていきますが、ここはまさに天国的な世界です オーボエが良く歌います 楽章の終結部でクライマックスを迎えた後、ソプラノの森田麻央が舞台中央に向かい、スタンバイします 盛田麻央は国立音大卒。パリ・エコールノルマル音楽院、パリ国立高等音楽院修士課程を満場一致の最優秀で修了、二期会会員です 第4楽章に入り、森田のソプラノで「天上の生活」が歌われます 森田は美しい声で天井からの歌声を届けてくれました

指揮者なしの室内楽版交響曲の演奏でしたが、N響第1コンサートマスターの篠崎マロさんの統率力と、N響の面々のソリストとしての実力が発揮された素晴らしいコンサートでした

この後、上野東京ライン ⇒ 山手線 ⇒ 京王新線経由で初台に向かいました 東京シティ・フィルの「第343回定期演奏会」については明日のブログでご紹介します

 

     

     

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福川伸陽 ホルン・リサイタルでマーラー「アダージェット」、ウィリアムズ「スター・ウォーズ組曲」(多重録音伴奏)を聴く ~ 芸劇ブランチコンサート

2021年07月29日 07時15分19秒 | 日記

29日(木)その1。わが家に来てから今日で2392日目を迎え、楽器販売や音楽教室を手掛けるアオイ楽器店(浜松市)は、クラシック音楽の名曲にちなんだ香水「音楽の香り」シリーズを開発し、楽器店やコンサート会場などで販売を始めたが、それぞれ50㎖で5280円となっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     香水は G線上のアリア  エリーゼのために  幻想即興曲の3品  香り高い演奏を期待

 

         

 

昨日は「土用丑の日」だったので、夕食は鰻の蒲焼にしました    とはいえ、私はコンサートのハシゴで夕方 家に帰れないため外食(丸亀製麺のざるうどん)したので、これは娘の夕食です

 

     

 

         

 

昨日、午前11時から池袋の東京芸術劇場で「芸劇ブランチコンサート ~ 福川伸陽ホルン・リサイタル」を、午後3時からミューザ川崎で「フェスタサマーミューザ」参加公演、「N響メンバーによる室内合奏団」を、午後7時から東京オペラシティで「東京シティ・フィル 第343回定期演奏会」を聴きました

毎年 東京国際フォーラムで開かれる「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」では1日6公演(1公演45分程度)のハシゴは珍しくありませんが、まったく別の会場で1日3つの”普通の”コンサートをハシゴをしたのは生まれて初めてです はっきり言って、もうクタクタです

ここでは「芸劇ブランチコンサート 名曲リサイタル・サロン 第13回『福川伸陽 』」について書きます

東京芸術劇場に入館する際、体温測定と手指の消毒はもちろんのこと、手荷物検査があったのには驚きました 多分、東京オリンピックがらみで爆発物が仕掛けられないかといった懸念から、公共施設については警察が動いているのだと思います それにしても、オリンピックはいろいろなところに影響を及ぼしていますね

さて、プログラムは①バーンスタイン「ウエストサイドストーリー」より「プロローグ」「サムシングカミング」、②東大路憲太「rerum」、③ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」、④ジョン・ウィリアムズ「スター・ウォーズ組曲」(福川・多重録音伴奏)、⑤マーラー「交響曲第5番」より「アダージェット」(同)です ホルン独奏=福川伸陽、①②③のピアノ伴奏=山中惇史です

福川伸陽は第77回日本音楽コンクール・ホルン部門第1位 今年春までNHK交響楽団の首席ホルン奏者を務めていましたが退団、現在は東京音楽大学兼任准教授を務める傍らフリーのホルン奏者として活躍しています ピアノ伴奏の山中惇史は東京藝大作曲科・ピアノ科を卒業。現在東京藝大非常勤講師を務めています

 

     

 

1曲目はバーンスタイン「ウエストサイドストーリー」より「プロローグ」と「サムシングカミング」です この曲はレナード・バーンスタイン(1918‐1990)が1957年に作曲したオペラです

福川は電子楽譜を使用します 両手がふさがっているので、フットスイッチを踏むだけでページが変わる電子楽譜は必要不可欠なのでしょう 福川の演奏で一番驚いたのは、ほとんど吹く力と右手の出し入れ(ミュートをかける)だけで、遠近感を見事に表現していることです 大きな音で聴こえたかと思うと、次の瞬間にはまるで舞台裏で吹いているのではないかと思うほど遠くに聴こえます

演奏後、ナビゲーターの八塩圭子さんによるインタビューがありました 福川氏の説明によると、「ホルンは一番演奏が難しい楽器と言われている ピアノは数多くの鍵盤があるが、ホルンは4つのピストンしかない。しかし、1つのピストンで16〜17通りの音が出せる あとは吹く力の入れ方とか、脇を締めて吹くか開けて吹くかとかで音色などを調整する」とのことでした。勉強になりました

2曲目は東大路憲太「rerum」です この曲は昨年4月に作曲されたピアノ曲ですが、福川氏からホルン版を制作してほしいと依頼を受けて編曲したものとのことです 「rerum」はラテン語で「物、事、人の営み」という意味ですが、タイトルを見た時の「なんとなく見慣れない感じ」「シンプルな印象」を引き出したくてこのタイトルを付けたとのことです 作曲者はゲーム音楽などを数多く作曲しているだけあって、ファンタジックで聴きやすい音楽でした 福川氏に促されて、私の斜め前の席にいた作曲者が立ち上がって拍手を受けていました

3曲目はガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898‐1937)が1924年に初演したピアノとオーケストラのための作品です この曲では最低音から最高音まで福川の技巧が光ります 中盤でピアノがソロで弾く場面がありますが、山中のピアノは確かなテクニックに裏づけられた素晴らしい演奏でした

 

     

 

4曲目はウィリアムズ「スター・ウォーズ組曲」(福川・多重録音伴奏)です 「多重録音伴奏」というのは、福川ひとりで多重演奏した録音(7パート)に自らの生演奏を重ねて聴かせるものです ステージ上には中央の福川を囲むように7つの特性スピーカーが半円形に並べられています 福川の迫力満点の演奏に「これが一人による多重録音演奏か」と驚きを隠せませんでした

もっと驚いたのは最後のマーラー「交響曲第5番」よりアダージェット(福川・多重録音伴奏)です この曲はグスタフ・マーラー(1860‐1911)が1901年から翌02年にかけて作曲、1904年にケルンで初演された交響曲の第4楽章です この曲でも7つのスピーカーをバックに、ゆったりしたテンポにより福川のメイン・メロディーが奏でられますが、息の長い旋律なので、普通の演奏者なら息切れして酸欠でぶっ倒れてしまうのではないか、と心配してしまいます しかし、そこはプロ中のプロです。完璧に吹き切りました この日は新しい音楽体験ができてとてもラッキーでした

演奏終了後、山手線 ⇒ 京浜東北線経由で川崎に向かいました フェスタサマーミューザ参加公演「N響室内合奏団」の模様については「その2」をご覧ください

 

     

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鈴木雅明 ✕ 読売日響でボロディン「交響曲第2番」、ラフマニノフ「交響曲第2番」を聴く ~ フェスタサマーミューザ

2021年07月28日 07時39分04秒 | 日記

28日(水)。わが家に来てから今日で2391日目を迎え、韓国と北朝鮮は断絶していた南北間の通信連絡船を復旧させることを決め、27日午前10時に通話を行った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     交渉に躓くと また金与正が南北共同連絡事務所を爆破するから油断できないと思う

 

         

 

昨日、夕食に「鶏肉の甘酢煮」「生野菜とアボカドのサラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 鶏肉~は初挑戦ですが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夜、ミューザ川崎でフェスタサマーミューザ参加公演、読売日本交響楽団のコンサートを聴きました プログラムは①ボロディン「交響曲第2番 ロ短調」、②ラフマニノフ「交響曲第2番 ホ短調 作品27」です 指揮はバッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督の鈴木雅明です 当初、山田和樹が指揮をする予定でしたが、コロナ禍に伴う入国制限により帰国できなくなり、指揮者変更に伴い①チャイコフスキー「交響曲第2番”小ロシア”」がボロディン「交響曲第2番」に変更となりました

 

     

 

会場は8割方は入っているでしょうか。オリンピックを敵に回してよく集まりました

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります コンマスは林悠介です

1曲目はボロディン「交響曲第2番 ロ短調」です この曲はアレクサンドル・ボロディン(1833‐1887)が1877年に作曲、その後1879年に改訂し、リムスキー・コルサコフの指揮で改訂初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「スケルツォ・プレスティッシモ ~ トリオ:アレグレット」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ」の4楽章から成ります

片桐卓也氏のプログラムノートによると、「ボロディンは頭脳明晰で化学を専攻、サンクトぺテルブルク大学の医学部に進学し最優秀で卒業 陸軍病院に勤務した後、ドイツ、イタリアの大学でも学んだ。ムソルグスキーやバラキエフらと知り合ったことから正式に音楽を学ぶことになった」とのことです 「一芸に秀でる者は何とか」と言われますが、ボロディンの場合は「化楽」でしょうか

鈴木雅明の指揮で第1楽章に入ります 冒頭のおどろおどろしい音楽にキャプションを付けるとすれば「東京湾にゴジラ現る」です ロシアの大地に根差した力強さを感じさせる音楽です 指揮者もオケもパワー全開です 第2楽章の忙しなさをどう表現すればよいのか・・・。一転、第3楽章では美しい弦楽器と、松坂隼のホルン、金子平のクラリネット、蠣崎耕三のオーボエ、フリスト・ドブリノヴのフルートが冴え渡ります 第4楽章に入ると、再びロシアの土着性に満ちた音楽が力強く鳴り響きます スケール感のある演奏でした

 

     

 

プログラム後半はラフマニノフ「交響曲第2番 ホ短調 作品27」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873‐1943)が1906年から翌07年にかけて作曲しました 第1楽章「ラルゴ ~ アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・モルト」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

片桐氏のプログラムノートによると「ラフマニノフは1895年に交響曲第1番を完成、グラズノフの指揮で初演されたが、この初演が大失敗に終わり、彼は精神に不調をきたす程となった そこで精神科の医師ニコライ・ダ―リの治療を受けながら、ピアノ協奏曲第2番を完成させ」リベンジを果たします これを受けてドイツ・ドレスデンで作曲したのが交響曲第2番でした

鈴木雅明の指揮で第1楽章に入ります。冒頭から大きな流れを作るような演奏が展開します 松坂のホルン、金子のクラリネットが素晴らしい 第2楽章では金管楽器が気持ち良く鳴り響きます この曲のキモは第3楽章のアダージョです 弦楽合奏の奏でる美しいメロディーにのって金子のクラリネットがメランコリックなフレーズを奏で、郷愁を誘います ロマンティシズムの極致を行く演奏です この楽章でもひとつの大きな流れを作るような演奏が展開します。第4楽章は一転、喜びが爆発したような明るく力強い音楽が繰り広げられます フィナーレはラフマニノフ独特の終結手法で華やかに締めくくられます 演奏が終わるや否や、待ってましたとばかりに大きな拍手が起こりました。スケールの大きな演奏でした

聴きながら「それにしても長い曲だなぁ」と思っていましたが、「名演奏は短く感じるもの」なので、つくづく「(自分は)まだまだ修行が足りないなぁ」と反省しながら帰途につきました

 

     

     

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カーチュン・ウォン ✕ 岡本郁也 ✕ 東京都交響楽団でチャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲」、ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」、リスト「前奏曲」を聴く

2021年07月27日 07時16分18秒 | 日記

27日(火)。サントリーホール・メンバーズ・クラブからのメール配信によると、9月9日、10日に同ホールで開催される「ストラディヴァリウス・コンサート2021 ~ ゴルトムント・クァルテット」公演は、新型コロナに係る入国制限措置に伴い、中止となりました 払い戻しは7月28日~9月30日の間とのこと。私は2日間とも払い戻しとなります。中止ドミノはまだまだ終わりません

ということで、わが家に来てから今日で2390日目を迎え、中国で苛酷な受験戦争が子どもや保護者の大きな負担になっている現状を受け、中国共産党と国務院(政府)は学習塾の新規開設や小中学校の過重な宿題の規制に乗り出す  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国は資本主義の最先端を行く競争社会のようだ  貧富の差の拡大を止められない

 

         

 

昨日、夕食に「豚しゃぶ」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました 豚しゃぶにはキャベツと しその葉が合います

 

     

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで、「フェスタサマーミューザ」参加公演、東京都交響楽団のコンサートを聴きました プログラムは①リスト:交響詩「前奏曲(レ・プレリュード)」、②チャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 作品33」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95 ”新世界より”」です 演奏は②のチェロ独奏=岡本侑也、指揮=カーチュン・ウォンです

 

     

 

指揮をとるカーチュン・ウォンは1986年シンガポール生まれ。2016年グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝、直後にドゥダメルの招きを受け、2017年にロス・フィルで彼のアシスタントを務めました 現在、ドイツのニュルンベルク響首席指揮者を務めています

会場は7割程度の入りでしょうか。3割は自宅で東京オリンピックを観ているのでしょうか

拍手の中、オケのメンバーが配置に着きます。弦は14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの都響の並び コンマスは山本友重です。ヴィオラ首席には元新日本フィル首席奏者・篠崎友美がスタンバイします。また、第1ホルンには東京フィル首席奏者・高橋臣宣が控えています

1曲目はリスト:交響詩「前奏曲(レ・プレリュード)」です この曲はフランツ・リスト(1811‐1886)が自作の男声合唱曲「四大元素」の序曲の音楽に基づき1848年に作曲、その後1852年から翌53年にかけて改訂し、1854年に自身の指揮によりワイマルで初演されました 内容は、詩人アルフォンス・ド・ラマルティーヌの詩をリストが自由に改変したものです その思想は「人生は死への前奏曲である」というもので、「人生の始まり〜愛」(緩)、「嵐」(急)、「田園」(緩)、「闘い」(急)という4つの場面で構成されています

カーチュン・ウォンの力の入った指揮による都響の分厚い管弦楽を聴きながら、私はクロード・ルルーシェ監督による1981年公開映画「愛と悲しみのボレロ」の1シーンを思い出していました ヘルベルト・フォン・カラヤンをモデルとした指揮者カール・クレーマーがフランスの凱旋門の屋上でリストの「前奏曲」を演奏するシーンです    リストはピアノの巨匠でしたが、「交響詩」というジャンルを開拓した先進的な作曲家でした。そんなリストの人生観を聴くような思いでした

2曲目はチャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 作品33」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)が友人のチェリスト、ヴィルヘルム・フィッツェンハーゲンのために1876年に作曲、1877年に初演された独奏チェとオーケストラのための作品です 主題と7つの変奏から成ります

チェロ独奏の岡本侑也は1994年生まれ。2017年エリザベート国際音楽コンクール第2位に入賞しています

カーチュン・ウォンの指揮で演奏に入ります。岡本のチェロは明るく明朗で、見ているだけでは簡単そうに見えますが、それは確かなテクニックがあってこそです    伸び伸びと演奏する彼の演奏を聴いていると、やっぱりチャイコフスキーは屈指のメロディーメーカーなんだな、と再認識しました

満場の拍手に、岡本はカタロニア民謡「鳥の歌」をしみじみと演奏、聴衆のクールダウンを図りました この曲は、チェロの巨匠パブロ・カザルスが国連総会で弾いて有名になりました

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95”新世界より”」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841‐1904)が、ニューヨークの私立ナショナル音楽院の院長に招かれ、アメリカ滞在中の1893年に作曲、同年ニューヨークのカーネギーホールで初演され、大成功を収めました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

カーチュン・ウォンの指揮で第1楽章に入ります 長身の身体で振る指揮姿を見ていると”押しが強い”印象を受けます しかし、指揮は分かり易いと思います 高橋臣宣のホルンが素晴らしい 第2楽章では「家路」で知られる有名なテーマがコール・アングレ(イングリッシュ・ホルン)で奏でられますが、この演奏が素晴らしかった 後半で弦楽トップ8人で演奏される家路のテーマの演奏も郷愁を誘いました 第3楽章はリズム感に満ちた演奏が展開します 第4楽章の冒頭は、鉄道オタクのドヴォルザークらしい、機関車が徐々にスピードを上げていくような曲想で始まります ドヴォルザークが愛するボヘミアを離れてニューヨークに行ったのは、近くで機関車が見られるからというのが大きな理由だった、という説もあるようです 次いで金管が勇壮なテーマを奏でますが、ここでもホルンをはじめとする金管セクションの咆哮が気持ちよく響きます。弦も管も打も鳴り切った爽快な演奏でした

ところで、プログラムに掲載された かげはら史帆さんによるコラム「『新世界』はどこにある?」には次のように書かれています

「『もしアメリカを見なかったら、この交響曲を書くことはなかったろう』・・・ドヴォルザークは、『新世界より』についてそう語りました その言葉には、おそらく2つの意味が込められていました。ひとつは、新天地のアメリカから受けた新しい刺激。もうひとつは、遠くにあるからこそ強く感じた故郷チェコへの愛でした

本番前に開かれた「プレトーク」で、カーチュン・ウォンは、新世界について「私は、今われわれがいるこの世界が”新世界”ではないかと思います」と語っていました。この曲の作曲年=1893年から見れば128年後の未来の世界ということになります 今やパンデミックの世界ですが、こうしてドヴォルザークの「第9交響曲」は極東の日本で演奏されています この演奏を空から見下ろして聴いたら、ドヴォルザークはどう思ったでしょうか

カーチュン・ウォン ✕ 都響は渾身の力を込めてドヴォルザーク「スラブ舞曲第8番」をアンコールに演奏、満場の拍手を浴びました

 

     

     

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井上道義 ✕ 神尾真由子 ✕ オーケストラ・アンサンブル金沢でプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」「古典交響曲」、シューベルト「交響曲第4番”悲劇的”」を聴く

2021年07月26日 07時17分20秒 | 日記

26日(月)。わが家に来てから今日で2389日目を迎え、欧米が新型コロナウイルスのワクチンの「買い占め」で批判される中、新興国や途上国に自国製ワクチンを積極的に提供してきた中国だが、最近は接種後でも感染・死亡する人が少なくないとして、効果を疑問視する声が広がっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国はワクチン外交でアジア諸国を中心に貸しを作ろうと思っているのは見え見え

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ」参加公演、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のコンサートを聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第4番 ハ短調 D.485 ”悲劇的”」、②プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品19」、③同「交響曲第1番 ニ長調(古典交響曲)作品25」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=神尾真由子、指揮=井上道義です この日の公演は当初①モーツアルト:歌劇「イドメネオ」バレエ音楽からシャコンヌ、②同「ヴァイオリン協奏曲第4番」、③シューマン「交響曲第2番」が演奏される予定でしたが、指揮・ヴァイオリンのロベルト・ゴンザレス=モンハスがコロナ禍に伴う入国制限措置のため来日できなくなったことから変更になったものです

 

     

 

オーケストラ・アンサンブル金沢は1988年に岩城宏之(1932‐2006)のもとに石川県と金沢市によって、日本初のプロフェッショナルの常設室内管弦楽団として設立されました。マルク・ミンコフスキが芸術監督を、井上道義が桂冠指揮者を務めています

開演40分前からプレトークが予定されていましたが、マイクを持って登場した井上道義は、「プレトークで20分 話せと言われましたが、そんな長く話せない 指揮者がプレトークで喋って成功したのを見たことがない あとで又、登場します」と言い残して舞台袖に引き揚げていきました。いかにも井上らしいなと思っていると、10分過ぎたら再登場し、この日演奏する作品は、OEKのような小規模なオケが演奏するのにちょうどいい曲であることなどを解説して再び引き上げていきました

会場は7割ぐらい入っているでしょうか。これほどの集客力は大したものだと思います

弦楽器は8型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対向配置をとります コンミスはアビゲイル・ヤングです

1曲目はシューベルト「交響曲第4番 ハ短調  D.485 ”悲劇的”」です この曲はフランツ・シューベルト(1797‐1828)が19歳の時=1816年に作曲、シューベルトの死後、1849年にライプツィヒで初演されました ハ短調はベートーヴェン「運命交響曲」と同じ調性ですが、シューベルトは自筆譜に「悲劇的」というタイトルを付しています

第1楽章「アダージョ・モルト ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

井上の指揮で第1楽章に入りますが、オケ総力による重厚な演奏で、ほとんどベートーヴェンの初期の交響曲を思い浮かべます その後、短調特有の”疾走する悲しみ”のようなメロディーが続き、シューベルトらしい歌うような旋律が印象に残ります 第2楽章ではオーボエ、フルートがよく歌います 第3楽章は「メヌエット」とは名ばかりで、ほとんどスケルツォです 第4楽章は前へ前へという推進力を感じさせる曲想で、軽快なテンポにより音楽が進みます 19歳の若きシューベルトの情熱が感じられる爽快な演奏でした

 

     

 

プログラム後半の1曲目はプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 作品19」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891‐1953)が1916年から翌17年にかけて作曲、1923年にパリで初演されました 第1楽章「アンダンティーノ 」、第2楽章「スケルツォ:ヴィヴァ―チッシモ」、第3楽章「モデラート ~ アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

ソリストの神尾真由子は2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝している実力者です 使用楽器は宗次コレクションから貸与されているストラディヴァリウス(1731年製「Rubinoff」)です

ベージュに金のラメを配したシックな衣装を身にまとった神尾真由子が登場し、配置に着きます 井上の指揮で第1楽章に入りますが、第1主題「夢見るように」の言葉通りの繊細でファンタジックな音楽が神尾のヴァイオリンによって奏でられます その後「語るように」と指示された第2主題では、アイロニカルでユーモアを感じさせる音楽が展開します 第2楽章では、終始せわしない音楽が展開、神尾のヴァイオリンが緩急自在に飛翔します 第3楽章では気まぐれな主題が奏でられ、フィナーレでは第1楽章の「夢見るような主題」が回想されて曲を閉じます

神尾の演奏は完璧なテクニックの裏付けのもと緩急自在で、高音部も低音部も魅力に満ちていました

カーテンコールが繰り返されますが、アンコールはありませんでした。見識です

最後の曲はプロコフィエフ「交響曲第1番 ニ長調 作品25」(古典交響曲)です この曲は1916年から翌17年にかけて作曲、1918年にペテログラードで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ガヴォット:ノン・トロッポ・アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

プロコフィエフは、この曲の作曲に当たって「もしもハイドンが現代に生まれていたらどんな曲を書いただろうか」と思い、ウィーン古典派流の擬古典的なスタイルを借りて、20世紀の新しい感覚を盛り込んだといいます

井上の指揮で第1楽章に入ります フルート、オーボエ、ファゴット、クラリネットといった木管楽器がよく歌います 第2楽章では冒頭の弦楽器のアンサンブルがクリアでとても美しい 第3楽章はハイドン風のユーモアを狙ったような曲想で、聴いていて楽しくなりました 第4楽章は超高速演奏によって駆け抜けます。爽快な演奏でした

満場の拍手に、井上 ✕ OEK弦楽セクションはアンコールに阿部公房原作、勅使河原宏監督映画「他人の顔」(1966年)から武満徹作曲「ワルツ」をロマン豊かに演奏、コンサートを締めくくりました

 

     

     

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ブレイディみかこ著「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読む ~ シンパシーとエンパシーの違いとは?

2021年07月25日 07時17分02秒 | 日記

25日(日)。昨日、マンションの管理組合の定期総会が開かれたので出席しました 昨年はコロナ禍のため欠席しましたが、今回はコロナワクチンを2回接種したので、取りあえずコロナの心配はないかな、と思って出席したのです 午前10時に開会なので会場の「区民ひろば」に行きましたが、閑散とした状況に唖然としました テーブルの向こう側の「理事会席」には8人もいるのに、こちら側の一般出席者(区分所有者)は、なななんと私一人だけなのです これには伏線があって、総会開会通知書に「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今回は縮小した形で定期総会を開催することといたします。定期総会へのご出席をお断りする趣旨ではございませんが、当日のご出席についてはご考慮頂き『委任状』もしくは『議決権行使書』のご提出をお願いしたく存じます」と書かれてあったのです 議長である理事長の説明によると、会場の「区民ひろば」は現在、コロナ禍の関係で入場制限があり、あまり多くの出席者があると断わらなくなてはいけなくなるので、開催通知書にある書き方になった」という説明でした 個人的には「総会にはいつもの限られた人しか出席しないのだから、いちいちそんなこと書かなくてもいいじゃないか」と思いますが、万が一のことがあるので仕方ないでしょう。せっかく出席したので、「管理員業務費の増額」について質問をし、意見を述べました また、役員は輪番制になっていますが、輪番表から一人の名前がもれていたので指摘しておきました 議題が多かったので議事終了は11時40分頃になりましたが、私が出席していなかったら半分の時間で済んでいたことでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2388日目を迎え、東京五輪の競泳の決勝は、IOCに多額の放映権契約料を払っている米放送局がゴールデンタイムでの放送を希望するため、日本時間の午前10時半頃の開始となる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     五輪を真夏にやるのも 主要競技を米国時間の夜にやるのも 米スポンサーファースト

 

         

 

ブレイディみかこ著「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮文庫)を読み終わりました ブレイディみかこは1965年福岡生まれ。県立修獸館高校卒。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、96年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得 「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2007年「子どもたちの階級闘争」で新潮ドキュメント賞を、19年「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で「Yahooニュース/本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞」を受賞

 

     

 

本書は英国のブライトンで保育士として働くブレイディみかこさんが、2019年当時中学生だった息子との触れ合いを通して、英国の貧困、人種差別・分断等の問題を浮かび上がらせたノンフィクションです みかこさんの配偶者はロンドンの金融街シティの銀行に勤務していましたが、リストラに遭い、子供の頃から憧れていた大型ダンプの運転手をしているという大胆な人です 2人の間に生まれた息子は英国人と日本人の間に生まれたので「イエロー(黄色人種)でホワイト(白人)」ということになります 英語しか話せない息子は、学校の宿題で「ブルー」の意味を「怒り」と間違って書いて先生から添削されたとして、国語のノートの片隅に「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」と書きました みかこさんは「ブルー」の意味は「悲しみ」「気持ちがふさぎ込んでいること」であると教えます

息子はカトリック系の小学校に通っていたので、両親はカトリック系の中学校へ進学すると思っていたら、息子は公立の「元底辺中学校」を見学した時に気に入ってしまい、そちらに行きたいと言い出します カトリック系の中学校なら「いい子の集まり」で何の心配もないのですが、「元底辺中学校」は人種差別丸出しの移民の子や、アフリカから来た少女や、文武両道の中国人の少年など、様々な家庭の子どもたちが集まっているので、貧困や人種差別の問題がごく身近なところで発生し、自ら対応しなければなりません そんな環境の中、息子は「パンクな母ちゃん」とともに悩み 考えながら、友人を作り、問題を乗り越えていきます

息子が「移民の友人が黒人のクラスメイトに差別的なことを平気で言った。どうしてあんなことを言えるんだろう」と言った時、みかこさんは「無知なんだよ。誰かがそう言っているのを聞いて、大人はそういうことを言うんだと思って真似しているだけ」と答えます すると息子が「つまり、バカなの?」と忌々しそうに言うので、みかこさんは「いや、頭が悪いってことと無知ってことは違うから。知らないことは、知るときが来れば、その人は無知でなくなる」と教えます

息子が「期末試験の最初の問題は『エンパシーとは何か』だった。だから楽勝だった」と言うと、ダンプの父親が「ええっ。いきなり『エンパシーとは何か』とか言われても俺はわからねえぞ。それ、めっちゃディープっていうか、難しくね? で、お前、何て答えを書いたんだ?」と訊くと、息子は「自分で誰かの靴を履いてみること、って書いた」と答えます これについて みかこさんは、「自分で誰かの靴を履いてみること、というのは英語の定型表現であり、他人の立場に立ってみるという意味だ   日本語にすれば、 empathy は『共感』『感情移入』または『自己移入』と訳される言葉だ」とフォローします。さらに、みかこさんは次のようにコメントします

「エンパシーと混同される言葉にシンパシーがある。オックスフォード英英辞典のサイトによれば、シンパシー(sympathy)は①誰かをかわいそうだと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけていることを示すこと。②ある考え、理念、組織などへの支持や同意を示す行為。③同じような意見や関心を持っている人々の間の友情や理解ーと書かれている 一方エンパシー( empathy )は『他人の感情や経験などを理解する能力』とシンプルに書かれている つまり、シンパシーの方は『感情や行為や理解』なのだが、エンパシーの方は『能力』なのである 前者はふつうに同情したり、共感したりすることのようだが、後者はどうもそうでなさそうである

「ケンブリッジ英英辞典のサイトに行くと、エンパシーの意味は『自分がその人の立場だったらどうだろうと想像することによって誰かの感情や経験を分かち合う能力』と書かれている つまり、シンパシーの方はかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情のことだから、自分で努力しなくとも自然に出てくる だが、エンパシーは違う。自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のことだ。シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言えるかもしれない

「EU離脱派と残留派、移民と英国人、様々なレイヤーの移民同士、階級の上下、貧富の差、高齢者と若年層などのありとあらゆる分断と対立が深刻化している英国で、11歳の子どもたちがエンパシーについて学んでいるというのは特筆に値する

とまとめています

本書は特に 中学生、高校生を持つ親御さんに親子で是非読んでほしい本です    もちろん、日本にも存在する貧困問題、差別問題を考える意味でも多くの人に読んでほしいと思います

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村上春樹著「古くて素敵なクラシック・レコードたち」を読む ~ 486枚のレコード・ジャケットをカラー写真で紹介:LPレコードをこれ以上増やしたくない人は絶対に読んではいけない本

2021年07月24日 07時13分02秒 | 日記

24日(土)。わが家に来てから今日で2387日目を迎え、東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会が、前会長の森喜朗元首相を「名誉最高顧問」に就ける案を検討していることが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     会長はじめ女性が多くなった組織委員会の会議は  時間がかかると思うよ  森さん!

 

         

 

昨日、夕食に2週間に一度の「鶏の唐揚げ」を作りました 唐揚げにはビールですね

 

     

 

         

 

村上春樹著「古くて素敵なレコードたち」(文芸春秋社)を読み終わりました 著者の村上春樹は、言うまでもなく、毎年のようにノーベル文学賞候補に名前が挙がりながら、毎年残念賞みたいな結果になる世界的に著名な作家です

 

     

 

本書の冒頭に置かれた「なぜアナログ・レコードなのか?」で、村上氏は集めたレコードについてだいたい次のように書いています

「かれこれ60年近くレコードを集めている ジャズが中心だがクラシックも好きで蒐集してきた。所有する約1万5千枚のLPレコードの内訳はジャズが7割、クラシックが2割、ロック・ポピュラーが1割というところだ クラシック・レコードを買う時は、演奏家や作曲者が選択の基準となるのは当然だが、ジャケットが素敵だとか、ただ「安いから」という理由で買う時もある 行き当たりばったり、みたいに買い込むケースが多い いわゆる「名盤」みたいなものには興味がない。世間的な評価や基準が時として自分に当てはまらないことが経験的に分かっているからだ。だから、集めているレコードは傾向がかなりばらばらだ そこには統一性がほとんど見受けられない。しかし基本的な『好み』はあるようで、例えばうちにはフルトヴェングラーのレコードは数枚しかないし、トスカニーニ、カラヤン、ベームも数えるほどしかない その代わり指揮者でいえば、トマス・ビーチャムとか、レオポルド・ストコフスキー、ディミトリ・ミトロプーロス、エイドリアン・ボールト、イーゴリ・マルケヴィッチ、フェレンツ・フリッチャイ、(若い頃の)ロリン・マゼールなどのレコードはけっこうたくさん所有している クラシック・レコードに関しては、ジャケット・デザインにかなりこだわる 経験的に言って、ジャケットの魅力的なレコードは中身も素敵であることがなぜか多いからだ 本書では主に、そういう『結果的に集まってしまった』レコードたちを中心に紹介している。つまりこれはあくまで個人的な趣味・嗜好に偏した本であって、そこには系統的・実用的な目的はない。ほとんどは1950年から1960年代半ばにかけて、つまり半世紀以上前に録音されたビニール製の真っ黒なディスクだ

私はかつて約2000枚のクラシック・レコードを所有していましたが、その内500枚をプリメイン・アンプと物々交換して手放したため現在約1500枚が手元にあります 村上氏の基準からすると、いかに私のレコードを買う基準が「名盤」中心主義だったかが良く分かります カラヤン、ベーム、フルトヴェングラー、バーンスタインといったメジャーな指揮者が多いことは否定できません もちろん、ビーチャムやマルケヴィッチやフリッチャイのレコードも持っていますが、少数派です また、レコード・レーベルではドイツ・グラモフォンが圧倒的に多いと思います 黄色と黒のジャケットは、なぜか阪神タイガースの黄色と黒に通じ、ついつい買ってしまったものです

本書は100項目に分けて特定の楽曲を取り上げ、複数のレコード・ジャケット写真とともに紹介しています 例えば、1番目に紹介しているストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」では、①アンセルメ指揮スイス・ロマンド管(1949年録音)、②同(1958年録音)、③アバド指揮ロンドン響(1980年録音)、④メータ指揮ニューヨーク・フィル(1979年録音)、⑤ラインスドルフ指揮ニュー・フィルハーモニア管(1973年録音)の6種類のレコード・ジャケットがカラーで紹介され、それぞれの演奏に対する村上氏のコメントが付されています

本書で紹介されているLPレコードの写真は全部で486枚ですが、いずれも村上氏の所有するレコードを写したものです

 

     

 

前出「なぜアナログ・レコードなのか?」の中で、村上氏はLPレコードの魅力について次のように書いています

「新譜のディスクは、ほとんどの場合アナログでは出ていないから、CDで買い求めることになる しかし残念ながら、CDのプラスチック・ケースを手に取ってじっと眺めていても、とりたたて幸福な気持ちにはなれない(ましてやインターネット関連については語るまでもないだろう)。それに比べると、古いLPレコードには、LPレコードにしかないオーラのようなものがこもっている そのオーラが、まるでひなびた温泉のお湯のように僕の心を芯からじんわりと癒してくれる

これはレコード好きには良く分かります。CDプラケースはただの「物」ですが、LPレコードのジャケットは「芸術品」と言っても良いかもしれません 一方、LPレコードの欠点として次のように書いています

「LPレコードの難点は重いこと(とくに初期盤は重い)、そして場所を取ることだ 約1万5千枚のレコードの場所の取り方に関して、ことあるごとに家人から苦情を聞かされる。買っては売り、買っては売りしているのだが、なぜかその数は着々と、刻々と増えていくみたいだ

これも良く分かります LPレコードはサイズが大きいだけに、場所を取ります。しかし、CDだって数が増えれば結構な場所を取ります 私は所有する約4000枚のCDを、主に廊下に設置したCDラックに作曲家別・ジャンル別に収めていますが、それだけではスペースが足りず、リビングの一角にもCDラックを入れて収めています 現在はそれでも収まりきらないので、ベッドの枕元に積んであります

 

     

 

なお、100項目のうち最後の4項目は、村上氏がこだわりを持っているアーティストを取り上げています 「97  トマス・ビーチャムの素敵な世界」、「98  ジョン・オグドンの個性的な生涯」、「99  マルケヴィッチの穴」、「100  若き日の小澤征爾」です。100については、村上氏は「小澤征爾さんと、音楽について話をする」という本を書いているので、その時に集中的に古いレコードを聴いたようです

クラシック・ファン、レコード・ファンにはたまらない本です これ以上LPレコードを増やしたくない人は、絶対読んではいけません

 

     

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ジョナサン・ノット ✕ 萩原麻未 ✕ 東京交響楽団でラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」、ガーシュイン「パリのアメリカ人」他を聴く ~ フェスタサマーミューザ・オープニングコンサート

2021年07月23日 07時12分09秒 | 日記

23日(金・祝)。わが家に来てから今日で2386日目を迎え、中国国家衛生健康委員会の曽益新副主任は22日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源に関し世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長が提案した追加調査を拒否する意向を明言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     WHOの追加調査は 今さら と思うけど  中国も自信があるなら 堂々と受ければいい

 

         

 

昨日の夕食は「牛タン塩焼き&ハラミ焼肉」「生野菜サラダ」「卵スープ」「キュウリとナスの浅漬け」でした 暑い夏には 焼肉もいいですね

 

     

 

         

 

今年も毎年恒例の「フェスタサマーミューザ」の暑くて熱い夏がやってきました

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ オープニングコンサート」を聴きました プログラムは①三澤慶「音楽のまちのファンファーレ」~フェスタ  サマーミューザKAWASAKIに寄せて、②ラヴェル(マリウス・コンスタン編)「夜のガスパール」(管弦楽版)、③ヴァレーズ「アルカナ」、④ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」、⑤ガーシュイン「パリのアメリカ人」です 演奏は④のピアノ独奏=萩原麻未、指揮=ジョナサン・ノットです

自席は2階のセンターブロック左側です。セット券なので この席で12公演聴くことになります 会場は通常配置ですが8割以上は埋まっているのではないかと思われます。よく入りました

開演20分前から東響事務局長・辻敏氏による「プレトーク」がありましたが、ジョナサン・ノット氏は年に何度も来日することから、ノット氏の日本における住所を川崎市内某所として当局に申請したところ、在留資格が認められ「在留カード」(法務大臣が、中長期に在留する外国人に発行するICカード)が送られてきたそうです そして、この度「ナイナンバーカード」が届いたとのことです すっかり日本人並みになってきました ひょっとして、読響常任指揮者セバスティアン・ヴァィグレ氏なども同じ扱いなのだろうか

 

     

 

最初は三澤慶「『音楽のまちのファンファーレ』~フェスタ  サマーミューザKAWASAKIに寄せて」です この曲は毎年、オープニングコンサートの前に 歓喜の広場で演奏されてきましたが、密集によるコロナの感染拡大防止のため、コンサートに組み入れられました

東響のブラスセクションと打楽器奏者がステージ奥に登場し、ノットの指揮で演奏が開始されます 演奏に入って間もなく、ノットが振り上げたタクトが手から離れて宙を飛んでステージ床に落ちました まさに”飛んだハプニング”でしたが、先日観たMETライブでもヤニック・ネゼ=セガンがタクトを飛ばしていました 優秀な指揮者はタクトを握りしめるのではなく、軽く握って指揮をするのかな、と思ったりしました

次の曲はラヴェル(マリウス・コンスタン編)「夜のガスパール」(管弦楽版)です この曲はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)がベルトランの詩集から3編を選び、1908年にピアノ独奏強として作曲しました。その後、パリの作曲家コンスタンが1990年に管弦楽用に編曲しました 第1曲「オンディーヌ」、第2曲「絞首台」、第3曲「スカルボ」の3曲です

オケのメンバーが配置に着きます。弦は14型で 左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります コンマスはグレヴ・二キティンです ステージ上にはライブ配信用のマイクが林立し、指揮者に向けて映像カメラが設置されています

ノットの指揮で演奏に入ります。「オンディーヌ」では幻想的な世界が、「絞首台」では不気味な世界が、「スカルボ」ではちょっと賑やかな世界が、色彩感豊かに描かれました

次の曲はヴァレーズ「アルカナ」です この曲はエドガルド・ヴァレーズ(1883‐1965)が1925年から27年にかけて作曲(31〜32年に改訂)、1927年にフィラデルフィアで初演されました 飯田有抄さんのプログラム・ノートによると、この曲は「中世の医師・錬金術師だったパラケルススの唱える『アルケウス』(人体の中の霊的な気体)に触発され、『夢』を音楽的に表現した作品」です 弦楽器が16型に拡大し、3管編成で、打楽器だけで12人も登場します プレトークでの辻事務局長の説明によると、6人の打楽器奏者では間に合わないので、弦楽器奏者が応援に回ったそうです。これぞ正真正銘の「フル・オーケストラ」です

ノットの指揮で演奏に入りますが、旋律は短く断片的で、リズムが強調されます 音楽としては「こういうのもアルカナ?」と思うような理解困難な作品ですが、それぞれの楽器の音色や強弱の変化などを楽しむだけで良いのかもしれません

 

     

 

プログラム後半の1曲目はラヴェル「ピアノ協奏曲 ト長調」です この曲はモーリス・ラヴェルが1929年から31年にかけて作曲、1932年にパリで初演されました 第1楽章「アレグラメンテ」、第2楽章「アダージョ・アッサイ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

ソリストの萩原麻未がブルー系の涼し気な衣装で登場、ピアノに向かいます    ノットの指揮で第1楽章に入ります。萩原麻未の演奏を聴いていつも思うのは、なんの苦も無くさらっと弾いているのに、天性の閃きを感じることです 一番の特徴は緩急自在のテンポ設定による演奏かもしれません 第2楽章では、ゆったりとしたテンポにより一音一音を慈しむように音を紡いでいく姿が感動を誘います つい最近生まれた彼女のお子さんが初めて聴いたのはこの第2楽章だそうです 最上峰行のイングリッシュホルンがピアノに寄り添って郷愁を誘いました 第3楽章に入ると一転、ジャジーで躍動感に満ちた演奏が繰り広げられ、華やかなフィナーレを飾ります

満場の拍手が鳴り止みません カーテンコールが繰り返されますが、萩原麻未はその都度ノットと共に登場します。つまりアンコールはないという合図です 彼女は「自分が〜」というよりも、伴奏してくれたノットやオケのメンバーを立てようとします こういうところは彼女の人間性でしょう。昔から変わっていません

下の写真は萩原麻未さんのサインをもらったCDジャケットです 最初に左サイド(裏面)に2013年11月6日の「萩原麻未 & 成田達輝 ジョイント・リサイタル」でサインをもらい、その数年後に右サイド(表面)にサインをもらいましたが、彼女は後者のサインの時、左側の自分のサインに気がついて「あっ!」と驚き、にこやかにサインをしてくれました

なお、このCDは「東日本復興支援チャリティCD」として発売され、演奏者は印税収入を放棄し、収益を被災地の復興支援のために寄付しました

どうでもいいことですが、ジョイント・リサイタルがキッカケになったかどうかは知りませんが、その後二人は結婚しました

 

     

     

 

最後の曲はガーシュイン「パリのアメリカ人」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898‐1937)が1928年に作曲、同年ニューヨークで初演されました ガーシュインがパリへ赴いた時、賑やかで華やかな街の印象や、ホームシックのような感情を表現した作品です

ノットの指揮で演奏に入ります 自動車のクラクションが大都会パリの喧噪を表現します 私は「パリのアメリカ人」というとクラクションを思い浮かべます ジャズやブルースなどのアメリカ音楽がパリに乗り込んでいったような印象を受けます 佐藤友紀のトランペット独奏が冴えていました 思ったよりも長い曲でしたが、ノットも楽団員もノリノリで演奏していました

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返され、楽団員が舞台裏に引き揚げても拍手が続きます すると、それほど時間を置かずにノットが東響のオリジナルTシャツを持って登場、観衆の拍手に応えていました 音楽監督としてのノットは指揮するだけでなく、楽団の経営安定化のためにも貢献しているんだな、と感心しました

 

     

     

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