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クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

映画「小さいおうち」を観る~チャイコフスキーの交響曲も流れる

2014年06月30日 07時02分01秒 | 日記

30日(月)。普段は吠えない犬が、クマに襲われた主人を助けるために吠えて撃退したというニュースがありました アベノミクスの要請で、企業はベアだ賞与だと負担を強いられています(私は賛成です)。中小企業の社長さんにとって、この犬はヒーローでしょうね。なにしろベアを押さえたのですから・・・・・・月曜の朝からワン・パターンですんまへん

 

  閑話休題  

 

先日、ギンレイホールで映画「小さいおうち」を観ました この映画は第143回直木賞を受賞した中島京子の小説を、山田洋次監督が実写化した作品です 私はかなり前に文庫本で読んでいたのでストーリーはすんなりと入ってきました。ストーリーは

「健史(妻夫木聡)は時々親類のタキ(倍賞千恵子)の家に様子を見に行っていたが、タキは大学ノートに自叙伝を書いていた 映画はタキの自叙伝をなぞる形で進んでいく。昭和11年、山形の田舎から東京に出てきた若き日のタキ(黒木華)は、東京の外れにある赤い三角屋根の小さくてモダンな屋敷を構える平井家のお手伝いさんとして働くことになった そこには、玩具会社の重役を務める主人の雅樹(片岡孝太郎)と美しい妻・時子(松たか子)、二人の間に生まれた男の子が暮らしていた。穏やかな生活が続いていたが、ある日、主人の会社に入った藝大出の青年・板倉(吉岡秀隆)と出会った時子が、いつしか彼に魅かれていくことにタキは気づく 時子は板倉と密会を続けるようになるが、タキはそれが主人や子どもに知れたら大変なことになる、と思い、密会を止めさせようと決心する

 

          

 

晩年のタキ役の倍賞千恵子さんを見ていて「さくらさん、ずい分、歳をとりましたねえ」と思わず叫びそうになりました。また、同じように、板倉役の吉岡秀隆を見て「満男君は変わらないねえ」と感心しました。山田ファミリー健在なり、ですね

若き日のタキを演じた黒木華さんは「小さいおうち」で第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞したことは周知のことですね いかにも昭和10年代の日本の典型的なお手伝いさんといった雰囲気を出しています

中嶋京子さんのモデルにしたバージニア・リー・バートンの絵本「小さいおうち」(石井桃子訳)は、子どもたちが小さい頃によく読んであげた本です

 

          

 

ところで、私が映画を観て関心があるのは、どんな音楽が使われているか、ということです 板倉が平井家を訪ねてきて、居間で時子とレコードを聴くシーンで、板倉が「これはストコフスキーがノン・タクトで指揮をしている演奏です。指揮棒を持たないことをノン・タクトというのです」と言います その時レコードから流れていたのはチャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」でした 「ストコフスキーと言えばオーケストラの少女ですね。ご覧になりましたか?」と時子が言うと、板倉が「そう。少女はディアナ・ダーヴィンでした」と答えます。ディアナ・ダーヴィンはあの映画の中でモーツアルトの「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」の中の「アレルヤ」を軽やかに歌っています

山田監督は「男はつらいよ」シリーズでも、毎回、何らかのクラシック音楽を使っていました それぞれの映画での選曲にはセンスの良さを感じます

          

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インキネン+日本フィルでマーラー「交響曲第6番イ短調」を聴く~第4楽章のハンマーは3回

2014年06月29日 08時36分12秒 | 日記

29日(日)。昨日、サントリーホールで日本フィルの第661回東京定期演奏会を聴きました プログラムは①シベリウス「夜の騎行と日の出」、②マーラー「交響曲第6番イ短調」。指揮は日本フィル首席客員指揮者ピエタリ・インキネンです

 

          

 

自席は2階LD3列2番、左ブロック左から2つ目の席です。会場はほぼ9割方埋まっている感じです。マーラーだからこそでしょう オケは向かって左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスというオーソドックスな配置です インキネンは対向配置をとらないようです

1曲目のシベリウス「交響詩”夜の騎行と日の出」は1908年に完成しましたが、ちょうど交響曲第3番が作曲された時期に当たります この曲についてシベリウスが友人に語った解説が残っています。それによると

「森の暗闇の中を一人孤独に馬で行くごく一般的な人間の内面的な経験・・・・時にひとり自然とともにあることを喜び、また時には静寂やそれを打ち破る聞き慣れない音に畏れを感じる。しかし、夜明けには感謝と喜びが訪れるのだ

曲はまさに、この解説をなぞるように進みます。シベリウスらしいメロディーが随所に聴かれます

 

         

 

休憩後はマーラーの「交響曲第6番イ短調”悲劇的”」です。この曲を一言で言えば「英雄の栄光と死」とでも言えるでしょうか 順調に勝ち進んできた英雄が、最後の局面でハンマーに打ちのめされるのです

第1楽章が低弦のユニゾンで開始されます。英雄の行進曲とでも言える音楽です 気持ちよく聴いていると、椅子が微妙に振動していることに気が付きました。スワ地震か・・・と思いきや、となりのトトロが、もとい、となりのオジサンが行進曲に合わせて足で拍子を取っているのです これには困りました。気持ちはよく分かります。拍子を取りたくなる曲想なのです。でも、ここは天下のサントリーホール。自分一人だけで聴いている訳ではありません。しかし、私はそのオジサンがあまりにも善良そうな顔だったので、やめてけろ、とは言えませんでした 一番ストレスを残さない方法は自分でも足で拍子を取ることですが、そうすると近所迷惑の原因が2倍になるので止めておきました

ところで、この楽章の第2主題は「アルマのテーマ」です。マーラーの妻アルマの回想録に、マーラーが「私は君をある主題の中に定着しようと試みた」と語ったと書かれています。素晴らしいメロディーです

第2楽章に入りますが、インキネンは「スケルツォ」の楽章を選びました 実は第2楽章に「スケルツォ」の楽章を持ってくるか、あるいは「アンダンテ・モデラート」の楽章を持ってくるかという選択があるのです。従来、第2楽章「スケルツォ」、第3楽章「アンダンテ・モデラート」という解釈が一般的でしたが、2003年に国際マーラー協会が第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「アレグロ」が最終決定稿だと発表したのです しかし、現在でも、衝撃的な第4楽章「アレグロ」の前に緩徐楽章を置く従来のスタイルを採る指揮者が多いのが実情です。インキネンもその一人と言う訳です

第3楽章「アンダンテ・モデラート」は抒情的で心安らぐ音楽です。マーラーの緩徐楽章はどの交響曲も良いですね。第3番、第4番、第5番、そして第9番

チェレスタとハープで始まる第4楽章は、この交響曲の物語の結論です 楽章の後半でハンマーが打ち下ろされますが、インキネンは3回の打撃を指示しました。この回数にも複数の解釈があります

そもそもマーラーの自筆譜では、当初ハンマーの導入はなく、後に加筆されたのですが、その時は第4楽章で5回打たれるようになっていました その後、第1稿を出版する段階で3回に減らされました さらに、初演のためのリハーサルの過程で、3回目のハンマーの打撃を削除し、代わりにチェレスタを追加したのです

私はこれまで何回かこの第6交響曲を生演奏で聴いてきましたが、第4楽章でハンマーが3回打たれた演奏に出会ったことはほとんどありません。ほぼすべて2回のみです

第4楽章の曲の途中で打楽器奏者がおもむろに立ち上がり、ステージ右後方に設置された畳一畳ほどのテーブルのような台を、大人がやっと持ち上げられるほどの大きなハンマー(木槌)で思い切り叩くのですが、その瞬間、台が大きく波打つのが見えます 2回目に叩いた後、奏者がステージ脇に姿を消しました ひょっとしてトイレかな、と思いましたが、マーラーの場合、ステージ裏で打楽器を演奏することもあるので、音入れではなく音出しだったのかも知れません 案の定、その奏者は戻ってきて3回目の打撃に備えました

この曲は、ハンマーのすぐ前で演奏しているチューバ奏者などにとっては、大きな迷惑な曲でしょうね 耳がつんぼになってしまうのではないかと心配になります。耳栓してるかもね それに、会場を貸しているホール側にとっても、間接的に床をハンマーでぶっ叩くわけですから、あまり心地よくはないでしょうね

プログラムに載せられたこの曲の解説は松本學という評論家(?)が書いていますが、最後に小さな文字で次のように書かれていました

「この曲目解説は当初演奏会を予定していた2011年4月のものをベースに加筆したものです。」

その年に何があったかを思い出せば、何故この曲が演奏されず、今になって演奏されるようになったのかが分かります 言うまでもなく、2011年3月には東日本大震災があり、多くの犠牲者が出ました その影響で、数多くのコンサートが中止もしくは延期に追い込まれました。あれから3年経って、やっとマーラーの第6番『悲劇的』が演奏されるようになったのです

マーラーは今から約100年前、「いつか私の時代が来る」と呟いたと言われていますが、まさに今こそ、マーラーが聴かれる時代(混迷の時代!)です

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萩原麻未ピアノ・リサイタルを聴く~躍動感あふれるラヴェル、ジェフスキ

2014年06月28日 07時24分30秒 | 日記

28日(土)。日本が1勝も出来なかったサッカー・ワールドカップで、ウルグアイ代表のルイス・スアレス選手がイタリアの選手にかみついたことを理由に、FIFAが同選手に9試合の出場停止、4か月のサッカー活動停止、10万スイスフランの罰金を科したことについて、ウルグアイサッカー協会は異議を申し立てる意向を明らかにした、というニュースがありました

サッカーは意図的に手を使ってはいけないというルール(ハンド!)はだれでも知っていますが、口を使ってもいけません(バイト?) 当たり前ですが・・・・それにしても、スアレス選手の場合はケアレスミスではなく、スアレスミスとでも言うのでしょうか

 

  閑話休題  

 

昨夕、紀尾井ホールで萩原麻未のピアノ・リサイタルを聴きました プログラムは①フォーレ「ノクターン第1番変ホ短調」、②同「ノクターン第4番変ホ長調」、③ドビュッシー「ベルガマスク組曲」、④喜びの島、⑤ラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」、⑥同「ラ・ヴァルス」、⑦ジェフスキ「ウィンズボロ・コットン・ミル・ブルース」の7曲です

 

          

 

自席は1階6列5番、左ブロック右通路側席です。小雨が降ったり止んだりの天候の中、会場はほぼ満席

萩原麻未が白を基調に、胸に銀のラメを散らした素敵なドレスで登場します この日のプログラムはフランス物を中心として、最後にアメリカの作曲家による作品で〆るという組み立てです。1曲目のフォーレ「ノクターン第1番変ホ短調」の演奏に入ります。ノクターンと言えばショパンを想起しますが、フォーレのそれは印象がだいぶ異なります。甘さを排した内省的な音楽です 第1番も第4番も同様です。萩原麻未はニュアンス豊かにフォーレを表現します

次のドビュッシー「ベルガマスク組曲」は「前奏曲」「メヌエット」「月の光」「パスピエ」から成りますが、第3曲の「月の光」は夢見るような旋律で有名です。萩原麻未は曲ごとにメリハリをつけて演奏します 間を置かず次の「喜びの島」の演奏に入ります。この曲はドビュッシーが、ルーヴル美術館収蔵のヴァトーの絵画「シテール島への巡礼」にインスピレーションを得て作曲したと言われています。相当技巧を要する作品で演奏は困難を極めます 自席から彼女の指使いが良く見えますが、右手と左手のそれぞれの動きが鮮やかです。躍動感溢れるフィナーレは、聴いているわれわれも精神が高揚します

休憩後の最初はラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」です。萩原麻未は椅子に座るや否や演奏に突入します。激しい音楽表現に”感傷的”という雰囲気もすっ飛びそうです もっと驚いたのは、間を置かず演奏に入った「ラ・ヴァルス」です。この曲はオーケストラで演奏されたり、ピアノ・デュオで演奏されたりすることが多いのですが、この日は独奏です この演奏が凄かった 一人で演奏しているのに、まるでデュオで弾いているように聞こえます。これが彼女の実力です

さて、もっと凄かったのがプログラムの最後に置かれたジェフスキの「ウィンズボロ・コットン・ミル・ブルース」です。ジェフスキはアメリカ生まれのポーランド系の現代音楽作曲家。この曲はアメリカのピアニスト、ジェイコブスの委嘱により、1979年頃に作曲された全4曲の「ノース・アメリカン・バラード」の終曲に当たります。萩原麻未は今度ばかりは楽譜を見ながら演奏するようです

曲は最低音部の打鍵が細かく繰り返されたり、時に山下洋輔ばりの”肘打ち奏法”が使われたりして、徐々に高音部に移っていきます。いわば「ミニマル・ミュージック」です。静かに始まり、徐々に激しいリズムが炸裂します 私がこの曲を聴くのは初めてですが、すっかり魅了されてしまいました。萩原麻未にぴったりの曲です。彼女はどこでこの曲に出会ったのでしょうか

会場一杯鳴り止まない拍手に、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」を爽やかに演奏しました こんな凄いコンサートは久しぶりです。今年前半の「マイ・ベスト1」コンサートです。これからも萩原麻未のコンサートは知りうる限り聴いていきます

 

          

          

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映画「そして父になる」を観る~”家族とは何か”を問う

2014年06月27日 07時18分37秒 | 日記

27日(金)。昨日、飯田橋のギンレイホールで是枝祐和監督による「そして父になる」を観ました

 

          

 

物語は 「大手建設会社に勤めるエリート社員で、都心の高級マンションで妻と一人息子と暮らす野々宮良太(福山雅治)は、ある日、産院からの電話で、6歳の息子が取り違えられた他人の子だと知る 妻のみどり(尾野真千子)は、母親であるのに見分けられなかったとして自分を責め、良太は性格が優しすぎる息子に抱いていた不満の意味に気づく 一方の家族である斉木雄大(リリー・フランキー)・ゆかり(真木よう子)夫妻は群馬県で小さな電気店を営みながら3人の子どもを育てている。産院側の弁護士は、過去の取り違え事件では100%血のつながりを取ると言うが、息子を大事に育ててきたみどりや、賑やかな家族を築いてきた斉木夫妻は、育ててきた子を手放すことに苦しむ 良太だけが、出来るだけ早く血のつながりのある子と取り替えて育てた方がこれからの長い人生を考えるとベターだ、と思っている。そして、ついに実験的に”交換”が始まり、血のつながった親子同士の生活が始まる。しかし、それからが良太にとって”父親”としての資質が試される試練の生活だった

 

          

 

この映画が問うているのは、もし自分自身に同じような問題が降りかかったとき、どういう選択をするのか、ということです 「血のつながり」を選択して、生みの親として立場をとるのか、あるいはこれまでの6年間自分の子として愛情を注いできたという実態を選択して、育ての親としての立場をとるのか、ということです これは非常に重いテーマです。誰もが簡単には結論が出せないと思います

この映画は第66回カンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞した作品です 審査委員長はスティーヴン・スピルヴァーグ監督ですが、映画祭での上映後、10分以上にわたるスタンディングオベーションが続いたそうです 世界共通の”家族とは何か”というテーマを真正面から取り上げた作品として評価されたのだと思います

さて、私が映画を観て興味があるのはどんな音楽が使われているのかということです この映画では重要な局面でバッハの音楽が静かに流れます。エンドロールで流れるのはバッハの「ゴールドベルク変奏曲」の「アリア」で、ピアノ独奏はカナダの奇才グレン・グールドです ここで困った問題が1つあります。グールドの弾く「ゴールドベルク変奏曲」の録音には2種類あるのです 『旧盤』が1955年の録音、『新盤』がその26年後の1981年の録音です

 

          

                  (旧盤:1955年録音のCD)

 

          

                  (新盤:1981年録音のCD)

 

さて、この映画で使われたのはどちらの演奏なのか?それは実際にCDを再生してみて判りました 旧盤に間違いないでしょう 2つの演奏の大きな違いはテンポです。旧盤が比較的ノーマルなテンポであるのに対し、新盤はテンポが極端に遅いのです 今にも止まりそうな、と言ってもよいほどのゆったりとしたテンポなのです それにつけても、是枝監督はバッハがお好きなのでしょうか

 

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吉村英夫著「ヘタな人生論より『寅さん』のひと言」を読む~それを言っちゃあおしめえよ!

2014年06月26日 07時02分50秒 | 日記

26日(木)。昨夕HCビル地下のKで、当ビルの有力テナントT社のHさんと、当社X部長と3人で暑気払いをしました いつもは閑古鳥が鳴いているので、予約なしでお店に行ったところ、何と2つのグループでほとんど満員状態です。何とか3席分を確保しましたが、迎え撃つお店の戦力は板さんとママの二人だけ。予想通りビールやお酒が出てくるのが遅くなり、JR中央線の徐行運転並みのペースになってしまいました 仕方ないのでチビリチビリやりながら最近のケーザイ情勢やセージ情勢について話しました。そんな訳で、いつものように今日は朝から頭が頭痛です

 

  閑話休題  

 

吉村英夫著「ヘタな人生論より『寅さん』のひと言」(河出文庫)を読み終わりました 著者の吉村英夫氏は1940年三重県生まれ。高校教員を経て現在は愛知淑徳大学教授です。山田洋次関連の研究書を2冊刊行しています この本は本人が「あとがきにかえて」で述べているように、ほとんど「『男はつらいよ』セリフ集」です

 

          

 

 映画『男はつらいよ』は何作も観ましたが、この本で「名セリフ」を読んでいると、それぞれのシーンが脳裏に蘇ってきます 例えば、博の父親の話したことの受け売りを寅がとらや一家に語るシーンです

寅「例えば、日暮れ時農家のアゼ道を一人で歩いていると考えてごらん、庭先にりんどうの花がこぼれるばかりに咲き乱れている農家の茶の間、灯りがあかあかとついて、父親と母親がいて、子どもたちがいて賑やかに夕飯を食べている、これが・・・・これが本当の人間の生活というものじゃないかね、君

つね「ちょいと悪いけどね、親子で晩御飯食べてるだけのことで、なんでそんなに感心するんだい」

竜造「そうよ、どこでもやってんじゃねえか、そのくらいのことは」

寅「ただ食べてんじゃないんだよ、庭先にりんどうの花が咲きこぼれていたの」

つね「りんどうの花だったらうちにも咲いてるよ」

寅「電気があかあかとともってよ

竜造「夜になりゃ、電気はつけるだろ、どこでも」

寅「ああ、分かってないな、これだから教養のない人はいやなんだよ、話し合えないという感じがするもんねえ、なア、博君

博「(閉口しながら)え、ええ、そうですね・・・・つまり、兄さんの言いたいことは、平凡な人間の営みの中にこそ幸せがある、とでもいうのかな

これは教養のない寅が言うから可笑しいのです 裏の印刷工場の若者たちに向けて話しかける次のセリフも定番です

「おい、労働者諸君、相変わらず不幸せですか」

「労働者階級のみなさん、今日も一日ほんとうに労働ご苦労さま」

寅は自分が労働者とは思っていないから、オカシイ

たまには真理をつくセリフが出てくるのも寅の特徴です。「人間はなんで死ぬんでしょうねえ」と訊かれて、

寅「人間、うーん、そうねえ、まァ、なんて言うかな、まァ、結局あれじゃないですかね、まァ、こう人間が、いつまでも生きていると、あのー、こー、丘の上がね、人間ばかりになっちゃう・・・・で、うじゃうじゃ、うじゃうじゃメンセキが決まっているから、で、みんなでもって、こうやって満員になって押しくらマンジュウしているうちに、ほら足の置く場所がなくなっちゃって・・・で、隅っこに居るやつがお前、どけよと言われて、ア、アーなんて海のなかへ、バチャンと落っこって、アップ、アップして『助けてくれー助けてくれー』なんてね、死んじゃうんです。結局、そういうことになってるんじゃないか、昔から。まァ、そういうことは考えない方がいいですよ」

哲学的な大問題を現実的・即物的に考えて、しまいには考えることを放棄してしまう、いいですねえ、こういう寅さんは 実に人生についていろいろと教えてくれるのが「男はつらいよ」です

この本に出てこなかった名セリフで私が大好きなセリフが一つだけあります。初代おいちゃん(森川信)が、寅の我がままに我慢できず「出ていけ」と叫んだ時に吐く寅のセリフです。

「おいちゃん、それをいっちゃあおしめえよ」

そのセリフを残して寅はまたとらやを出てい行きます

そういえば、「男はつらいよ」の主題歌を作ったのは山本直純さんでしたね

 

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レイ・チェン+石坂団十郎+江口玲による「ストラディヴァリウスの響き」を聴く

2014年06月25日 07時02分07秒 | 日記

25日(水)。昨夕、大手町のよみうり大手町ホールで「ストラディヴァリウスの響き」公演を聴きました 演奏はヴァイオリン=レイ・チェン、チェロ=石坂団十郎、ピアノ=江口玲です。プログラムは①サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオ―ソ」、②レスピーギ「アダージョと変奏」、③オネゲル「ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ」、④ヘンデル/ハルヴォルセン「パッサカリア・ト短調」、⑤チャイコフスキー「ピアノ三重奏曲イ短調”偉大な芸術家の思い出に」です

 

          

 

よみうり大手町ホールで聴くのは初めてです。今まで「読売ホール」と言えば有楽町駅前のBicカメラ最上階にあるホールのことでした 新しく出来た「よみうり大手町ホール」は読売新聞社の新社屋の中にあります。今年5月の3連休に国際フォーラムを中心に開かれたラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンでは、「読売ホール」と「よみうり大手町ホール」も会場になっていたため、会場を間違えて慌てた聴衆が少なからずいたとのことです 多分来年はこういうことはないでしょう

エスカレーターで5階まで上がったところがホールの入り口です。ホールは全てが木から出来ており、落ち着いた雰囲気を醸し出しています 収容人員501席は内幸町の飯野ホールとほぼ同じです。ホール階上のこじんまりとしたドリンク・コーナーでコーヒーを飲みましたが、紙コップとは言え300円は良心的です

会場入口で配られたプログラムを見ながら熱いコーヒーを飲みました。54ページ・オールカラーの立派なプログラムで、「主催:読売新聞社、特別協力:日本音楽財団」とあります。2日間のプログラム、出演者の略歴、主催者側のあいさつがあり、残りは35ページにわたり日本音楽財団が保有するストラディヴァリウス等の名器20挺が写真入りで紹介されています

 

          

 

保有楽器と貸与者のリストを見ると、パガニーニ・クァルテット(ヴァイオリン2挺、ヴィオラ、チェロ)という4挺セットがかつて東京クァルテットに貸与されていたのが、現在はハーゲン・クァルテットに貸与されていることが分かります また、日本人では、ヴァイオリンの「ドルフィン」が諏訪内晶子、「ジュピター」が後藤龍(その前は姉の後藤みどり)、「ウィルヘルム」が渡辺玲子に貸与されていることが分かります。いかにこの財団がお金持ちか分かりますね

 

          

 

と、そこまでは良かったのですが、どんなに薄いプログラムでもほとんど例外なく載せられているはずの情報が載っていません。「曲目解説」がないのです この日のプログラムの中で、サン=サーンスの「序奏とロンド~」やチャイコフスキーの「ピアノ三重奏曲」は有名な曲なのである程度は分かりますが、レスピーギの曲やオネゲルの曲などはこの日初めて聴く聴衆がほとんどではないか、と思います 54ページもあるプログラムで曲目解説が一行もないというのは、クラシック音楽界では例がないのではないかと思います

もし、主催者側が「『ストラディヴァリウスの響き』というタイトルを冠したコンサートなのだから、曲目解説などなくても演奏曲目は分かるクラシック音楽好きしか来ないはず。曲は何でもいい。ストラディヴァリウスの音を聴いてもらえばいいのだ。したがって解説はいらない」と思っているとしたら、それは大間違いです そういう居丈高のスタンスを取る限り、クラシック人口は減りこそすれ、増えることはないでしょう。主催者側の趣旨を訊きたいところです         

ヴァイオリンのレイ・チェンは1989年台湾生まれ。2008年ユーディ・メニューイン国際コンクール優勝、2009年エリザベート王妃国際コンクールで史上最年少で優勝するなど輝かしい履歴の持ち主です 使用楽器は日本音楽財団から貸与されている1715年製ストラディヴァリウス「ヨアヒム」。チェロの石坂団十郎は1979年、ドイツで日本人の父親とドイツ人の母親のもとに生まれました。2001年ミュンヘン国際音楽コンクールで優勝するなどの実力者です 使用楽器は1730年製ストラディヴァリウス「フォイアマン」。江口玲は1986年ヴィ二アフスキー国際ヴァイオリン・コンクールで最優秀伴奏者賞を受賞するなど、来日アーティストの伴奏でお馴染みのピアニストです

自席は16列6番、センターブロック左通路側です。会場は文字通り満席。最初のサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオ―ソ」を演奏するためレイ・チェンと江口玲が登場します。いやあ、さすが「ヨアヒム」の美音は会場の隅々まで響きわたって行きます ピアノに目を向けると、譜面台のところに液晶画面が見えます。どうやら江口氏は電子楽譜を使用しているようです。譜めくりの女性はキーをポンを押すだけです 昨年のサントリーホール・チェンバーミュージックガーデンではボロメーオ・クァルテットがマック・ブックを見ながら演奏していました

2曲目のレスピーギ「アダージョと変奏」は江口玲の伴奏でチェロの石坂団十郎が叙情的なメロディーを奏でます。江口はこの曲以降、電子楽譜でなく普通の楽譜で演奏するようです。「フォイアマン」の音には伸びがあります

3曲目のオネゲル「ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ」はレイ・チェンと石坂との掛け合いで、フランスのエスプリを感じさせる演奏です

4曲目のヘンデル/ハルヴォセン「パッサカリア・ト短調」も二人による演奏ですが、これは火花が散るような激しい協奏、いや競争です

 

          

 

休憩後はこの日のメイン・ディッシュ、チャイコフスキー「ピアノ三重奏曲イ短調”偉大な芸術家の思い出に”」です ピアノの序奏に続いてチェロが主題を奏で、次いでヴァイオリンが入ってきますが、この冒頭は感動的です この主題は後にも出てきますが、同じ作曲家の交響曲第5番を思い起こします。この曲も同じ主題が後に出てきます。まったく印象を変えて

3人の演奏を聴いていて感じたのは、このコンサートの主眼がストラディヴァリウスの音を堪能することにあるので、ヴァイオリンとチェロの音の素晴らしさですが、私が一番感心したのは江口玲のピアノです この人のシュアで安定したピアノが控えているからこそ、2人の弦楽奏者の演奏が生かされたのだと思います。素晴らしいピアニストです

この日の演奏会はストラディヴァリウスの美しい音色が十分楽しめた公演でしたが、併せて江口玲の素晴らしさを再認識したコンサートでもありました

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サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン・フィナーレを聴く~ショスタコーヴィチ「第2SQ」他

2014年06月24日 07時00分21秒 | 日記

24日(火)。昨夕、X部長が日帰りで京都から帰って来たN氏を慰労しようと緊急動議を提出、タイムキーパー役のK君も巻き込み4人で地下のRで飲むことになりました 「30分だけね。30分というのは6時30分までということね」というX部長特有の商品先物取引まがいの勧誘に乗せられて、結局2時間たっぷり付き合うことになりました。N氏の話では行きも帰りも新幹線は満員だったそうで、やっぱり月曜日はね・・・・ということで提出法案は可決されました 同時に、N氏が京都で買った奈良漬は土地の垣根を乗り越えて美味いに違いない、という付帯決議も可決、牛歩戦術に悩まされた根気臨時黒海は午後7時30分に閉会となりました。月曜日から、もうイヤ、こんな生活、通販生活

 

  閑話休題  

 

22日(日)午後1時半からサントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で、チェンバーミュージックガーデン「フィナーレ」コンサートを聴きました プログラムは①アイヴズ「ピアノ三重奏曲」、②ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第2番イ長調」、③ゴリホフ「ラスト・ラウンド」、④武満徹「そして、それが風であることを知った」、⑤ヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲集”四季”」から第1番「春」、第2番「夏」です 出演は、ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル、フルート=佐久間由美子、ヴィオラ=川本嘉子、ハープ=吉野直子、弦楽四重奏=パシフィカ・クァルテット、クァルテット・エクセルシオ、オケ=チェンバーミュージックガーデン・アンサンブルです

 

          

 

自席はLb2列10番、左サイドの右から3つ目です。最初のアイヴズ「ピアノ三重奏曲」は「アルク・トリオ」によって演奏されます メンバーは、ヴァイオリン=依田真宣、チェロ=小野木遼、ピアノ=小澤佳永です。アイブズは20世紀のアメリカの作曲家です。第1楽章はピアノの伴奏でチェロがメロディーを奏で、ヴァイオリンが加わります。この楽章が終わった時点で、ヴァイオリンの依田君の弓の繊維が切れて垂れ下がっていました。相当力が入ったようです 第2楽章はTSIAJと記されています。何かと思ったらThis Scherzo is a joke だそうです 終始激しいアタックで破壊的な音楽が展開します。第3楽章は再度、穏やかな雰囲気に戻りますが、一筋縄では済みません

2曲目はショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第2番イ長調」です。演奏はパシフィカ・クァルテット これは先日のコンサートの時、会場ロビーで彼らの演奏によるCDを買ったのでしっかり予習しておきました

 

          

 

4人が登場します。第1ヴァイオリンのガナートラは黒地にシルバーの模様を配したシックなドレスです 左からガナートラ、バーンハートソン、ヴェイモス、バーモスタードという並びですが、ヴィオラのバーモスタードだけが、突出して椅子を高く調整しています。4人のメンバーの中で一番背が高いのですが、ほとんど中腰スタイルです

ガナートラの主導で第1楽章に入りますが、CDで聴いていたのはいったい何だったのか と思うほど、最初から激しい音楽が展開します CDはあくまでパッケージ音楽に過ぎません。生でこの演奏を聴く醍醐味はCDでは伝わりません ガナートラはある時は腰を浮かせ、ある時は足を浮かせ、ある時はのけ反り、身体全体で演奏します 自席からは彼女の後姿しか見られませんが、対面する位置にいる聴衆は彼女の千変万化の表情を見ることができるはず 第2楽章では第1ヴァイオリンによる抒情的な”歌”が延々と続きますが、1本のヴァイオリンから様々な表情の音が繰り出してくるのが不思議なくらいです。何という表現力でしょうか

第3楽章はワルツですが、ショスタコーヴィチらしい、アイロニカルな世界が展開します 第4楽章では、主題がヴィオラ、第2ヴァイオリン、チェロ、第1ヴァイオリンと受け継がれていきます。4人の奏者は身体全体を使って演奏、フィナーレになだれこみます 何という演奏でしょうか。もの凄い演奏でした パシフィカ・クァルテットの最大の魅力は、確かな技術力を背景に躍動的に音楽を表現するところです この日の演奏は今年のマイベスト10に入ること間違いないでしょう

ところで、女性から見た同じ女性のガナートラはどのように映るのでしょうか?私などは、自分より大柄な男どもを3人も従えて颯爽と演奏をリードする彼女は、胸がすくほどカッコいいと思います その鋭い感性を、ヴァイオリン界のアルゲリッチと呼びましょう

 

          

 

前半の最後はアルゼンチン生まれでアメリカで活躍しているゴリホフの「ラスト・ラウンド」です 同郷の作曲家アストル・ピアソラへのオマージュ的な作品です。向かって左サイドにパシフィカ・クァルテットが、センターにコントラバスの吉田秀が、右サイドにクァルテット・エクセルシオがシンメトリックに対向します。チェロ以外は立って演奏します

曲は、タンゴのリズムに乗って熱狂的に演奏されます。まさにピアソラの世界にいるようです。聴いているわれわれ聴衆も熱くなります

 

          

    

休憩後の最初は、武満徹の「そして、それが風であることを知った」です。演奏はフルート=佐久間由美子、ヴィオラ=川本嘉子、ハープ=吉野直子です こんな珍しい組み合わせによる曲なんて、いったい誰が最初に書いたのでしょうか?フランスの作曲家クロード・ドビュッシー以外にいないでしょう 彼は「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」を作曲しています。明らかに武満はドビュッシーのこの曲を意識して作曲したに違いありません

ソリストの3人はドレスをグリーン系で統一しています。最初はハープ独奏で始まりますが、途中でフルートとヴィオラが絡んできます 不思議なくらい3つの楽器の組み合わせに違和感がありません。3人のソリストは演奏が安定しています。それにつけても、かなりベテランの域に達しましたね、3人とも

最後はキュッヒルを主導者としてヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲集『四季』から第1楽章『春』、第2楽章『夏』が演奏されます

チェンバーミュージックガーデン・アンサンブルのメンバーがステージに登場します 向かって左から第1ヴァイオリン(依田真宣、北見春菜、平野悦子、外園萌香)、ヴィオラ(高橋梓、福井萌、吉田有紀子)、チェロ(中実穂、鎌田茉莉子)、第2ヴァイオリン(小形響、福崎雄也、東山加奈子、花田和加子)、後ろにチェンバロ(古藤田みゆき)、コントラバス(吉田秀)がスタンバイします 女性陣は色とりどりのドレスで目を目を楽しませてくれます チェロとチェンバロのみが座って演奏します。リーダー役は第1ヴァイオリンの依田君が務めます

ライナー・キュッヒルが登場、指揮者を兼ねてソリストとして演奏します 私は、チェンバーミュージックガーデンのフィナーレとして、最後にこのヴィヴァルディの『四季』を持ってくることにはあまり感心しませんでした しかし、ウィーン・フィルのコンマス、キュッヒルとともにこの曲を真摯に演奏する若い演奏家たちを見ていると、『四季』で良かったのだ、と思うようになりました 技巧的にも見せ場があり、なかなか聴かせる曲です

鳴り止まない拍手に、いま演奏した四季の「夏」の第3楽章をもう一度演奏しました キュッヒルは演奏者一人一人と握手し、颯爽と舞台袖に引き上げて行きました

これで今年のチェンバーミュージックガーデンも終わり とても寂しいです。またパシフィカ・クァルテットを聴きたいです

 

          

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キュッヒル・クァルテットでベートーヴェン「弦楽四重奏曲第6番」「弦楽五重奏曲」他を聴く

2014年06月23日 07時01分29秒 | 日記

23日(月)。21日(土)は午後2時から東京交響楽団の定期演奏会を、午後7時からキュッヒル・クァルテットの公演を聴きました 昨日、東響のコンサートの模様について書いたので、今日はサントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)で開かれたサントリーホール・チェンバーミュージックガーデン「キュッヒル・クァルテット ベートーヴェン・サイクルⅥ」の模様を書きます

プログラムはベートーヴェン①弦楽四重奏曲第6番変ロ長調、②ピアノ・ソナタ第9番ホ長調(ピアノ:河村尚子)、③弦楽四重奏曲ヘ長調(ピアノ・ソナタ第9番の編曲)、④弦楽五重奏曲ハ長調(ヴィオラ:店村眞積)です

 

          

 

自席はLb3列7番、左ブロック中央です。キュッヒル・クァルテットはウィーン・フィルのコンマス、ライナー・キュッヒルが率いるウィーン・フィルのメンバーから成ります。この日の演奏会が今年のベートーヴェン・サイクルの最終公演になります

例によって難しい顔をしたキュッヒルが3人のメンバーとともに登場します。1曲目のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第6番」は、小さいけれど愛らしい曲です

ここで、一旦椅子と譜面台が片付けられ、ピアノがセンターに移動します。同じ曲のピアノによるオリジナル版と弦楽四重奏への編曲版との聴き比べが始まります 最初にピアノ・ソナタ第9番のピアノによるオリジナル曲の演奏です。ソリストの河村尚子が黒と紫を基調とするシックなドレスで登場します お腹辺りがちょっと・・・ひょっとしてお目出度が近いのでしょうか? 間違ってたらゴメンナサイ

プログラムノ解説によると、ピアニストの奇才グレン・グールドは「ベートーヴェンの初期ソナタを聴いているとみな弦楽四重奏に編曲可能だという強い思いに捉われた」と述べていたそうです その一例がベートーヴェン自身によるこの第9番のピアノ・ソナタです

第1楽章は愛らしいメロディーが美しく響きます。第2楽章を経て、第3楽章は軽やかなメロディーです。河村尚子さんのピアノは久しぶりに聴きましたが、いいですね

 

          

 

休憩後の1曲目は、前半に聴いたピアノ・ソナタ第9番の弦楽四重奏版です 聴いてみると「なるほど、こういう風になるのか」と感心します。ピアノ独奏による演奏も楽しめますが、こうして弦楽四重奏で聴いても何の違和感もなく耳に馴染んできます ベートーヴェンは作曲する際にピアノを弾いて作っていたことと関係があるかもしれません

最後はベートーヴェン唯一の弦楽五重奏曲である作品29ハ長調です。クァルテットにヴィオラの店村眞積が加わります

この曲は第1楽章冒頭が好きです。明るく鷹揚でスケールが大きい音楽が展開します。第4楽章のトレモロの演奏も印象に残ります

この演奏会がサイクル最後ということもあって、拍手が鳴り止みません 5人はアンコールにブラームスの「弦楽五重奏曲第2番」から第2楽章を、まだ直鳴り止まない拍手に第3楽章を演奏しました ブラームスも超一流の演奏でした

 

          

 

  閑話休題  

 

ロビーのデスクに来年のサントリーホール・チェンバーミュージックガーデンのチラシが置いてありました 来年は6月6日(土)から同21日(日)までとのことです

 

          

 

目玉の「ベートーヴェン・サイクル」はミロ・クァルテットとのこと 演奏日は6月7日、11日、13日、18日、20日の5日間。この5日間は今から予定して、他のコンサートのチケットを買わないようにしたいと思います

 

          

     

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1週間遅れの『父の日』のプレゼント

2014年06月22日 11時01分21秒 | 日記

22日(日)その2。昨夕、コンサートから帰ると、娘からプレゼントを渡されました。「父の日・・・・」と言って 一瞬「たしか『父の日』は1週間前だったはずでは・・・・」と思いましたが、ぐっとこらえて「ありがとう」とお礼を言いました 小さな小箱に何か入っているようです。何だろう?

 

          

 

ラップを解いて、小箱を開けてみると、中から可愛いホルンが出てきました。タイピンです ただいまオフィスはクールビズにつきネクタイは着用しませんが、ネクタイに使用しなくても、胸のアクセントになりそうです。1週間遅れの『父の日』のプレゼントでしたが、父の趣味をちゃんと分かって選んでくれて、とても嬉しかったです

 

          

 

  閑話休題  

 

先日、近隣の3ビル合同で実施した「オフィスイレブン」カードキャンペーンに1通だけ応募したら4等の「1,000円の利用券」が当たったとブログに書きましたが、昨日その利用券が届きました

 

          

 

プレゼントのお礼にと娘に「ランチでも食べて」と言ったら、「自分で使ってよ」と遠慮するので、自分で使うことにしました。私としては「運がついている」ことがわかっただけで十分なのですが、どこかでランチでも食べながら使い道を考えようと思います

 

   も一度、閑話休題   

 

コンサート会場の入り口で配られたチラシの中に「無料招待」コンサートのチラシが混じっていたのでご紹介します

7月17日(木)午後7時から東京国際フォーラムCホールで開かれる「ようこそ、オーケストラの世界へ~すばらしきミュージカル&スクリーンミュージック」公演です 円光寺雅彦指揮東京シティ・フィルが映画音楽やミュージカル音楽を演奏します

 

          

 

応募方法は次の通りですが、対象は都内在住・在勤・在学の人で、1,500名を無料招待するとしています 締め切りは6月24日(火)必着とのことですので急いで応募してください

 

          

          

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ジョナサン・ノット+東響でブラームス「第4交響曲」他を聴く~オペラシティシリーズ第80回定期演奏会

2014年06月22日 08時07分27秒 | 日記

22日(日)。昨日、東響オペラシティシリーズ第80回演奏会とキュッヒル・クァルテットのベートーヴェン・サイクルを聴きました。今日は東京オペラシティコンサートホールで聴いた東京交響楽団のオペラシティシリーズ第80回定期演奏会の模様について書きます。

プログラムは①バッハ/ウェーベルン「6声のリチェルカーレ」、②藤倉大「5人のソリストとオーケストラのための『Mina』、③ハイドン「交響曲第44番ホ短調”悲しみ”」、④ブラームス「交響曲第4番ホ短調」です 指揮は音楽監督ジョナサン・ノット。ソリストは、オーボエ=荒絵理子、フルート=相澤政宏、クラリネット=エマニュエル・ヌヴ―、ファゴット=福井蔵(以上、東響首席)、ハンマーダルシマー=ネイサン・デイヴィスというメンバーです

 

          

 

オケは左サイド奥にコントラバス、前に第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。ノット・シフトのコンマスはグレブ・ニキティンです

1曲目の「6声のリチェルカーレ~『音楽の捧げもの』BWV.1079より」はバッハの作品をウェーベルンが編曲したものです 「リチェルカーレ」とはフーガのことです。フーガとは、NHKのど自慢のデュエット曲の定番、ザ・ピーナツの『恋のフーガ』を口ずさんでみれば分かりますね。「追いかけーて、追いかけ-て」、そう、同じメロディーが追いかけて出てくるあれです

どうもシェーンベルクとかウェーベルンとか、現代音楽は好きになれないのですが、この曲は良い曲だと思いました 素材が良ければ調理方法を問わず料理は美味いということでしょうか

2曲目の藤倉大「5人のソリストとオーケストラのための『Mina』は、今や世界的に活躍する藤倉大が第1子である娘Minaの誕生後初めて作曲した曲とのことで、その時感じたインスピレーションを音にしたものだそうです

5人のソリストが登場し、指揮者の前にスタンバイします 左からフルートの相澤、オーボエの荒、ファゴットの福井、クラリネットのヌヴ―、ハンマーダルシマー(弦をバチで叩く楽器)のデイヴィスという配置です。「あらっ」と思ったのは、青地に白の花模様を配したお洒落なドレス姿の荒絵理子です あなた、張り込みましたね

曲は、瞬間瞬間で表情を変える赤ん坊の急激な変化を音にしていくもので、最初はソリストだけで演奏されます 途中からオケが加わり音に厚みを加えます。中間部ではフルートの相澤がバス・フルートに持ち替えて美しいメロディーを奏でますが、その間、他の4人は小さな打楽器(解説には「フィンガー・シンバル」とあった)などを鳴らしています。ここは赤ん坊をあやしているところでしょうか。面白い曲でした

 

          

 

前半最後の曲はハイドンの「交響曲第44番ホ短調”悲しみ”」です。この曲は1770年から72年にかけて作曲され、1760年後半から1772年にかけての『疾風怒濤』時代を代表する短調の名曲です ハイドンは100曲以上交響曲を書きましたが、短調は11曲だけです。そのうち6曲が『疾風怒涛』の時期に集中的に書かれています

オケは総勢33人程度の小編成です。ノットは指揮棒なしで登場します。彼がタクトを振らず手で指揮をするのは珍しいことです。古典派の曲ならではのことでしょう

ノットの合図で第1楽章の演奏に入りますが、まさに短調の魅力そのものの曲想です 聴いていてモーツアルトの短調を思い起こしました。ハイドンはモーツアルトの先陣を切っている、と再認識せざるを得ません 第2楽章のメヌエットを経て第3楽章のアダージョに移りますが、どちらかというと、このアダージョの方がメヌエットのような優雅な感じを受けました そして第4楽章のフィナーレを迎えますが、再び『疾風怒濤』の短調が胸に迫ります。やはり、ハイドンは文句なしに「交響曲の父」に相応しい人物です

休憩後はブラームスの「交響曲第4番ホ短調」です。奇しくも前日、ハーディング+新日本フィルで聴いたばかりの曲。図らずも聴き比べとなりました オケが拡大しフル・オーケストラで演奏します。今度はノットは指揮棒を携えて登場します

全曲を通して、同じ曲を聴いているのに印象がまったく違います 演奏自体というよりも音の響き方と言った方が良いかも知れません。会場の違い、座席の位置の違いによるところが大きいと思います

トりフォニーホールは約1800席、聴いたのは1階18列3番と、左ブロックの端に近い席。これに対しオペラシティコンサートホールは約1630席、聴いたのは1階19列21番と、センターブロックの右端の席です。ステージからの距離はほとんど同じにもかかわらず、総じていえば、トりフォニーの方が”音が遠い”、オペラシティの方が”音が近い”という印象がありました。同じシューボックス型のコンサートホールでも収容人数170席の差は大きいのかも知れません。

ハーディングとノットとの指揮で気が付いたのは、共通点としては①冷静な指揮ぶり②”対向配置”をとることが挙げられます 一方、ヴィオラ、第2ヴァイオリンへの”気遣い”の点で違いが見られました。弦の最高音程セクションである第1ヴァイオリンと最低音程セクションであるコントラバスとチェロが指揮者の左サイドに位置している関係で、指揮者としては必然的に左を向いて指揮することが多くなります それがそのまま素直に出ていたのがハーディングです。必要最低限の時だけ身体を右に向けますが、ほとんど左を向いたまま指揮をしていました。これに対しノットは、基本的には左を向いて指揮をすることが多いのですが、右のヴィオラと第2ヴァイオリンへの指示の時は必ず顔を向け、気配りを見せていました

同じ曲を違う指揮者やオーケストラで聴くときは、演奏それ自体はもちろんのことですが、こうした指揮者の動きに目を向けるとコンサートもより面白くなります

 

          

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