人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

佐藤正午著「ダンスホール」を読む~何気ない日常の中にある非日常の世界を活写

2013年12月31日 07時43分43秒 | 日記

31日(火)。いよいよ今年も今日で終わり。1年が過ぎるのは速いものです 昨日は午前中、今年診療最終日の整骨院に行ってマッサージをしてもらい、トイレ掃除を済ませました 息子がすべての部屋の床とと廊下の拭き掃除をしてくれたので助かりました 午後は、手紙・ハガキ・写真の類いとコンサートのチラシ等の整理をして、大きなゴミを出しました。何でこんなにゴミが出るのかと思うほど大量に出ました

今日は今年最後のコンサートに行きます。東京文化会館小ホールで開かれる「ベートーヴェンの弦楽四重奏曲・9曲演奏会」です 時間の関係ですべて聴かずに帰宅することになると思いますが、古典四重奏団、ルートヴィヒ弦楽四重奏団のベートーヴェンを堪能してこようと思います

 

  閑話休題  

 

佐藤正午著「ダンスホール」(光文社文庫)を読み終わりました 佐藤正午は1955年長崎県佐世保生まれ。この本は「愛の力を敬え」「空も飛べるはず」「ピーチメルバ」「ダンスホール」「真心」の短中編小説から成ります 佐藤正午と言えば、私は2009年刊行の「身の上話」が彼の最高傑作だと思っています

その「身の上話」の原点ともいうべきエピソードが最初の「愛の力を敬え」に出てきます 「いまの宝くじの話は小説に書けませんか?」と聞かれ、”私”が「書けるかもしれない。その宝くじが当たったという設定でね」と答えるというシーンです 佐藤正午は、宝くじに当たったという設定で、男と女の衝動的な駆け落ちの話を「身の上話」で書いています。この長編小説の最後の一行は強烈です

「ピーチメルバ」は、女はバニラの匂いに恋人の浮気を疑うという話ですが、この話のタイトルである「ピーチメルバ」とは「アイスクリームと桃とラズベリーソースで作ったデザート」のことで、さらに、その「メルバ」とはネリー・メルバというオーストラリアのソプラノ歌手の名前であると説明されています あるホテルの料理人が彼女のために新しいデザートを考案して捧げたのが、その名前の由来とのこと

メルバは1861年5月19日に生まれ、1931年2月23日に死去しています。クラシック音楽界でオーストラリア出身のソプラノ歌手として初めて有名になった歌手として知られています われわれが生まれる前に死去しているので、名前しか知りません

「ダンスホール」は、ある男の妻が、2枚の離婚届に判が欲しいと言ってくる話ですが、かなりの部分が会話で成り立っています 登場人物の会話のやり取りの妙が佐藤正午の小説の魅力の一つだと思います 何気ない日常の中にある非日常の世界、その活写が素晴らしいと思います

 

          

 

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映画「東京オリンピック」を観る~市川崑監督1965年制作~思い出に残るオリンピックマーチ

2013年12月30日 07時10分49秒 | 日記

30日(月)。昨日、早稲田松竹で映画「東京オリンピック」を観ました 1964年10月10日から24日まで東京で開かれた「第18回オリンピック競技大会」のドキュメンタリー映画です 総監督・脚本は市川崑ですが、夫人でシナリオライターの和田夏十、白坂依志夫、詩人の谷川俊太郎を加えた4人によって、撮影前に厳密なシナリオが書かれたそうです。その結果、カラー170分の超大作ドキュメンタリー映画が誕生しました

映画は真っ赤な太陽が昇るシーンで始まります。これは日本の日の丸を象徴していることは明らかです。次いで、大きなビルが丸い鉄の塊によって破壊され倒れていくシーンが映し出されます。そして大きな高速道路が現出し、古い日本から新しい日本に生まれ変わる有様を映像で表現します

 

          

 

開会式のシーンであらためて感動した場面がいくつかあります

まず、選手入場に流れる古関裕而作曲による「東京オリンピックマーチ」です。これは素晴らしい音楽です。何回聴いても飽きません

次に、聖火の最終ランナー、坂井義則選手がスタジアムの階段を一気に駆け上がり、聖火台の脇に立って聖火を高く掲げ、聖火台に点火するたシーンです。テレビで観た時の感動が蘇ってきました

そして、自衛隊の5機の戦闘機「ブルーインパルス」が東京の空に大きな五輪マークを描いた場面です。「ブルーインパルス」は私の住む埼玉県S市にある自衛隊I基地から飛び立ちました。それだけに一層感動的でした

入場行進で登場する参加国は93の国と地域、参加選手は合計5,152名(男子4,474名、女子678名)ですが、印象的だったのは、当時ドイツは東と西に分かれていて、この大会では統一ドイツとして参加したことです 国旗はドイツの赤・黄・黒の横縞の真ん中にオリンピックの五輪が描かれていました。また、ドイツが優勝すると「国家」としてベートーヴェンの第9交響曲の「喜びの歌」が流れました ベートーヴェンはドイツのボン生まれです 現在のドイツにとって「喜びの歌」は第2の国歌となっているようです

入場行進の最後の方で、アメリカ(U.S.A)とソ連(U.S.S.R)が続けて登場しますが、ロシアは当時ソビエト連邦社会主義共和国だったのです。この2つの大国がメダル獲得競争を繰り広げ、その実力を世界に見せつけました

当時、S市の中学2年生だった私は陸上競技部に所属し短距離を走っていたので、100メートル走の決勝に最大の興味がありました。映画では、スタートまでの選手たちの表情が映し出され「選手たちは何故か悲しげな表情をしています」というナレーションが流れました それは試合で100メートルを全力で走らなければならない選手を経験したことがある人には分かると思います。緊張のせいで、深刻な表情になってしまうのです この大会ではボブ・ヘイズが10秒00の世界新・オリンピック新記録で優勝しましたが、地方の一中学生にとっては脅威でした。1年後の中3で12秒3をマークして卒業しましたが、高校での11秒6が最高でした

表彰台での表彰シーンで印象的なのは、プレゼンターの後ろで控えるアシスタントの女性が全員和服姿であるということです 当時から日本のO・MO・TE・NA・SI だったのです

このオリンピックで忘れられないのは女子バレーボールの日本の金メダルです 当時は大松監督の「為せば為る」のスパルタ方式でしごきにしごかれ、河西昌枝主将(セッター)をはじめ女子選手たちは決勝でソ連チームと死闘を繰り広げて優勝したわけですが、中学校では「回転レシーブ」が流行りました。バレー部でもないのにバレーをやって回転レシーブをやって悦に入っていたのを懐かしく思い出します。中学生って無敵で馬鹿ですね。今年10月、河西さんはお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします

最後にテロップを見ていて「あっ」と思いました。それは、音楽監督=黛敏郎、演奏=読売日本交響楽団、指揮=飯守泰次郎、森田吾一とあったからです なるほど、この映画の各シーンで流れる音楽は黛敏郎らしいメロディーに溢れていました そして、飯守泰次郎氏はこのころ読売日響を指揮していたのだなあ、とあらためて思いました

2020年に再び東京でオリンピックが開かれることが決まった今年=2013年。映画を観ておよそ50年前の自分を振り返ってみるのもいいものです。「東京オリンピック」は31日まで早稲田松竹で上映中です

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東川篤哉著「謎解きはディナーのあとで2」を読む~影山の毒舌が冴えわたる

2013年12月29日 07時35分08秒 | 日記

29日(日)。昨日は朝10時まで寝て、午前中にワイシャツのアイロンかけと買い物を済ませました お天気が良かったので、午後、窓ふき掃除をしました。ジェット水流で窓ガラスとサッシの汚れを洗い流しガラスクリーナーでキレイにしました 毎年5月の連休と年末の恒例行事ですが、終わった後は清々しい気持ちになります その後は、モーツアルトの後期の弦楽四重奏曲を聴きながらずっと本を読んで過ごしました 夕食は鍋を囲みました。寒い夜は鍋ですね

 

  閑話休題  

 

東川篤哉著「謎解きはディナーのあとで2」(小学館文庫)を読み終わりました 東川篤哉は1968年広島県生まれ。「密室の鍵貸します」「完全犯罪に猫は何匹必要か?」などユーモアミステリ小説でお馴染みの作家です。前作「謎解きはディナーのあとで」は2011年「本屋大賞」第1位に輝き、映画化もされました 文庫化された彼の作品はこのブログでも何冊かご紹介しました

 

          

 

「謎解きはディナーのあとで2」は、第1話「アリバイをご所望でございますか」、第2話「殺しの際は帽子をお忘れなく」、第3話「殺意のパーティーにようこそ」、第4話「聖なる夜に密室はいかが」、第5話「髪は殺人犯の命でございます」、第6話「完全な密室などございません」の6話から成っています

謎解きに挑むのは黒いパンツスーツに黒縁のダテ眼鏡、黒髪を束ねて颯爽と歩く、国立署の現職刑事・宝生麗子=実は巨大財閥”宝生グループ”総帥の娘と、その上司で国立署きってのエリート・風祭警部=デザインの良さと燃費の悪さでお馴染みの”風祭モータース”創業家の御曹司のお金持ちコンビ しかし、事件を解決に導くのは常に宝生家の執事・影山です

影山は、事件を推理する麗子に対し「大変失礼ながら、お嬢様の単純さは、まさに幼稚園レベルかと思われます」と毒舌を浴びせます 麗子も負けずに「どこの誰が幼稚園レベルですって!こう見えても優秀な大学を優秀な成績で御卒業なさってるっつーの!馬鹿にすんな!」と返しますが、事実はその通りです

影の主人公・影山はアイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズの給仕ヘンリーをモデルにしたと思われます 私も何冊か読みましたが、ヘンリーは会のメンバーが食事をしながら披露する謎を、話を聞くだけで解決してメンバーを驚かせます このように、現場を見ずに椅子に座って事件を解決する探偵をミステリー界では”安楽椅子探偵”と言うようです。「謎解き~」もこの範疇に入ります 

いずれのエピソードも一見複雑怪奇な事件を、影山の鋭い推理によるアリバイ崩しで解決していきますが、この本を読む愉しみは麗子と影山のジョークのやり取りにあるのではないかと思います そして、いつも思うのは影山って何歳くらいの人だろうか、ということです

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ケータイ電話紛失騒動の結末~意外なところから出現!

2013年12月28日 10時26分39秒 | 日記

28日(土)。今朝は10時近くまで寝ていました 1日12時間近く寝ていたのは今年初めてです。1年の疲れが一気にどっと出た感じです 今日は大掃除第1弾に取りかからなければなりません

昨日は仕事納めで、数多くの関係者が年末の挨拶に見えました 午前中は今年最後の連絡会(部課長会)がありましたが、私は朝ケータイ がないことに気が付いてから、気もそぞろです 会議終了後、すぐに前日飲んだ中目黒のメキシカン・ダイニングBに電話を入れ、ケータイの落とし物がなかったか尋ねましたが、ないとのことでした 他に心当たりはないので、お店から家に帰るまでの地下鉄の車中か路上かしか考えられない、と結論づけて、一人で対応策を協議しました

まず、ソフトバンクのホームページから「ケータイ紛失の場合」を検索して、一時回線停止の方法を調べたら、暗証番号が必要になっていたので心当たりの4桁を数回入力したのですが、すべて違ったようで検索できなくなってしまいました

社内で「ケータイが無くなった」と大騒ぎをしていたら親切なN監査役が、東急線や東京メトロの遺失物係、警察の遺失物係の電話番号を調べてくれたので、片っ端から電話をして、「ソフトバンク・2つ折り・黒色・ヴァイオリンのストラップ」を説明して探してもらいました。しかし、どこも、「届け出なし」というむなしい結果でした

帰りの電車の中で、いま一度「昨日の中目黒のBを出てから家に帰って寝るまでの行動」を振り返り、「ケータイ番号にかけても、電源が切られているか電波の届かないところにある」という事実を併せて考え直してみて、「まさか」と思い当たりました。「電源が切れている」のはどういう時か・・・・と考えると、「家で電源を切るときは充電している時しかない」という事実に行き着き、ひょっとして酔っぱらって、寝る前に充電して、朝そのまま家を出たのではないか・・・・と思いました

家に帰って、早速自分のベッドに行ってみると、ありました。充電中のケータイ が布団をかぶって寝ていました 私は朝起きる時、気合で起きます。足で布団を蹴って起き上がる癖があるので、その勢いで充電中のケータイが布団に隠れてしまったのです。見つかる時は案外こんなものです 一時は、これを機会にアイフォンに機種変更しようか、などと本気に考えましたが、それも当分なくなりました

思い起こせば昨年の暮れもケータイ紛失事件を起こしていました 12月31日、池袋の映画館でケータイを無くし、後で係りの人が探し出してくれて、その夜、終バスで引き取りに行ったのです どうして年末になるとケータイを無くしてしまうんでしょうかねえ

ケータイがないと何が一番困るかと言えば、写メしたものがそのままブログにアップできなくなることです 次はメールが出来なくなることです 

という訳で、タップリ充電したケータイで、大騒ぎに巻き込んでしまったN監査役はじめ関係者にお詫びメールを打ちまくりました 今回の大騒動で得た教訓は、「ケータイを紛失したら、まず自宅で充電中のケータイが布団をかぶって寝ていないかどうかを調べる」ことです

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日経の「今年のクラシック・コンサート回顧」を読んで思うこと

2013年12月27日 07時03分56秒 | 日記

27日(金)。当ビル玄関前に門松を飾りました。前年より若干派手目に飾っています。ご覧いただく期間が短いので、今のうちにご覧ください

 

          

 

  閑話休題  

 

午後4時すぎ、当ビルに入居のS新聞社で餃子パーティーがあったので宇都宮名物・4種類の餃子をいただき、その後、中目黒のメキシカン・ダイニングBに移動して飲みました 今年5月に一度飲んだ、S建設のNさん(剣道7段)のご子息Aさん、Kさん姉弟が経営しているお店です。美人の姉と男前の弟のコンビです。参加者は当社の有志、S建設の有志、テナントK法律事務所の若き弁護士、W調剤薬局のHさん(2人とも中目黒在住。もちろん別々に)、なぜか焼鳥OのO社長・・・・・といったメンバーです

最初にビールで乾杯、その後は各自飲みたい飲み物をいただきました 最初に提供された料理は「ディップ3種盛り」です。トマト、アボガド、ツナをトルティーヤにのせていただきます。これが美味しいのです

 

          

 

次は、新鮮なシーザーサラダです

 

          

 

そして「ゴルゴンゾーラと蜂蜜」(シナモン味)です

 

          

 

次は「オーブン・ポテト・ナチョス」です

 

          

 

そしてお店特性のハンバーグです。これが絶品です

 

          

 

この後、タコス、ブリトーをいただきましたが、どれも美味しかったです この間、飲んだテキーラがショットグラスで10杯 相当効きました 今朝起きるのつらかったぜ

メキシカン・ダイニング「BINX」は中目黒駅から徒歩1分。千陽中目黒ビルアネックス2階です。みんな、行ってね

今朝、ケータイがないのに気が付きました。まずい 家の電話から呼び出してみたら「現在電源が切られているか、電波の届かない所にいらっしゃいます」という声が・・・取りあえず今日、中目黒のお店に電話してみようと思います

 

  も一つ、閑話休題   

 

一昨日の日経「夕刊文化」欄に、今年のクラシック・コンサートの回顧記事が載っていました 3人の音楽評論家が今年最も印象に残ったクラシック・コンサートを挙げています

E評論家は①サントリー サマーフェスティバル テーマ作曲家”細川俊夫” 準・メルクル指揮東京フィル、②アンドリス・ネルソンス指揮バーミンガム市交響楽団、③ゴーティエ・カプソン(チェロ)&ユジャ・ワン(ピアノ)を挙げています

O評論家は①ダニエル・ハーディング指揮ミラノ・スカラ座「ファルスタッフ」、②チョン・ミュンフン指揮東京フィル「トリスタンとイゾルデ」、③パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル「フィデリオ」です

S評論家は①びわ湖ホールプロデュースオペラ「ワルキューレ」、②いずみシンフォ二エッタ大阪第30回定期演奏会(西村朗還暦記念)、③小菅優ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会の3つです

今年はヴェルディとワーグナーが共に生誕200年(ヴェルディ=1813年10月10日生まれ。ワーグナー=同年5月22日生まれ)ということで、ヴェルディとワーグナーの曲を取り上げたコンサートが挙げられているのは今年の特徴でしょう

「それにしても・・・・」と思うのは、私は今年170回コンサートに通いましたが、この3人の評論家が取り上げた公演は一つも聴いていないという事実です

現在、8つの在京オーケストラやオペラの定期会員になっていて、定期公演だけで年間60回近く聴いている計算になりますが、評論家諸氏が選ぶベスト3には、いずれもカスリもしないようです もっとも残り110回のコンサートは”選んで”チケットを買っているわけですが、こちらもカスリもしないことになります

これって、私に”印象に残る良いコンサートを選ぶ眼力”がないことを意味しているのでしょうか そうだとしても気にしませんが、ただ一つだけ言いたいのは、おそらく聴いたコンサートのうち何割かは新聞社や音楽雑誌社が手配した招待券で聴いて音楽評を書いている評論家諸氏といっしょにされたくない、ということです。私の今年のベスト3は31日か1月1日かに発表させていただきます

 

 

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「ベートーヴェン”弦楽四重奏曲”」「佐藤久成Vnリサイタル」「モイツァ・エルトマン」のチケットを買う

2013年12月26日 07時13分33秒 | 日記

26日(木)。昨夕、会社帰りに隣のHKビル地下のリラグゼーションRに寄ってマッサージをしてもらいました 元々は今月中旬にお店がオープンした時に「30分無料体験」の看板につられてX部長といっしょに体験してみたのがきっかけでした その時、Kさんという女性が担当してくれたのですが、予想以上に上手だったので、2人とも「初回から3回目まで60分6,300円のところ4,980円」の謳い文句につられて予約を入れたのです X部長は6時から予約が出来たのですが、私の方は後で予約日時の変更をしたので出遅れ、午後7時からになってしまいました 「クリスマスに時間待ちかよ・・・・」と一人ツッコミを入れながら隣のコーヒーショップで本を読んで時間をつぶしました。早く終わったX部長は「急がなくっちゃ」と言い残して一人、六本木へすっ飛んで行きました

今回は別の女性Kさんが担当してくれました。お店の備えつけの衣装に着替えてから、主に肩から背中、腰を中心にマッサージをしてもらいましたが、指圧も強すぎず弱すぎず最適で、とても上手でした 60分コースなので、いろいろとお話をするわけですが、映画の話になった時「どんな映画がお好きですか?」と訊かれ「うーん、園子音(その・しおん)とか・・・知ってる?」「いいえ」「どんな映画が好きなの?」「わたし、エアロ・スミスが好きです」・・・・・・ちょっと待てよ、エアロ・スミスってハードロック・グループであって、映画には出てないよな・・・・と、しばらく考えていると、「アイ・アム・レジェンドとか好きです」と言うので、「ああ、そうかウィル・スミスだったのか」と気が付きました。というわけで、あっという間に60分が終わって、お店を出る時は背中の痛みがすっかり消えていて、身体が軽くなっている感じがしました 次回も昨日のKさんにお願いしたいと思います。多分、来年になるけど・・・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊第1面に、同社のS経済部次長の「安倍政権 2年目へ」というコラムが載っていました。それによると

「首相の経済ブレーンである浜田宏一内閣官房参与のアベノミクスの採点は、第1の矢の金融政策がAクラス、第2の矢の財政政策がB、第3の矢の成長戦略がEで、略すと『ABE』になる

と紹介しています。いかにもコジツケくさい評価ですが、S経済部次長も「財政のB評価は微妙だろう」としています 巷では現政権を「アベノミステイク」とか「アベノーマル」とか呼んでいるようですが、前のM党政権があのまま続いていたら、今ごろは暗い暗いクライマックスになっていただろうとは思います その一方で、国の借金をどんどん増やして良いとは思いません。それは今の若者たちに大きな負担を負わせることになるからです

 

  も一度、閑話休題  

 

チケットを3枚買いました 1枚目は散々迷った揚句とうとう決心して12月31日(火)午後2時から東京文化会館小ホールで開かれる「ベートーヴェン”弦楽四重奏曲9曲演奏会”」のチケットを買いました 演奏は作品59-1~3(ラズモフスキー第1番~第3番)を古典四重奏団、作品127、130、133(大フーガ)をルートヴィヒ弦楽四重奏団、作品131、132,135をクァルテット・エクセルシオが演奏します 残念ながら多分最初の6曲を聴いて帰ることになると思います。これが今年最後のコンサートになりますが、今年ちょうど170回目のコンサートです

 

          

 

2枚目は来年2月15日(土)午後2時から東京文化会館小ホールで開かれる佐藤久成ヴァイオリン・リサイタルです これは先日コンサート会場で配られたチラシに「宇野功芳企画第3弾」とあったからです。私が今年聴いたコンサートベスト1のHJリムのピアノ・リサイタルも宇野巧芳氏の推薦文を見てチケットをかったのでした 伴奏は”炎のコバケン”の娘、小林亜矢乃です

 

          

 

3枚目はドイツのソプラノ歌手モイツァ・エルトマンとハーピスト、メストレのデュオ・リサイタルです プログラムは①シューベルト「死と乙女」②同「野ばら」、③同「糸を紡ぐグレートヒェン」、④ベッリーニ「カプレーエィとモンテッキ」より「ああ幾度か」、⑤スメタナ「モルダウ」(ハープ・ソロ)、⑥ヴェルディ「リゴレット」より「慕わしき人の名は」、⑦プッチーニ「ジャン二・スキッキ」より「私のいとしいお父さん」です

 

          

 

モイツァ・エルトマンは2012年6月10日(日)に東京オペラシティコンサートホールでのリサイタルを聴いて感激し、CDにサインをもらってきました。超美人歌手です またサインもらおうかな

 

                 

 

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ブライアン・デ・パルマ監督映画「パッション」を観る~パッションは”情熱”か”受難”か?

2013年12月25日 07時00分37秒 | 日記

25日(水)。昨夕、自宅でクリスマスイヴ&娘の誕生祝会を開きました つい先日、誕生祝会を開いたばかりですが、クリスマスが誕生日という祝名(宿命)から何故か2度やることになってしまいました まず赤ワインで乾杯して、一口クリームチーズ、鳥のモモ焼き、海老とホタテと野菜のサラダをいただきました

 

          

 

満腹になったところで、ホールケーキに火を点け、娘が一気に消しました

 

          

 

その後は、迷いに迷ったあげく買ってきたプレゼントを子供たちに手渡しました 子どもたちからは「衣服の選択に関してはセンス・ゼロ」と罵倒されているので、何にしようか夜も寝ないで昼寝して散々考えましたが、結局、本をプレゼントすることにしました 娘には、今でこそベトナム・レストランでアルバイトをしているものの、大学もデザイン学科でデザイナー志望だったし、今でも衣装を自分で作ったりしているので、”初心忘れるべからず”という意味を込めて「英国デザイン最前線」という分厚い本を選びました 理科系の大学に通う息子には、たまには勉強を離れて幅広く本を読んでほしいという意味を込めて、理系の新書でお馴染みの「ブルーバックス」シリーズの本を3冊セットにしてプレゼントしました 要するにもっと勉強しろという意味です 娘はさっそく包装をほどき「うわー、懐かしいような・・・ありがとう」と言っていましたが、息子は包装をとこうともせず、ベッドで寝入ってしまいました 

そんなこともあって、出費がかさむ親にとって「メリー・クリスマス」は「ベリー・クルシミマス」です

 

  閑話休題  

 

23日に池袋の新文芸坐で映画「サイド・エフェクト」と「パッション」を観ました 今日は2012年フランス・ドイツ映画「パッション」について書きます

一言でこの映画を説明すれば3人のキャリア・ウーマンの愛と出世欲を巡るサスペンススリラーです

 

          

 

クリスティーンは自らの力で広告会社の重役に登りつめた野心家の女性です。アシスタントのイザベルはそんな彼女を羨望の眼差しで見ています。しかし、狡猾なクリスティーンはイザベルのアイデアを横取りします 恋人ダークにも裏切られたイザベルはいつしかクリスティーンに殺意を抱きます。ある日、クリスティーンは自宅で何者かに殺害され、あらゆる状況証拠からイザベルが疑われ、ついに「自分が殺した」と自白します しかし、クリスティーンの血が付いたマフラーがダークの車の中から発見され、状況は一変します しかし、真犯人の犯行を目撃しビデオに撮っていた第3の主人公がいたのです 果たして誰がクリスティーンを殺害したのか・・・・。逆転に次ぐ逆転に驚愕します

野心家のクリスティーンをレイチェル・マクアダムスが、アシスタントのイザベルを「ミレニアム」のノオミ・ラパスが、そのアシスタントのダニをカロリーネ・ヘルフルトが、それぞれ出世欲に満ちた女性を演じています

私が映画を観て興味を持つのは、どんな音楽が使われているかです この映画で使用されているクラシック音楽の一つは、パーティーのシーンで流れていたモーツアルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216」第1楽章”アレグロ”です 明るく弾むようなパーティーに相応しい音楽です

もう一つは劇場で上演されていたバレエの音楽=ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」です 画面の左半分にドビュッシーの音楽に乗って踊るバレエのシーンが、右半分に同じ時間帯のクリスティーンの自宅における登場人物たちの行動が映し出されます。つまり犯人は「牧神の午後~」の上演にあたりそこに来たというアリバイを仕組み、途中で抜け出して劇場近くのクリスティーンの自宅を訪れ犯行に及んだのです

この映画は原題も「パッション」ですが、「パッション」には2つの意味があります 一つは「キリストの受難」で、もう一つは「情熱」です。ブライアン・デ・パルマ監督はどういう意味でそのタイトルを付けたのでしょうか あるいは、出世欲に燃える女性たちの”情熱”と、女性同士が闘いに疲れ、いずれ破滅に至る”受難”を掛けているのかもしれません

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スティーヴン・ソダーバーグ監督映画「サイド・エフェクト」を観る~”副作用”よりも怖いものを語る映画

2013年12月24日 07時00分18秒 | 日記

24日(火)。昨日の日経朝刊・特集面「アジア・ビジネス・マップ」にアジアにおける携帯電話の普及率が載っていました

米グーグル調べによると携帯電話(スマホを含む)の普及率第1位は香港で229.2%、つまり1人2台持っているという計算です 第2位以降はシンガポール、ベトナム、マレーシア、タイ、台湾、インドネシアと続き、日本は110.9%で8位となっています。意外でした 後は韓国、フィリッピン、中国、インドと続きます

このうちスマホだけを抜き出してみると、普及率第1位は韓国で73%。第2位以降はシンガポールの72%、香港の63%、台湾の51%、中国の47%と続き、日本は25%で第9位となっています。これも意外でした

特集では、成長余地が大きい国として、人口が多い中国とインドを挙げています 国土が広く無線通信に必要な基地局を効率よく敷設できない点が足かせになり、通信インフラの整備が進みにくい側面があると指摘しています

わが家では子供たちが2人ともスマホですが、私はガラケーです 私の場合、主にメールと写メとヤフーの「電車乗り継ぎ情報」くらいしか使わないので、ガラケーで十分です 欲を言えば、ブログ掲載用に、カメラの解像度がもっと高ければいいのに、と思いますが

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で映画「サイド・エフェクト」と「パッション」の2本立てを観ました  今日は2013年アメリカ映画、スティーヴン・ソダーバーグ監督「サイド・エフェクト」について書きます 昨日は祝日とあって朝から高齢者を中心に大勢の観客が集まりました

「サイド・エフェクト」とは「副作用」のこと。致命的な副作用を持つ新薬をある女性患者に投与したことから、精神科医が窮地に追い込まれますが、辛抱強い真実の追及によって、新薬を巡る陰謀をあばきます

 

          

 

金融マンのマーティンがインサイダー取引で逮捕され、妻のエミリーは出所までの4年間を孤独な生活に耐えます ある日、エミリーは地下駐車場で追突事故を起こします。診療した精神科医ハンクスは、エミリーが昔患っていたうつ病を再発して自殺未遂を起こしたと推測し、以前エミリーを診察していたシーバート博士に相談し、アブリクサという新薬を投与することにします エミリーは意識が朦朧とする状態でマーティンを刺殺してしまいます。それはアブリクサの副作用ではないかとして、薬を投与したハンクスも窮地に追い込まれます しかし、シーバート博士は、アブリクサが引き起こす睡眠時の異常行動に関するレポートを出していたことを隠していたのです

独自に調査に乗り出したハンクスは、エミリーの事故現場や職場を訪ねて不審な点を洗い出します 例えば、壁に追突事故を起こしたのは自殺未遂と疑ったが、なぜ彼女はシートベルトを締めていたのか・・・・

最後に、彼はエミリーを問い詰めて真実を告白させ、共犯者の逮捕につなげます 新薬を巡る陰謀は、そもそも殺されたマーティンが逮捕される原因となった同じ”インサイダー取引”だったのです

映画の前半は、映画のタイトルが「サイド・エフェクト」(副作用)なので、最初のうちは新薬が諸悪の根源だと告発する映画だと思って観ていましたが、後半になると、とんでもない逆転が待っています こういう作品を本格派サスペンス・ミステリーと言うのでしょう

ジュード・ロウが真面目な精神科医を演じ、「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラがヒロインのエミリーを演じています。他にシーバート博士役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズがクールな女医を演じています

音楽のことで言えば、船上のパーティーのシーンでバッハの曲(管弦楽組曲か?)がかすかに流れているのに気が付きました

薬の副作用よりも、人間の欲望に基づく陰謀の方がはるかに恐ろしいことをこの映画は語りかけています

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ボリウッド映画「恋する輪廻~オーム・シャンティ・オーム」を観る~突然、歌が、踊りが・・・・・・

2013年12月23日 08時18分33秒 | 日記

23日(月・休日)。昨日、池袋の新文芸坐でインド映画「恋する輪廻~オーム・シャンティ・オーム」を観ました ハリウッドに対抗してボンベイをもじったボリウッドと言われるインド映画を観たのは、5月にシネマート新宿で観た「タイガー・伝説のスパイ」と「闇の帝王DON」以来です

新文芸坐は2年前まで会員だったのですが、会員資格が期限切れになったまま放っておいたので、新規に会員登録しました 2,000円の入会金を払って、1回分の招待券をもらったので、その券でこの日の映画を観ました。会員は向こう1年間、2本立て映画が入場料1,300円のところを1,000円で観られます

 

          

 

舞台は1977年のボンベイ。脇役俳優のオームは人気女優シャンティに恋しますが、彼女は売れっ子プロデューサーのムケ―シュと密かに結婚し妊娠していました ムケ―シュは妻の妊娠を喜ぶどころか、自分の出世の妨げになるとして、ある晩、撮影中の映画のセットにシャンティを呼び出し、罠にはめて殺害します シャンティを助けようとしたしたオームも映画スターのカブール夫妻の車にはねられ、病院で息を引き取ります オームの死亡と同じ時間、同じ病院でカブール夫人は男児を出産します。その男の子はオームと名付けられて育ち、30年後、映画界のスタートとなって活躍します。つまりオームの生まれ変わりです つまり、オームがシャンティと出会って恋をして、2人が死んで、オームが生き返るという輪廻~オーム・シャンティ・オームなのです

ある映画賞の授賞式に出席したオームは、30年ぶりにハリウッドから戻ったムケ―シュと出会います。その瞬間、脳裏に自分のものではない記憶が蘇ります。オームは殺されたオームとシャンティのために、事件のために撮影がとん挫した「オーム・シャンティ・オーム」の制作を再始動します シャンティに似た女優を求めてオーディションを開き、最後にやっとシャンティそっくりなサンディを得て、復讐を誓います シャンティに似せたサンディを使った復讐劇は成功するのか・・・・・・

「インド映画は、観ていると突然歌が始まり、踊りが続く」と思っている人がいるかも知れませんが、その通りです 映画の半分以上は歌と踊りなので、ミュージカル映画と言っても良いのかもしれません

主人公オームを演じるのはシャー・ルク・カーンというボリウッドを代表する俳優です さすが、歌も踊りも演技も鮮やかです そして何よりもこの映画の見どころは、ヒロインのシャンティを演じるディーピカー・パードゥコーンの魅力です 彼女は1986年にデンマークのコペンハーゲンに生まれましたが、1歳になる前に一家は南インドのバンガロールに移住し、そこで学生時代まで過ごしたとのこと 一言で言うと、世の中にこんな美人がいるのか、と驚くほどの美人です。それだけでなく歌も踊りも完ぺきです

「恋する輪廻~オーム・シャンティ・オーム」は上映時間169分の超大作。新文芸坐では途中5分の中休みがありました。飽きることのない、文句なしのミュージカル・エンタテインメントと言っておきましょう

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東京交響楽団「名曲全集」第93回公演で第9を聴く~他公演とどう差別化するか?

2013年12月22日 07時00分30秒 | 日記

22日(日)。昨日昼、巣鴨駅アトレヴィ4階の自然栽培の野菜がウリのCで、娘の誕生祝会を開きました 本当の誕生日は25日のクリスマスなのですが、家族がそろう日曜日にしたのです。最初に各自が選んだアルコールで乾杯しました。私は白ワインを選びました 最初の料理はカボチャのスープ、小松菜の白和え、野菜パンの3点セットです。どれも身体にやさしい食材でとても美味しかったです

 

          

 

次はメインディッシュのパスタです 私は豚肉とブロッコリとプチトマトのパスタを選びましたが、適度に塩味が効いていて美味しくいただきました

 

          

 

最後に息子と私がデザートに選んだのはチーズケーキです。砂糖やミルクを入れないで飲むコーヒーと良く合います

 

          

 

会食後は、娘は買い物のため池袋へ、息子は大学図書館へ、私は自宅に引き上げました 午後6時からミューザ川崎でコンサートがあるので、家で一休みです

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊「文化欄」に同紙編集委員のK氏が「暮れに響く 我らの第9 歓喜の歌、復興に力」というエッセイを書いています。超訳すると

「日本で『年末に第9』がパターン化したのは戦後間もなくといわれる 音楽情報誌『ぶらあぼ』の集計では、今月の第9の演奏回数は全国で173。ここ5年では昨年の174に次ぐ多さだという。これまで400回以上第9を指揮してきた指揮者・秋山和慶氏によると『バブル経済の時期などは200回を超えていた』という 2013年は日本でベートーヴェンの交響曲、ピアノ協奏曲、弦楽四重奏曲、バイオリンソナタなどの演奏会や歌劇『フィデリオ』の上演が目立った1年でもあった。秋山氏は『今はクラシック演奏家がベートーヴェンに立ち返る時期なのかもしれない』と語る

それにしても12月だけで173回も第9が演奏されているとは です。

 

 

  閑話休題  

 

というわけで、昨夕、ミューザ川崎で東京交響楽団の名曲全集第93回公演を聴きました プログラムは①J.S.バッハ「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ハ短調BWV1060」、②ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付き”」です 指揮は大友直人、①のヴァイオリン独奏はコンマスの大谷康子、オーボエは首席の荒絵理子、②のソリストはソプラノ=小林沙羅、メゾ・ソプラノ=清水華澄、テノール=吉田浩之、バリトン=三原剛、合唱は東響コーラスです。第9を聴くのは11月30日に文京シビックホールで小林研一郎指揮東京フィルで聴いて以来、今年2回目です

日経の記事のように、「第9」公演は今月だけで173もある中で、どのように他の公演と差別化して聴衆を呼び込むのか 東響「名曲全集」はバッハのコンチェルトをカップリングした訳ですが、もう一つありました。それはコンサートの最後にサプライズとして用意されていました

 

          

 

開演の6時少し前、「京浜東北線が磯子駅で人身事故があった影響で遅れていることから、本公演の開始時間を6時10分頃とさせていただきます。何とぞご了承ください」というアナウンスがありました 実は川崎駅に向かう京浜東北線の車内アナウンスで、その事故のことを知り、品川駅で急きょ東海道線に乗り換えたので事なきを得ました 電車の遅れを理由にコンサート開始時刻を遅らせるというのは、長いコンサート生活で初めてです

6時10分、オケのメンバーが登場します。弦楽器が21名、チェンバロ1台というこじんまりとした編成です ソリストの大谷康子がグリーンの鮮やかなドレス、荒絵理子がワインレッドを基調とし黒とシルバーをあしらったシックなドレスで登場します 大友の指揮でバッハ「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調BWV1060R」が開始されます。東響首席オーボエ奏者・荒絵理子は現在ロームミュージックファンデーション奨学生としてドイツに留学中なので、今回のソロは一時帰国凱旋公演といったところでしょうか

この曲は「2台のチェンバロのための協奏曲第1番BWV1060」から復元されました 大谷のヴァイオリンと荒のオーボエの掛け合いが素晴らしく、バッハらしいリズミカルな音楽が展開します 演奏が終わり拍手に応える二人は、晴れやかな表情をしています。こういう演奏で聴くと、バッハはいいなあ、と思います

休憩後、東響コーラスの面々が舞台後方にスタンバイします。男声を中央にして左右両サイドを女声が占めるという態勢です そして、編成を拡大したオケの面々がスタンバイし大友の登場を待ちます。いよいよベートーヴェンの第9です

大友の指揮で第1楽章が神秘的な響きで始まります。第2楽章スケルツォは軽快です。そしてチューニングの中、ソリストの4人が登場、センター後方席でスタンバイします ソプラノの小林沙良羅は真っ赤な鮮やかなドレス、メゾ・ソプラノの清水華澄はダークグリーンのドレスです

第3楽章のアダージョは大好きです。数あるアダージョの中でも屈指の名曲です ただ穏やかであるだけでなく、未来への憧れのような気持ちが込められているように思います この楽章があってこそ、次の第4楽章の合唱が生きるのだと思います

そして、その第4楽章が激しい慟哭で開始されます。シラーの「歓喜に寄す」の前にベートーヴェン自身による詩がバリトンによって歌われます。「おお、友よ、このような音ではなく、もっと快い、喜びに満ちた調べを歌おうではないか!」。そしてソリストが競演し、合唱が加わってクライマックスへ突入します

ソプラノの小林沙良羅は若き日のテレサ・ベルガンサを彷彿とさせる美人歌手です メゾ・ソプラノの清水華澄は恵まれた体格から余裕で歌います テノールの吉田浩之とバリトンの三原剛も安定した歌い振りで”喜びの歌”を盛り上げました 東響コーラスは男声も女声も迫力たっぷりで歓喜を歌い上げました

ソリストが前方に呼ばれ、何度もカーテンコールがかかります もう終わりかと思っていると、再びソリストが舞台センター後方席にスタンバイします。「まさか、歌入りのアンコールを演奏するのでは・・・・ 大友はイギリス音楽を得意としているからイギリスの作曲家の曲だろうか・・・・」と一人で考えていると、イントロが始まりました まったく見当が付きません。どこの国の曲かさっぱり分かりません。しばらくすると主旋律が現われ「ほたるの光」であることが分かりました イントロクイズがあったら、ほとんどの人は”ハズレ”だったでしょう 「ほたるの光」の原曲はアイルランド民謡ですから、イギリスに近いと言えば近い存在ですね

ソリストとコーラスを交えて2番まで歌い、次はハミングになったのですが、徐々に会場の照明が暗くなっていきます。薄暗い中、オケの譜面台には豆ライトが点けられ、コーラスの面々はペンライトを点灯させます 真っ暗な会場に多くのライトだけが輝き、さながら満天の星のよう この演出には満点を付けましょう。やってくれるじゃないか、東響

これが東響・名曲全集の「第9」のもう一つの差別化でした

 

          

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