人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

鯨統一郎著「今宵,バーで謎解きを」を読む~ミステリよりも雑談が魅力 / クァルテット・エクセルシオのコンサートの予習にメンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲作品80」を聴く

2017年02月28日 07時51分54秒 | 日記

28日(火).今日で2月も最後.油断していた訳ではないのに あっという間に1か月が過ぎ去ってしまいました 今年も残すところあと306日です.あとで後悔しないように毎日を生きていますか?

ということで,わが家に来てから今日で882日目を迎え,アメリカの第89回アカデミー賞の外国映画賞で,トランプ政権の移民政策への抗議のため授賞式を欠席したイランのアスガ-・ファルハディ監督の「セールスマン」が受賞したというニュースを見て感想を述べるモコタロです  

 

       

                         トランプ大統領からの祝電などイラン!   笑うセールスマンより

       

ところで,アカデミー賞 作品賞の発表で,最初「ラ・ラ・ランド」と読み上げ,後で「ムーンライト」と訂正されましたね 主演女優賞(「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーン)の封筒と間違えて読んだようです

「な・な・なんと」になってしまいました.エマ・ストーンは一瞬,石のように固まったとか

 

  閑話休題  

 

昨日,喫茶店で新聞を読みながら聴いた曲はメンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲ヘ短調作品80」です この曲は3月3日にクァルテット・エクセルシオの演奏で聴く予定なので,その予習です 演奏はパシフィカ・クァルテットによる3枚組CD(2002~04年録音)です  パシフィカ・クァルテットは数年前の「サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン」でベートーヴェンの「弦楽四重奏曲全曲演奏会」をやった時に大ファンになりました

メンデルスゾーンの作品80は劇的な音楽です メンデルスゾーンはあの有名なヴァイオリン協奏曲だけではありません 室内楽にとても魅力的な曲がたくさんあります

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

鯨統一郎著「今宵,バーで謎解きを」(光文社文庫)を読み終わりました 鯨統一郎は1998年「邪馬台国はどこですか?」で作家デビューしました.このブログでは「オペラ座の美女」をご紹介しましたが,この作品は同じ女子大生・桜川東子が未解決事件に挑むバー・ミステリ シリーズの作品です マスターの島が営む渋谷区のバー「森へ抜ける道」には探偵の工藤,ライターの山内,そして美人女子大生・桜川東子が集います 今回,彼らがワイン片手に挑むのはギリシア神話をヒントにした7つの未解決事件.第1話「ゼウスの末裔たち」,第2話「アリアドネの糸」,第3話「トロイアの贈り物」,第4話「ヘラクレスの棺」,第5話「メデューサの呪い」,第6話「スピンクスの問い」,第7話「パンドラの真実」です

 

          

 

この作品の魅力は,本筋のミステリの謎解きよりも,むしろ山内,工藤,島の3人,通称「ヤクドシトリオ」によるお酒やつまみ(チーズとか)に関する蘊蓄や,そういえば昔そんなことがあったという思い出話や,強引ななぞなぞや,どーしようもない駄洒落合戦などです それにしても,鯨統一郎という人は記憶力が抜群で,あらゆることに半端ない知識を持っていることに驚きます.相当の勉強家なのでしょうね

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新国立オペラ研修所修了公演でモーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」を聴く~アンサンブル・オペラの傑作を堪能 / もう我慢の限界,サスペンダー爺さん

2017年02月27日 07時59分04秒 | 日記

27日(月).わが家に来てから今日で881日目を迎え,年金資産を運用する年金積立金運用独立行政法人(GPIF)と日本銀行が,東証1部に上場する企業の約半数の約980社で事実上の大株主になっていることが朝日新聞等の調査で分かった,というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

          公的マネーが支配的になると 真の企業価値が分からなくなって投資家は困るんだよね

 

  閑話休題  

 

昨日,初台の新国立劇場中劇場で同オペラ研修所修了公演,モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」を聴きました 2月24,25,26日の3公演の最終日です.出演者は第17期生(3年次),第18期生(2年次),第19期生(1年次)の研修生です.フィオルディリージ=宮地江奈,ドラベッラ=小林沙季子,グリエルモ=大野浩司,フェルランド=水野優,デスピーナ=竹村真実,ドン・アルフォンソ=氷見健一郎,管弦楽=藝大フィルハーモニア管弦楽団,合唱=東京藝大ほか,チェンバロ=河原忠之,指揮=高関健,演出=粟国淳です

 

       

 

自席は1階8列33番,センターブロック左通路側席です 8列といってもオーケストラ・ピットが5列まで使用しているので,実質的には前から3列目です 1階は後方の左右が空いていますが,研修所の公演としては良く入ったと思います ほとんどの聴衆が席に座り,オケのメンバーが各自の音出しをしている中,またしても登場しました.唯我独尊・迷惑千万のサスペンダー爺さん いつもの様に大きなリュックを背負って最前列のど真ん中に座ります.なぜクロークに預けない? すごく目立ちます 私は前日に続いて2日連続,しかも自席のすぐ2列前の右側の席にいます.嫌な予感がします

 

       

 

高関健がオーケストラ・ピットに入り,軽快な序曲の演奏に入ります 高関は速めのテンポでグングン曲を進めます.ステージ上は,大きな額縁の中にスクリーンがかかっていて,光線の当て方によって楽譜の模様が浮き上がったり,奧のシーンが透けて見えたりします

このオペラはソロによるアリアも魅力ですが,二人以上のアンサンブルが大きな魅力になっており,アンサンブル・オペラの代表的な作品と言っても過言ではありません グリエルモとフェランドの二重唱,彼らにドン・アルフォンソが加わった三重唱,フィオルディリージとドラベッラの二重唱,そこにドン・アルフォンソが加わった三重唱,二組のカップルによる四重唱,そこにドン・アルフォンソとデスピーナが加わった六重唱・・・聴いていてワクワクしてきます

いい気持ちで聴いていると,2列前のサスペンダー爺さんが,なぜか双眼鏡を覗いています 1階や2階の後方の席だったら理解できますが,最前列のど真ん中の席で双眼鏡を覗く人を見たのは生まれて初めてです よっぽど頭がわる,もとい,目が悪いのでしょうか そこまでは まだよかったのですが,休憩後の第2幕に入ると,ちょっとした事件が起こりました

グリエルモが「世の女性の皆さん~」と歌うアリアの途中で,客席前方でドンという音がして床が揺れたのです 前方を見ると,どうやらサスペンダー爺さんが双眼鏡を床に落としたらしいのです 下を向いて探す仕草が見えました.普通の人なら ここで反省して同じ過ちは繰り返さないところです が,そこは常識が通用しない爺さんです.今度はドン・アルフォンソが「コジ・ファン・トゥッテ」と歌う場面で,またしてもドンという音がしたのです.言うまでもなく またヤッチマッタのです これが女性の歌手が歌っている時は絶対に落とさないのです.なぜなら,その時は双眼鏡を覗いているからです 客席側とはいえ,指揮者に近い位置で物を落として音を立てるのは,ある意味 演奏妨害です 第1幕だったら間違いなく,休憩時間に「あいつをつまみ出せ」と係員に言っているところです.もう この唯我独尊・迷惑千万・四面楚歌のサスペンダー爺さんは出入り禁止にした方が良いと思います 新国立劇場に限らず都内のコンサートホールで全面的に はっきり言って大きな迷惑です.演奏と鑑賞の妨げです 関東一円のコンサート主催者は協力して爺さんをホールから締め出した方がクラシック音楽界のためだと思います

 

       

 

ここで,気を取り直して フィオルディリージを歌った宮地江奈は,第1幕の「岩のアリア」,第2幕の「ロンド」をはじめ,コントロールの効いた美しい声で感動的な歌唱を披露しました グリエルモを歌った大野浩司は歌に安定感があり,説得力を持っていました ドラベッラを歌った小林沙季子はボリュームのある歌声で聴きごたえがありました フェランドを歌った水野優は二重唱は良いのに,肝心のソロのアリアが今一歩でした ドン・アルフォンソを歌った氷見健一郎は存在感があり,魅力的な声の持ち主でした

この公演の隠れたヒロインはデスピーナを歌った竹村真実です 東京音大卒で,過去の研修所公演では「ジャンニ・スキッキ」のラウレッタなどを歌っています 美しい声で,コケティッシュな役柄を生き生きと演じ,抜群の存在感で聴衆を魅了しました 今回の公演で最も良かった歌手を一人だけ挙げよ,と言われたら躊躇なく竹村真実を挙げます.これからが楽しみなソプラノです

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アント二・ヴィット+クシシュトフ・ヤブオンスキ+新日本フィルでショパン「ピアノ協奏曲第1番」,シマノフスキ「交響曲第2番」他を聴く

2017年02月26日 07時54分45秒 | 日記

26日(日).昨日の日経朝刊別刷り「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」のテーマは「全問わかる?目指せことわざ名人」でした 「正しい読み方・漢字はどっちか?」ということで次の10問が出題されています アンダーライン部分の読み・書きが問題です.さてこの難問 あなたは何問できますか?

1.習いとなる           せい    しょう

2.間髪を容れず           かんはつ  かんぱつ

3.水を得たのよう         うお    さかな

4.に下る               や     の

5.人生いきに感ず          意気    粋

6.顔色を失う             がんしょく かおいろ

7.一を以てを知る         ばん    まん

8.泣く子と〇〇には勝てぬ     地頭    地蔵

9.国やぶれて山河あり        破れて   敗れて     

10.寄らば大樹のかげ        陰     影  

 問題の正解はこのブログの最後に掲載します

ということで,わが家に来てから今日で880日目を迎え,スパイサー米大統領報道官が,ホワイトハウスの定例記者会見を中止し,政権側が指名した報道機関だけが参加できる記者懇談に切り替えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        かつて日本の某首相が「新聞は出てけ」と言ってテレビだけ許可したケースがあったね

 

  閑話休題  

 

昨日,すみだトリフォニーホールで新日本フィルの第569回「トパーズ」定期演奏会を聴きました プログラムは①モニューシュコ:歌劇「パリア」序曲,②ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」,③シマノフスキ「交響曲第2番変ロ長調」で,すべてポーランドの作曲家による作品です ②のピアノ独奏はクシシュトフ・ヤブオンスキ,指揮はアント二・ヴィットで,二人ともポーランド人です

ヴィットは1944年クラクフ生まれ.71年のカラヤン・コンクールで第1位を受賞し,ザルツブルク復活音楽祭でカラヤンのアシスタントを務めました 2001年から13年まではワルシャワ・フィルの芸術監督を務め,現在はスペインのナヴァラ交響楽団の音楽監督,クラクフ・フィルの桂冠指揮者を務めています

 

       

 

開演に先立って,ロビーコンサートがありました 西江コンマスとハープの池城菜香さんにより,ピアソラの「タンゴの歴史」から3曲が演奏されました ちなみにハープは募金により集まった資金で購入した金箔を施した楽器だそうです 在京オケは定期会員獲得のためロビーコンサートをやったり,小中学校に行って演奏したり,大変ですね.リラックスした良い演奏でした

 

       

 

オケの面々が登場し配置に着きます コンマス西江王子の音頭でチューニングが始まります.すると,やってきました 白髪で草履履きのサスペンダーおじさん いそいそと最前列のど真ん中の席に座ります.今年何度か別の会場で見かけましたが,あまり目立ちませんでした 久しぶりにその唯我独尊・傍若無人ぶりを見せつけられました 楽員も呆れた様子です.本人だけが 自分がいかに目障りで迷惑な存在になっているかが分かっていないところが悲劇です

さて,1曲目はポーランドの国民楽派を確立したモニューシュコ(1819-72)の歌劇「パリア」序曲です オペラの物語はインドの下層民「パリア」のカーストに生まれた青年を主人公とする恋愛悲劇とのことです.序曲では,激情から悲哀,絶望から情愛へと登場人物の揺れ動く情感を描写していきます

拍手の中,73歳とは思えないかくしゃくとした足取りのアント二・ヴィットが登場します 指揮台に上がるや否や,拍手が終わらないうちにタクトを振り下ろし,激しい音楽を展開し,度肝を抜きます 1曲目の短い曲で聴衆の心を掴む.なかなかしっかりしたエンタテナーだと思いました

ピアノがセンターに移動し,2曲目のショパン(1810-49)の「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」の演奏に入ります この曲は,前日のブログにも書いた通り,実質的に2番目に書いた(1830年)ピアノ協奏曲です.第1楽章「アレグロ・マエストーソ」,第2楽章「ロマンツァ,ラルゲット」,第3楽章「ロンド,ヴィヴァーチェ」の3つの楽章から成ります

巨漢ヤブオンスキがヴィットとともに登場し,ピアノに向かいます ヤブオンスキは1985年のショパン国際ピアノコンクールの入賞者ですが,この年の入賞者を調べてみると驚くべき事実が判明します 優勝:スタニスラフ・ブーニン,第2位:マルク・ラフォレ,第3位:ヤブオンスキ,第4位:小山実稚恵,第5位:ジャン・マルク・ルイサダという顔ぶれです 後の彼らの活躍を見れば,この年のコンクールがいかに激戦だったかが分かります.第3位は侮れません

アント二・ヴィットの指揮で第1楽章が開始されます 前日 読響で第2番の協奏曲を振ったバルケに比べると,音楽作りが劇的です もちろん曲が違うということもありますが,それを考慮しても二人のアプロ―チは違います  ヴィットの指揮は「ポーランドの作曲家はオレにまかせろ」という自信に満ちたものです 長い序奏の後,ヤブオンスキのピアノが力強く入ってきます.本人はそれほど力を入れているようには思えないのですが,巨体から繰り出される音は重量感があります 第2楽章では,あの巨体からこんなナイーブな音が・・・と思うほど透明感のある美しい響きが紡ぎ出されます そして第3楽章は弾むようなリズムで開始されますが,ポーランド人の血が騒ぐといった会心の演奏です バックを務めるヴィット+新日本フィルの快演とともにスケールの大きな演奏でした

ヤブオンスキは会場いっぱいの拍手に,ショパンの「ワルツ第2番”華麗なる円舞曲”」を,それでも鳴り止まない拍手に,同じくショパンの「ノクターン第20番”遺作”」をアンコールに演奏しさらに大きな拍手を受けました

 

       

 

休憩後はシマノフスキ(1882-1937)の「交響曲第2番変ロ長調」です この曲は1909年~10年にかけて作曲されました.曲は2つの楽章から成りますが,第1楽章はソナタ形式で,第2楽章は主題と6つの変奏曲から構成されています

意表を突かれたのは第1楽章の冒頭です 穏やかな管弦楽をバックに,コンマス西江のソロにより美しいメロディーが奏でられるのですが,すぐに頭に浮かんだのはオーストリアの作曲家コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲でした どこか似ているのです.次第に大管弦楽曲になっていきますが,ワーグナーになってもシェーンベルクにはならない,というか,どこまでもメロディーに溢れているので,比較的聴きやすい曲だと思いました 第2楽章も分かり易い曲想です.全体を通して西江コンマスによるヴァイオリン独奏の活躍するシーンがありますが,さすがはコンマスという演奏でした

ヴィットはクラリネットの重松,ファゴットの坪井,フルートの白尾,オーボエの古部といった管楽セクションのリーダーたちを中心に立たせ,次いで,弦楽器をチェロ,コントラバス,ヴィオラ,第2ヴァイオリンと順番に立たせていきましたが,第1ヴァイオリンを立たせるのを忘れて舞台袖に引き上げようとして,途中で「いかん,いかん,ワシとしたことが」と気が付いて,立たせました.会場は大爆笑,第1ヴァイオリンは苦笑いです 祖国ポーランドの曲だけのコンサートを指揮して興奮状態にあって,思わず度忘れしたという感じでした 愛すべきヴィット

カーテンコールが続き 拍手が鳴りやまない中,ヴィットは なぜかヴィオラのフォアシュピーラー脇屋冴子の手を取って「もう終わりだ,引き上げよう」とでも言いたげに,彼女を舞台袖に連れて行こうと歩き出しました 指揮者がコンマスの手を取って一緒に引き上げ,聴衆にアンコールがないことを知らせるという光景は何度も見たことがありますが,相手がヴィオラ奏者なのは初めてです ヴィットからみれば脇屋冴子は可愛い孫のような存在なのでしょう 「サエコ,サ~行こ」と言われたかどうか,脇屋は困惑しながらも「おじいちゃんがそう言うんじゃ 行こうかな」と思ったかどうか,嬉しそうに舞台袖に引き上げていきました またまた会場は大爆笑です ヴィットは最後までエンタテナーでした

 冒頭の問題の正解はすべて「左側」です

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ミヒャエル・バルケ+シャルル・リシャール・アムラン+読売日響でショパン「ピアノ協奏曲第2番」他を聴く / 東京春祭ガラコンサートのチケットを買う

2017年02月25日 09時02分39秒 | 日記

25日(土).わが家に来てから今日で879日目を迎え,トランプ米大統領が 米国の核戦力増強に積極的な姿勢を示した というニュースを見て 感想を述べるモコタロです

 

       

          自ら「核戦力増強」を主張して 北朝鮮の核開発はけしからんというのは矛盾しない?

 

  閑話休題  

 

昨日,4月16日(日)午後3時から東京文化会館大ホールで開かれる「東京・春・音楽祭2017」のフィナーレを飾る「スペシャル・ガラ・コンサート」のチケット(B席・1階左サイド)を購入しました

今 売り出し中の女性指揮者,イタリア出身のスペランツァ・スカップッチが指揮をし,モーツアルト,ヴェルディ,プッチーニなどのオペラのアリアをクリスティナ・パサローユ(ソプラノ),イヴァン・マグリ(テノール),アドリアン・ザンぺトレアン(バス)が歌います  私の好きなベッリーニ「ノルマ」序曲も演奏されます

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,池袋の東京芸術劇場で読売日本交響楽団のコンサートを聴きました これは「2017都民芸術フェスティバル」参加公演です.プログラムは①ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲,②ショパン「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調」,③シューマン「交響曲第1番変ロ長調”春”」です ②のピアノ独奏はシャルル・リシャール・アムラン,指揮はミヒャエル・バルケです バルケはドイツ出身の指揮者で,シンシナティ音楽院で指揮とピアノを学び,マグデブルグ歌劇場2011年~16年シーズンの首席指揮者を務めました

 

       

 

自席は2階L列8番,左サイド左から3つ目です.会場はほぼ満席です ステージが暗い中,楽員が登場し配置に着きます

演奏に先立って,21日に死去した読響桂冠名誉指揮者スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ氏への哀悼を込めて,弦楽奏者によってJ.S.バッハの「アリア」が厳かに演奏されました 言うまでもなく拍手はありません

オケは左から第1ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,第2ヴァイオリン,その後ろにコントラバスという対向配置をとります ドイツ系の指揮者はこの編成をとることが多いようです.コンマスは長原幸太.チェロの首席には客員の上森祥平がスタンバイしています

背丈のある指揮者ミヒャエル・バルケが登場し1曲目のウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲に入ります このオペラはドイツ・ロマン派オペラの端緒となる記念碑的な作品で,後のワーグナーにも多大な影響を与えました 

この曲は何と言ってもホルンが魅力です.日橋辰朗率いるホルン・セクションの演奏が冴えわたります ドイツの指揮者によるドイツの作曲家の曲ということで,名刺代わりとでも言うべき演奏です

グランド・ピアノがセンターに運ばれ,2曲目のショパン「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調」の演奏に備えます 多くのピアニストがスタインウェイを使用するのに,アムランはヤマハCFXを使用します.ちひろさんのコメントによると,広島でもこの曲を弾いたようですが,どこのメーカーのを弾いたのでしょうか?

さて,この曲は1829年に作曲に着手し翌30年3月に作曲者自身の独奏で初演しています 1930年に作曲されたホ短調が第1番となっていますが,これは楽譜の出版順で,実際に作曲した順にいうと第2番ヘ短調の方が先に完成しました 第1楽章「マエストーソ」,第2楽章「ラルゲット」,第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3つの楽章から成ります

ピアノ独奏のシャルル・リシャール・アムランが,指揮者とともに登場しピアノに対峙します アムランはカナダ出身で,2015年のショパン国際ピアノ・コンクールで第2位に入賞しています カナダ出身のピアニストと言えば,古くはグレン・グールドが,最近ではアンジェラ・ヒューイットがいます 期待が高まります

バルケの指揮で第1楽章が開始されます.速めのテンポによる引き締まった演奏です アムランの独奏ピアノが入りますが,バルケのタクトに同調した引き締まった緊張感に満ちた演奏です アムランの演奏の特徴を一番よく表していたのは第2楽章「ラルゲット」でしょう.ショパン独特のノクターンのようなロマンティックな旋律を詩情豊かに紡いでいきます.一音一音の粒立ちが綺麗です 第3楽章は一転,マズルカのようなリズムが鮮やかです

会場いっぱいの拍手に,アムランはJ.Sバッハの「アリオーソ」を演奏し,聴衆のクールダウンをはかりました

 

       

 

休憩後は,シューマンの「交響曲第1番変ロ長調」です シューマンは,ピアノの師フリードリヒ・ヴィークの娘クララとの結婚を反対され,裁判での判決をもって1840年9月にやっと結婚に漕ぎつけたことは有名ですが,この曲は,その翌年の1841年に完成し その年の3月にメンデルスゾーンの指揮で初演されました  第1楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・マエストーソ ー アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」,第2楽章「ラルゲット」,第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」,第4楽章「アレグロ・アニマート・エ・グラチオーソ」の4つの楽章から成ります

シューマンは1841年1月に友人の詩人アドルフ・ベットガ-の「谷間には春が咲き誇る」という詩に啓発され,わずか4日間でこの交響曲をスケッチしたと言われたことから,この曲は「春」というニックネームが付いています 当初シューマンは第1楽章に「春のはじめ」,第2楽章に「たそがれ」,第3楽章に「楽しい遊び」,第4楽章に「春たけなわ」というタイトルを付けましたが,最終的には削除しています.先入観なしで聴いて欲しかったのでしょう

バルケは楽章間の間を空けず,まるで1つの交響詩のように演奏しました 春の始まりを告げるファンファーレで幕を開け,夕暮れ時には物思いにふけり,外遊びで楽しく過ごし,生命力あふれる春を満喫する・・・・そうした物語を描いているかのような清々しい演奏でした

バルケ+読響はアンコールにブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」を演奏,会場いっぱいの拍手の中,コンサートを締めくくりました

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井上道義+大阪フィルでショスタコーヴィチ「交響曲第11番,第12番」を聴く~身体が熱くなる演奏

2017年02月24日 08時07分31秒 | 日記

24日(金).昨日,新宿ピカデリーに行ってMETライブビューイング,グノー「ロメオとジュリエット」の座席指定を取ってきました 来週火曜日午前10時上映の部です.ロメオをヴィット―リオ・グリゴーロが,ジュリエットをディアナ・ダムラウが歌います 指揮はジャナンドレア・ノセダ,演出はバートレット・シャーです

 

       

 

ということで,わが家に来てから今日で878日目を迎え,今年の米アカデミー賞の行方が気になるモコタロです

 

       

           今年は「ラ・ラ・ランド」が最多ノミネートみたい  賞を取ったら 飲みねえと 言われそう

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「豚としめじの味噌チーズ炒め」,「生野菜とワカメとサーモンのサラダ」,「ホウレン草のお浸し」,「湯豆腐」を作りました 「豚~」は初挑戦ですが,味にうるさい娘からもお褒めのお言葉を賜りました 残念ながら,息子はせっかく3日ぶりに帰ってきたと思ったら,昨日夕方,夕食を取らずに大学へ向かったので食べることが出来ませんでした 今度はいつ帰ってくるのやら

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

22日(水)に芸劇ブランチコンサートと大阪フィルのコンサートのハシゴをしましたが,昨日ブランチコンサートについて書いたので,今日は東京芸術劇場で午後7時から開かれた「大阪フィルハーモニー交響楽団 第50回東京定期演奏会」について書きます  この日の公演は大阪フィル創立70周年記念として開かれたコンサートです プログラムは①ショスタコーヴィチ「交響曲第11番ト短調『1905年』」,②同「同第12番ニ短調『1917年』」です 指揮は首席指揮者の井上道義です

プログラム冊子の指揮者・井上道義氏のプロフィールをあらためて眺めていたら,最後に「自宅にアヒルを飼っていた」と書かれていました 以前は「自宅にアヒルを飼っている」になっていました.どうでもいいことですが,これはどういう趣向でしょう? 井上氏は道義の名前から”ミッキー”というニックネームがありますが,ミッキー・マウスはディズニーの仲間,ドナルド・ダックといつも一緒だったからというシャレでしょうか? アメリカのトランプ大統領だったらチップをあげてディールを成立させるのでしょうけれど・・・分かったかな

 

       

 

自席は1階N列3番,左ブロック左通路側です.会場はほぼ満席です 楽員が配置に着きます.弦は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという態勢です コンマスは新日本フィルのコンマスでもあるチェ・ムンス氏です.相変わらず,椅子の座面を高く調整しています.ほとんど中腰で演奏するような感じです オケを見渡すと,全体的に若い人が多く見受けられ,ヴァイオリン・セクションは女性が多く,ヴィオラ,チェロ,コントラバスは男性が多い.管楽器・打楽器は圧倒的に男性が多いようです

1曲目はショスタコーヴィチ「交響曲第11番ト短調『1905年』」です ショスタコーヴィチは革命をテーマとした交響曲を4曲書いています.第2番「十月に捧げる」,第3番「メーデー」,第11番「1905年」,第12番「1917年」です.このうち第11番の「1905年」というのは,1905年1月9日に帝政ロシア時代のペトログラードで起こった,いわゆる「血の日曜日」事件です ショスタコーヴィチはこの事件を交響曲として作曲,1957年10月に初演されましたが,レーニン賞を受賞しています

第1楽章「宮殿前広場」,第2楽章「1月9日」,第3楽章「永遠の記憶」,第4楽章「警鐘」と すべての楽章に標題が付けられています これぞ,分かり易い「社会主義リアリズム」と言えるかも知れません 約1時間ノンストップで切れ目なく演奏されます

井上道義が登場し指揮台に上がります.彼はいつものようにタクトを持ちません.長い両手を使ってダイナミックに指揮します

第1楽章が低弦の重い音楽で開始されます.延々と続くようなアダージョですが,トランペットのメロディーは,聴きようによってはマーラーの交響曲を聴いているような感覚になります とにかく長い楽章です.第2楽章は,中盤まで比較的穏やかな音楽が流れているのですが,突然,民衆に向けた凄まじい一掃射撃の音楽に変わります ここでの井上の指揮は,まるでボクサーがグローブで相手を殴っているようです 第3楽章ではヴィオラが葬送のメロディーを奏でますが,このヴィオラが素晴らしい 第4楽章は冒頭,まさに革命的な激しい音楽が展開します そして,中盤にコーラングレが過去を懐かしむような美しいメロディを奏でますが,これで終わらず,長く激しいフィナーレが続きます 聴いていると,身体が熱くなってくるのが分かります.まるで演奏者の熱演が身体に取り込まれていくようです

ショスタコーヴィチが本当はどんな気持ちでこの曲を書いたのか,本人でなければ分かりませんが,純粋に音楽として聴く限り,最後のフィナーレは革命の勝利のように聴こえます 井上道義+大阪フィルの演奏はそういう解釈だったと思います

 

       

 

休憩後は交響曲第12番ニ短調「1917年」です 「1917年」というのは,その年の2月にペテオグラードの民衆の蜂起により皇帝ニコライ2世が退位し帝政が崩壊した「二月革命」と,その後,レーニンが10月にソヴィエト政権を打ち立てた10月革命の年であることを指します ショスタコーヴィチはこの10月革命をテーマに約40分間ノンストップで切れ目なく演奏される交響曲を書いたのです この曲は1961年に書かれましたが,同年10月1日,第22回共産党大会の時に初演されました ショスタコーヴィチはこの年に共産党員になっていますが,彼は不本意だったようです 共産党をはじめ政治に関わりなく作曲をしたかったのだと思います

第1楽章「革命のペトログラード」,第2楽章「ラズリーフ」,第3楽章「アヴローラ(黎明剛)」,第4楽章「人類の夜明け」の4つの楽章から成ります この曲も第11番と同様,全楽章に標題が付いており,その意味では第11番と同様 分かり易い「社会主義リアリズム」の典型と言える曲かも知れません なお「ラズリーフ」とは,レーニンが革命の策を練った場所を示しており,「アヴローラ」は軍艦の名前です

曲想としては,第11番よりも第12番の方が,演奏時間も短く,内容も「一般大衆向け」の分かり易い曲だと思います 第4楽章などは,打楽器の音が自席の床と椅子を震わせるほどの迫力でした

この曲も,ショスタコーヴィチがどんな気持ちで書いたのか本人以外には分かりませんが,純粋な音楽として聴くと,しつこいくらい繰り返されるテーマによるフィナーレは革命の勝利です また身体が熱くなってきました

大阪フィルは総力を挙げて終始 熱い演奏を展開しましたが,ショスタコーヴィチの交響曲は暴力的なまでの破壊力と,アダージョ楽章における癒しの音楽との対比が魅力かも知れません ヴォルコフの「ショスタコーヴィチの証言」に書かれていることが真実か作り話かによって,曲の解釈が180度違ってくるのは,聴く側としては本当に困りますが,結局のところ 現代の聴衆は純粋な音楽として聴く以外にないのではないか,と思います

 

 

       

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ブラームス「クラリネット・ソナタ第1番」,モーツアルト「クラリネット五重奏曲」を聴く~第6回 芸劇ブランチコンサート/スクロヴァチェフスキ氏 逝く

2017年02月23日 08時30分38秒 | 日記

23日(木).月曜の午後,大学に行った息子が,昨日(今日?)の深夜 家に戻ってきました 3月初旬に北海道で学会があるので その準備に追われているようです.いつ帰ってくるか心配していました.それにしても,理科系の大学院は半端なく厳しいです

たった今気が付いたのですが,当ブログを開設してから今年2月15日で満6年が過ぎ,7年目に突入しました 今でこそ登録読者数は1120人を超えていますが,最初のうちは2~3人の低空飛行が長く続いていたことを懐かしく思い出します 月日の流れの速さを実感する今日この頃です

ということで,わが家に来てから今日で877日目を迎え,マレーシアの警察庁長官が 北朝鮮の金正男氏の殺害事件について「国外に逃亡した北朝鮮籍の容疑者がすでに平壌に到着しており,北朝鮮政府に捜査への協力と4人の容疑者の身柄引き渡しを要求した」と述べ「国外に逃げた4人とは別に,事件に関与した可能性がある人物が3人いると特定し,その中に北朝鮮大使館勤務の外交官が含まれる」と明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        今や世界中が監視カメラ時代だから どんなに否定しても証拠が残ってしまうんだよね

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「手羽元と大根,卵の煮もの」と「生野菜とアボガドのサラダ」を作りました 「手羽元~」は2回目なのであまり手間取ることなく出来ました

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日の朝日夕刊・社会面に「指揮者スクロヴァチェフスキ氏死去」のニュースが載っていました.記事によると「昨年11月と今年2月に脳梗塞を起こし,闘病を続けていたが21日に死去した」とのこと.私にとっては 奇しくも ちょうど1年前の1月21日の読響特別公演(東京芸術劇場)でのブルックナー「交響曲第8番ハ短調」の名演が最後になってしまいました その時の様子は翌22日のブログに書きましたが,読響の面々が「マエストロとの演奏も今回が最後になるかも知れない」と思っているかのように真剣な表情で演奏に取り組んでいたことを今でも思い出します 私は その演奏を2016年のマイベスト5に掲げています 今年5月の読響定期で聴くはずだったブルックナーの「交響曲第5番」はすでに代演が発表されており,これで,二度と彼のブルックナーが聴けないと思うと寂しいものがあります スクロヴァ翁のご冥福をお祈りします

 

  最後の,閑話休題  

 

昨日午前11時から池袋の東京芸術劇場で「第6回 芸劇ブランチコンサート クラリネットはお好き?」を,午後7時から同じ会場で大阪フィルハーモニー交響楽団第50回東京定期演奏会を聴きました 今日は「芸劇ブランチコンサート」について書きます

 

       

 

自席は2階C列30番,センターブロック右から3つ目です.会場はほぼ満席状態です

1曲目はブラームス「クラリネット・ソナタ第1番ヘ短調」です ブラームス(1833-1897)は1894年に2つのクラリネット・ソナタを作曲しています.ブラームス61歳の晩年の傑作と言えます 第1楽章「アレグロ・アパッショナート」,第2楽章「アンダンテ・ウン・ポーコ・アダージョ」,第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ」,第4楽章「ヴィヴァーチェ」の4つの楽章からなります

クラリネットの伊藤圭(N響首席)とピアノの清水和音(1981年 ロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門優勝)が登場し,第1楽章に入ります

ピアノに導かれて奏でられるクラリネットの優しい音色を聴いた瞬間から,ブラームス晩年の肩の力が抜けた枯れた味わいがじわっと湧いてきます 第2楽章に入ると一層その味わいが深くなります.第3楽章からは明るい曲想になり,第4楽章では喜びさえ感じます

伊藤圭の演奏を聴いていてあらためて思ったのは,クラリネットという楽器は広い音域を持っていて音色も様々に変化するんだな,ということ,そして,ブラームスは楽器の特性を生かして作曲したのだな,ということです

 

       

 

演奏後,ナビゲーターの八潮圭子さんが清水和音氏にインタビューします

八潮:ブラームスもモーツアルトもクラリネットの曲を晩年に書いていますが,なぜ晩年なのでしょうか?

清水:ひと言でいうと「優しさ」の現れではないでしょうか

八潮:このブランチコンサートも今年度最後の回となりましたが,回を追うごとにお客様が増えているということで,今日も沢山のお客様にお出でいただきました

清水:とても嬉しいことです 主催者側の立場から言いますと,室内楽はどうしても聴衆の数を見込めず採算が取れないので難しいのです それと,午前のコンサートというのは,お客さんにとっては良いかも知れませんが,演奏する側からすると,どうしても夜型の人が多い(大抵のコンサートは夜だし)ので,リハーサルをする必要性からは,午前のコンサートはきついのですよ

八潮:ところで,次の曲では ヴィオラがいつものN響首席・佐々木亮さんではなく,今回は読響首席の鈴木康治さんですね.

清水:鈴木さんは演奏家仲間では人気者なんですよ 友人も沢山いるし

これを聞いて,「そうだろうな」と思いました.鈴木康浩氏は明るい性格のようで,読響定期の時も,室内楽の時も,実に楽しそうに演奏する姿が印象的です

 

       

 

2曲目はモーツアルト「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」です この曲は1789年(モーツアルト33歳の時)に作曲されました.モーツアルトは,クラリネット協奏曲イ長調K.622を1791年(死の年)の秋に作曲していますが,この2曲はクラリネットのための作品の最高峰と言っても差し支えないでしょう 第1楽章「アレグロ」,第2楽章「ラルゲット」,第3楽章「メヌエット」,第4楽章「アレグレット・コン・ヴァリアツィオ―二」の4つの楽章から成ります

演奏はクラリネット=伊藤圭,ヴァイオリン=大江馨(第82回日本音楽コンクール第1位),藤江扶紀(第80回同コンクール第1位),ヴィオラ=鈴木康浩(読響首席),チェロ=富岡廉太郎(東京シティ・フィル客員首席)です

第1楽章では,弦楽の控えめな合奏に導かれてクラリネットの柔らかな音色が奏でられます 演奏を聴いていると,澄み切った青空を思い浮かべます.モーツアルトは何と優しいんだろか 第2楽章「ラルゲット」はこの曲の白眉でしょう.ノーブルな美しさを感じます.まるで天国の音楽のようです 伊藤圭のデリケートな演奏を,他のメンバーが弱音で支えます 第3楽章「メヌエット」を優雅に,そして第4楽章の変奏曲を軽快に演奏します

全体を通して,伊藤圭のクラリネットは さすがはN響首席といった見事な演奏でした 彼を支えた弦楽奏者たちも息がピッタリで,一人だけ突出することなく,常にクラリネットを盛り立てていました

モーツアルトの音楽を聴くたびに思うのは「生きていて良かった」ということです.この日の演奏は,そんな気持ちを新たにしてくれる素晴らしい演奏でした

 

       

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知念実希人著「時限病棟」を読む / 中川右介著「現代の名演奏家50」ほか 本を5冊買う / 「ケマル・ゲキチ」公演チケット代払い戻しを受ける

2017年02月22日 07時52分10秒 | 日記

22日(水).昨日午前,確定申告のため池袋税務署に行ってきました 朝8時30分受付開始なので8時ごろ到着し並びました.3番目です 「今日は楽勝か」と思うのは例年の経験からは尚早で,2時間は覚悟です 8時30分に建物内に案内され①給与所得,あるいは年金所得だけ書類を作成し申告するコース,②それに加えて,国民年金保険料控除,損害保険料控除,医療費控除なども含めて書類を作成し申告するコースに分かれます 私は②の方です.ここで順番は1番に繰り上がりました 「今度こそ,今日は楽勝か」と思いきや,係員が「税務署員がこちらに来るのは9時15分になります.それまで住所・氏名等の必要事項を記入してお待ちください」と説明するではありませんか 何と45分も立ちっぱなしで待たなければなりません 私は新聞を読みながら待ちましたが,15分位経ったところで会場を見渡すと,乳児を抱えた女性がいたので,係員に「赤ちゃんを連れている人がいるから,座れるように椅子を用意してあげた方が良いのではないですか」と言うと,そそくさとパイプ椅子を取りに行きました.こういうところはもっと配慮すべきだと思います

ようやく9時15分になり,税務署員により提出書類のチェックをしてから別の会場に移り,パソコン入力により申告書の作成をしました 例によって,年1回の申告なので1から10までやり方を覚えているわけではありません.税務署員を捕まえては不明な点を確かめて入力し,という作業を繰り返しました.結局,申告書が完成し提出が終わったのは10時45分になっていました やっぱり軽く2時間を超えてしまいました 「何が1番だ,フン」と思いながらも,還付金があることが分かったので(子供たちの国民年金保険料も私が払っているので還付されるのは当たり前ですが)おとなしく税務署を後にしました

帰りがけに池袋パルコ内の「ぴあ・ちけっとぽーと池袋店」に行き,「ケマル・ゲキチ」(2月21日・日経ホール)公演中止に伴うチケット代の払い戻しをしてもらいました チケットと引き換えに,チケット代3,800円と 買った時の手数料108円,合計3,908円が戻ってきました

ということで,わが家に来てから今日で876日目を迎え,「米国第一主義」を掲げるトランプ米大統領の姿勢が 世界の商品市況を動かしている というニュースを見て 感想を述べるモコタロです

 

       

                    アルミニウムの価格が高騰してるってさ  1 円玉の価値が上がるのかな   関東一円で

 

  閑話休題  

 

まだ,前に買った本を読み終わっていないのに,また本を5冊買ってしまいました オレは病気か

1冊目は中川右介著「現代の名演奏家50 クラシック音楽の天才・奇才・異才」(幻冬舎新書)です 著者は「はじめに」で「この本は,ひとことで言えば,名演奏家たちのエピソードを集めた,20世紀クラシック音楽界人物交遊録集とでもなろう」と書いています.取りあげられているアーティストは指揮者,ピアニスト,ヴァイオリニスト,チェリスト,歌手たちです

 

       

 

2冊目は,国民文化研究会・新潮社編「学生との対話 小林秀雄 講義」(新潮文庫)です 小林秀雄といえば名著「モオツァルト」を思い起こします

 

       

 

3冊目は,遠藤周作著「ウスバかげろう日記 狐狸庵ぶらぶら節」(河出文庫)です 遠藤周作といえば現在「沈黙」でブレイク中の作家です

 

       

 

4冊目は,遠藤周作著「十頁だけ読んでごらんなさい.十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい.」(新潮文庫)です タイトルが長すぎやまです 飽きたら捨てます

 

       

 

5冊目は,はらぺこグリズリー著「世界一美味い煮卵の作り方 家メシ食堂ひとりぶん100レシピ」(光文社新書)です   これは実戦で役立てようと思います.お酒のツマミとして

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

知念実希人著「時限病棟」(実業之日本社)を読み終わりました 知念実希人は1978年,沖縄県生まれ.東京慈恵会医科大学卒,日本内科学会認定医です 当ブログでもご紹介した「仮面病棟」が面白かったので購入しました

 

          

 

倉田梓は目覚めると病院のベッドで点滴を受けていた.なぜこんな場所にいるのか?と疑問に思っていると,他にも同じような立場の男女が4人いて,窓が格子で塞がれた病院の中に監禁されていることが分かる 外科医の月村一生,別の病院の外科医の小早川賢一,看護士の桜庭和子,麻酔科医の七海香だ.他にも手術台の上に寝かされた男がいた.壁に書かれたピエロの絵とともに,クラウンという名前でメッセージが書かれている 次々と現われるメッセージに込められた謎を解明していくうちに,5人は 自殺したと言われている芝本医師に何らかの関係があり,芝本は自殺したのではなく5人のうちの誰かに殺された,その容疑者としてこの病院に集められたことが判明する お互いに疑心暗鬼の中,6時間以内に真犯人を突き止めてクラウンに伝えないと病院が爆発される恐れがあることが分かる そうこうしているうちに殺人事件が起こる.果たして,クラウンとは誰か?手術台に寝かされていた男とは何者か?そして真犯人は誰か

前回の「仮面病棟」もそうでしたが,この作品もどんでん返しの連続です 舞台となった病院が曰く付きの病院であることが途中で明かされます 誰が何のためにこのゲームを仕組んだのかが最後に明かされますが,衝撃の結末と言って良いでしょう 一気読み間違いなしです.お薦めします

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チェコ映画「ひなぎく」,ソ連映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」を観る~早稲田松竹 / 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」抽選販売申し込み開始

2017年02月21日 07時14分35秒 | 日記

21日(火).わが家に来てから今日で875日目を迎え,東京都議会が 豊洲市場の用地取得の経緯などを調べるため,法に基づく強い権限を持つ調査特別委員会(百条委員会)を設置することを決めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

                     用地取得時の都知事・石原慎太郎氏は 証人喚問請求の関門をどうくぐり抜ける?

 

  閑話休題  

 

昨日は5月の連休に東京国際フォーラムで開催される「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」の先行抽選販売開始日だったので,ネットで申し込みました

申し込んだのは4日=5公演,5日=6公演,6日=6公演の計17公演です ホールA(5008席),ホールC(1492席)は3月1日からの先着販売で座席指定して買えばいいので,それ以外の収容人数が比較的少ないホールで開催される公演を選びました 昨年がほぼ全滅に近かったこともあり,すべてダメ元で選んでいます 抽選に漏れても何とか聴きたいと思うのは次の公演です

4日では,午前11時45分からホールD7で開かれる公演番号152番「アンヌ・ケフェレック+オリヴィエ・シャルリエによるモーツアルトのヴァイオリン・ソナタK,454&K.380」,午後8時45分からホールB7で開かれる公演番号127番「アンヌ・ケフェレック ピアノ・リサイタル」,午後6時45分からG409で開かれる公演番号166番「ストラヴィンスキー”兵士の物語”ほか~会田莉凡,広瀬悦子他」

5日では,午前10時からホールB7で開かれる公演番号221「アレクサンドル・クニャーゼフ+アレクセイ・ヴォロディンによるストラヴィンスキー”イタリア組曲”他」,午後5時からホールD7で開かれる公演番号255番「アレクサンドル・クニャーゼフによるバッハ”無伴奏チェロ組曲第2番&第5番」,

6日では,午後3時15分からG409で開かれる公演番号364番「梁美沙+広瀬悦子によるモーツアルト”ヴァイオリン・ソナタK.304他」,午後7時30分からホールB7で開かれる公演番号326番「上原彩子 オール・チャイコフスキー・プログラム」です

先行抽選販売は27日(月)23時59分まで受け付け,抽選結果は28日(火)18時以降に発表,3月1日(水)10時から先着販売が開始されるとのことです

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,早稲田松竹でチェコ映画「ひなぎく」とソ連映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」の2本立てを観ました 「ひなぎく」は,チェコ・ヌーヴェルヴァーグの旗手・ヒティロヴァ―監督による1966年製作のチェコ・スロヴァキア映画(75分)です

 

       

 

二人の女の子が,おしゃれして出かけては中高年の男たちを騙して食事をおごらせ,都合が悪くなるとウソ泣きして笑いながら逃げてしまう そんな自由奔放な彼女たちは,ある日 党のパーティー会場に忍び込んで,まだ手を付けていない料理を食べ散らかし,アルコールを飲み,テーブルの上に乗ってダンスをし,とやりたい放題の限りを尽くす しかし,そんなことがいつまでも許される訳がない 巨大なシャンデリアが二人の頭上に・・・・

解説を見て初めて知りましたがヒティロヴァ―監督は女性でした 映画の冒頭場面では戦争のシーンがモノクロ映像で挟み込まれたりして,この監督が戦争を嫌悪しているらしいことは伝わってくるのですが,いざ本筋になると,二人の女の子のあまりにも滅茶苦茶な行動に「ちょっと,やり過ぎじゃないかい」とツッコミを入れたくなります.人と人との殺し合いの戦争に比べれば,彼女たちのハチャメチャな行動なんて大したことがないのだ,というメッセージとも受け取れますが,さあ どうでしょうか

 

  最後の,閑話休題  

 

2本目の「不思議惑星キン・ザ・ザ」は,ゲオルギー・ダネリア監督による1986年製作のソ連映画(135分)で,当時 ソビエト連邦時代のジョージア(グルジア)で製作され,当時のソ連全土で1570万人の観客動員を記録したカルト・ムービーです

 

       

 

ある日,建築技師のマシコフは「あそこに自分は異星人だという男がいる」と困った様子の学生ゲデバンに助けを求められる.異星人など信じないマシコフは,その男が持っていた空間移動装置のボタンを押すと,次の瞬間,マシコフとゲデバンは地球から遠く離れたキン・ザ・ザ星雲のプリュク星へとワープしていた そこでは,「クー」というのが挨拶の言葉で,どういうわけかマッチが超貴重品だった 二人は何とか地球に戻ろうと,マッチを取引材料にして異星人と取引するのだが・・・・果たして二人は無事に地球に戻ることが出来るのか・・・

ひと言でいえば,この映画は脱力系SFコメディです 1986年製作とはいえ,宇宙船らしき乗り物は上のポスターの写真のような,まるで廃品回収で拾ってきたような古めかしい古典的なオブジェです 可笑しいのは,キン・ザ・ザ星雲の星でも,地球のように生まれによる差別があり,支配される側は支配する側に「クー」とへりくだって挨拶しなければならないのです

前述のとおり,この映画の公開当時,ソ連全土で1570万人もこの映画を観たということですが,当時のソ連がいかに娯楽が少なかったかという証左かな,と思います

 

        

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ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第13番”大フーガ付”」,ブラームス「弦楽四重奏曲第2番」を聴く~エルディーディ弦楽四重奏団

2017年02月20日 07時54分22秒 | 日記

20日(月).わが家に来てから今日で874日目を迎え,トランプ米大統領が 20日に就任から1か月経つことから,この1か月を振り返る日経の記事を見て感想を述べるモコタロです

 

       

         トランプは英語で”切り札”という意味があるけど 政策によっては切れ札になってボロボロ

 

  閑話休題  

 

昨日,晴海の第一生命ホールでエルディーディ弦楽四重奏団のコンサートを聴きました プログラムは①ブラームス「弦楽四重奏曲第2番イ短調」,②ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第13番変ロ長調”大フーガ付”」です エルディーディ弦楽四重奏団は1989年に東京藝大出身者によって結成されました.第1ヴァイオリン=蒲生克郷,第2ヴァイオリン=花崎淳生,ヴィオラ=桐山建志,チェロ=花崎薫というメンバーです.「エルディーディ」と言うのは,ハイドンの弦楽四重奏曲作品76の献呈者エルディーディ伯爵の名前に由来しています

自席は1階6列11番,左ブロック右から2つ目です.会場は6割くらいの入りでしょうか

 

       

 

1曲目のブラームス「弦楽四重奏曲第2番イ短調作品51-2」は,第1番ハ短調作品51-1と共に1873年の夏,ミュンヘンに近い湖畔のトゥーツィンクという村で完成しましたが,ブラームスはこの時すでに40歳でした 交響曲と同じように,目の前に立ちはだかるベートーヴェンの弦楽四重奏曲の山脈を超えるべく,覚悟と準備が必要だったのです 第1番がハ短調の調性を反映した厳しくも情熱的な曲想なのに対し,第2番イ短調はどちらかと言えば柔和な感情が支配する曲想です

第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」,第2楽章「アンダンテ・モデラート」,第3楽章「クワジ・メヌエット,モデラート」,第4楽章「フィナーレ,アレグロ・ノン・アッサイ」の4つの楽章から成ります

エルディーディ弦楽四重奏団の4人の演奏を聴いていると,円熟の極みという言葉が浮かんできます 最小限の動きで最大限の音楽を奏でているように思います

この曲はウェラー弦楽四重奏団によるCDで予習しておきました

 

       

   

休憩後はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第13番変ロ長調」です ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲は第12番作品127(4楽章),第15番作品132(5楽章),第13番作品130(6楽章),第14番作品131(7楽章),第16番作品135(4楽章)という順番に作曲されました(第〇番という番号は出版順).これを見て分かるように,第12番から楽章の数が増えていき,最後の16番で元の4楽章に戻っています このうち第12番,第15番,第13番の3曲はロシアのガリツィン侯爵の依頼によって作曲され,献呈されました

この曲は次の全6楽章から成ります.第1楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポーアレグロ」,第2楽章「プレスト」,第3楽章「ポコ・スケルツォーゾ:アンダンテ・コン・モト・マ・ノン・トロッポ」,第4楽章「アッラ・ダンツァ・テデスカ(ドイツ舞曲風に):アレグロ・アッサイ」,第5楽章「カヴァティーナ:アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ」,第6楽章です

この曲を演奏する際に問題になるのは最後の第6楽章をどうするかです.当初作曲した「大フーガ」にするのか,後で差し替えのために作曲した「アレグロ」にするのかを選択しなければなりません エルディーディの4人は,ベートーヴェンが当初意図した「大フーガ」を配した版で演奏することを選択しました 個人的には,第5楽章「カヴァティーナ」の後にくる楽章としては,まったく新しい厳しい曲が始まったという印象の「大フーガ」よりも,後で作曲した「アレグロ」の方が自然につながるように思います

また,この曲は6楽章形式とはいえ,第2楽章「プレスト」と第4楽章「アラ・ダンツァ~」は2~3分程の短い曲で,いわば楽章間をつなぐ役割を果たしていると言えます もちろん短いとはいえ,魅力的な曲想であることには違いありません

いつ聴いても感動的なのは第5楽章「カヴァティーナ」です 第15番の第3楽章「モルト・アダージョ」の「病が癒えた者の神に対する聖なる感謝の歌.リディア旋法による」の崇高な音楽と共通するものがあります エルディーディの演奏は思い入れを排し,むしろあっさりと演奏しますが,とても穏やかで天国の音楽のようです

第6楽章「大フーガ」は前述の通り,第5楽章までとはまったく違う音楽です.4人はそれまでのあっさり系の演奏から一転,想いを込めて演奏しているように見えました これは 曲がそうさせるのでしょう

大きな拍手に 4人は「大フーガ」に代えて作曲された第13番第6楽章「アレグロ」を演奏しました 荘重な「大フーガ」も良いですが,私は軽快な「アレグロ」の方が好きです このアンコールを聴いてやっと心底満足できました

 

       

 

この曲は,イタリア弦楽四重奏団によるCDで予習しておきました

 

       

       

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21日の「ケマル・ゲキチ ピアノ・リサイタル」中止~日経ミューズサロン / 最相葉月著「セラピスト」を読む~精神分析からカウンセリングへ

2017年02月19日 07時55分27秒 | 日記

19日(日).昨日,親戚の葬儀に参列するため西武新宿線の航空公園駅から車で10分程の斎場に行ってきました.半年前 高校時代の恩師が亡くなった時に執り行われた葬儀式場と同じ部屋でした.生後わずか2か月でのお別れは参列者の涙を誘いました 焼かれた後に残った骨はあまりにも少なく,あらためて短い命を思いました 幸い お兄ちゃんが2人いるので,しっかり育てて欲しいと思います

ということで,わが家に来てから今日で873日目を迎え,北朝鮮の故金正日総書記の長男 金正男氏が殺害された事件で,マレーシア警察が 殺害に関与した疑いで北朝鮮国籍の男を逮捕した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

                     普通のミステリーは 事件の陰に女あり だけど  この事件は 女の陰に男あり みたいだな

      

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊に「ケマル・ゲキチ  ピアノ・リサイタル  公演中止のお知らせ」が載っていました 

2月21日(火)午後6時半から大手町の日経ホールで開催予定の「第457回日経ミューズサロン~ケマル・ゲキチ ピアノ・リサイタル」は,出演者のけがを受け 中止とするという内容です

払い戻しは2月21日(火)から3月31日(月)までミューズサロン事務局,ぴあ,イープラスほか購入先で受け付けるとのこと 

問い合わせ先は,ぴあ=0570・02・9111,イープラス=トップページ「中止/変更/延期」より.

総合問い合わせ先は日経ミューズサロン事務局=03・3943・7066となっています

私は ぴあの「ちけっとぽーと池袋店」で購入したので,22日(火)の「芸劇ブランチコンサート」を聴きに行くついでに お店に寄って払い戻してもらおうと思っています お知らせによると,ゲキチはけがをしたらしいですが,素人料理でもやって指を切って激血でも出たのでしょうか 大したことがなければ良いのですが

 

  も一度,閑話休題  

 

最相葉月著「セラピスト」(新潮文庫)を読み終わりました 最相葉月は1963年東京生まれの神戸育ち.関西学院大学法学部卒業.これまで「絶対音感」で小学館ノンフィクション大賞を,「星新一」で大佛次郎賞ほかを受賞しています

 

          

 

この本で大きな比重を占めるのは,心理学者であり,日本人初のユング派分析家であり,カウンセラーとして日本のカウンセリング界を牽引してきた人物で,晩年は文化庁長官を務めた河合隼雄の業績です カウンセリングの手法としての「箱庭療法」がセラピストによってどんな方法で行われ,クライエント(患者)をどのように分析したかを紹介しています 「箱庭療法」というのは,箱庭の中に,人間や家や木などのミニチュアをクライエントに置かせて,それを心理学的に分析するものです

また,葉月は精神科医の中井久夫から「絵画療法」を受け,自らもカウンセリングを学んでいます 「絵画療法」というのは,1枚の白紙に山や川や人間や木や家や動物などを描かせて,それを分析するものです

この本を読んで,そうか!と思ったのは,「精神分析からカウンセリングへ」という流れです もともと「精神分析」は神経医学者だったフロイトが,主にノイローゼの患者を診察の対象としていたもので,ノイローゼとは後に言う神経症で,人が怖い,人に会えないという対人恐怖症やパニック障害,手を何度も洗わずにいられない強迫神経障害などです.フロイトらは無意識の世界に目を向けて悩みを分析することで解決することを目指したのでした ところが,いくら分析しても治らないことから,新しい考え方が現れたのです.「分析で治るというのは,分析そのものよりも,人の話をじっと聞いてくれる人がいるということが功を奏したとは考えられないか?それがのちに,カウンセリングと呼ばれるようになった」というものです

この本が説得力を持つのは,最相葉月自身が心の病を抱え,カウンセリングを受けて,5年間の取材を通してその体験を書いているからです 心の病を抱えるいると自覚のある人,周りにそのような人がいる方に特にお薦めします

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