人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

独断と偏見による今年の「クラシック・コンサート・ベストテン」を発表!

2011年12月31日 09時01分21秒 | 日記

31日(土).昨日は大掃除第2弾をやってくたびれ果てました今日は年越しと新年を迎えるための買い出しです.わが家では例年,海老天を載せて年越し蕎麦を食べます.お正月は関東風のお雑煮で,もち,里芋,ほうれん草,鶏肉,椎茸を入れてしょうゆ味で仕立てます おせち料理は,昨年から,娘のバイト先のレストラン特製の洋風おせちです皆さんのお宅はいかがでしょうか?

さて,お約束どおり,今年のクラシック・コンサート・ベストテンを発表します これはあくまでも私がこの1年間に聴いた124回のコンサートの中から,独断と偏見によって上位10本を選ぶものです     

最初に整理の意味で,月を追って,印象に残ったコンサートを振り返って見たいと思います

1月=6日の東響定期でリストの「ピアノ協奏曲第1番」を弾いたアリス・沙良・オットは裸足のピアニストでした彼女は12日にリサイタルを開き得意のショパンを軸に感性豊かな演奏を聴かせてくれました.19日のアンサンブル・ゼフィロによるモーツアルトの「管楽器のための音楽集」は楽しいコンサートでした翌20日のキオイ・アンサンブルによるモーツアルトの「管楽器のための音楽集」は,グラン・パルティータが豊かな響きで満足しました.23日のショパン・コンクール・ガラコンサートは,ソナタ第2番を弾いたアヴデーエワがやっぱり断トツでした

2月=12日のN響定期でチョン・ミュンフンがマーラーの「交響曲第3番」を振りました.藤村美穂子のメゾ・ソプラノ共々素晴らしい演奏でした20日のマリインスキー・オペラの来日公演,プッチーニの「トゥーランドット」はタイトルロールを歌ったグレギーナの迫力が忘れられません.27日の新日本フィルの定期ではフランス・ブリュッヘンがバッハの「ミサ曲ロ短調」を振り,バッハの深さを表現しました

3月=10日のフロイデ・フィルの定期は指揮者・宇宿允人の死去により中止に.翌11日の東日本大震災の影響でこの日の東響オペラシティ・シリーズ定期をはじめ,3月だけでも8公演の払い戻しを受けました.その中には,ロン・ティボー国際コンクール・ガラコンサート,ヒラリー・ハーン・リサイタル,チョン・ミュンフン=チェコ・フィル,新国立オペラ「マノン・レスコー」が含まれています

4月=4月7日の新国立オペラ・プレミエ公演の振替として,19日にR・シュトラウス「バラの騎士」が上演され,原発事故のため来日不能となった代役の日本人歌手が活躍しました

5月=連休中のラ・フォール・ジュルネ音楽祭は,大震災の影響で大幅にプログラムが変更され,ほとんどチケットを買い直しましたそのうち,3日に桐朋学園オーケストラをバックに伊藤恵が弾いたシューマンと妻クララの両ピアノ協奏曲は素晴らしい演奏でした10日にチョン・ミュンフン指揮ソウル・フィルのコンサートは,ドビュッシーとラヴェルの曲が急きょチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲に変奏され,庄司紗矢香がソリストを務めました.「悲愴交響曲」共々集中力の高い素晴らしい演奏でした29日の新国立オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」は舞台を現代に置き換えた演出でしたが,すんなりと受け入れられました

6月=メトロポリタン・オペラ来日公演を3本観ました.8日のプッチーニ「ラ・ボエーム」,10日のヴェルディ「ドン・カルロ」,19日のドニゼッティ「ランメルモールのルチア」です.このうち「ラ・ボエーム」は待望のネトレプコが来日出来なくなりフリットリがミミを歌いました.ドン・カルロではフリットリの代わりにポプラフスカヤがエリザべッタを歌いましたルチアだけがタイトルロールを予定通りダムラウが歌いました.代役に次ぐ代役でしたが,メトの底力を見せ付ける公演になりました.12日にはパシフィカ・カルテットがベートーヴェンの弦楽四重奏曲を演奏,完成度の高い演奏を6曲聴きました.21日には3月12日に中止となった新日本フィル定期の代替公演があり,ダニエル・ハーディングがマーラーの「第5交響曲」を振り,観客の声援に応えていました

7月=16日の東響定期でウィーンフィルのコンマス=キュッヒルと東響首席ヴィオラの西村真紀によるモーツアルトの「ヴァイオリンとヴィオラによる協奏交響曲」が演奏され,美しい響きが会場いっぱい響き渡りました23日には金子三勇士のピアノ・リサイタルを聴きました.新人ながら堂々たる風格でした.

8月=2日にチョン・ミュンフン指揮アジア・フィルのコンサートがあり,ベートーヴェンの第7交響曲とブラームスの第1交響曲が演奏されました.アンコールに何とベートーヴェンの第5交響曲”運命”のフィナーレを演奏,度肝を抜かれました.これ以上の熱演は望めないでしょう 6日には清水和音によるラフマニノフのピアノ協奏曲全曲演奏会があり,すべて暗譜で弾き通しました.29日には大野和士指揮東京フィルによるマーラー「交響曲第2番”復活”」があり,皇太子も拍手を送っていました

9月=11日にロッシーニの権威アルべルト・ゼッタ指揮藤原歌劇団による「セヴィリアの理髪師」がありました.22日には三ツ橋敬子指揮東京シティフィルによるコンサートがあり,ブラームスの第1交響曲ほかを演奏,トスカニーニ指揮者コンクール第2位の実力を見せました24日にはボローニャ歌劇場来日公演でベッリーニ「清教徒」を観ました.待望のフローレスが来日できず,シラクーザが代役を務めましたが,代役は大成功でした27日にはハープの高野麗音とピアノの萩原麻未によるジョイント・リサイタルがあり,この時初めて萩原麻未の実力を見せ付けられました.サン=サーンスの「トッカータ」の超高速演奏は忘れられません

10月=1日に日本人演奏家によるモーツアルトの「グランパルティータ」ほかを聴きました.2日には新国立オペラ,ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」を観ました.歌手陣が揃っていました4日には仙台フィルのショスタコーヴィチの第5交響曲他を聴き,間接的に被災地を支援しました16日にはプラハ国立歌劇場の来日公演でプッチーニ「トスカ」を聴きました.ノルマ・ファンティーニのトスカは最高です

11月=5日にショパンコンクール優勝者アヴデーエワのピアノ・リサイタルを聴きました.さすがの実力者です17日には萩原麻未の日本デビュー・リサイタルを聴きました.”恐ろしいピアニスト”を再確認しました23日には新国立オペラでドヴォルザーク「ルサルカ」を観ました.日本人歌手が頑張りました29日には,三ツ橋敬子指揮東響,萩原麻未のピアノでシューマン「ピアノ協奏曲」を聴きました.彼女のロマン派はすごくいいです

12月=8日にフォーレ四重奏団による演奏でモーツアルト,ブラームス,フォーレを聴きました.一度聴いただけですっかり気に入りました23日には「生きる」コンサートで萩原麻未のピアノによるモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番」を聴きました.彼女の古典もすごくいいです

 

              

 

以上,駆け足で1年を振り返ってみましたが,上に挙げただけでも35公演になります.ここからベスト10を選んでみます.いよいよ結果発表です

 

第1位:チョン・ミュンフン指揮アジア・フィル(8月2日.ベートーヴェン「交響曲第7番」,ブラームス「交響曲第1番」)

第2位:高野麗音+萩原麻未ジョイント・リサイタル(9月27日.サン=サーンス「トッカータ」,ラヴェル「ラ・ヴァルス」ほか)

第3位:メトロポリタン・オペラ=ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」(6月19日.ダムラウほか)

第4位:チョン・ミュンフン指揮ソウル・フィル(5月10日.チャイコフスキー「第6交響曲」「ヴァイオリン協奏曲」vn:庄司紗矢香)

第5位:フォーレ四重奏団(12月8日.モーツアルト,ブラームス,フォーレのピアノ四重奏曲)

第6位:アヴデーエワ・ピアノ・リサイタル(11月5日.ショパン「舟歌」,プロコフィエフ「ピアノ・ソナタ第2番」,ワーグナー「タンホイザー序曲」ほか)

第7位:ボローニャ歌劇場=ベッリーニ「清教徒」(9月24日.シラグーザ,ランカトーレほか)

第8位:三ツ橋敬子指揮東響=ブラームス「交響曲第1番」,シューマン「ピアノ協奏曲」(11月29日.ピアノ:萩原麻未)

第9位:萩原麻未ピアノ・リサイタル(11月17日.シューマン「謝肉祭」,ハイドン「ピアノ・ソナタニ長調」ほか)

第10位:プラハ国立歌劇場=プッチーニ「トスカ」(10月16日,ノルマ・ファンティーニほか)

番外:松本幸四郎主演「アマデウス」公演(11月12日)

以上の通りですが,われながらアーティストがかなり偏っていると思います曲種ではピアノ曲が多いですね.一応順番を付けてみたものの,どう入れ替えても大して変わりはありませんさて,皆さんの今年のベスト10はいかがでしょうか?

 

  閑話休題  

 

1年の最後の日に当たって,このブログへのアクセス数をご紹介させていただきますブログ開設の2月15日から昨日12月30日までの間375本のブログを書きましたが,トータルIP(総訪問者数)は延べ57306人,トータルpv(総閲覧ページ数)は166122ページでした.公表されている最新の期間(12月18日~同24日の1週間)では1368・IP,6154pvで,大雑把にいえば,毎日200人前後の方がご覧になっている計算になります.また,このgooブログは全国で166万6千人以上の人が書いていますが,同期間中のtoraブログは5360位となっています

toraブログをご愛読いただいた皆さまにあらためて感謝いたします 体力の続く限り来年も毎日更新していきますので,ご覧いただき,コメントをお寄せいただけると嬉しいです

最後に,2012年が皆さまにとって良い年になりますようお祈りいたします

 

               

               〔わがP.Cビル正面の門松です〕

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大掃除の効用~3.11大地震の名残り,いまに

2011年12月30日 06時20分58秒 | 日記

30日(金).昨日は午前中から大掃除に取り掛かりました まず,すべての窓ガラスの外側と内側をきれいに拭き,次に台所周りを整理しながら掃除しました.どの家庭でも同じだと思いますが,ガスレンジ周りの油汚れ落としは一苦労ですね.今年は,ここ数年まったく手を付けていなかった賞味期限切れの缶詰類を大量に処分しました.中には90年代の物もあり,自分でもびっくりしました その後は,リビングの整理で手一杯でした.息子がトイレを掃除して見違えるようにきれいにしてくれたので「これから絶対良いことがあるぞ」と誉めておきました.

まだまだ,風呂場,玄関,廊下,洗面台,自分の部屋,身の回りの書類整理,1年間のコンサートのパンフレットの整理などが残っているので,すでに身体中が痛いのですが,息子に手伝ってもらいながら,これから大掃除第2弾に取り掛かります

ところで,リビングのソファーをどかして掃除機をかけようとした時,何かが引っかかりました.何とCD4枚がソファーの裏側に落ちていました.3月11日の大地震のときに落ちてそのままになっていたようです

4,000枚のCDの大半は廊下に並んでいるCDラックに収めてありますが,入りきれないCDをリビングのあちこちのCDラックに入れています.このうち,あの日落ちていたCDはすべて拾い上げて,もとの棚に収めたのですが,目に付かなかったCDがそのまま放置されていたようです 可哀想なことをしたのは,すべてヴィヴァルディのCDで,3枚が「四季」(ナージャ・サレルノ・ソネンバーグ盤,ファビオ・ヴィオンディ盤,カール・ミュンヒンガー盤),もう1枚がイ・ムジチの「9つの弦楽器のための協奏曲集」です

ヴィヴァルディの「四季」といえば「イ・ムジチ」といわれたほど,イ・ムジチの演奏がこの曲の定番だった時期が長く続きました.明るく,流麗な,まさにイタリアを意識させる演奏は,耳に心地よく響きました 私も例外なく,イ・ムジチがこの曲の第一人者だと信じて疑いませんでした.

ところが,ある日1枚のLPレコードに出会いました.それはカール・ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団による「四季」でした.最初この演奏を聴いたときは「何だ,これは」と異様に感じました.それは流麗なイ・ムジチとは対極にあるゴツゴツして四角張った,時代に取り残されたような演奏だったのです.ひとことで言えば,イタリア対ドイツの対比です.ところが,聴き進んでゆくにしたがって,新鮮味さえ感じるようになり,この演奏が大好きになりました

それ以降,何種類もの「四季」のCDが世に出ましたが,”時代遅れで無骨”なミュンヒンガーの演奏が今なお,私のベストです

 

           

 

 

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スヴェトラーノフのマーラー「第5交響曲」の思い出

2011年12月29日 08時37分28秒 | 日記

29日(木).昨日は仕事治めでした.午前中に消防署に年末のあいさつに行き、午後は机回りの大掃除をやりました 夕方から、会計顧問のT公認会計士のたっての希望により虎ノ門の雀荘で1年ぶりに麻雀をしました.メンバーはT氏のほかにS監査役,E部長,T君と私の5人で,一人交代してやりました.ビールを飲み,カレーライスを食べながらの4時間は身体には良くありません まあ,1年に1回だからいいことにしよう 結果は実力者T氏がトップで,私が2位でした

 

  閑話休題  

 

今年観た映画のうちヴィスコンティ監督の「ヴェニスに死す」と園子温監督の「恋の罪」で、マーラーの交響曲第5番第4楽章「アダ―ジェット」が使われていたこともあって、これまで聴いてきた同曲のうちで一番印象に残った演奏について書いてみようと思います

何年前のことか思い出せないのですが、今は亡きソヴィエト(現ロシア)の指揮者スヴェトラ―ノフが、NHKホールでNHK交響楽団を振ってマーラーの第5交響曲を演奏したときのことです

スヴェトラーノフはいつものように、あの巨体を小刻みに震わせて、最小限の動きで最大限の効果を狙って指揮をしていました ちょうど第4楽章「アダ―ジェット」が始まったころ、白い蝶々が右前方の客席から舞台上空に向かって舞い始めたのです.まるで曲に合わせるかのように、ヴィオラ・セクションの上を舞い、チェロを越え、オーボエ、フルート、ホルンの管楽器群の上に移動し、第2ヴァイオリンを通過して、最後は第1ヴァイオリンの上を通って、再び客席に戻り、どこかに消えて行きました それとほぼ同時に「アダ―ジェット」楽章が終わりました.その間、演奏者たちも「あれまぁ、蝶々が飛んでいるし・・・」という風情で上を見上げ、行方を追っていました.どこから迷い込んできたのか分かりませんが”飛んだ”ハプニングでした.”こんなこともあるのか”と、本当に不思議な出来事でした.

演奏は、バレリーナの代わりに上空を舞った蝶々の粋な演出もあってか、素晴らしい出来でした 舞台上であの蝶々の華麗な舞いに気付かなかったのは、われらの愛すべき巨匠スヴェトラ―ノフ唯一人だったかもしれません

演奏終了後に楽屋で「マエストロ、実は演奏中に蝶々が上空を舞っていたんすよ」「えっ、ほんまかいな」「本当でっせ。アダ―ジェットの楽章だけでしたけど」「それは貴重な体験やったなぁ。演奏中に教えてくれりゃよかったのに」「せんせ、そら、あきまへんがな」という蝶々発止のやり取りがあったとか,なかったとか

ちなみにこの第5番は蝶々ではなく、丹頂の曲です。鶴の一声のようなフレーズもありあますが,決して単調ではありません.マイナーな洒落ですいません

 

〔写真はスヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団によるマーラー「交響曲第4番」のCD〕

               

 

 

 

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今日12月28日は管弦楽の魔術師モーリス・ラヴェルの命日

2011年12月28日 06時24分52秒 | 日記

28日(水).せっかく買ったブルーレイ・ディスク・レコーダーが上手く写らないので,T君のアドバイスによって,加入している豊島ケーブル・ネットワークに電話して相談してみました.その結果,いま備え付けてあるチューナーの型番が古いため,新しい機械と交換しないとブルーレイが見られないことが判明しました このチューナーは豊島ケーブルからのレンタルなので,同社まで持参すれば新しい機種に交換してくれるとのことでした

早速,会社帰りに池袋の同社にチューナーを持参して交換してきました.これはケーブルの契約料金に含まれているので無料です 家に帰って息子と二人で解説書を見ながらコードを接続しました.試行錯誤のうえ,「音量調節ができない」という最後の難関を息子の力でクリアして,やっとテレビが観られ,DVDが観られるところまできました

3~4年前に買って一度も観たことのないヴァイオリニスト,ヒラリー・ハーンの「ア・ポートレート」のDVDをかけてみました 画面に彼女の姿が映し出され,コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲のメロディーが流れてきた時は,思わず”やったー”とガッツポーズを作ってしまいました.

残るは実際に番組が録画できるかどうかですが,まだテストはやっていません 番組の録画は主に娘がやっているので,娘の仕事として残すことにしました.こちらはDVDが観られればそれで満足ですから.さあ,萩原麻未のジュネーヴ国際コンクールのライブDVDを買うぞ

 

            

 

 

  閑話休題  

 

今日はモーリス・ラヴェルの命日です.1937年12月28日にパリで亡くなりました.彼は管弦楽の魔術師と言われています 「マ・メール・ロワ」は,フランス語で「マザーグース」の意味ですが,ラヴェルはこれを基にピアノ連弾曲を作曲しました.後に,彼はこれを管弦楽曲に編曲しています.他の作曲家の作品では,ムソルグスキーの「展覧会の絵」を管弦楽用に編曲したものが有名です

ラヴェルで忘れられないコンサートはマルタ・アルゲリッチが小澤征爾指揮新日本フィルをバックに演奏した「ピアノ協奏曲ト長調」の白熱した演奏です 80年代前半だったと思います.4月6日,東京文化会館でした.当時,クラシックに若干飽きてジャズにのめり込んでいたのですが,予めチケットを買ってあったこのコンサートで彼女の演奏を聴いて,音楽観が変わった,もっと言えば,人生観が変わったのです この演奏を契機に,私は再びクラシックの世界に戻り,それ以降他のジャンルに”浮気”はしていません

アルゲリッチは,ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」のCDをドイツ・グラモフォンからクラウディオ・アバドの指揮で2枚出しています.1枚は1967年のベルリン・フィルとの演奏(写真左),もう1枚は1988年のロンドン交響楽団との演奏(同右)です.もちろんソリストがアルゲリッチですから切れ味の鋭い演奏ですが,あのときの演奏が頭に残っているので,どうしても物足りなさを感じてしまいます

今の私は,10枚のCDを聴くより1回のコンサートを聴くほうがベターだと思っています

 

      

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園子温監督作品「恋の罪」を観る~マーラー「アダージェット」の流れる中で

2011年12月27日 06時54分32秒 | 日記

27日(火).昨夕,地下の串焼きRの看板娘Mさんが一時職場復帰したのでE部長,T君と飲みに行きました  例によって”30分だけ”というのが”1時間30分”を超えてしまいました.月曜日からこんなことしてていいのか と,いつものように自問しますが,有効な解決策が見出せないまま年の暮れを迎えてしまいました 要するに飲みに行かなければいいのよね でも,意志が弱いからなあ

 

  閑話休題  

 

最近観た映画から.銀座シネパトスで園子温監督・脚本の「恋の罪」を観ました.90年代終わりに,渋谷区円山町で起きた猟奇殺人事件に感化されて作られた作品です.この事件は,容疑者のネパール人のDNA判定に疑問が出されて,”冤罪”ではないかと,最近マスコミを賑わせた事件です

園子温監督の作品では,「冷たい熱帯魚」を観て,”強烈な印象を残す凄い作品だなあ”と思ったことから,次はどんな映画を撮るのかと気になっていました ひと言で言えば狂気に満ちた3人の女性の壮絶な生き様を描いた映画です 過酷な仕事の中で愛人を作り葛藤する女刑事・吉田和子役を水野美紀,昼は大学のエリート助教授,夜は渋谷の街で身体を売る女・尾沢美津子役を富樫真,作家の平凡な妻・菊池いずみ役を神楽坂恵がそれぞれ演じていますが,3人とも体当たりの演技です

さて,映画を観ていつも関心があるのは音楽の使われ方です この映画では,あのイタリアの巨匠ヴィスコンティが「ヴェニスに死す」でテーマ・ミュージックのように使用したマーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」が流れます.すべて,作家の妻・菊池いずみが登場するシーンで流されます ヴィスコンティの映画では5つのシーンでしたが,この映画では3回使われています.彼女はごく普通の主婦から,尾沢美津子の影響で,どんどん堕ちてゆく役割を演じています.このアダージェットは聴きようによっては優しく甘美ですが,その本質は退廃的とも言えます.そういった特性を生かして使ったのかもしれません

もう一つ,マーラーは1860年に生まれ1911年に没しました.まさに19世紀が終わり20世紀が始まった頃に活躍した作曲家です.一方,この映画の舞台となった渋谷の猟奇殺人事件(東電OL殺人事件)は1997年に起きています.まさに20世紀が終わり21世紀が始まろうとしている時期です.そして,今年2011年はマーラー没後100年の年です

園監督がなぜマーラーの「アダージェット」を使ったのか,本人に訊かなければ分かりませんが,”世紀末”をキーワードに,ある意味,必然性を感じます

 

  話は変わりますが  

 

マーラーといえば,昨日の朝日夕刊「アーツ&カルチャー」欄に,古楽界をリードする指揮者・延原武春氏が,インタビューの中で,マーラーについて次のように発言しています.

「ウィーンという大都市に迎えられ,自分を試したくて楽曲を巨大化していったのだと思う.でも,本質は実に素朴で優しく,無邪気な人だったんじゃないかなあ

さらに,マーラーとバッハに「歌」という共通の本質を見出して次のように発言しています.

「どっちもオペラ,書いてないでしょ.人々の日常に寄り添う素朴な歌こそが,彼らの本領だったのだと思う」

古楽界の重鎮らしい鋭い分析だと思います.マーラーは自分の歌を交響曲に転用して巨大な”宇宙”を表現しています

 

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今日12月26日はベッリーニの歌劇「ノルマ」初演の日

2011年12月26日 06時53分47秒 | 日記

26日(月).今日はイタリア・オペラ界を代表する作曲家ベッリーニが30歳の時に作曲したオペラ「ノルマ」初演の日です 1831年12月26日,今から丁度180年前のことでした.ベッリーニには「清教徒」や「夢遊病の娘」といった素晴らしいオペラがいくつもありますが,私はこの「ノルマ」が一番好きです ソプラノで歌われるアリア「清らかな女神よ」をマリア・カラスのCDで聴いた時から,このオペラの虜になってしまいました.このオペラは美しいアリアの宝庫です

初演は当時最高のキャストで上演されたようですが,主役のジュディッタ・パスタから「清らかな女神よ」に何度もクレームを付けられ,ベッリーニは9回も書き直したというエピソードが残っています

このオペラはベッリーニの中では上演される機会が少ないのですが,生で観たことが3回あります.何年か前にテオドシュウがタイトル・ロールを歌った公演が一番印象に残っています.プラハ国立歌劇場の来日公演だったと思います

お薦めCDはもちろんマリア・カラスがタイトル・ロールを歌った1960年録音の演奏です.キャストはノルマ=マリア・カラス,ポリオーネ=フランコ・コレルリ,アダルジーザ=クリスタ・ルートヴィヒほかで,トリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団による演奏です

 

              

 

  閑話休題  

 

樋口有介著「ピース」(中公文庫)を読み終わりました 著者は1950年群馬県前橋市生まれで,88年に「ぼくと,ぼくらの夏」で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞したとのことです

舞台は埼玉県秩父の田舎町で,スナック「ラザロ」の周辺でひと月に2度もバラバラ事件が発生します 被害者は歯科医と女性ピアニストだと判明しますが,犯行の動機について共通点がまったくつかめず捜査は難航します.そして,3人目の被害者が出ます.県警のベテラン刑事が推理を重ねていきます.さて,真犯人はだれか

この人の作品は初めて読みましたが,非常に文章がうまいという印象を受けました.小説ですから何人かの登場人物が出てきますが,一人一人の性格描写が優れていて,事件そのものの行方が気になる一方で,この人たちこれからどういう人生を送ることになるんだろう,と考えてしまうような魅力的な書き方なのです

この小説の表題「ピース」の意味は,写真を撮るときなどにVサインをする時の「ピース」であり,なぜ,その「ピース」が事件のキーワードになるのかが後半になってやっと分かりますが,もう一つ,物語の”断片”を意味する「ピース」であることも分かってきます 最近読んだ中では大いに楽しめた小説です.さっそく,次の本「楽園」を買い求め,読み始めました

 

               

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「ジングルベル」はクリスマスの歌?

2011年12月25日 16時04分56秒 | 日記

25日(日).昨日の朝,娘に「クリスマス・プレゼントは何がいい?」と訊くと「う~ん,ブルーレイがいいな」という答えです.内心「しまった!訊くんじゃなかった・・・・高くつくなぁ」と思ったものの,もう間に合いません.5分間考えて「じゃあ,弟と共通のプレゼントとして買ってあげる」と言って,早速,池袋のBカメラに出かけました.クリスマス商戦で,もの凄い混雑の中,店員を捕まえて,P社のブルーレイ・ディスク・プレーヤーを買いました 最小限の機能に搾って選んでも37,700円でした.高くついた 

今朝,ビデオデッキを外して,ブルーレイ・プレーヤーを取り付ける作業をやってみたのですが,テレビとの間に豊島ケーブルのアダプターが介在しているせいか,うまくいきません.明日,お店に行って説明を聞いたこようと思います.あ~めんどくさっ

でも,うまく繋がればDVDも観られるので,萩原麻未の「ジュネーヴ国際コンクール・ライブDVD」を買って観ることにしよう 本当は彼女にはCDを出してほしいのですが,今のところDVD1枚しか出ていないので洗濯,もとい,選択の余地がないのです

 

 閑話休題 

 

クリスマス・シーズンになると街中で流れる「ジングルベル」は,もとはクリスマスの音楽ではなかったようです ものの本によると,元歌は1857年に,アメリカのボストンに住む牧師のジェームズ・ピアポント(1822年~1893年)が,自分の教会の感謝祭(アメリカでは11月の第4土曜日)のお祝いに歌うために作った曲だとのことです

歌詞は教会で行われた感謝祭のために作られたものですが,宗教的な言葉も,クリスマスについても,まったく触れられていないということです また,最初につけられた歌の名前は,詩の一節にある「One Horse Open Sleigh(1頭立てのソリ)」だったとのこと.要するに子どもたちが雪の日に馬のソリに乗って楽しむ様子を歌ったものらしいのです いつの間にか,これがクリスマスにも歌われるようになって,タイトルも,歌詞の一節にある「Jingle Bell」に変わっていったようです 

 

 閑話休題 

 

ところで,今日は娘の25歳の誕生日です 家族が揃う昼食時に自宅でお誕生会をすることになりました.午前中,注文してあったバースデー・ケーキ兼クリスマス・ケーキ  を引き取りに行きました.食事中のBGMにニキタ・マガロフのピアノによる「La Valse」(ワルツ)を流しました.マガロフはアルゲリッチの先生ですね.このCDはショパンやスクリャービンなどが作曲した「ワルツ」だけを集めたコンピレーション・アルバムで,お気に入りの1枚です

 

       

 

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萩原麻未の弾くモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番ニ短調」を聴く~「生きる:若い命を支えるコンサート」

2011年12月24日 06時36分47秒 | 日記

24日(土).昨日,横浜みなとみらいホールで「生きる~若い命を支えるコンサート」を聴いてきました 毎日新聞社(毎日新聞東京社会事業団)は1996年から,小児ガンと闘う子どもたちを支援するキャンペーン「小児ガン征圧キャンペーン・生きる」を展開していますが,07年からは横浜市との共催で「クラシック・ヨコハマ」音楽祭の一環としてコンサートを開催しています

巣鴨からJRで桜木町まで行き,徒歩でランドマークタワーを抜けて,やっと,みなとみらいホールに到着です.横浜は遠いなあ 自席は2階席なのでエスカレーターで上がってロビーに出ると,一画に事業団のデスクが出ていて「小児がん征圧キャンペーン」の募金箱が置かれていました.そこに一人の男性が立っていました.覚えのある顔だったのでジッと見ていると,ハッと気がついて「やあ」と驚いた様子でした.大学で同じゼミだったS君でした.S君は大学卒業後,毎日新聞社に記者として採用され,地方勤務を経て本社に戻り,読者室長やNIE(Newspaper in Education)事業関係の仕事をして昨年定年を迎えました.名刺交換をすると,公益財団法人毎日新聞東京社会事業団事務局長と書かれていました.毎日新聞社は社会福祉事業に積極的に取り組む姿勢が伝統的にある素晴らしい新聞社です

本当に久しぶりの再開でした.まさかコンサート会場で彼に出会うとは思いもよりませんでした.彼は学生時代から社会福祉に関心を持っていたので今の仕事は本望でしょう.募金箱に志を入れて,「近いうちに飲もう!」と約して席に向かいました 自席は2階C2列4番.センターの2列目通路側で見通しの良い席です.会場は9割方埋まっています

 

      

 

演奏曲目は①グリーグ「組曲:ホルベアの時代より」,②モーツアルト「ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466」,③ラヴェル「ツィガーヌ」,④サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」,⑤サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」の5曲です.

トップバッターは第65回全日本学生音楽コンクール全国大会ピアノ部門小学校の部第1位・山本大誠です.グリーグの「組曲:ホルベアの時代」から前奏曲,エア,リゴドンの3曲を演奏しました.一見”小学校の優等生”という感じの男の子で,礼儀正しくていねいにグリーグの世界を再現していました

さて,次は待ちに待った萩原麻未の登場です 彼女は2010年の第65回ジュネーブ国際コンクール優勝者.弾くのはモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466」です.彼女は7月30日の新日本フィル・サマーコンサートでこの曲の第2楽章だけ演奏しましたが,全曲を通して弾くのは今回が初めてです.期待が高まります

アンサンブルof トウキョウのメンバーが登場します.フルート奏者・金昌国を中心に結成された小編成のオーケストラですが,女性は他のオーケストラのコンサートと違って,各自が思い思いの服装を身につけています ブルーあり,グリーンあり,パープルあり,もちろんブラックありとカラフルです.そして赤いドレスの萩原麻未が,2009年のブザンソン国際指揮者コンクール優勝者で来シーズンからスイス・ロマンド管弦楽団の首席客員指揮者に内定している山田和樹とともに登場です

第1楽章アレグロは短調特有のデモーニッシュな曲想で惹きつけます.山田は慌てず騒がず,丁寧に音楽をつむいでいきます そこに萩原が,一音一音を慈しむかのような弾きぶりで加わります カデンツァはベートーヴェンによるものとのことですが,集中力ある演奏に惹き付けられました.

第2楽章ロマンツェは,映画「アマデウス」のエンドロールで流れていましたが,実に見事な選曲でした.萩原はどこまでも優しく軽やかに音をつむいでいきます

第3楽章アレグロ・アッサイは再びデモーニッシュな世界の再現を経て,ドラマチックなフィナーレを迎えます

鳴り止まない拍手に応えてアンコールを演奏しました.出だしを聴いて”これは一度聴いた曲だ”と思いました そう,9月27日に紀尾井ホールで開いたハープの高野麗音とのデュオ・コンサートのときに演奏したサン=サーンスの「トッカータ」です.ピアノ協奏曲第5番の終楽章に基づいて作曲されたこの曲は,超難曲で有名な曲です.萩原は道路上で言えば,スピード違反の超高速で,しかもあっさりと弾き切りました 初めて聴いた人は,あまりの凄さに呆気にとられたのではないでしょうか とにかく凄いピアニストです

演奏後に指揮の山田がマイクを携えて再度登場し,萩原にインタビューを始めました.「好きな食べ物は?」「広島生まれなので,お好み焼きが好きです」「あれ?広島と言えば牡蠣ではないんですか?」「牡蠣は,最近克服しました」「克服?・・・・あぁ,そうですか・・・」といった調子です.そして,萩原がこのコンサートに向けてメッセージを述べました

「人の心を幸せにすることのできる不思議な力が音楽にはあると思います.私はその幸せを届けるために誠心誠意心を込めて演奏しました」

休憩後はNHK交響楽団の元コンサートマスター徳永二男の登場です ラヴェル「ツィガーヌ」はフランス語で「ロマ」を指す言葉とのこと.この曲はハンガリー地域のロマを構想して作曲されました.サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」はヴァイオリンの鬼才サラサーテに贈った曲です.そのサラサーテの作曲した「ツィゴイネルワイゼン」は,ドイツ語で「ロマの旋律」という意味とのこと.徳永は3曲とも確かな技術の裏づけによって見事に弾き切りました

最後に演奏者が再び舞台に登場して,子どもたちから 花束 が贈られました.私の今年最後のコンサートに相応しい素晴らしいコンサートでした 

今年は通算124回聴きました.このブログは今年2月15日から始めましたが,この日以降のコンサートの模様はすべてブログに書いてきました.これからも,コンサートの無い日もブログは書き続けます.ご覧いただき,コメントをいただけると嬉しいです

 

      

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フォーレ四重奏団によるメンデルスゾーン「ピアノ四重奏曲第2番,第3番」のCDを聴く

2011年12月23日 09時02分04秒 | 日記

23日(金・祝日).昨夕は地下の炭火焼き鳥0でW調剤薬局主催のクリスマス会がありました.薬局の閉店時間の関係でスタートが午後7時半と遅いため,神保町で時間つぶしをすることにしました.交差点近くの広場で共立女子中・高校の生徒が「クリスマス・キャロル」を歌っていました.下の写真のクリスマスツリーの向こう側の位置です.あまり写りが良くなくてクルシミマス・ツリーになってしまいましたね 三省堂のチケットぴあを覗き,2階の文庫本売り場を散策して,ディスクユニオンに移って中古CDを眺めてきました.10分遅刻して会場に着くと,すでに宴会は始まっていました          

 

                 

 

この会は毎年この時期に開かれていて,プレゼント交換が目玉になっています 参加者は1,000円程度のプレゼントを持参し,番号による抽選で品物が当たります.昨年はグレン・グールドの演奏するバッハの「ゴールドベルク変奏曲」のCDを持参して,O歯科のAさんに当たり,O歯科のMさんの持参したミネラル・ウォーターが私の手元に届きました 今年は,ベートーヴェンの「第9」とモーツアルトの「フルート協奏曲」の2枚のCDをセットにして持参しました.抽選の結果,W薬局の〇〇さんからの充電式カイロが当たりました.心温まるプレゼントですさて,私の用意したプレゼントは誰の手に渡ったのでしょうか? W薬局のHさん,Iさん,飯野海運のKさんたちと映画の話で盛り上がりました 楽しかった~

 

                 

 

 閑話休題 

 

12月8日に浜離宮朝日ホールで聴いたフォーレ四重奏団のコンサートで,アンコールに演奏されたメンデルスゾーンの「ピアノ四重奏曲第2番」第4楽章”フィナーレ”が,颯爽としていて素晴らしかったので,新宿タワーレコードでCDを買い求めました 輸入盤の方が何割か安いはずなので探したのですが,なかったので国内盤を買いました.第2番へ短調と第3番ロ短調のカップリングで,2009年7月の録音です

第2番の第1楽章「アレグロ・モルト」を初めて聴きましたが,それは衝撃でした 第1印象は「まるでモーツアルトではないか」です.モーツアルトの短調の系譜を引くメランコリックな曲想で,小林秀雄の言葉を借りるなら「疾走する哀しみ」を感じさせます

メンデルスゾーンというと,日本の音楽界では「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」ばかりが取り上げられていて辟易しますが,10代の半ばで作曲したこの「ピアノ四重奏曲第2番」を聴けば,その天才ぶりがはっきり分かります モーツアルトに比肩する”神童”と呼ばれてきたことが,大袈裟でないことがよく理解できます

第2楽章「アダージョ」でのピアノの何と美しいことか 第3楽章「インテルメッツォ」の弦とピアノの絡み合いの素晴らしさ そして,あの日感銘を受けた第4楽章「フィナーレ,アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」に突入します.ここでは愉悦が疾走します

第3番ロ短調も美しいメロディーに溢れる素晴らしい曲です 何といってもフォーレ四重奏団の演奏がその素晴らしさを一層浮かび上がらせてくれています 今年何枚か買ったCDのうちベストです.買ったその日からほとんど毎日このCDを聴いています

今日は午後,横浜のみなとみらいホールに萩原麻未の出演するコンサートに行ってきます.たぶん,今年最後のコンサートです

 

               

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朝日新聞、音楽回顧2011を見て思うこと~東日本大震災を乗り越えて

2011年12月22日 06時36分01秒 | 日記

22日(木).19日付朝日朝刊「アート&カルチャー・音楽」欄に「回顧2011」の記事が載りました 執筆者は吉田純子となっています.彼女は確か朝日の文化部記者です。この「回顧」は毎年の今頃,同じ吉田でも音楽評論家・吉田秀和氏が書いていました.さすがに高齢のため,コンサート通いが出来なくなってしまったのでしょう.お気の毒です 私としては,コンサートに通える健康な身体に感謝しなければなりません

この記事では音楽評論家3人(片山杜秀、白石美雪、東条碩夫)による,クラシック公演の「私の3点」が紹介されています.3×3=9点が挙げられていますが,面白いのは1点もダブりがないことです.オペラあり,オーケストラあり,ピアノ・リサイタルありと多彩です

吉田記者は書きます.

「東日本大震災が引き起こした福島第1原発事故の影響は,今後もボディーブローのように音楽会全体に効いてくるのかもしれない.しかし,と思う.ピンチをチャンスに変えるカギを,私たちはいま手にしているのかもしれない.外来ブランドに頼まず,自分たちの感性を見据え,新たな価値観を創出する.震災という大きな痛手から私たちが前を向くためには,そうした試行錯誤を地道に続けるほかに道はないのではないか」

「そう確信させてくれたのが,新国立劇場が4月に上演した「ばらの騎士」だ.降板した4人の外国人歌手のうち,3人が日本人歌手へと交代した・・・・・個々のキャラクターがしっかり立ったアンサンブルは予想をはるかに超えて充実していた」

私も4月7日の振替公演を4月19日に聴き,その模様を当日のブログに書きました.とくにゾフィー役の安井陽子が素晴らしかったことを思い出します 確かに,吉田記者の言うとおり,日本人歌手は確実に力をつけていると思います 記事はさらに続きます.

「尾高忠明芸術監督の発案で日本人カバーキャストによる演奏会の試みが始まったが,本質的にはレパートリーを育て,公演数を増やす運営側の努力が不可欠だ」

私も”本質的には”そう思います.しかし,この新しい試みはもっと評価されてもいいと思うのですが,どうでしょうか ところで,「カバーキャスト」というのは,出演する歌手がアクシデントなどで歌えなくなった時のために,いつでも同じ役割を果たせるようにスタンバイしている歌手のことをいいます.予定通りのキャストが歌えば,いくらレッスンをしても出番はありません こんなもったいないことはありません.こういう人たちの活躍する場を提供して,光を当てようとする尾高芸術監督は素晴らしいと思います

このほか,記事の中で名前を挙げてコメントされているのは,ソプラノのフェリシティ・ロット,ヴァイオリンの漆原啓子,チェロのウィスペルウェイ,宮田大,そしてピアノの萩原麻未です

萩原麻未については「驚くべき集中力で,シューマンの”謝肉祭”の本質に本能で切り込んだ」と書いています 私も11月17日の紀尾井ホールでのリサイタルを聴きました.その模様は翌日のブログに書きましたが,とにかく凄いピアニストです

今のところ,今年はあと1回コンサートに行く予定です.年間124回通ったことになります.まだ,頭の中で,今年1年間の”整理”が出来ていませんが,年末には個人的な「2011年クラシック・コンサート・ベストテン」を発表しようかと思っています

 

                   〔萩原麻未チラシ・コレクション〕

         

 

         

 

       

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