人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パブロ・ラライン監督「スペンサー ダイアナの決意」を観る ~ 早稲田松竹 / 「『エホバの証人』巡り 弁護団 2世信者らの実情把握へ」 ~ 朝日新聞の記事より

2023年02月28日 07時01分02秒 | 日記

28日(火)。早いもので2月も今日で終わりです    今年も残すところあと306日となりました   昨日、銀行通帳の記帳をしたら電気代が前月比2.3倍になっていてぶったまげました ロシアのウクライナ侵攻のツケが、廻り回って日本の一般市民の電気代にまで影響を及ぼしていると思うと、プーチンの鼻の穴から手をつっこんで奥歯ガタガタいわせたいほど頭に来ます 世界の諸悪の根源・強盗殺人覇権主義国家プーチン・ロシアを絶対許さない

話は変わりますが、昨日の朝日新聞朝刊 社会面に「『エホバの証人』巡り  弁護団  2世信者らの実情把握へ」という見出しの記事が載りました 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の話題が下火になりつつある昨今、記事は概略以下のように伝えています

「親による信仰の強制や、信仰を背景とする虐待など『宗教2世』の問題が注目される中、『エホバの証人』でも同様の問題があるとして、新たに『エホバの証人問題支援弁護団』が立ち上がった 弁護士や医師、弁理士ら15人で1月15日に発足したが、うち6人がエホバの元2世信者で、これまでにSNSなどを通じて、相談などに応じてきた これまでに寄せられた相談は約100件。幼少期にムチで叩かれて信仰を強制された ▽手術中などの輸血を禁止された ▽布教活動のため大学進学を反対された、といった内容だという   『エホバの証人』はキリスト教系新宗教で、正式名称は『ものみの塔聖書冊子協会』。教団ホームページによると、1870年代、米国の聖書研究者らを中心に発足した。日本支部は神奈川県海老名市にあり、国内の信者数は2022年時点で約21万人いるという    宗教の信仰を背景にした虐待について厚生労働省が昨年末に公表したガイドラインでは、教義を理由に輸血などの医療行為を受けさせないことはネグレクトにあたるとしている

「エホバの証人」については、2022年9月5日付toraブログで、佐藤典雅著『カルト脱出記 ~ エホバの証人  元信者が語る25年間のすべて』(河出文庫)をご紹介しています 佐藤氏は1971年広島市生まれ、9歳から35歳まで「エホバの証人」の信者でした。佐藤氏は本書の中で、「まず最初に母親が『エホバの証人』に入信し、彼女を通じて『私』、弟、妹、そして夫である父親が相次いで入信させられていき、『私』は組織の中ではそれなりの地位を得て、信者としての自覚を持つようになったものの、次第にその教義に疑問を感じ始め、調べていくうちに『教え』に矛盾があることを突き止め、まず自分が脱会し、家族を一人一人説得して脱会させていった」と書いています 本書は、元信者の嘘偽りのない実体験をもとに書かれているので、説得力があります 具体的にどのように脱会したのか、また、家族をどのように説得して脱会させたのかが詳細に書かれています 興味のある方はお読みください

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2968日目を迎え、暗号資産取引を解析する米企業「チェイナリシス」が今月発表した報告書によると、北朝鮮が昨年サイバー攻撃で世界中から奪い取った暗号資産(仮装通貨)の総額は約16億5千万ドル(約2250億円)に上り、過去最高を記録した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     誘拐・資金強奪国家の北朝鮮  強盗殺人国家のロシア  共通点は ”もの言えぬ国民”

 

         

 

昨日、夕食に「野菜とひき肉のドライカレー」を作りました 材料は茄子、ピーマン、トマト、玉ねぎ、ひき肉です。上乗せはブロッコリ、ミニトマト、アボカド、目玉焼きです。ヘルシーで美味しいです

 

     

 

         

 

早稲田松竹でパブロ・ラライン監督による2021年製作ドイツ・イギリス合作映画「スペンサー ダイアナの決意」(117分)を観ました

1991年のクリスマス。ダイアナ妃(クリステン・スチュワート)とチャールズ皇太子(ジャック・ファーシング)の夫婦関係は冷え切り、世間では不倫や離婚の噂が飛び交っていた しかしエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスに集まった王族たちは、ダイアナ以外の誰もが平穏を装い、何事もなかったかのように過ごしていた 息子たちと過ごす時間を除いて、ダイアナ妃が自分らしくいられる時間はどこにもなく、ディナー時も礼拝時も常に誰かに見られ、彼女の精神は限界に達していた 追い詰められたダイアナは自らの故郷でもあるサンドリンガムで、その後の人生を変える重大な決心をする

 

     

 

この映画を観て一番印象に残るのは、英国王室のがんじがらめのしきたりです ダイアナの衣装一つとっても、朝食用、外出用、ディナー用・・・とそれぞれが決められていて、本人が選ぶ権利はないのです そして、どこにいても誰かから監視されている。外部からパパラッチに写メされないよう、部屋のカーテンは閉め切りにさせられます 毎回の食事も出されたものに好き嫌いは言えず、摂食障害に陥ってしまいます こういう閉鎖的な空間の中で心を開くことが出来るのは衣装係の女性しかいないのです。チャールズ皇太子の愛人と言われるカミラと同じパールのネックレスをプレゼントされる屈辱も味わいます こうした様々な要因から、ダイアナはクリスマスの日、未来の王妃の座を捨て、一人の女性として、母親として、何より一人の人間として生きる道を選びます

この映画の原題は「スペンサー」です。これはダイアナの旧姓です ダイアナは1961年7月1日に名門貴族スペンサー伯爵家の令嬢として生まれ、1981年にチャールズ皇太子と結婚、その後1996年に離婚しました つまり、ダイアナはスペンサーで生まれ、王室に嫁いだけれど、結局スペンサーに戻ったのです

ダイアナを演じたクリステン・スチュワートは、顔が似ているばかりか雰囲気もダイアナその人です

世界中の人々から愛されたダイアナは、1997年にパパラッチに追われパリで事故死しました この映画では、幼いウィリアム王子とヘンリー王子の仲睦まじい様子も描かれていますが、その後メーガン妃と結婚し王室を離脱したヘンリー王子がネットフリックスの番組「ハリー&メーガン」で、兄ウィリアム皇太子を批判するなど王室の内情を暴露しているのを見て、天国のダイアナはどう思っているだろうか

 

     

 

【追記】2月28日13時36分。

2月の3つの目標の実績は①クラシック・コンサート=13回、②映画鑑賞=8本、読書=4冊でした

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ラフマニノフ「ピアノ協奏曲全曲演奏会」対決 ~ 9月に阪田知樹 対 ミハイル・プレトニョフ / セリーヌ・シアマ監督「秘密の森のその向こう」を観る ~ 早稲田松竹

2023年02月27日 07時01分00秒 | 日記

27日(月)。私はすでに、9月17日(日)にサントリーホールで開かれる阪田知樹による「ラフマニノフ『ピアノ協奏曲』全曲演奏会」のチケットを手配してありますが、先日東京フィルの定期演奏会の会場で配布されたチラシの中にミハイル・プレトニョフによる「ラフマニノフ『ピアノ協奏曲』全曲演奏会」のチラシが入っていました

 

     

     

 

上のチラシを比較して相違点を見ると、次のことが分かります

1.阪田知樹の公演は「ピアノ協奏曲第1番~第4番」と「パガニーニの主題による狂詩曲」を9月17日にサントリーホールで一挙に上演するのに対し、プレトニョフは「ピアノ協奏曲1番、第2番」(9月13日)と「同第3番、第4番」(9月21日)を2日間に分けて東京オペラシティコンサートホールで上演する

2.阪田知樹のバックは大井剛史指揮東京フィルであるのに対し、プレトニョフのバックは高関健指揮東京フィルとなっている

3.チケット代は阪田知樹の公演がS席:9000円、A席:7500円、B席:6000円、C席:4500円なのに対し、プレトニョフの公演は、1回あたりS席:15000円、A席:12000円、B席:9000円、C席:5000円となっている

4.主催社は両者ともジャパン・アーツとなっている

以上の相違点を整理すると、同じ主催社のジャパン・アーツが、同じ9月「ラフマニノフ『ピアノ協奏曲全曲演奏会』」を異なるソリストと指揮者を迎え、同じ東京フィルを起用して3日間開催するということです ラフマニノフの音楽が大好きな人は両者のコンサートを聴きに行くかもしれませんが、ごく普通の音楽ファンはどうでしょうか? 主催社が同じなのですから、せめて開催時期をずらすとか、工夫のしようがなかったのでしょうか 聴衆を置き去りにした主催者本意のやり方はコンサート離れを起こさないかと危惧します

ということで、わが家に来てから今日で2967日目を迎え、北朝鮮メディアは26日、首都平壌の西浦地区で新たなニュータウン建設の着工式が25日に行われ、金正恩朝鮮労働党総書記が娘と共に鍬入れを行った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ミサイルばかり撃ってないで 鍬入れでもやっていてくれ それが世界平和のためだ

 

         

 

昨日、早稲田松竹でセリーヌ・シアマ監督による2021年製作フランス映画「秘密の森のその向こう」(73分)を観ました

大好きだった祖母を亡くした8歳の少女ネリーは両親に連れられ、祖母が住んでいた森の中の一軒家を片付けに来る しかし、少女時代をこの家で過ごした母は何を目にしても祖母との思い出に胸を締め付けられ、ついに家を出て行ってしまう 残されたネリーはかつて母が遊んだ森を散策するうちに、母マリオンと同じ名前を名乗る8歳の少女と出会い、親しくなる 少女に招かれて彼女の家を訪ねると、そこは”おばあちゃんの家”だった

 

     

 

この映画は「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマが監督・脚本を手掛け、娘・母・祖母の3世代を繋ぐ喪失と癒しの物語を綴った作品です 映画初出演となるジョセフィーヌ&ガブリエル・サンス姉妹がネリーとマリオンを演じていますが、この二人の演技は自然で素晴らしい

「母親を失った悲しみのあまり」とはいえ、8歳のネリーを置いて失踪してしまう母親マリオンの行動には違和感ありありです しかし、彼女をスクリーンから一時消さないと、8歳のマリオンの存在意義が失われてしまいます そこが映画の限界です

この映画で未だに分からないのはネリーとマリオンが、刑事と侯爵夫人の役になって裁判の芝居をするシーンです この映画の中でどういう意味を持っているのか?  子ども特有の「〇〇ごっこ」のノリで「裁判ごっこ」をしたのにしては、二人のやり取りは高度でした  監督はどういう意図をもってこのシーンを入れたのか? 私の理解力が足りないのでしょう。まったく分かりません

 

     

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岡田暁生「モーツアルトのオペラ『愛』の発見」、片山杜秀「クラシック大音楽家15講」、柚月裕子「暴虎の牙(上・下)」他を買う / 世界大戦と数字の68との関係~朝日「素粒子」より

2023年02月26日 07時01分01秒 | 日記

26日(日)。昨日午前、マンションの理事会があったので理事長として出席しました   今回も本人出席はたったの4人でした 大規模修繕計画が中心の大事な理事会であるのに、4人で検討を進めていいのかと不安が募ります

さて、一昨日の朝日新聞夕刊 第1面のコラム「素粒子」で興味深い数値が紹介されていました 「侵攻1年。第3次世界大戦になるのを危惧する知人が、奇妙な数字の一致を挙げた」として、次の計算式を紹介しています

 第1次世界大戦の開戦日は 1914年7月28日 ⇒ 19+14+7+28=68。

 第2次世界大戦は     1939年9月1日 ⇒ 19+39+9+1=68。

 そして、ウクライナは   2022年2月24日 ⇒ 20+22+2+24=68。

筆者は「一笑に付したが、終わりの見えぬ戦況への不安は募る」と結んでいます

単なる偶然の一致であれば良いのですが、あまりにもリアリティーがあり過ぎます フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッドは「第三次世界大戦はもう始まっている」(文春新書:2022年6月20日発行)の中で、戦争の責任はロシアと米国・NATO双方にあると独自の理論を展開し、「第三次世界大戦はすでに始まっている」と指摘しています 読後の感想を2022年8月30日付toraブログに書きましたので、興味のある方はご覧ください

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2966日目を迎え、ウクライナ侵攻から1年を迎えた24日、ロシア全土14都市で反戦デモが行われ、人権団体OVDインフォによると、計54人が拘束されたが、デモはいずれも小規模で、プーチン政権の言論弾圧により反戦の機運は1年間で大きくしぼんだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     現在もプーチン政権支持率が8割を超えているのは 言論弾圧が徹底しているからだ

 

         

 

手元の本がなくなったので、ジュンク堂池袋本店で本を8冊買いました

1冊目は 岡田暁生著「モーツアルトのオペラ『愛』の発見」(講談社学術文庫)です モーツアルトのオペラ「後宮からの逃走」「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「コシ・ファン・トゥッテ」「魔笛」を『愛』をキーワードに分析した本のようです

 

     

 

2冊目は片山杜秀著「クラシック大音楽家15講」(河出文庫)です 単行本「クラシックの核心」に、新たにベートーヴェン、トスカニーニ、バーンスタイン、カラス、リヒター、吉田秀和の6人を加えた本とのことです

 

     

 

3,4冊目は柚月裕子「暴虎の牙(上・下)」(角川文庫)です この人の作品は文庫化されるたびに読んでいますが、すべてがベストセラーです

 

     

     

 

5冊目は村上春樹著「一人称単数」(文春文庫)です 著者得意の短編集です

 

     

 

6冊目はエルバート・ハバード著「ガルシアへの手紙」(角川文庫)です 「1億人以上が読んだ自己啓発の世界的名著」という謳い文句に惹かれました

 

     

 

7冊目は清少納言著「枕草子」(角川文庫)です これを正面切って読むのは大学受験浪人時代以来です

 

     

 

8冊目は岡本裕一朗著「いま世界の哲学者が考えていること」(朝日文庫)です 「はじめに」で著者は「時代が大きく転換するとき、哲学が活発に展開されているのが分かります 本書は、私たちが生きているこの時代を、哲学によって解明することをめざしています」と書いています たまには世の中のことを真面目に考えてみようと思います

 

     

 

いずれも読み終わり次第、当ブログでご紹介していきます

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ミハイル・プレトニョフ ✕ イム・ユンチャン ✕ 東京フィルでベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」、チャイコフスキー「マンフレッド交響曲」を聴く~第980回サントリー定期シリーズ

2023年02月25日 07時03分06秒 | 日記

25日(土)。わが家に来てから今日で2965日目を迎え、ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)は24日、敵対国の国境をできる限り遠くに押し戻さなければ、ウクライナとの永続的な平和は実現しないと主張、北大西洋条約機構加盟国ポーランドの国境を押し戻すことが必要になる可能性もあると述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     覇権主義国家ロシアを象徴する発言だ プーチンと彼がいる限り 戦争は終わらない

 

         

 

昨日、夕食に「青椒肉絲」「生野菜とツナのサラダ」「モヤシの味噌汁」を作りました チンジャオロースは久しぶりに作りましたが、美味しくできました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京フィル「第980回サントリー定期演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 ”皇帝”」、チャイコフスキー「マンフレッド交響曲 作品58」です  演奏は①のピアノ独奏=イム・ユンチャン、指揮=東京フィル特別客員指揮者ミハイル・プレトニョフです

プレトニョフは1990年にロシア史上初めて国家から独立したオーケストラ、ロシア・ナショナル管弦楽団を設立しましたが、2022年には新たなオーケストラ、ラフマニノフ国際管弦楽団を創設しました 以前、プレトニョフはロシア・ナショナル管弦楽団を解任されたとツイッターで読んだ記憶がありますが、実際はどうなんでしょうか?  どなたかご存じの方は教えてくださると有難いです

 

     

 

1月度の定期演奏会が読響公演とダブったためオーチャード定期に振り替えたので、今回新シーズンで初めてサントリーホールの新しい会員席で聴きました 1階右ブロック左から2つ目です。会場後方席には珍しく若い女性のグループが陣取っています さてはイム・ユンチャン狙いだな、と想像します そういえば、ロビーでは韓国語が飛び交っていました

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置を採ります。コンマスは依田真宣です

1曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 ”皇帝”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1809年に作曲、1811年にライプツィヒで初演されました 曲想が壮大であるため「皇帝」の愛称が付いています 演奏者に任せるカデンツァを廃止するなど古典派協奏曲の枠を超えた作品となっています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・ウン・ポーコ・モッソ」、第3楽章「ロンド・アレグロ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のイム・ユンチャンは韓国出身。2022年の第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで史上最年少の18歳で優勝、併せて聴衆賞、最優秀新曲演奏賞を受賞しました 現在、韓国芸術総合学校に在籍中です

まだあどけなさも残るイム・ユンチャンがプレトニョフとともに登場し、ピアノに向かいます プレトニョフのタクトとユンチャンの独奏によって、第1楽章がスケールの大きな演奏で開始されます 良く鳴るピアノです 白眉は第2楽章です。ユンチャンのピアノは一音一音の粒立ちが綺麗で、速いパッセージは宝石を転がしたようにキラキラと輝いています 特に高音部がとても美しい 第3楽章では一転、力強くエネルギッシュな演奏で聴衆を魅了します プレトニョフ ✕ 東京フィルがソリストを盛り立てました

終演後、ほぼほぼ女性のスタンディングオベーションが見られ、会場後方からは「ウォー」とも「ヒュー」とも聴こえる黄色い声援がステージに向けて押し寄せました これはかつて、アジア・ユース・オーケストラのコンサートの時に2階席からかけられた声援によく似ています ひょっとすると韓国からの女性客のグループかもしれません 遠くからご苦労様です。一度の声援に終わらず、彼を応援して育ててあげてください

イム・ユンチャンは満場の拍手に、J.S.バッハ「チェンバロ協奏曲第5番BWV1056」から第2楽章をアンコールに演奏、それでも鳴りやまない拍手に、J.S.バッハ(マイラ・ヘス編)「主よ、人の望みの喜びよ」を演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「マンフレッド交響曲 作品58」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が先輩作曲家バラキエフから、バイロンの劇詩「マンフレッド」を基にした作品の作曲を勧められて1885年に作曲、1886年3月23日にモスクワで初演されました 第1楽章「レント・ルグーブレ ~ モデラート・コン・モート」、第2楽章「ヴィヴァーチェ・コン・スピーリト」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

上手にハープが2台、2階正面のパイプオルガン席には石丸由佳さんがスタンバイします

山本明尚氏のプログラムノートによれば、この曲はチャイコフスキーが一環して取り組んできた「運命/宿命という問題」を扱っています

プレトニョフの指揮で第1楽章の演奏に入ります チェロとコントラバスを中心とする重心の低い演奏が繰り広げられます 古き良きロシアの広大な大地に根差した音楽で、まさしくチャイコフスキーはこういう演奏を想定して書いたのではないか、と思えるほど素晴らしい演奏です 第2楽章は一転、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」のスケルツォを想起させるような軽快な音楽です 木管楽器群が素晴らしい演奏を展開します 第3楽章では高橋臣宣のホルンをはじめ、フルート、クラリネット、イングリッシュホルンの演奏が素晴らしい 第4楽章では2台のハープが活躍し、フィナーレでは石丸由佳さんのパイプオルガンが荘重で穏健な演奏を繰り広げマンフレッドを救済します

プレトニョフ ✕ 東京フィルは、チャイコフスキーの交響曲で唯一タイトルの付いた「マンフレッド交響曲」が、第4番、第5番、第6番に匹敵する名曲であることを、名演奏により証明しました 指揮者が何度もカーテンコールに呼び戻されたのも頷けます 本当に素晴らしい演奏でした

 

     

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ミューザ川崎「スペシャル・オケ・シリーズ」案内届く~ マーラー・チェンバー、コンセルトヘボウ、ベルリン・フィル / 崔洋一監督「月はどっちに出ている」&「平成無責任一家 東京デラックス」を観る

2023年02月24日 07時03分15秒 | 日記

24日(金)。ミューザ川崎から「スペシャル・オーケストラ  シリーズ」の案内が届きました 日程・プログラムは以下の通りです

Ⅰ。10月31日(火) 内田光子 ✕ マーラー・チェンバー・オーケストラ ①モーツアルト「ピアノ協奏曲第17番」、②同「ピアノ協奏曲第22番」他

Ⅱ。11月3日(金・祝)ファビオ・ルイージ ✕ ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ①ビゼー「交響曲第1番」、②ドヴォルザーク「交響曲第9番」

Ⅲ。11月21日(火) キリル・ペトレンコ ✕ ベルリン・フィル ①モーツアルト「交響曲第29番」、②ベルク「オーケストラのための3つの小品」、③ブラームス「交響曲第4番」

 

     

     

     

 

上のチラシを見た第一印象は、「このプログラムでこのチケット代 」です    ベルリン・フィルに至ってはS席:45000円、A席:40000円、B席:36000円となっており、「オペラじゃないよね❓」と言いたくなるほど高額な料金設定です 1回分のチケット代で在京某オーケストラの年間定期会費に匹敵する料金ではないか、とも思います

ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けてエネルギー価格が高騰していることから、多くの楽団員の往復旅費、楽器の輸送費等が高騰しているなど、様々な要因があることは解りますが、高額な料金設定が一般の人たちをクラシック・コンサートから遠ざける要因になっていることも事実だと思います それでも、これは今に始まったことではないし、聴きに行く人は必ず聴きに行きます 海外のオーケストラにとって、日本は「いいお得意様市場」なのでしょうね

ということで、わが家に来てから今日で2964日目を迎え、ニューヨーク・タイムズは22日、2021年の議会襲撃を巡りトランプ前大統領を捜査する特別検察官が、長女イバンカ氏と夫のクシュナー氏に対し、連邦大陪審での証言を命じる召喚状を出したと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプが次期大統領選に出馬しないためにも イバンカは正直に事実をイワンカ!

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 隔週金曜日のローテですが、今週金曜=今日はコンサートがあるので1日繰り上げました。唐揚げにはビールです

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐で崔洋一監督「月はどっちに出ている」と「平成無責任一家 東京デラックス」の2本立てを観ました

 

     

 

「月はどっちに出ている」は1993年製作映画(109分)です

この映画は梁石日の自伝的小説「タクシー狂躁曲」を基に崔洋一と鄭義信が脚色し、崔が監督した作品です

金田タクシーで運転手を務める在日コリアン・忠男(岸谷五朗)と、日本で逞しく生きるフィリピン女性コニー(ルビー・モレノ)との恋愛模様を軸に、在日外国人やヤクザなど様々な人々の人生を描いています

タイトルの「月はどっちに出ている」というのは、方向音痴の元自衛官の新人運転手・安保が帰り道が分からなくなった時に、本社や忠男に電話すると相手が最初に聞く言葉です

登場人物に「朝鮮人は嫌いだ」という言葉を言わせたり、かなり挑戦的な姿勢が鮮明ですが、崔監督自身が在日朝鮮人2世であるからこそ使えるセリフであって、これが生粋の日本人監督だったらできないでしょう 大阪弁を駆使するフィリピン女性コニーを演じたルビー・モレノが魅力的です そういえば、その昔「フィリピン・パブ」というのがありましたね

 

     

 

         

 

「平成無責任一家 東京デラックス」は1995年製作映画(109分)です

この映画は、「月はどっちに出ている」を手がけた崔洋一と鄭義信のコンビが出演者もほぼ同じ俳優を起用して製作した作品です

家業が詐欺師で「騙されるより騙せ」を家訓とするとんでもない飴家一家が巻き起こす騒動を描いたコメディーです

飴屋の一家は詐欺集団で、母親のマツ(絵沢萌子)を筆頭に、腹違いの兄弟4人と長男の妻、マツの内縁の夫・君夫(岸部一徳)が共に暮らしていた 選挙トトカルチョに失敗し6000万円の借金を抱えた一家は、一攫千金を狙って東京に移るが、マツに金をだまし取られた3人の親戚が乗り込んでくる 一家は次男の実(岸谷五朗)を中心に、この3人も巻き込んで詐欺稼業を再開する そして生活の拠点として朝井正道(桜井センリ)・キク夫妻が営む理髪店に居座り、生活しながら詐欺行為を繰り返す

 

     

 

一家そろって詐欺集団というのは最強です しまいには偽の「金の延べ棒」まで製造し、それを基に3000万円をだまし取ります

この映画を観ていて驚いたのは、バーのシーンでワーグナーの楽劇の無限旋律とバッハの「G線上のアリア」が流れていたことです ワーグナーなど、あまりにも そのシチュエーションにそぐわない音楽なので、最初はまったく分かりませんでした 気が付いた時は鳥肌ものでした

 

     

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アンナ・ラキティナ ✕ ルノー・カプソン ✕ 読売日響でベルク「ヴァイオリン協奏曲」、チャイコフスキー「交響曲第1番”冬の日の幻想”」他を聴く / ラ・フォル・ジュルネ音楽祭抽選販売申し込み

2023年02月23日 06時43分02秒 | 日記

23日(木・祝)。国連UNHCR協会(「国連難民高等弁務官事務所」の公式支援窓口)から「ウクライナ緊急支援のお願い」が届きました ロシアのウクライナ侵攻から2月24日で1年を迎えるタイミングで、難民への継続支援を求めています 私は昨年、1回限りの支援ということで わずかですが 寄付金を同協会に送りました。その後、戦闘の影響で ウクライナから約800万人が周辺国に避難し、ウクライナ国内でも591万人が避難を強いられているというニュースに接し、終わりそうもない戦争を前に、「自分ができるだけのことをしければ」と思っているところでした 現在、国連WFP協会(「国連世界食糧計画」日本事務所)に毎月銀行引き落としで わずかですが寄付をしているので、国連UNHCR協会にもそれと同じ決済方法で同じ金額を寄付することにしました ウクライナ問題は他人事ではありません。1日も早くウクライナの人々が故郷に帰り平和な生活を取り戻すことを願ってやみません

     

     

 

         

 

「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」(テーマ=Beethoven)の抽選販売に下記の8公演を申し込みました 曲目はいずれもベートーヴェンです

①5月4日(木)11:30開演 「弦楽三重奏曲2番、3番」他。トリオ・アーノルド

②5月4日(木)13:45開演 「弦楽四重奏曲第1番、11番」。ハンソン弦楽四重奏団

③5月4日(木)17:30開演 「ピアノ協奏曲第4番」他。アンヌ・ケフェレック(P)、ハンソン弦楽四重奏団、安達真理(va)

④5月5日(金)15:30開演 「ピアノ三重奏曲第7番”大公”」。萩原麻未(p)、神尾真由子(vn)、横坂源(vc)

⑤5月5日(金)17:45開演 「ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール」。福間洸太朗(p)、ガイスター・デュオ他

⑥5月6日(土)10:00開演 「ピアノ・ソナタ第30~32番」。アンヌ・ケフェレック(P)

⑦5月6日(土)15:00開演 「七重奏曲」。吉田誠(cl)、オリヴィエ・シャルリエ(vn)、川本嘉子(va)他

⑧5月6日(土)19:15開演 「ヴァイオリン・ソナタ第1番、第5番」。オリヴィエ・シャルリエ(vn)、アンヌ・ケフェレック(P)

会場は①②⑧が「ホールD7」、③~⑦が「ホールC」です 抽選結果の発表は3月7日(火)18時頃です。当たるといいな

ということで、わが家に来てから今日で2963日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は21日に演説し、「ウクライナ紛争の平和的な解決を望んでいるものの、西側諸国が陰で異なるシナリオを用意していた。ウクライナ紛争を始めたのは西側だ」と非難した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     主権国家ウクライナに侵攻して戦争を始めたのはプーチン・ロシアだ! 呆れ果てた

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキの照り焼き」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作り、「カツオの刺身」と一緒にいただきました 和食はいいですね

 

     

     

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第625回定期演奏会」を聴きました プログラムは①エレナ・ランガー:歌劇「フィガロの離婚」組曲(日本初演)、②ベルク「ヴァイオリン協奏曲 "ある天使の思い出に”」、③チャイコフスキー「交響曲第1番 ト短調 作品13 ”冬の日の幻想”」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=ルノー・カプソン、指揮=アンナ・ラキティナです

指揮者アンナ・ラキティナはウクライナ人とロシア人の両親から生まれました 2018年のニコライ・マルコ指揮者コンクールで入賞。現在、音楽監督ネルソンスの元でボストン響のアシスタント・コンダクターを務めています

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという編成 上手から下手に向かうにしたがって楽器の音が低くなるという この編成は、一昔前は普通でしたが、今ではむしろ珍しいくらいです    コンマスは日下紗矢子、その隣は林悠介というダブルコンマス態勢を敷きます    舞台下手にはピアノが、指揮者の左前にはアコーデオン奏者がスタンバイします

1曲目はエレナ・ランガー:歌劇「フィガロの離婚」組曲(日本初演)です エレナ・ランガーは1974年ロシア生まれ、英国を拠点に活躍する女性作曲家です この曲はボーマルシェの戯曲「罪ある母」と、オーストリア・ハンガリー帝国出身の劇作家フォン・ホルヴァートが1936年に書いた戯曲「フィガロの離婚」を基に、D.パウントニーが台本を書き、ランガーが作曲、2016年に初演されました 物語はモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」のその後を描いたもので、荒れ果てた20世紀ヨーロッパのある国で起こるアルマヴィーヴァ家の行く末を描いています エレナ・ランガーのメッセージによると、「一家は革命によって逃亡を続け、フィガロとスザンナの結婚生活も不安定。魅力的な男の子だったケルビーノは太った皮肉屋になり、小さなナイトクラブを経営している。特に意識してモーツアルトやロッシーニから引用することはしていません」と語っています この曲は、後にシアトル交響楽団の委嘱により6曲から成る組曲版が作られました

小柄なアンナ・ラキティナが登壇し、演奏に入ります

第1曲「アルマヴィーヴァの城の夜」:蝉や虫、鳥たちがさえずる夜の庭での小さな夜想曲です この曲に限って混沌とした「典型的な現代音楽」です

第2曲「アンジェリカとセラフィン。愛の歌」:若いアンジェリカ(伯爵とバルバリーナの隠し子)とセラフィン(伯爵夫人とケルビーノの不倫による子ども)の愛の場面の音楽です

第3曲「逃走」:一家の不安な逃走を表す速いパッセージによる音楽です。極めて写実的かつ映画的です

第4曲「少佐」:この物語では悪党の「少佐」が出てきますが、アコーデオンがタイトルロールを務め、タンゴの音楽が展開します

第5曲「スザンナとケルビーノ。醒めた愛の歌」:スザンナとケルビーノが過去を懐かしく思い出す場面の音楽で、日下紗矢子のヴァイオリンとピアノ奏者のやり取りが美しく響きます

第6曲「狂おしき一日」:主要な登場人物全員による賑やかな音楽が読響のゴージャスなサウンドで展開します 「フィガロの離婚」って「フィガロの結婚」と同じように楽しそうです

2曲目はベルク「ヴァイオリン協奏曲 "ある天使の思い出に”」です この曲はアルバン・ベルク(1885-1935)が1935年に作曲、1936年にバルセロナで初演されました この曲を作曲中に、マーラーの未亡人アルマが再婚した建築家ヴァルター・グロビウスとの間にもうけた娘マノンが19歳で急逝したのを悼み、「ある天使の思い出に」と献辞を付けて贈りました

第1楽章「アンダンテ ~ アレグレット」、第2楽章「アレグロ ~ アダージョ」の2楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のルノー・カプソンはフランス生まれ、パリ国立高等音楽院に学んだ後、ベルリンでブランディスとスターンに師事しました

第1楽章では天使のように美しいマノンの思い出が語られ、第2楽章ではマノンの苦しみと死、天国への昇天が描かれますが、カプソンのヴァイオリンはノーブルです 最後はマノンの魂が天国へ昇っていくシーンを思い浮かべました

満場の拍手にカプソンはアンコールに、グルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」から「精霊の踊り」を研ぎ澄まされた最弱音で演奏し、聴衆を黙らせました

それはそれは素晴らしい演奏でしたが、一部の聴衆が最悪でした 演奏が始まって間もなく、会場左後方席あたりで、人の声がして、わざと大きな音を出して歩くような足音がしばらく続きました 何があったのか分かりませんが、演奏者に対して大変失礼な態度であり、聴衆にとっても大いに迷惑な話です いったい何があったのか

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第1番 ト短調 作品13 ”冬の日の幻想”」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1866年に作曲、1868年2月15日に初演されました 第1楽章「冬の旅の夢想:アレグロ・トランクィロ」、第2楽章「陰鬱な土地、霧深い土地:アダージョ・カンタービレ・マ・ノン・タント」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・スケルツァンド・ジョコーソ」、第4楽章「終曲:アンダンテ・ルグーブレ ~ アレグロ・モデラート ~ アレグロ・マエストーソ」の4楽章から成ります

アンナ・ラキティナの指揮で第1楽章に入ります 冒頭のフルート、ファゴットによる第1主題が印象的です この主題は循環形式のように後で出てきます 第2楽章では金子亜未のオーボエの寂寥感溢れる演奏が素晴らしい また、終盤でのホルンの日橋辰朗の雄大な演奏が印象的です 第3楽章の中間部のワルツ風の音楽を聴いていると、この時すでにチャイコフスキーは「ワルツ」を交響曲に取り入れるアイディアを考えつき、後期の交響曲への先鞭を付けていたことが分かります メロディーメーカー、チャイコフスキーの面目躍如たるところです 第4楽章では、鈴木康浩率いるヴィオラセクションの渾身の演奏が光ります また、遠藤真理と富岡廉太郎率いるチェロセクションも負けていません 金管楽器と打楽器の迫力ある演奏と相まって、堂々たるフィナーレを飾りました   ラキティナは、26歳の若きチャイコフスキーの記念すべき「交響曲第1番」の魅力を十分に引き出しました

カーテンコールが何度も繰り返されます ウクライナ人とロシア人の両方の血を引くアンナ・ラキティナに、惜しみない拍手が送られました

 

     

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「東京芸大 上がる電気代に練習用ピアノを売却」 ~ 朝日の記事から / 「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」全プログラム発表 / 「ナイブズアウト:グラス・ユニオン」を観る

2023年02月22日 07時01分04秒 | 日記

22日(水)。昨日午前中、豊島税務署で確定申告を済ませてきました 今回は3カ所の寄付金控除があるのに、最終的には数千円徴収される結果となり、とても悲しいです

ところで、21日付のブログで、東京フィルの公開リハーサルが3回ある本公演の最後の公演(オーチャードホール)当日に設定されていることについて、「3つの本公演前のリハーサルを公開すべきである。オーチャード会員偏重主義ではないか」と苦言を呈しましたが、昨日、東京フィルハーモニー交響楽団の公式ツイッターから「いいね」をいただきました 嬉しく思うと同時に、「どう解釈したらよいのだろうか?」「東京フィルのツイッター担当者が私の主張に共感してくれたのだろうか? 」と、答えのない疑問が頭の中をグルグル回っていて、夜もなかなか眠れません(嘘です)。しかし、これまでも何度か東京フィルから「いいね」をいただいているので、いつもの”ノリ”で押してくれたのかな、と思ったりしています

話は変わりますが、昨日の朝日新聞朝刊に「上がる電気代  ピアノも削る ~ 東京芸大  練習用の5台売却」という見出しの記事が載っていました 記事を超略すると次の通りです

「東京芸術大学は今月、電気代高騰に伴う経費削減の一つとして、練習室のアップライトピアノ2台を撤去し、売却した この2台とは別のピアノ3台も含め、計24万円で売却し、5台分の年間の調律費約12万円が節約できるという 同大にはグランドピアノが約260台、アップライトピアノは約100台あり、年間約1600万円の調律費がかかっている 撤去の背景の一つには電気代の高騰がある 今年度の予定額は年1億2700万円。しかし、ロシアのウクライナ侵攻による燃料価格の高騰などが影響し、3倍近い3億6400万円が見込まれる事態になった すでに図書館の開架書庫の一部の暖房を止めるなど節電に務めている

先日は博物館の電気代高騰の話題を取り上げましたが、今度は芸術大学です 「グランドピアノが約260台、アップライトピアノは約100台」という数値には驚きました 調律費がかかるわけです ロシアのウクライナ侵攻が文化面にも大きく影響を及ぼしていることをあらためて認識させられる出来事です

ということで、わが家に来てから今日で2962日目を迎え、ロシア連邦統計局は20日、2022年の国内総生産(GDP)が21年に比べて2.1%減少したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これだけの減少で済んでいるのは 中国がエネルギーを輸入して 助けているからだ

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ大根」「生野菜とローストビーフのサラダ」「モヤシの味噌汁」を作りました サラダにはサニーレタス、ミニトマト、アボカド、ブロッコリー、ローストビーフ、クリームチーズが入っています とても美味しかったです  シャンパンを開けました

 

     

 

         

 

5月4日(木・祝)、5日(金・祝)、6日(土)の3日間、東京国際フォーラムで開催される「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023」(L.F.J)の全プログラム・出演者が、先行発売日(本日=2月22日)の前日=21日午後2時半過ぎに公式サイトでやっと公表されました こんな間際になってから公表されるのは前代未聞です

公式サイトによると、本日の先行販売は「先行抽選販売」で、22日(水)午前11時から3月6日(月)までに、希望する有料公演を選んで申し込みをすると、3月7日(火)午後6時ごろに抽選結果が発表になるとのこと その後の日程は、3月8日(水)10時から同24日(金)まで「先行先着販売」となり、同25日(土)10時から「一般販売」となるそうです

なお、会場は東京国際フォーラム「ホールA(5008席)」「ホールC(1494席)」「ホールD7(221席)」の3つです

私は、収容人数の少ない「ホールC」と「ホールD7」で上演されるピアニスト、アンヌ・ケフェレックが出演する公演を中心に「抽選販売」に申し込もうと思っています

3日間のタイムテーブルとチケット代についてはL.F.Jの公式サイトをご覧ください

 

     

 

         

 

Netflixでライアン・ジョンソン監督による2022年製作アメリカ映画「ナイブズアウト:グラス・ユニオン」(139分)を観ました

2020年、世界がパンデミックに襲われロックダウンが相次ぐ中、IT企業の大富豪マイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)は、地中海にあるプライベート・アイランドに親しい友人たちを招待し、殺人ミステリー・ゲームを持ちかける 招待したはずのない名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)も「招かれた」と言って現れゲームに参加する やがて島で本当の殺人が起こり、ゲームは一転して恐ろしい事件となり、参加者全員が有力な容疑者候補になってしまう 探偵ブノワは友人同士の中で交錯する思惑や、その裏に隠された真相を明らかにすべく、事件の捜査に乗り出す

 

     

 

本作は「ナイブズアウト:名探偵と刃の館の秘密」の続編にあたり、「007シリーズ」で名を馳せたダニエル・クレイグが名探偵ブノワ・ブラン役を務めています

冒頭は、ゲームの仕掛け人、マイルズ・ブロンから送られてきた大きな箱をどうやって開けるかを、友人たちが謎を解きながら開けて招待状を手に入れるシーンが映し出されます この時、箱に仕掛けられたオルゴールから流れてきたのはJ.S.バッハ「小フーガト短調」です 他の招待者が真面目に謎解きの上、箱を開けるのに対し、アンディ(ジャネール・モネイ)だけは箱をハンマーで叩き壊して招待状を手に入れます このシーンには思わず笑ってしまいました 謎解きは何の意味があったのか?  というアイロニーです なお、「グラス・ユニオン」というのは、ブロンの所有するガラス張りの玉葱型をした館を指しています この映画のストーリーのキーポイントは「双子」です

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桜が咲きました / 東京フィルから3月定期公演公開リハーサルの案内届く ~ 日程の設定はおかしくないか? / 辺見じゅん 原作・林民夫 映画脚本「ラーゲリより愛を込めて」を読む

2023年02月21日 07時03分14秒 | 日記

21日(火)。桜が咲きました 巣鴨地蔵通り商店街入口にある真性寺の、冬に咲く山形の啓翁桜(けいおうざくら)です 近くにある染井霊園のソメイヨシノはまだまだのようです

 

     

 

さて、東京フィルから賛助会員・定期会員あての「公開リハーサルのご案内」が届きました それによると日時は3月12日(日)正午開始で、会場はオーチャードホールとなっています 公開されるのはバッティストーニ指揮によるサン=サーンス「交響曲第3番」他です さっそく手帳の日程表で確認すると何の予定も入っておらず、東京フィルの公開リハーサルは初めてということもあり興味を惹かれました ところが日程をよく調べてみると、私が本番を聴くサントリーホール・シリーズ公演は、それより2日前の10日(金)であることに気が付きました つまり、本番が終わってからリハーサルを見学することになります これは9日(木)のオペラシティ・シリーズ公演も同様です つまり本番前に見学できるのは12日(日)当日15時からオーチャードホールで開かれる公演のみなのです 「リハーサルは本番前に終えている」と考えるのがごく普通だし、東京フィルだって9日までに何度かリハーサルをやっているはず したがって、公開するなら9日より前のリハーサルにすべきだと思います 東京フィルはオーチャードホールを本拠地としているので、そこを会場に公開リハーサルを行うことは理解できますが、今回の日どり設定は あまりにもオーチャード・シリーズ会員偏重主義ではないか 他に予定がないので申し込んでおきましたが、今だに もやもやしています

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2961日目を迎え、2022年7月の初当選以来、一度も登院していないガーシー参院議員について、自民党と立憲民主党参院幹部が会談し、「議場での陳謝」を求めることで一致した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     陳謝など求めてる間に歳費は出ていく 税金の無駄使いは止めて 即除名にすべきだ!

 

         

 

昨日、夕食に娘が職場の同僚から仕入れてきたローストビーフを使い、「ローストビーフ・バーガー」と「スプラウト巻き」を作りました あとはキャベツとウインナのスープです バーガーのタレはマヨネーズとクリームチーズと醤油を混ぜて作りましたが、とても美味しかったです お酒はやっぱり赤ワインですね

 

     

 

         

 

辺見じゅん原作、林民夫 映画脚本「ラーゲリより愛を込めて」(文春文庫)を読み終わりました 辺見じゅんは富山県生まれ。早稲田大学文学部卒業。作家・歌人として活躍。主な著書に「呪われたシルク・ロード」、「男たちの大和」(第3回新田次郎文学賞受賞)などがある 2011年9月21日逝去

本書は第21回大宅壮一ノンフィクション賞と第11回講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した辺見じゅん著「収容所から来た遺書」を原作とした映画「ラーゲリより愛を込めて」ノベライズ作品で、文春文庫オリジナルです

 

     

 

山本幡男は戦争が終わったはずのソ連・シベリアのラーゲリ(捕虜収容所)にあって、死と隣り合わせの厳しい強制労働の日々を過ごしながら、常に「生きる希望を捨ててはいけません。ダモイ(帰国)の日は必ずやってきます」と仲間を励まし、家族を思いやります 「不撓不屈」という言葉がありますが、彼こそその精神の体現者です どんなに辛いことがあっても、決して「希望」を失わず、前を向いて生きていきます

山本は大学でマルキシズムを学んで社会主義運動に関わり、逮捕されて退学処分を受けていました そのため彼は「社会主義者」というレッテルを貼られていました しかし、彼の信条は「人道に基づく自由、博愛、幸福、正義」であり、左でも右でもありませんでした

第二次世界大戦が終わってからも、ソ連は戦犯だと決めつけて日本兵を捕虜として収容所に押し込め、極寒のシベリアで労働力として働かせていたのです 戦後11年経ってからやっと日本兵を解放しましたが、すでに山本は喉頭がんで亡くなっていました 死の間際に山本が命を削りながら書いた家族に宛てた「遺書」はソ連の監視兵によって発見され没収されてしまいました しかし、山本を慕う6人の仲間たちは山本の母・マサト、妻・モミジ、4人の子供たちに宛てた6通の「遺書」を届けます 「記録としての遺書は奪われても、記憶した遺書までは奪われない」という考えのもと、6人の仲間たちは山本の遺書を分担し丸暗記して帰国し、それを各自が文書の形に書き起こして家族に届けたのでした

本書は実話に基づく物語です 山本幡男の壮絶な半生と、義母と4人の子供たちを支えながら、再会を11年間信じて待ち続けた妻・モミジとの夫婦愛、ラーゲリでの仲間たちとの絆を描いています これを読んで涙しない人はいないでしょう。強くお薦めします

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原田慶太楼 ✕ アレクサンダー・ガヴリリュク ✕ 東京交響楽団でグリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調」、菅野祐悟「交響曲 第2番」、小田実結子「Kaleidoscope of Tokyo」を聴く

2023年02月20日 07時01分10秒 | 日記

20日(月)。昨日の朝日新聞朝刊 社会面に「教科書1200カ所訂正 東京書籍  検定合格  販売済み」という見出しの記事が載っていました 記事の概要は次の通りです

「東京書籍が発行し、昨年4月から全国の高校で約3万6千冊使われている教科書『新高等地図』について、約1200カ所を訂正したことがわかった 文部科学省の教科書検定に合格して販売された後に、これほど多くの箇所を訂正するのは異例だ 訂正の内訳は、索引と地図で地名表記が異なるものなどが約600カ所、索引にある掲載ページが実際のページと違うものなどが約400カ所、地図上の位置の間違いなどが約50カ所、ウクライナの首都の表記を『キエフ』から『キーウ』に改めるなど、国際情勢の変化による地名表記変更も約150カ所あった 希望した学校に訂正版を約2万5千冊配布したという。同社は訂正の原因について、コロナ禍で在宅勤務となったことで十分な校閲作業ができなかったことなどを挙げている 同社は『誤りが残ったままの教科書を販売してしまい、大変申し訳ありません』とコメントしている

何なんでしょうか、この大失態は ものには限度というものがあります 問題の『新高等地図』が何ページあるか分かりませんが、訂正箇所が1200カ所もあったということは、ほとんど全ページに複数の間違いがあったとしか想像できません 国際情勢の変化による地名表記変更が為されていないのは致命的です 「コロナ禍で在宅勤務となったことで十分な校閲作業ができなかった」などとノー天気なコメントをしていますが、あまりにも間違いが多すぎます さらに驚くのはこの教科書が文科省の教科書検定に合格していることです 文科省はいったい何を”検定”しているのか こんなザル状態なら検定なんて意味がない。止めたらどうか、と思ってしまいます さらに、一般の書籍でなく「教科書」であることに、問題の深刻さがあります

「在宅勤務で十分な校閲作業ができなかった」理由の一つとして、パソコンの画面上だけで校閲しているため、全体像を把握できなかった可能性があります 最終的に全ページを紙に印刷して校閲すれば、少なくとも索引と掲載ページが違う間違いなどは避けられるはずです いずれにしても、プロの仕事としては大変恥ずかしいお粗末です 再発防止を徹底すべきだと思います

ということで、わが家に来てから今日で2960日目を迎え、韓国統一省関係者は19日、北朝鮮について「最近、餓死者が続出するなど深刻な食糧難にある」との認識を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ハッキングで得た暗号資産はミサイルにつぎ込んで 国民の命は二の次というわけか

 

         

 

いつもは日曜日の夕食はアップしないのですが、昨日は前日に娘がレンジ周りを3時間かけてピカピカに磨いてくれたので、お礼の意味で、生ハム、サラミとチーズをオードブルにして、娘が大好きなカニとイクラのちらし寿司を用意しました お酒はもちろん赤ワインです とても美味しかったです

 

     

     

     

         

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団「第707回定期演奏会」を聴きました プログラムは①小田実結子「Kaleidoscope  of  Tokyo」(東響委嘱作品・世界初演)、②グリーグ「ピアノ協奏曲  イ短調 作品16」、③菅野祐悟「交響曲 第2番  すべては建築である」です 演奏は②のピアノ独奏=アレクサンダー・ガヴリリュク、指揮=東響正指揮者・原田慶太楼 です

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置を採ります コンマスは今年3月末で東響を退団する旨を公表している水谷晃です 水谷さん、卒業が早すぎませんか? すごく惜しいです

1曲目は小田実結子「Kaleidoscope  of  Tokyo」(東響委嘱作品・世界初演)です 小田実結子は多摩市出身。武蔵野音楽大学・同大学院修了。奏楽堂歌曲コンクール第24回作曲部門第2位ほか入賞歴があります この曲は、「多くの人が行き交い、様々な思いが交差する東京を思い描きながら作曲したもの」で、タイトルが万華鏡(Kaleidoscope)となっています

原田の指揮で演奏に入りますが、冒頭のチェレスタの演奏する中華風のメロディーを聴いて、プッチーニ「トゥーランドドット」の冒頭場面を思い浮かべました 次いで締め太鼓の演奏を聴いて、極めて日本的な音楽だな、と思いました その後は、耳に心地よいメロディアスな音楽が展開し、まさに万華鏡のように色彩感がクルクル変わる音楽で東京らしいと思いました

演奏後、作曲者がステージに呼ばれ、大きな拍手に包まれました

2曲目はグリーグ「ピアノ協奏曲  イ短調 作品16」です この曲はエドワルド・グリーグ(1843-1907)が1868年に作曲、1869年4月3日にコペンハーゲンで初演されました 

第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート」の3楽章から成ります

ソリストのアレクサンダー・ガヴリリュクは1984年、ウクライナ生まれ 1999年ホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール、2000年浜松国際ピアノコンクール、2005年ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで優勝しています

ティンパニのロールに導かれて独奏ピアノが力強いパッセージを演奏します 演奏は中庸のテンポで進められます 第2楽章は抒情的なピアノの演奏が印象的です 第3楽章は一転、独特のリズムで軽快な演奏が続き、オケがピタリと付けます スケールの大きな演奏でフィナーレを迎え、原田とハグして健闘を讃え合います ロシアの侵攻により破壊されていく生まれ故郷のウクライナをあとにして、いま日本にいて彼は何をどう考えているのだろうか・・・・・

満場の拍手にガヴリリュクはショパン「ノクターン第8番 作品27-2」を抒情的に演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半は菅野祐悟「交響曲 第2番  すべては建築である」です この曲は菅野祐悟(1977~)が2018から19年にかけて作曲、2019年4月29日に藤岡幸夫指揮関西フィルにより初演されました 菅野祐悟は2004年に月9ドラマ「ラストクリスマス」でドラマ音楽デビュー NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」、NHK連続ドラマ「半分、青い」など多くの音楽を作曲、現在も映画、ドラマ、アニメを中心に活躍中です

菅野氏はプログラム冊子に掲載された対談で、次のように語っています

「僕は建築を見るのはもともと好きです。教会があるからこそ教会の音楽が、お寺にはお寺の音楽が・・・宗教や建築、その建物の響きや光の入り方と一緒に音楽は育ち、建築・場所・文化とともにカラーが変わっていく 建築と音楽は切り離せないものだと思っている 建築には、1ミリずれたら上手くいかないような、芸術だけではない技術的・数学的な部分があって、そういうものと交響曲はすごく近いなと思う

この曲は、世界中の素晴らしい建築と、それぞれの作者たちに対するリスペクトのもとに作られています 第1楽章「建築の偉大な美しさの一つは、毎回人生が再び始まるような気持ちになれることだ」(イタリアの建築家レンゾ・ピアノ氏の言葉)、第2楽章「建築とは光を操ること。彫刻とは光と遊ぶことだ」(アント二・ガウディ氏の言葉)、第3楽章「建築は光のもとで繰り広げられる、巧みで正確な壮麗なボリュームの戯れである」(建築家ル・コルビュジェ氏の言葉)、第4楽章「可能性を超えたものが、人の心に残る」(安藤忠雄氏の言葉)の4楽章から成ります

原田の指揮で第1楽章に入ります まさに作曲者の得意とする「NHK大河ドラマ風」のスケール感のある音楽です 第2楽章は冒頭、ビブラフォンによる軽快なリズムの音楽で始まりますが、スペインの明るく陽気な雰囲気が、打楽器群の大活躍によって醸し出されます 第3楽章は一転、アダージョ的な音楽で、弦楽セクションの美しいメロディーが印象的です チェロ首席の伊藤文嗣のソロが素晴らしい また、ピアノのソロも美しい 第4楽章は再び「大河ドラマ風」の堂々たる音楽が展開しますが、曲想が様々に変化し、飽きさせることがありません 食事で言えば、フルコースをいただいて満腹の状態です

それにしても、3曲のうち2曲が現代の日本人による作品ということで、客入りはどうかと心配していましたが、いつもと変わらない聴衆が詰めかけていました 「日本人作曲家の作品を世界に広めること」をライフワークの一つとしている原田によるプログラミングですが、彼の姿勢は素晴らしいと思います ベートーヴェンの音楽だって、作曲された当時の聴衆にとってはコンテンポラリー(同時代)の「現代音楽」だったわけです 今を生きる聴衆はもっと今の音楽も聴くべきでしょう。その中から後世に残るのがクラシックになります

演奏後、作曲者がステージに呼ばれ、カーテンコールが繰り返されました

 

     

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新国立劇場オペラ研修所修了公演「コジ・ファン・トゥッテ」を観る ~ 第24期・25期研修生にブラボー! / どうなってる? 「 ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」のタイムテーブル

2023年02月19日 07時03分34秒 | 日記

19日(日)。昨日、仕事休みだった娘が、何か思うところがあったのか、重曹でガスレンジ周りの油汚れ落としに挑戦していました 普段、私がレンジ周りを「油汚れ用ウェットティッシュ」で拭きとっていますが、数年前からこびり付いた油汚れがなかなか取れず諦めていたのです 私がオペラから帰ると、レンジと周囲がピカピカになって新品同様になっていました 「3時間かかったよ 3時間だよ」と強調するので、「この度は格別のお働きでした」とねぎらいの言葉を掛けました ほとんど向田邦子の「父の詫び状」の台詞そのものです まあ、普段の家事(炊事・洗濯・掃除・モコタロの世話)は私が一手に引き受けているので、たまにはお働きいただいてもバチは当たらないと思いますが、感謝だけは忘れないようにしています

ところで、例年 5月のゴールデンウィークに東京国際フォーラムを会場に開かれてきた「 ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」は、コロナ禍のため2020年から22年まで中止されていましたが、今年5月、4年ぶりに開催されることになりました テーマは「ベートーヴェン」です 音楽祭の公式サイトによると、日程は5月4日(木・祝),5日(金・祝),6日(土)の3日間となっています しかし、出演アーティストや公演プログラムの速報は掲載されているものの、肝心の3日間のタイムテーブルや入場料金・販売方法が公表されていません 各公演の日程・時間調整が難航していて最終スケジュールが決まっていない可能性があります チケット先行発売が2月22日(水)と3日後に迫っているのに、これではどの公演を組み合わせてチケットを取ったらよいか判断できません 一日も早く詳細情報をアップしてほしいと思います

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2959日目を迎え、ロシアの同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領は17日、ロシアを訪問しプーチン大統領と会談、会議冒頭プーチン氏に「ベラルーシはロシアから技術支援を受ければ ウクライナで活躍している攻撃機を製造する準備があると表明、両国の軍事協力の拡大を提案した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ベラルーシもプーチン・ロシアと一蓮托生となって ウクライナへの賠償責任を負う

 

         

 

昨日、新国立劇場(中劇場)で同劇場オペラ研修所修了公演、モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」を観ました 本公演は2月17、18,19日の3日間、第23期から第25期までの研修生を入れ替えて上演するトリプルキャスト公演です 私の観た18日は第24期・25期の次のメンバーが出演しました フィオルディリージ=大髙レナ、ドラベッラ=前島眞奈美、グリエルモ=松浦宗梧、フェルランド=永尾渓一郎、デスピーナ=富永春菜、ドン・アルフォンソ=田中大輝(賛助出演)。管弦楽=新国立アカデミーアンサンブル、チェンバロ=星和代、指揮=星出豊、演出=粟国淳です

 

     

 

「コジ・ファン・トゥッテ または 恋人たちの学校」はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)がダ・ポンテの台本に基づき1789年から90年にかけて作曲、1790年にウィーンのブルク劇場で初演されたオペラです

物語の舞台は18世紀のナポリ。姉妹のフィオルディリージとドラベッラはそれぞれグリエルモとフェランドと婚約している 男二人は「僕らの恋人たちは貞淑で、浮気なんてしない」と主張する。一方、哲学者ドン・アルフォンソは懐疑的に見ている そこで3人は姉妹が浮気するかどうか賭けをすることにする 男二人は外国人に変装し、お互いの婚約者を誘惑する。最初は誘惑を拒否していた姉妹だったが、ドラベッラが、次いでフィオルディリージが恋に落ち、婚約までしてしまう 最後に男二人は変装を解き、ドン・アルフォンソが種明かしをし、「女はみなこうしたもの」と歌い、2組のカップルは再び愛を確認し合い幕を閉じる

 

     

 

自席は1階13列54番、右ブロック左から2つ目です。13列と言っても、7列目まではオーケストラピットに使用しているため、実質的には6列目です

研修所修了生の公演とはいえ結構な客入りです

新国立劇場の開場記念公演「建・TAKERU」で指揮を執った星出豊の指揮で軽快な序曲の演奏に入ります 何回聴いてもワクワクドキドキ感が止まりません ステージは回転舞台で、2面が入れ替わります 舞台の回転は驚くほど速く、演出・粟国淳の「流れを途切れさせない」という意図を強く感じます

フィオルディリージを歌った大髙レナは東京音楽大学出身のソプラノで第24期生です ソロのアリアはもちろん、ドラヴェッラとの二重唱も美しく歌い上げました

ドラベッラを歌った前島眞奈美は東京藝術大学出身のメゾソプラノで第24期生です 包容力のある歌声で魅力的なアリアと重唱を披露しました

グリエルモを歌った松浦宗梧は東京音楽大学出身のバリトンで第25期生です 歌唱力も演技力もありました

フェルランドを歌った永尾渓一郎は愛知県立芸術大学出身のテノールで第25期生です 軽くソフトな歌声が魅力で、コミカルな演技も印象に残りました

デスピーナを歌った富永春菜は東京藝術大学出身のソプラノで第25期生です 美しい歌唱と演技力でコミカルな役柄を見事に演じ、聴衆を魅了しました

ドン・アルフォンソを歌った田中大輝は昭和音楽大学大学院修了、第52回日伊声楽コンコルソ入選のバスバリトンです 安定感のある歌唱と落ち着いた演技が印象的でした

オーケストラの「新国立アカデミーアンサンブル」はどういう人たちの集まりか分かりませんが、特に木管楽器が素晴らしい演奏を繰り広げていました

この日はモーツアルトの「アンサンブル・オペラ」の魅力を十分に聴くことができ幸せでした 生きてモーツアルトのオペラをライブで鑑賞できることがどれほど素晴らしいことか

ところで、2日目の本公演では第23期生の歌と演技を鑑賞することが出来ませんでしたが、プログラム冊子掲載の「巻頭言」で、オペラ研修所長・永井和子さんが次のように書いています

「第23期生が入所した2020年は未曽有のコロナ禍に突入した頃でした 人が集まることは禁止され、入所式はおろか、研修生はオンラインでの初顔合わせとなりました その年は夏まで対面での研修ができず、全てオンラインで出来る授業にせざるを得ませんでした 希望に燃えて研修をスタートした第23期生の胸のうちはいかばかりだったでしょう」「コロナと共に歩んできた第23期生のこの3年間、不自由だった反面、これまでには無かった得難い経験をバネに、舞台人として今後の力にしていくことを願わずにいられません

コロナ禍のもとでの研修ということでは、第24期生、第25期生も同じことで、マスク着用で歌うとか、何かと不便を被りながらの研修ではなかったかと想像します コロナはまだ続いていますが、オペラ研修所には 引き続き「これからのオペラ界を牽引する人財」を育てていってほしいと切に願っています

 

     

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