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クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラ、泉鏡花原作・香月修作曲「夜叉ケ池」を観る~幻想の世界

2013年06月30日 07時00分10秒 | 日記

30日(日)。今日で6月も終わり。ということは今年も半年が終わってしまうことになります 若者言葉で言えば、「えっ、もう7月になるわけー、マジっすか!ぶっちゃけマジでチョー速いしー、みたいなー」でしょうか。っていうかー、ヤバイじゃん

 

  閑話休題  

 

昨日は午前中にマンションの管理組合の定時総会があったので出席して、午後に初台の新国立劇場(中劇場)で泉鏡花・原作、香月修・作曲によるオペラ「夜叉ケ池」を観ました 今年2013年は泉鏡花の生誕140周年、戯曲「夜叉ケ池」発表100周年。そんな記念すべき年に上演されるオペラ「夜叉ケ池」は新国立劇場創作委嘱作品で世界初演です 出演者はダブルキャストですが、最終日のこの日は、白雪に腰越満美、百合に砂川涼子、晃に西村悟、学円に宮本益光ほか。指揮は十束尚弘、演出は岩田達宗、オケは東京フィルです

 

          

 

ストーリーは、

「越前の山奥を訪れ、夜叉ケ池の伝説を聴かされた萩原晃は、村の美しい娘・百合を妻とし、故郷を捨て鐘楼番となり、日に3度鐘を突き続けていた 夜叉ケ池の主・白雪は白山剣が峰千蛇ヶ池の公達に想いを寄せているが、自分が夜叉ケ池から去ると村が水没してしまうため、人間と交わした鐘の約束に縛られていた そんなある日、村人達は雨乞いの生贄として百合を夜叉ケ池に捧げようとする 百合は自害、絶望した晃は鐘の掟を破る。雷鳴が轟き、村は水に飲みこまれる

このオペラは4年以上前に、新国立劇場芸術監督の尾高忠明氏から作曲家・香月修(かつき・おさむ)氏に委嘱され、作曲された作品です その時の尾高監督の要望は「口ずさめるような親しみ易い歌のあるオペラ」ということだったそうです プログラムの「初演にタイムスリップ」コーナーに尾高監督のインタビュー記事が載っています それによると、桐朋学園高校3年の文化祭で木下順二作「夕鶴」(芝居)を上演したとき、尾高氏が”与ひょう”を、井上道義氏が”惣ど”を演じ、香月修氏が音楽を担当したとのことです

舞台は泉鏡花の世界を再現するかのような幻想的なもので、照明を有効に使って物語を浮かび上がらせます

歌で印象に残るのは、百合を歌った砂川涼子です 着物を着て歌う日本の歌は自然に耳に馴染んで、すんなりと入ってきます やっぱり日本人には日本語のオペラが一番合うような気がします 次いで、期待以上だったのは萩原晃を歌った西村悟です とく通るテノールです。白雪を歌った腰越満美も会場の隅々まで行き渡る美しいソプラノで迫力がありました

第2部では鯉七、蟹五郎、鯰入がコミカルな歌と動きを見せますが、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」のピン・ポン・パンの3人を想い起させます

 

          

 

今回のオペラは、日本語のオペラ特有の”日本語なのに何を言っているのか分からない”作品ではなく、尾高監督の要望どおりの「親しみ易い歌のあるオペラ」だと思います

幕が下りて、カーテンコールが始まり、歌手陣に続いて作曲家の香月修氏が登場しましたが、歌手の一人一人と握手をし世界初演の喜びを分かち合っていました

 

          

 

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クラシカル・プレイヤーズ東京+仲道郁代でモーツアルト「ピアノ協奏曲第21番K.467」を聴く

2013年06月29日 07時01分36秒 | 日記

29日(土)。昨夕、X部長から「30分だけ」「蕎麦だけでも」という住宅販売並みの勧誘があったのですが、7時から池袋でコンサートを聴くので、心を鬼 にして丁重にお断りしました。結果的に、断っておいて良かったことは後で分かります

 

   閑話休題  

 

という訳で、昨夕、池袋の東京芸術劇場コンサートホールでクラシカル・プレイヤーズ東京の演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「歌劇”フィガロの結婚”序曲K.492」、②同「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」、③ベートーヴェン「交響曲第8番ヘ長調」です。指揮は有田正広、②のピアノ独奏は仲道郁代です

 

          

 

自席は1階K列13番、センターブロック左通路側です。会場は8~9割方埋まっている感じです

クラシカル・プレーヤーズ東京はオリジナル楽器を演奏する35~36名の音楽集団です 舞台に登場したメンバーを見渡すと、バッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)で活躍中の三宮正満、尾崎温子(以上オーボエ)、前田りり子、菅きよみ(以上フルート)、荒木優子(ヴァイオリン)、そして新日本フィルの藤田麻理絵(ホルン)の姿が見えます

オケは左サイド奥にコントラバス、前の左から第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置を採ります。2曲目のコンチェルトに備えてピアノフォルテが中央に設置されています

1曲目のモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲が軽快なテンポで始まります。モーツアルトをオリジナル楽器で演奏する時の大事なポイントは”メリハリ”です その意味で、有田正広の指揮はテンポの設定からメリハリの付け方まで申し分ありません モーツアルトが息づいています。弦楽器も、管楽器も古楽器特有の柔らかな音色で耳に心地よく響きました

ソリストの仲道郁代を迎えて2曲目の「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」が始まります。使用楽器はモーツアルト(1756-1791)が生きていた頃の楽器を複製したフォルテピアノ(1790年頃 J.A.シュタイン・モデル)です。木製で、ペダルがありません

 

          

 

フォルテピアノは音が小さいので、ピアノの独奏部分では伴奏楽器が音を小さくして演奏します。ある時は、弦楽器は各楽器のトップ各2人、つまり8人だけでピアノを支えます 弦楽器、管楽器とピアノとのブレンドが何とも言えない魅力となって流れます。オーボエの三宮正満、フルートの前田りり子の演奏が光っています モーツアルトの生きていた時代にはこういう音がしていたのだな、と感慨深いものがあります 当時と異なるのは会場の大きさです。当時はサロン的なこじんまりした会場で演奏していたのに対して、現代では2000人規模のコンサートホールで演奏されるということです。したがって、おのずと弾き方も違っているはずです

仲道郁代はスコアらしきものを譜面台に置いていますが、ほとんど見ないで弾いています 彼女がスコアを見たのは各楽章の「カデンツァ」の部分だけです。一音一音を慈しむように音を紡いでいきます

会場一杯の拍手 に応えて、モーツアルトの「ピアノ・ソナタK.332」の第2楽章をしみじみと演奏しました。オリジナル楽器に相応しい選曲のように思いました

休憩後のベートーヴェン「交響曲第8番ヘ長調」は、”舞踏の権化”と言われ、”のだめカンタービレ”のテーマでもあった第7番をチューリップとし、世界遺産的な第9番”合唱付き”を大輪のヒマワリとすれば、その間に咲いたスミレのような曲です どの楽章も魅力に満ちた曲想で、私は大好きです。精魂を込めて書いた7番や9番と違って、肩の力を抜いて楽しんで書いたような明るく楽しい曲です

この曲でも、メリハリの利いた演奏が生き、”現代に息づくベートーヴェン”と表現するのに相応しい素晴らしい演奏が展開しました 観客の反応の良さに気を良くした有田はコンマスに、アンコールの準備をするよう声をかけ、第8番の第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」をもう一度演奏しました

なお、休憩時間にロビーで10月24日(木)午後7時から東京芸術劇場コンサートホール・エントランスで開かれるクラシカル・プレイヤーズ東京の「室内楽演奏会シリーズ」第1回公演のチケットを販売していたので、手帳で日程が空いていることを確認して買いました 全席自由席で2,000円です。有田正広のフルート、竹澤秀平(新日本フィル)のチェロ、荒木優子のヴァイオリンほかで、モーツアルトの「フルート四重奏曲」他が演奏されます

 

          

 

次回のクラシカルプレイヤーズ東京の演奏会は来年の2月1日(土)午後3時から東京芸術劇場です。バッハの管弦楽組曲第3番他が演奏されます。これも聴きに行きます

 

          

 

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柴又帝釈天でコンサート~「男はつらいよ」主題歌を演奏か?

2013年06月28日 07時02分11秒 | 日記

28日(金)。昨夕、地下の焼鳥Rで元監査役S氏、元職場OBのM氏と3人で飲み、その後、地下鉄で上野に向かいました 例によってカラオケ歌合戦 を展開していると、別のお店で一人飲んでいたX部長が突然乱入して4つどもえの闘いが始まりました すると、焼鳥RのK社長一行が突如なだれこんできたので、無視して歌いました 

上野の代表的なデパート松坂屋はまだ健全ですが、銀座松坂屋は閉店します 残念ながらこのカラオケ・スナックFも、銀座松坂屋の閉店に呼応するかのように今月限りで閉店です アベノミクス効果は上野の繁華街には無縁のようです したがって、われわれは来週からカラオケ難民になります。誰かいいお店を知っていたらおせーてください

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊・首都圏経済欄に「柴又帝釈天でコンサート~都、有名建築保存へ第1弾」という小さな記事が載りました 要約すると、

「東京都は有名建築を会場にした音楽会や講演会などのイベントを始める 都民に歴史的建造物の保存に関心をもってもらい、都のファンドを通じて寄付金を募る狙い。第1弾として7月28日に柴又帝釈天(東京・葛飾)の大宮殿で弦楽四重奏のコンサートを開く 今年度中に5回程度開催する予定。帝釈天の大宮殿は1929年に完成した総ひのき造りの仏堂で、2002年に歴史的建造物に選定された」

弦楽四重奏によるコンサートということですが、気になるのはどんな曲を演奏するのかということです 柴又帝釈天と言えばフーテンの寅さん、「男はつらいよ」でしょう ということは山本直純作曲による映画の主題歌か・・・・・と思って調べてみると、次のことが分かりました

帝釈天でのイベントは7月28日(日)17時から19時30分まで。

第1部は建造物の説明・見学(17時~17時45分。大客殿)

第2部はコンサート(18時~19時30分。天題経寺・祖師堂)

プログラムは①ハイドン「弦楽四重奏曲第67番ニ長調”ひばり”」

       ②メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第3番ニ長調」

       ③ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲第12番”アメリカ”」

       ※演奏はブランデンブルグ国立管弦楽団トップメンバー

ただし、募集人員は100名で、往復はがきで申し込むことになっており、応募多数の場合は抽選になるとのこと(入場料1,000円) 詳細は「柴又帝釈天・コンサート」で検索してみてください 残念ながら私は、当日すでに別のコンサートの予定が入っているので応募しません

〔追 伸〕

昨日のブログで、新日本フィル第2ヴァイオリン奏者・篠原さんが室内楽シリーズの「プレ・トーク」の中で「ウィーン・フィルの往年のコンサートマスター、ヘッツェルさんの誕生年は1945年と語った」旨を書きましたが、私の書き間違えで、正しくは1940年でした。篠原様からご指摘がありました。お詫びのうえ訂正いたします

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新日本フィル室内楽シリーズでシューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」を聴く

2013年06月27日 07時00分22秒 | 日記

27日(木)。右側下の奥歯に被せてあった金属が取れてしまったため、昨日、地下の0歯科で処置してもらいました。最近、受付で見かけないAさんが受付してくれました。「お久しぶりです。最近私は奥の方にいますよ」とのことで、どうも診療室での仕事に移られたようです。アベマリアのような優しい顔立ちのAさんが受付に居ないのは何ともさびしいものです 受付にレギュラーでカムバックしてくれることを切に希望します 砂糖を丸かじりして虫歯を作って通いますから・・・・どうでしょうか、0先生

 

  閑話休題  

 

昨夕、すみだトりフォニーホール(小)で新日本フィルの室内楽シリーズを聴きました プログラムは①コダーイ「弦楽四重奏曲第1番ハ短調」、②シューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」です

 

          

 

開演15分前から例によって新日本フィルの第2ヴァイオリン奏者・篠原秀和さんによるプレトークがありました この日は最初に「イタリア弦楽四重奏団」の紹介がありました。1945年に創立したイタリアSQは一部メンバーを入れ替えて1980年に解散するまで35年続きました 驚くべきことに、紅一点の第2ヴァイオリン奏者・エリーザ・ペグレッフィは、他の3人のメンバーを次々に夫にしたということです 篠原さんの言葉を借りれば「最悪の人間関係、世界一のベルカント奏法」というクァルテットです 私はイタリアSQが大好きで、なぜか風邪をひいて長期間会社を休んだ時などは、彼らによるモーツアルトの「弦楽四重奏曲全集」を片っ端から聴いたものです。薬よりも良く効きました

 

          

 

次いで、ウィーン・フィルのゲルハルト・ヘッツェルについて解説しました。彼は1945年ユーゴスラヴィア生まれで、ウィーン・フィルで初めての外国人コンサートマスターとのこと 当時のウィーン・フィルには外国人に対する抵抗意識が強く、やりにくい状況だったようですが、彼の人柄と才能と努力とによって楽員の信頼を獲得し、押すに押されぬコンマスになったということです

篠原さんは、例によって原稿なしで、立て板に水のごとく流暢な話術で、人名・年代を正確に織り交ぜながら、見事な解説をしてくれました 自ら選別して取り上げた演奏家を語る篠原さんは熱いです 次回で彼のプレトークも最終回。一抹の寂しさがあります

 

          

 

さて、1曲目のコダ―イ「弦楽四重奏曲第1番ハ短調」は、左から第1ヴァイオリン=西江辰郎、第2ヴァイオリン=吉村知子、チェロ=矢野晶子、ヴィオラ=矢浪礼子というメンバーです

コダーイと言われて連想するのは、①シュタルケルの演奏する無伴奏チェロ・ソナタ、②ジョージ・セル+クリーヴランド管弦楽団による「ハーリ・ヤーノシュ」の演奏、③コダーイ弦楽四重奏団の来日演奏会です。このうち③のコダーイSQの来日演奏会は、1970年代に都市センターホールで開かれた時に、指揮者・渡邉暁雄さんの弟・渡辺忠恕さんに連れられて聴きに行ったのですが、第1ヴァイオリン奏者が楽譜を忘れてきて、部屋(都市センター内のホテル)に取りに行ったため待たされた思い出があります

コダーイの「弦楽四重奏曲第1番」は、プログラムに演奏者たちが書いているように、民族色豊かな曲である一方、耳に馴染みの薄い曲でもあります 第1楽章と第2楽章はチェロから、第3楽章と第4楽章はヴィオラから入ります 唯一親しみやすいメロディーが出てくるのは第4楽章で、ホッと一息つきます。西江コンマスを中心に色彩感豊かな演奏を展開しました

2曲目のシューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」は、左から第1ヴァイオリン=宇野沢美緒、第2ヴァイオリン=稲垣桃子、ヴィオラ=原孝明、チェロ=貝原正三、センター後ろにピアノ=沢田千秋というメンバーです 1曲目のコダーイと、ヴィオラとチェロの位置が違いますが、シューマンの方はセンターにピアノが置かれていることと関係あるのかも知れません 高音部を女性陣が、低音部を男声陣が弾くことになります

第1ヴァイオリンの宇野沢美緒さんとピアノの沢田千秋さんは初めて聴く演奏家です。演奏後のワンコイン・パーティーで篠原さんが、この二人は東京藝大の同期生だと紹介していました 第1楽章のアレグロを聴いていて「シューマンの曲ってブラームスによく似ているなあ」と思いましたが、師弟関係から言えばこれは逆で、ブラームスがシューマンに似ていると言うべきでしょう

このシューマンは熱い情熱が伝わってくる演奏でした ロマン派の魅力タップリで、ピアノと弦とが溶け合って見事なアンサンブルを奏でていました。とくに第2楽章が美しい音楽、素晴らしい演奏でした

演奏会終了後、いつものようにワンコイン・パーティーに参加しました。篠原さんが、西江コンマスを「いつも控えめなハンカチ王子」と紹介し、お薦めのコンサートを聞くと、西江氏は「その前に一人、ご紹介したい。アメリカ在住の作曲家・小杉さよさんです」(小杉さん登場)。「彼女にヴァイオリン曲を委嘱したのですが、締め切りまでにキッチリと作品を仕上げてきたので、これはしっかりマスターしないと大変だ、と思って練習したのですが、かなり難しい曲でした」と語りました。その上で、「お薦めのコンサートは、新日本フィルの演奏会すべてです、と言うべきなんでしょうが、そうもいかないので、大好きなハーディングとのコンサートもあるし、メッツマッハ―との演奏会も控えています」と答えていました

インタビュー終了後、篠原さんがやってきて「トラさん、近いうちに本名を明かしてください」とおっしゃるので「はい」と答えましたが、次回、プレトーク最終回の時に正体、もとい、本名を明かそうと思います

 

          

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佐村河内守著「交響曲第一番~闇の中の小さな光」を読む

2013年06月26日 07時00分12秒 | 日記

26日(水)。佐村河内守著「交響曲第一番~闇の中の小さな光」(幻冬舎文庫)を読み終わりました

佐村河内守は1963年、被曝二世として広島に生まれました。4歳から母にピアノを師事し、音楽大学へは進まず独学で作曲を学びました 35歳で全聾になりながらも、絶対音感だけで「交響曲第一番”HIROSHIMA”」を完成、NHKスペシャルでその壮絶な半生が紹介されて話題を呼び、そのCDはクラシック音楽としては空前の売り上げを記録しました

 

          

 

音楽大学に進学しなかった理由を次のように書いています

「いまの音大の作曲科で学ばされるのは『現代音楽(不協和音を駆使して構築する無調音楽)』だけであり、いったん作曲科に入ったなら、その学校の教師(現代音楽作曲家)に師事しないわけにはいかず、師事した教師の作風からはずれた音楽をかくことは許されず、卒業して『クラシック音楽作曲家(いわゆる調性音楽)』として身を立てることなど認められない時代になってしまったことを悟ったからでした 当時の私は、マーラーのような、壮大でロマンチックな曲を書くことを夢見ていました

そんな彼が、最終的には不協和音を使わなければ自分の音楽は書けないことに直面します

偏頭痛、耳鳴り、全聾、頭鳴症、左薬指機能不全、抑うつ神経症・・・・・と様々な病気に遭遇し、その間、愛すべき弟を交通事故で亡くし、絶望のあまり2度の自殺未遂を起こし、それでもなお、自分の音楽を書きたいという止むに止まれぬ想いを遂げるため血の出るような努力を積み重ねるのでした しかし彼は自分で作った曲を音として聴けないのです。これほど残酷なことがあるでしょうか

ある日、彼は障害児の施設で「しお」という少女と出会います。彼女は母親から虐待を受け、浴槽に沈められ、そのとき脳に長時間酸素がいかなかったことが原因で無酸素脳障害となり、知恵遅れ、手足の麻痺、弱視という障害を背負わされていたのです

彼があらゆる病魔と闘いながら「交響曲第一番」を作曲していた時に「しお」から何通もの励ましの手紙が届き、挫折しそうな心を何度も立て直したといいます。そのことを彼は次のように書いています

「逆説的ではありますが、私が地獄の闇で闘い抜くことができたのは、その闇があまりに暗すぎたからだと思えるのです 闇が深ければ深いほど、しおが灯した小さな小さな祈りの灯火は強く輝き、私に大きな希望を与えてくれたのです 私は、小さな光の尊さを教えてくれた大いなる闇の存在を認め、そこに生まれた『交響曲第一番』に、心からの満足を得ることができました

耳鳴りが消えたと錯覚した時、彼は神の啓示を聞きます。「苦しみ闘う人々の支えになる音楽・・・・それは、誰よりも苦しみ闘った者の手からしか決して生まれないのだ!そんな音楽を成しえたいと望むのなら『闇』に満足し、そこにとどまれ

そして、ついに彼はある境地に達します

「自分を闇に突き落とした憎むべき相手と、真理への感謝を捧げる相手と、苦痛から救われるために祈る相手・・・・・・。その3者は『同一の存在』だったのです また、闇の中で私に真理を与えた、しおの祈りが向かう先も、結局のところ私の信じる神と同一の存在だったのです それに気づいたとき、私が”神”と呼んできたものの、その存在の大きさを嫌というほど思い知りました。最終的に私が得たものとは、その大きな存在(神=運命)に身を委ね、ただ祈るほかないということでした

ベートーヴェンの交響曲第5番は、その冒頭の打撃から「運命交響曲」と呼ばれていますが、佐村河内守にとっては「交響曲第一番」が「運命交響曲」だと言えるでしょう

「交響曲第一番」は3楽章から成りますが、全体を通して暗い闇の世界が延々と続きます 最終楽章の後半に至ってやっと希望の光が見えてきます。音楽は読むものではありません。聴いてみましょう

 

          

 

交響曲第一番の全国コンサートツアーが28日(金)大阪フェスティバルホールから始まります このうち東京地方の公演は7月6日(土)昼の部・夜の部、7月21日(日)横浜みなとみらいホール、10月26日(月)サントリーホール、12月1日(日)横浜みなとみらいホール、12月14日(土)東京芸術劇場、2014年4月27日(日)サントリーホールです 私は7月21日の神奈川フィルの公演を聴きに行きます

 

          

 

また、彼のピアノ・ソナタの演奏会も開かれます。東京公演は10月13日(日)です。私は当日別のコンサートの予定が入っているので聴きに行けません。追加公演を望みます

 

          

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相場英雄著「震える牛」を読む~食の安全を疑ってしまう怖い話

2013年06月25日 07時00分14秒 | 日記

25日(火)。昨夕、これまで当ビルの清掃責任者を務めてくれたT社のYさん、その後任の責任者F君、そして当社管理部3人で、西新橋のイタリア・レストランBで慰労会を開きました ワイン音痴の私に代わり、イタリア・スペイン通のAさんに白を、次いで赤を選んでもらい、コース料理を楽しみました 結構、塩とバターを使っているようなので、私にはちょっと濃かったかな、という感じですが、どれも凄く美味しかったです 西新橋の裏通りにあるこじんまりとしたレストランですが、隠れ家的に使えるかも

Yさんは20数年も今の仕事に携わって来られた頼りになる大ベテラン これからしばらくの間、残りの課題をF君にしっかり引き継ぎしてもらいます まずは一区切りということで、Yさん長い間お疲れ様でした F君、7月からは所長だよ。頑張ってください

 

  閑話休題  

 

相場英雄著「震える牛」(小学館文庫)を読み終わりました 相場英雄は1967年、新潟県生まれ。2005年に「デフォルト(債務不履行)」で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しました

警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川は、発生から2年が経ちいまだ未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件』の捜査を命じられる。当時の警察は、殺された二人に面識がなかったことから犯人を不良外国人による犯行と決め込んでいた しかし、田川は持ち前の根気強さで関係者の証言を再度積み重ねていき、新たな容疑者をあぶりだしていく 事件の裏には、大手ショッピングセンターの地方進出による地元商店街の”シャッター通り化”、加工食品の安全性問題が横たわっていた

文芸評論家西上心太氏が「解説」に次のように書いています

「ワンコイン弁当に、300円でおつりがくるファストフード・・・・『安全』な食材を仕入れ、従業員に適正な給与を払い、きちんとした利益を出す。経済活動におけるそんな当たり前のことが、はたしてできているのか 『企業努力』という美名のもとに、どこかにしわ寄せが及んでいるのではないか。『安さ』という言葉に、なにやら危うさを感じてしまうのである

この本を読み終わってから、日常の買い物を振り返ってみると、スーパーで売られている安いハンバーグなどは怖くて手が出ません ひき肉の中身は何の肉なのか?本当のところは製造者に訊かなければ分かりません。また、中国毒餃子事件など海外発の食をめぐる事件もあります この本は日常の食の安全についてあらためて考えさせられる警告書です

 

          

 

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佐村河内守「交響曲第一番」、誉田哲也「月光」、堀川アサコ「幻想映画館」、椰月美智子「るり姉」を買う

2013年06月24日 07時00分09秒 | 日記

24日(月)。昨日は日曜日にもかかわらず、コンサートの予定もなく映画にも行きませんでした。6月に入って初めてです 午前中に電話で新日本フィルの室内楽シリーズ「音楽家たちの饗宴2013-2014」前半4回分の指定席を予約しました 現在かなり前方の左サイド通路側ですが、さらに一つ前の席に移ることにしました。4回のうち2回が他のオペラやコンサートと日程が重なっていますが、10月のオペラは振替サービスで他の日に振り替えてもらうことにします 11月の東響オペラシティシリーズは振替サービスがないので、前日までにどちらを聴くか決めようと思います。どちらも聴きたいのですが、片方を諦めるしかありません

 

  閑話休題  

 

午後は以前から欲しかった品物の買い出しに行きました まず、池袋のTデパートで靴を買いました。これまで最も履き心地が良かったECCOの靴が欲しかったのですが、あいにく黒しかないとのことで諦めて、実際に履いてみて軽かったROCKPORTの茶色の靴を買いました

次いで家電量販店Bのオーディオ売り場に行き、CDプレーヤーを探しました 

今リビングには主にLPレコードを再生するためのタンノイ・アーデン(スピーカー)を中心とするシステムがデンと構えているのですが、ここ数年コンサート通いが忙しく、休眠状態にあります ベルト・ドライブのマイクロのターン・テーブル(レコード・プレーヤー)のゴムが伸びきっているのではないかと内心不安な毎日を送っています

一方、いま寝室で使用しているのは小型のDVDプレーヤーで、音だけを聴いているのですが、以前から音楽を再生中にキュルキュルと異音がしたかと思うと急に音が消えて、そうかと思うと、また音が出てきたりと、一言でいうと故障しているのです 1万円もしない安物だったので、修理するより新品を買った方が安上がりだということで、ここ数か月、コンパクトで音が良いプレーヤーをあちこちのオーディオ・ショップで探し求めていたのです

幸いTEACのPD-H01という奥行きの浅いCDプレーヤーを発見したので、29,800円で買いました 家に帰って、さっそくQUADのアンプにつなげてスピーカーHARBETH P3から音を出すと、クリアな音でHJリムの弾くベートーヴェンの”ハンマークラヴィーア・ソナタ”を再生しました この時の感激をどう表現したらいいでしょうか

 

          

            (右上にのっている黒い機械が新しいCDプレーヤー)

 

          

           (ベートーヴェンの”ハンマークラヴィーア・ソナタ”収録のCD)

 

  も一度、閑話休題  

 

本を4冊買いました 1冊目は佐村河内守著「交響曲第一番~闇の中の小さな光」(幻冬舎文庫)です 佐村河内守は音楽大学にも行かず、独学で音楽を学び、全聾となり偏頭痛と闘いながらも、交響曲第1番を完成させた天才作曲家です。その壮絶な半生を綴ったのが本書です

 

          

 

いま彼の「交響曲第1番」のコンサートが東京、横浜を中心に全国展開中です 私も7月21日(日)に横浜のみなとみらいホールまで聴きに行きます。なお、この作品はCDになっていて現在、大ベストセラーを続けています

 

          

          

 

2冊目は誉田哲也著「月光」(中公文庫)です 誉田哲也といえば「ジウ(3巻)」「ストロベリーナイト」などでお馴染みのミステリー作家です。彼の作品は文庫化するたびに買っています

 

          

 

3冊目は堀川アサコ著「幻想映画館」(講談社文庫)です。某新聞の書評で読んでおもしろそうだと思いました

 

          

 

最後は椰月美智子著「るり姉」(双葉文庫)です。これも新聞の書評で読んで興味が湧きました

 

          

 

これらの本は、いずれこのブログでご紹介していきます

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ダニエル・ハーディング+新日本フィルでマーラーの「交響曲第6番イ短調」を聴く

2013年06月23日 07時03分01秒 | 日記

23日(日)。昨日の朝日夕刊スポーツ欄に「元阪神ブラゼル ロッテに入団へ」という小さな記事が載りました

ブラゼルと言えば昨年の阪神戦のテレビ中継を思い出します。阪神チャンスの場面でブラゼルが登場すると、カメラが客席を映します すると「頼むぞブラゼル!」のボードとともに「天使のブラ!」と書かれたボードが写し出されました。テレビに向かって思わず「あんた、トリンプかワコールのまわし者かい」とツッコミを入れました が、よく考えると、ブラゼルは日本語読めないし・・・・・・でも、もしブラゼルが読めたら打つ気が失せて三振してしまうだろうな・・・・・これじゃ、三振タイガースになっちゃうよな・・・・と一人心配して、胸のつかえがなかなか取れませんでした

 

  閑話休題  

 

昨日、すみだトりフォニーホールで新日本フィルの第509回定期演奏会を聴きました ダニエル・ハーディングがマーラーの交響曲第6番イ短調”悲劇的”を指揮します

 

          

 

交響曲第2番、第3番、第4番で声楽を含む楽曲を作曲したマーラーは、20世紀に入ると純器楽による交響曲の作曲に打ち込みます。第5番(1901~02)、第6番(03~04)、第7番(04~05)の3曲です第6番イ短調は1906年5月27日、エッセンでマーラー自身の指揮によって初演が挙行されました 「悲劇的」という愛称は1907年のウィーン初演時の配布印刷物に記されていたと言われています

拍手に迎えられてコンマスの豊嶋泰嗣が席についてチューニングが始まります オケはハーディング・シフトを採ります。向かって左から後ろにコントラバス、前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置、総勢約110人です。新日本フィルの室内楽シリーズの会員になっているので、お馴染みの顔があちこちに見られます プレトークの達人・篠原英和さんも右サイドの第2ヴァイオリン席でスタンバイしています

小柄なダニエル・ハーディングがタクトを振りおろし、第1楽章の”悲劇の行進曲”とでもいうべきメロディーが刻まれます ここにマーラーが近い将来待ち受ける悲劇が感じ取れます

しかし、実際にはこの作品を作曲する前の1902年3月にはアルマと結婚、同年11月には長女が、04年6月には侍女が生まれます。そんな幸せの絶頂にある時、まさに彼は”悲劇的”なイ短調の交響曲を書いたのです

第2楽章のアンダンテは弦が非常に美しいメロディーを奏でます。そこに管楽器が加わって美しいハーモニーを奏でていきます 新日本フィルは弦楽器も素晴らしいことを再認識しました

第3楽章のスケルツォは、またしても重い悲劇が押し寄せてくるような曲想です。管弦楽が咆哮します

そして、間を置かずに第4楽章のフィナーレに突入します。マーラーは当初、この楽章でハンマー(小槌)を5か所で叩くように構想していたのですが、まず2か所が削除され、おそらく初演までに最後の箇所も抹消され、最終的には2か所のみの使用となりました

ハンマーの位置は舞台右奥のチューバの右前、ハープの後ろ側ですが、彼らは2度の打撃の時に腰が浮いたのではないかと想像します。相当大きな音が会場に響き渡ります

ろくに知識のない私などは、ハンマーの打撃が当初の5回から2回まで減ったのは、劇場支配人から「うちの劇場を壊す気か」と苦情を言われたからではないかと思ったりするのですが、やっぱり違うでしょうね。もっと深い意味があるのでしょう

最後の一音が鳴り終わりましたが、ハーディングはタクトを上げたまま下ろさなかったため、会場はしばし無音の状態が続きました 30秒くらい経ったときにやっとタクトが下り、拍手 とブラボーが舞台に押し寄せました。定期会員はこうでなくてはなりません。演奏直後は「沈黙は金なり」です

 

          

 

 この公演は私の今年100回目のコンサートでした。自己新記録への挑戦はまだまだ続きます

 

 

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HJリムのベートーヴェン・リボリューションを聴く~ピアノ・ソナタ第8番、12番、23番、32番

2013年06月22日 07時00分26秒 | 日記

22日(土)。昨夕、浜離宮朝日ホールでHJリムのピアノ・リサイタルを聴きました 彼女のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会(第19番と第20番を除く)の一環です。プログラムはベートーヴェンの①ピアノ・ソナタ第8番ハ短調”悲愴”、②同第23番ヘ短調”熱情”、③同第12番変イ長調”葬送”④同第32番ハ短調です 使用楽器はヤマハCFX。日韓関係が微妙な中、韓国のピアニストが日本製のピアノを弾くことに挑戦します 結論から言えば、それは衝撃的な演奏でした

 

          

 

自由席のため早めに会場へ 5列16番の右ブロック左通路側席を押さえました。会場は7~8割程度くらいの入りでしょうか。最前列中央の席に音楽評論家・宇野巧芳氏の姿が見えます そもそも私がHJリムのベートーヴェンを聴こうと思ったきっかけは、たまたま新聞紙上で宇野氏の「この演奏会を聴かないと後悔する」という論評を見たからです

ロビーでプログラムを読んでいると、「6時45分から7時までHJリムによるプレトークがあります」というアナウンスがありました 時間になると上下黒一色の衣装に身を包まれた長い黒髪のHJリムが通訳とともに登場、この日演奏する4曲について彼女の解釈を披瀝しました 500円で買い求めたプログラムにも彼女自身によるソナタ全曲の解釈が載っていますが、演奏する側がどういう姿勢で楽曲に取り組むのかが分かり、プレトークとともにとてもいいことだと思います

 

           

 

演奏は7時5分から始まりました。1曲目のソナタ・ハ短調”悲愴”は、ベートーヴェンがタイトルを付けた唯一のソナタです ”悲愴”というタイトルが相応しいのかどうか、むしろ熱情に近いニュアンスだと思います もっともこの後演奏するソナタ・ヘ短調が”熱情”というニックネームをもっているので紛らわしくなりますが

第1楽章に入るや否や、力強いピアノ演奏に彼女の尋常ならざる集中力を感じます 何という強靭なベートーヴェンなのか 「お行儀のよいベートーヴェン」とは無縁の、なりふり構わぬベートーヴェンが鳴り響きます 長い黒髪、黒い衣装、獲物を追いかける雌豹のような俊敏な動き・・・・・・・・若き日のマルタ・アルゲリッチを想い起します

2曲目のソナタ・ヘ短調”熱情”では、その演奏スタイルが一層顕在化します。一言でいえば”狂気迫る演奏”です まるでベートーヴェンがリムに乗り移ったような演奏です もしベートーヴェンが生きていて、この会場で彼女の演奏を聴いたなら、終わるや否や舞台に駆け上がって彼女を抱きしめるでしょう。「私は、こういう演奏を待っていたのだ」と叫んで。

CD売り場に「サイン会あります」の表示があったので、15分休憩にロビーで彼女のCDを買いましたベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集(輸入盤8枚組・3990円)です。さて、どのCDにサインをしてもらおうかな、と悩みました

プログラム後半第1曲目はソナタ・第12番変イ長調です。第3楽章に送葬行進曲があるため”葬送”というニックネームが付けられています リムは第1楽章が始めって間もなく、右手を挙げ人差し指を左右に振りました。「ノー、ノー」というサインです 彼女の書いた解説には「弱り切った心の内や精神状態が第1楽章の変奏曲によって奏でられ、もはや手の届かないところにある人世の喜びに哀愁のまなざしを向けているかのようだ。このソナタを作曲したすぐあと、彼はハイリゲンシュタットで遺書をしたためているのだ」と書いています この時、彼女はベートーヴェンと会話をしていたのです。身振り手振りで「そんな弱気になっちゃだめだよ」と語りかけていたのです

ソナタ・第32番ハ短調はベートーヴェン最後のピアノ・ソナタです。第2楽章の第3変奏はまるでジャズです リムは自由にテンポを揺らして演奏します 最後に演奏される穏やかな音楽は、リムの言葉を借りれば「勝ったとか負けたとか、そういうことではない。日本に”悟りをひらく”という言葉があるが、そういう世界だ」という音楽です

終演後、圧倒的な拍手 とブラボーが会場を満たしましたが、何度も舞台の呼び戻されたリムは、ついに折れて、アンコールを演奏しました。演奏前にリムが「マイ・フェバリット~」と言ったので、彼女のお気に入りの曲を演奏したのだと思いますが、サインをもらうことに気を取られて、アンコール曲名を控えるのを失念してしまいました

通路側席の利点を生かして、すぐにロビーに行きサイン会に臨んだのですが、本当は1番だったのに、脇から一人の中年男が割り込んできたので2番になってしまいました しかも、この男、何をとち狂ったか、手持ちのCDを4~5枚も広げ、プログラムも広げて、すべてにサインをもらおうとしているのです さすがに、係りの人にサインを求める人が多いので、一人1枚にしてほしいと言われて諦めたようです私は4枚組CDのうち、この日の演奏曲目を収録した4組目のCDジャケットにサインをしてもらいました

 

          

           

 

今後しばらくはコンサートでベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴く気にはなりません どんな演奏を聴いても凡演に聴こえてしまうでしょうから この日の演奏はまさに今回のキャッチフレーズ”ベートーヴェン・リボリューション”にふさわしい革命的な演奏でした 他のコンサートと重なっていなければすべての公演を聴きたかったと思います。それが心残りです 宇野氏に感謝しなければなりません。いずれ彼は”音友”や新聞に演奏会評を書くのでしょうが、内容はだいたい想像できます 

 

          

 

プログラムに載った予告によると次のリムのベートーヴェン・リボリューションは「ベートーヴェン生誕250年祭」の2020年(今から7年後)、その後はベートーヴェン没後200周年の2027年(14年後)とのこと。”生きていれば”必ず聴きに行きます その前に、次回のHJリムの来日予定は来年2014年11月とのこと。プログラムは何だろうか?気になります。もちろんこれも聴きに行きます

 

          

 

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中村文則著「掏摸(スリ)」を読む~運命とは何か?

2013年06月21日 07時00分29秒 | 日記

21日(金)。CIAの元職員が「米国政府がインターネットを通じて世界中の個人情報を極秘に集めていたことを暴露した」問題で、ドイツの複数のメディアが加えた論評がふるっています 曰く、

「オバマ氏はイエス・ウィ―・キャンではなく、イエス・ウィ―・スキャンだ」

うまい can に s を付け加えただけなのに・・・・さすがはプロです 私などは s ではなく a を付けて acan (アカン)です

 

  閑話休題  

 

19日の日経夕刊「エンジョイ読書」欄で青山通著「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた」(アルテスパブリッシング)が紹介されていました 風俗史家の井上章一氏は次のように論評しています

「『ウルトラセブン』はテレビで1967年に初めて放映された その最終回、第49話で主人公のダン隊員がアンヌ隊員に、自分はウルトラセブンだと正体を告げる その山場でBGMとして流れていたのはシューマンのピアノ協奏曲だった その時の演奏は誰のだったのか?少年だった青山氏の追跡が始まる

ル―ビンシュタインの弾き方は遅すぎる ケンプには起伏がない アンセルメの指揮でリパッティが弾いた演奏は比較的近いが、ずれもある。そしてついに、その時の演奏はカラヤンと組んだリパッティの演奏であることを突き止める 演奏者による解釈のちがいを、たのしむ。クラシック鑑賞のそんな勘所が、少年の成長物語とともにしめされる

ウルトラセブンは私もテレビで観ていましたが、その頃は、クラシック音楽とはまったく無縁で、シューマンよりもシューマイでした 少年時代の青山氏の根性には敬意を表しますが、1,600円は高い 文庫本になったら買うことにします

 

  も一度、閑話休題  

 

中村文則著「掏摸(スリ)」(河出文庫)を読み終わりました 文庫の帯に「アメリカ、イギリス、フランス、中国、韓国・・・・既に7か国語で翻訳!」とあります

東京の繁華街を仕事場とする天才スリ師は、ある日”最悪の男”と再会します 男は木崎といい、かつて仕事をともにした闇社会の男です。木崎は彼に言います。「これから3つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」。彼は逃げずに仕事をこなしますが、最後には殺される運命にあります

「あの女と子供」とは、たまたま彼が目撃した万引き母子のことです。彼はその子に万引きの仕方を教えますが、早く手を引けと言います。一方,母親には自分で子供を育てられないのなら金を提供するから施設に預けるようにと説得します

彼は逃げようとすれば逃げられたはずですが、それが出来ませんでした 運命を感じたのでしょうか。自分の意思で人生を生きるとはどういうことか、他人の人生を支配するとはどういうことか・・・・・・深刻な問いかけをして物語を閉じます

生まれついた環境や、自分では選べない親の影響で、不本意な人生を送っている人たちは数限りなく存在します そういう環境から脱するためには相当な努力と忍耐が求められるのはもちろんですが、一人の力では如何ともしがたい現実があります 例えば、もし自分が北朝鮮に生まれたらどうだったでしょうか? それを運命として受け容れるしかないのでしょうか この本を読んで、そんなことを考えてしまいました

 

          

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