30日(土)。昨日の朝日夕刊に「モーツアルト肖像画 4.8億円」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、
「モーツアルトが13歳の時の肖像画が27日、パリで競売にかけられ、当初の予想を上回る400万ユーロ(約4億8千万円)で落札された これは1770年にイタリアの画家によって制作された油彩画で、モーツアルトの存命中に描かれた4枚のうちの1枚という。同年1月にイタリア北部ベローナでオルガンの演奏会を開いた直後の作品だという 絵の中のモーツアルトはチェンバロを弾いている。チェンバロの上に置かれた楽譜も描かれており、それがモーツアルトの作品であるという可能性があるという」
赤い服をまとい、チェンバロを弾く仕草をしてこちらを向いている白い鬘の青年の肖像画は、どこかで見たことがあるような気がします 記事に「未発見の肖像画」とは書かれていないので、われわれが目にしたことがある肖像画かもしれません
ということで、わが家に来てから今日で1888日目を迎え、国民の税金を使って首相が主催する「桜を見る会」の招待者に、特定証取法違反容疑で今年 家宅捜査を受けた「ジャパンライフ」の元会長が安倍晋三首相の推薦で2015年に招待を受けていた可能性があるので出席者名簿を提示せよという野党の追及に対し、政府側は名簿の破棄を理由に説明せず29日午前の国会審議に応じなかった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
紙の名簿も電子データも残ってないなんて そんないい加減な言い訳 誰が信じる?
昨日、夕食に「卵とトマトの炒め物」を作りました これは娘の大好物です
昨夕、東京芸術劇場コンサートホールで東京音楽大学創立111周年記念演奏会を聴きました プログラムは①三善晃「管弦楽のための協奏曲」、②ベートーヴェン「交響曲第2番 ニ長調 作品36」、③バルトーク「管弦楽のための協奏曲」です 管弦楽=東京音楽大学シンフォニーオーケストラ、指揮=東京音大特任教授・下野竜也です
自席は1階J列27番、右ブロック左から3つ目です。会場は、出演学生の家族・親戚・友人・知人を中心に、私のような何の関係もないただの音楽好きも含めてかなり埋っています
オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成。コンミスは奥山羽衣さんです 全体を見渡すと、コントラバスを除いて各セクションとも女子学生が圧倒的に多く、「東京音大よお前もか」という感じです。まあ、これが現代の音楽大学の実情なのでしょう
1曲目は三善晃「管弦楽のための協奏曲」です この曲は三善晃(1933-2013)が1964年に完成した作品で、オリンピック東京大会協賛芸術展示の一環として、外山雄三指揮NHK交響楽団による特別演奏会で初演されました 日本人作曲家を大切にする下野竜也が、この日のメインプログラムのバルトークの同名作品に合わせて選んだ第1曲です 第1楽章「プレスト・モルト・ヴィーヴォ」、第2楽章「レント」、第3楽章「プレスティッシモ」の3楽章から成ります
下野竜也の指揮で第1楽章が開始されますが、冒頭からテンションが高い音楽で、ストラヴィンスキーばりの激しい変拍子が続きます 第2楽章は一転、武満徹風の抒情的な音楽が演奏されます そして第3楽章は再び変拍子のリズム中心の音楽が展開します 短い曲なのであっという間に終わってしまいました
2曲目はベートーヴェン「交響曲第2番 ニ長調 作品36」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1801年から翌02年にかけて作曲、1803年4月5日にアン・デア・ウィーン劇場でベートーヴェン自身の指揮により初演されました 第1楽章「アダージョ・モルト~アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります
現代から古典へ戻るので、オケは管・打楽器が縮小します 下野竜也の指揮で演奏が開始されますが、全体を聴いた印象は、オーボエ、隣のフルート、その後ろのクラリネット(いずれも女子)の”木管トライアングル”とでも言うべき3人の演奏が並外れて優れていて、思わず演奏に引き込まれます それから厚みのある弦楽合奏が素晴らしい そして、おそらく古楽器と思われるティンパニが固いマレットにより小気味よいリズムを刻んでいました 師匠ハイドンの影響から抜け出そうとするベートーヴェンの意気込みがオケ全体から伝わってきました
プログラム後半はバルトーク「管弦楽のための協奏曲」です この曲はベーラ・バルトーク(1881-1945)がクーセヴィツキ-夫人の追悼、クーセヴィツキー生誕70周年、ボストン交響楽団指揮者就任20周年を記念して1943年に作曲、翌1944年にボストンで初演され、クーセヴィツキ-財団に献呈されました
第1楽章「導入:アンダンテ・ノン・トロッポ~アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「対比の戯れ:アレグロ・スケルツァンド」、第3楽章「哀歌:アンダンテ・ノン・トロッポ」、第4楽章「遮られた間奏曲:アレグレット」、第5楽章「終曲:プレスト」の5楽章から成ります
下野竜也の指揮により第1楽章が低弦の響きで開始されます この曲においてもオーボエ、フルート、クラリネットの”木管トライアングル”の演奏が冴えましたが、さらに金管ではトランペットが素晴らしい 第2楽章では冒頭のファゴットが素晴らしく、ミュート付きのトランペットも味のある演奏を展開しました 第3楽章では”木管トライアングル”に素晴らしいピッコロが加わりました また、弦楽器の渾身の演奏が印象に残りました 第4楽章では管楽器による”馬のいななき”が傑作で、他の作曲家をおちょくっているような印象を受けました 第5楽章はオーケストラの総力を挙げての渾身の演奏で、聴衆を熱くしました
カーテンコールが繰り返された後、下野竜也がマイクなしで次のようにあいさつしました
「この4月から東京音大の特任教授となり、このオケの身内になりました この日の本番を迎えるまで学生たちはよく練習に励んで成果を出してくれたと思います 私は今年50歳になりましたが、ここにいる若者たちが30年後にも音楽を続けていられるような平和な世の中が続くように、という願いを込めて、プーランクが作曲した歌曲『平和のためにお祈りください』を編曲した曲をアンコールに演奏します」
そして、弦楽器と木管により穏やかな曲を演奏、心のこもった温かい拍手を受けました 下野氏は2017年4月から原爆被災地・広島の広島交響楽団の音楽総監督に就任しているので、アンコールの選曲にも自然とそういう発想が出てくるのでしょう 東京音大は最良の特任教授を迎えましたね
なお、参考までに はバルトーク「管弦楽のための協奏曲」は、 明日午後3時からミューザ川崎で開かれる「第10回音楽大学オーケストラ・フェスティバル」第3日目公演で、石崎真弥奈指揮東京音大オーケストラによって演奏されます
東京芸術劇場の1階にはクリスマスツリーが飾られていました おのおの方、油断召さるな 明日から12月ですぞ