4日(木)。わが家に来てから今日で2762日目を迎え、国連難民高等弁務官事務所は2日、ロシアによる軍事侵攻が始まって以来、ウクライナから国外に脱出した人が1千万人を超えたと公表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
多くは難民ということだ 主権国家を侵略し 国民を追い出したロシアの罪は多大だ
昨日は、夕食に娘が職場の同僚から仕入れてきた「馬肉を刺身」にして、「生野菜サラダ」「冷奴」「マグロの刺身」と一緒に食べました 馬刺しは柔らかくてとても美味しかったです
昨日、ミューザ川崎でフェスタサマーミューザ KAWASAKI 2022 参加公演「新日本フィルハーモニー交響楽団 山本直純生誕90年と 新日本フィル創立50年を祝う!」を聴きました プログラムは山本直純作曲①シンフォニック・バラード、②和楽器と管弦楽のためのカプリチオ、③児童合唱とオーケストラのための組曲「えんそく」(抜粋)、④童謡メドレー「1年生になったら」~「こぶたぬきつねこ」~「おーい海」~「歌えバンバン」(山本祐之介編曲・指揮)、⑤山本正美「Spring has come」、⑥白銀の栄光(札幌オリンピック入場曲:1972年)、⑦NHK大河ドラマ「武田信玄」テーマ曲(1988年)、⑧CMソング、TV・ラジオ番組メドレー(山本祐ノ介編曲)=「森永チョコレート」 ~ 「サントリー純生」 ~「8時だよ!全員集合」 ~ 「マグマ大使」 ~ 「3時のあなた」 ~ 「小沢昭一の小沢昭一的こころ」~「ミュージック・フェア」~「男はつらいよ」です
なお、当初「田園・わが愛」より「ふるさと」他が演奏される予定でしたが、合唱団メンバーからコロナ陽性者が出たことから、演奏されませんでした
演奏は②の和楽器:箏=田村法子、三味線=野澤徹也、尺八=石垣征山、竜笛=伊崎善之、邦楽打楽器(和太鼓と鼓)=望月太喜之丞、富田慎平、長田伸一郎、ギター=尾尻雅弘、ドラムス=東佳樹、③④の合唱=東京音楽大学合唱団有志(女声6人)、指揮=梅田俊明(コロナ陽性となった広上淳一氏の代役)、山本祐ノ介(④のみ)です
2022年は山本直純(1932ー2002)の生誕90年・没後20年に当たります 彼は高校時代に齋藤秀雄の指揮教室で小澤征爾らと共に学び、東京藝大作曲家に入学、在学中から放送等の分野で作曲活動を展開しました その頃の彼の天才ぶりや捧腹絶倒の活躍ぶりは今年6月7日付の toraブログ でご紹介した岩城宏之著「森のうた 山本直純との藝大青春記」に詳しく書かれています 1968年からは森永チョコレートのCM「大きいことはいいことだ」の作曲と出演で日本中の話題をさらい、1972年には小澤征爾と共に新日本フィルの創立に参画しました 1972年~83年にはテレビ番組「オーケストラがやって来た」の音楽監督と司会で活躍、赤いタキシードに口ひげと黒縁メガネといういで立ちでクラシック音楽の普及に大きな貢献をしました
彼は4000曲もの作品を残しました この日演奏された作品はその中のほんの一部です
オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び コンマスは崔文洙、その隣はゲスト・コンマスの伝田正秀というダブル・コンマス態勢を敷きます 第2ヴァイオリンのトップには卒業生・吉村知子が一時 返り咲いています
1曲目は「シンフォニック・バラード(交響譚詩)」です この曲は1983年、「オーケストラがやって来た」の放送終了に際して、番組のメイン楽団・新日本フィルの委嘱で書かれた作品です 第1楽章「リソナンス」、第2楽章「ロマンス」、第3楽章「リメンブランス」、第4楽章「ダンス」の4楽章から成ります 第1楽章は和洋混合という感じの曲風です 第2楽章ではマルコス・ペレス・ミランダのクラリネットが良く歌いました 第3楽章ではホルンのアンサンブルが素晴らしかった
2曲目は「和楽器と管弦楽のためのカプリチオ」です この曲は日本フィルが1958年に開始した委嘱新作企画「日本フィル・シリーズ」の第10作です 1963年、藝大時代の師匠・渡邊暁雄の指揮で初演されました (前出「森のうた」に紳士の渡邊教授が出てきます)。この曲は全5楽章から構成されていて、日本の四季が描かれています 第2楽章以降は続けて演奏されます
オーケストラの手前の、下手側に箏=田村法子、三味線=野澤徹也、尺八=石垣征山、竜笛=伊崎善之がスタンバイし、上手側にドラムス=東佳樹、邦楽打楽器(和太鼓と鼓)=望月太喜之丞、富田慎平、長田伸一郎がスタンバイ、そのやや後方にギター=尾尻雅が控えます
梅田の指揮で演奏が開始されます 30分を超える大作ですが、洋風の曲想あり、和風の曲想あり、ラテン的な趣の音楽あり、ポピュラー音楽風ありといった、何でもありの賑やかな音楽でした 第1楽章では箏、尺八、三味線、竜笛の演奏が素晴らしい 第3楽章におけるドラムス・ソロは迫力満点でした その直後の2台の和太鼓のコンビネーションも腹の底にズシンと迫ってきました
プログラム後半の1曲目は、合唱とオーケストラのための組曲「えんそく」から「光る」と「おべんとう」が東京音楽大学合唱団の女声6人によって楽しく歌われました 少人数となったためマイクが入りました
ここで指揮者が梅田氏から直純氏の次男・山本祐ノ介氏に代わり、女声6人により童謡「1年生になったら」~「こぶたぬきつねこ」~「おーい海」~「歌えバンバン」が楽しく元気に歌われました この6人凄くいいと思います 祐ノ介氏の指揮はアクションが大きく、生前の直純氏の棒振りを意識して再現しているように見えました 聴衆を喜ばせるサービス精神は遺伝したようです
再び指揮が梅田氏に任され、山本正美「Spring has come」の演奏に入ります この曲は直純氏の妻・正美さんの交響組曲「日本のリズム」三部作の1曲です 柴田克彦氏のプログラム・ノートによると、直純氏と正美さんは藝大の同期生だったそうです(ドウキが不純だ、とは言うまい)。正美さんは上皇后美智子妃の詩に付曲した「ねむの木の子守歌」で知られているとのことですが、ちっとも知りませんでした 本作が1976年に秋山和慶指揮東京交響楽団のアメリカ公演で初演された時は大喝采を受けたそうですが、曲を聴くとよく分かります 楽団員の「いよー」という威勢の良い掛け声と手拍子による導入は極めて日本的で、中身は和風テイスト満載、最後も三三七拍子風に威勢よく締めくくられます 声と手拍子を楽器として活用するところは非凡だと思います
次の曲は1972年の札幌オリンピック入場行進曲「白銀の栄光」です この曲は壮大であるとともに軽妙さを持ち合わせた行進曲で、本人も気に入っていたそうです
続けて1988年に放映されたNHK大河ドラマ「武田信玄」のテーマ曲が演奏されます 私もこの頃は大河ドラマを観ていたので、何となく思い出しました。勇壮な音楽です
最後は山本祐ノ介編曲によるCMソング、TV・ラジオ番組メドレーです 「森永チョコレート」 ~ 「サントリー純生」 ~「8時だよ!全員集合」 ~ 「マグマ大使」 ~ 「3時のあなた」 ~ 「小沢昭一の小沢昭一的こころ」~「ミュージック・フェア」~「男はつらいよ」がメドレーで演奏されました 山本直純は「男はつらいよ」の1969年からの48作と特別編の全音楽を担当しました この曲の後半でマルコス・ペレス・ミランダがテーマのソロを吹きましたが、これがなかなか聴かせてくれました フルオーケストラで「男はつらいよ」を聴いたのは今回が初めてで、感激しました 世に数多の名曲はあれど、冒頭の音楽だけで曲名が分かるのは「男はつらいよ」くらいだと思います 名曲です
これで終わりか・・・と思っていると、舞台上に再びコーラス用のマイクが設置されました 女声6人が再登場し、アンコールの歌を歌い始めました いったい何の曲か・・・と思いながら聴いていると最後に「好きです 川崎 愛の町」と歌っています 「なんだ、ミューザ川崎の地元の歌か」と思いましたが、なぜアンコールに川崎のPRソングを歌うのか?と疑問に思いました 気になったので、帰りの電車の中で Wikipedia で検索してみたら「川崎市民の歌 : 好きです かわさき 愛の街」という曲であることが分かりました まさか と思って作曲者名を見ると「山本直純」とありました あらためて、音楽界のマルチタレント=山本直純を再認識し、凄い人だったんだなぁ、と思いました
曲間のインタビューで「リハの2日前に代役を依頼されまして・・・」と語っていた指揮者・梅田俊明氏に「プロフェッショナル」を見ました