人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

誉田哲也著「フェイクフィクション」を読む ~ 騙された新興宗教団体に復讐を仕掛ける元信者と元プロキックボクサーの物語 / アンソニー・ホロヴィッツ著「死はすぐそばに」他を買う

2024年09月30日 00時01分39秒 | 日記

30日(月)。月末を迎えたので、恒例により9月の3つの目標の実績をご紹介します ①クラシックコンサート=16回、②映画鑑賞=1本、③読書=7冊でした なお、①は他に公開リハーサルを1回(26日)見学し、本日午後、オペラのゲネプロを見学します ②映画鑑賞が極端に少ないのは相変わらず腰痛悪化防止のためです

ということで、わが家に来てから今日で3548日目を迎え、米大統領選の共和党候補であるトランプ前大統領は28日、激戦が予想されるウィスコンシン州で演説し、不法移民を激しく非難し、民主党候補のハリス副大統領を「精神障害者」「知的障害者」と呼び、個人攻撃をエスカレートさせた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     「精神障害者」と「知的障害者」に「自己中心主義者」を加えたらトランプになる

         

手元の本がなくなったので、いつも通りジュンク堂書店池袋本店で本を7冊購入しました

1冊目はアンソニー・ホロヴィッツ著「死はすぐそばに」(創元推理文庫)です ベストセラー「カササギ殺人事件」をはじめ「ヨルガオ殺人事件」「メインテーマは殺人」など、彼の作品はすべて読んできましたが、本書は待望の最新文庫本です

     

2冊目は中山七里著「作家刑事毒島の嘲笑」(幻冬舎文庫)です 中山七里の作品も文庫化されたものはすべて読んでご紹介してきましたが、本作は文庫最新本です

     

3冊目は東川篤哉著「新  謎解きはディナーのあとで」(小学館文庫)です 2011年に刊行された「謎解きはディナーのあとで」は第8回本屋大賞第1位を獲得、映画化されるなど大きな話題を呼びました 本書は新シリーズの第1弾です

     

4冊目は西條奈加著「金春屋ゴメス」(新潮文庫)です この著者の本は「隠居すごろく」を初めて読んだときに、江戸時代の話なのにとても面白く書かれていて、筆力のある作家だと思いました その後に読んだ「心淋し川」(芥川賞受賞)も素晴らしかったので、「ゴメス」というタイトルにも惹かれて購入しました

     

5冊目は井岡瞬著「仮面」(角川文庫)です 井岡作品はこれまで文庫本を集中的に読んできましたが、久しぶりの文庫作品です

     

6冊目は小野寺史宣著「天使と悪魔のシネマ」(ポプラ文庫)です この著者の「ライフ」「まち」を読んで読後感が良かったので、本書を手に取りました

     

7冊目は佐藤正午著「エッセイ・コレクションⅢ つまらないものですが。」(岩波現代文庫)です 「かなりいいかげんな略歴」「佐世保で考えたこと」に次ぐエッセイ・コレクション第3弾です

     

いずれも、読了後 順次ご紹介していきます

ついでに、と言っては何ですが、ジュンク堂書店の脇の通路の一画に「ABC」という看板を発見しました これは25日の「名曲リサイタル・サロン」のトークで石田組長が「生姜焼き定食」の美味しい店として紹介していたお店です この日は11時半頃でしたが、お店の前に長蛇の列が出来ていました どうやら 知る人ぞ知る有名なお店のようです 次にジュンク堂に行く時は早めに家を出て、立ち寄ってみようと思います

         

誉田哲也著「フェイクフィクション」(集英社文庫)を読み終わりました 誉田哲也は1969年東京都生まれ。2002年「妖の華」でムー伝奇ノベル大賞優秀賞を獲得しデビュー。2003年「アクセス」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞 著作に「ストロベリーナイト」シリーズ、「ジウ」シリーズ、「プラージュ」「主よ、永遠の休息を」など多数

本書は2021年11月、集英社から刊行され、2024年8月に文庫化されました

     

都下の路上で首なし死体が発見され、刑事の鵜飼は現場に急行し、地取り捜査を開始する 司法解剖の結果「斬首」により殺害されていたことが判明する 一方、プロキックボクサーだった河野潤平は引退後、都内の製餡所で働いていた 職場の新人・有川美折(みのり)に一目ぼれするが、美折が新興宗教「サダイの家」に関係していることを知り心配になる 彼が美折をストーカーのように追うと、彼に接近する者が現れる それは「サダイの家」の元信者らで、過去に家族が犠牲になったため、潤平の腕力に期待し 仲間に引き入れて「サダイの家」に復讐を企てているのだった 頭が単純な潤平は美折をカルト宗教から救い出したいがために、彼らの仲間に入り美折を奪還し復讐を決行する

本書は、カルト宗教による事件を、警察、元信者、宗教二世を含めた現信者、一般人の視点でテンポよく描いていきます カルト宗教ということでは、「オウム真理教」を思い浮かべますが、ただの水を聖水だと偽って信者に高く売りつけるという”霊感商法”ということでは、「統一教会(世界平和統一家庭連合)」を思い浮かべます また、躾けと称して親が子に鞭打つ暴力行為を訴えた宗教二世の話では「エホバの証人(ものみの塔)」を思い浮かべます

本書では、最初のうちは純粋に宗教団体としての真面目な教義に基づいて布教活動を行っていたはずの新興宗教が、世代が変わったり代表者が交代したりすると、如何に金儲け主義に走るか、如何に好き放題のことをやるようになるか、という実態を描いています

誉田哲也の作品の特徴は、登場人物のキャラが立っていることです 賢いのか頭が悪いのか分からない元キックボクサーの潤平、頼りなさそうで案外しっかりしている美折、口は悪いが心は優しい元信者の世津子、暴力団員ながら憎めない唐津・・と一人ひとりが魅力的に描かれています

最後まで分からないのは、本書のタイトル「フェイクフィクション」の意味です

本書の巻末には、ほとんどのミステリー小説の巻末と同じように「本書はフィクションであり、作中に登場する人物・団体等はすべて架空のものです」と書かれています

それでは、その「フィクションがフェイクだ」と言っているのだろうか? つまり「本書に書かれていることは本当のことだ」ということではないのか つまり、虚構の世界にこそ真実が隠されているということを言いたいのではないのか と思いますが、さてどうでしょうか

         

今日は新国立オペラ、ベッリーニ「夢遊病の女」ゲネプロの見学に行きます   新国立劇場の会員サービス「クラブ・ジ・アトレ」の抽選で当選したため実現しました

     

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セバスティアン・ヴァイグレ ✕ エドガー・モロー ✕ 読売日響でコルンゴルト「チェロ協奏曲」、リヒャルト・シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」組曲他を聴く ~ 土曜マチネーシリーズ

2024年09月29日 00時44分47秒 | 日記

29日(日)。昨日は1週間分の半袖シャツにアイロンをかけたのですが、日によって暑かったり涼しかったりするので、このまま半袖シャツのままで過ごせばいいのか、そろそろ長袖シャツに衣替えした方がいいのか、非常に迷います 週間天気予報によると、関東地方は10月第1週までは30度を超える日もあるとのことなので、とりあえず長袖シャツも出しておくことにしました それにしても10月に入っても30度超の真夏日って、どれだけ地球温暖化が進んでいるのでしょうか 日本から「四季」がなくなり夏と冬の「ニ季」になるのではないかと恐れます

ということで、わが家に来てから今日で3547日目を迎え、ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、米ニューヨークのトランプタワーでトランプ前大統領と会談し、ロシアへの「勝利計画」を提示し支援を要請したが、トランプ氏は肩入れを避け、「私が勝てば、非常に公平でかなり迅速な取引ができるだろう」などと述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     トランプの計画は 現状を固定し停戦することだろうが それはプーチンが喜ぶだけ

         

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで読売日響「第270回 土曜マチネーシリーズ」を聴きました 10月3日の「名曲シリーズ」が他公演とダブったため、本公演に振り替えました プログラムは①ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲、②ブルッフ「コル・二ドライ 作品47」、③コルンゴルト「チェロ協奏曲 ハ長調 作品37」、④同「シュトラウシアーナ」、⑤リヒャルト・シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」組曲です   演奏は②③のチェロ独奏=エドガー・モロー、指揮=セバスティアン・ヴァイグレです

振り替え後に指定された席は1階J列20番、センターブロック10列目の右から5番目です   読響としては最大限優先したつもりなのでしょうが、正直言って苦手な”奥の”席です    しかし客観的に見たら良い席と言うべきでしょう

     

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び コンマスは今回のマチネー公演でコンマスとして最後を迎える長原幸太、隣は戸原直というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はウェーバー:歌劇「オベロン」序曲です この曲はカール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)が1825年から26年にかけて作曲、1826年4月12日にロンドンで初演されたオペラの序曲です

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、松坂隼のホルンが素晴らしい   金子平のクラリネットが良く歌います そして、切れ味鋭い弦楽セクションの演奏が印象的です

     

2曲目はブルッフ「コル・二ドライ 作品47」です この曲はマックス・ブルッフ(1838-1920)が1880年に作曲、1881年にベルリンで初演されたチェロと管弦楽のための作品です 本作は2つのユダヤの旋律を用いていますが、あくまでも素材に過ぎず、宗教的な意味合いはありません

チェロ独奏のエドガー・モローは1994年パリ生まれの30歳。パリ国立高等音楽院とドイツのクロンベルク・アカデミーで研鑽を積む 2011年チャイコフスキー国際コンクールで第2位に入賞し注目を集めました

エドガー・モローが登場し、ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、モローの足元を見ると、真っ赤なソックスを履いています これを見て私は、「彼はレッドソックスのファンなのだろうか? だとすれば、日米交流戦の会場は江戸川か毛呂を希望するだろうな」と勝手に想像しました 馬鹿話はさておき、モローのチェロは哀愁を湛えた渾身の演奏で、ヴァイグレ ✕ 読響がソリストをしっかりと支えました

     

3曲目はコルンゴルト「チェロ協奏曲 ハ長調 作品37」です この曲はエーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト(1897-1957)が1946年に作曲、同年12月20日にロサンゼルスで初演されました 曲は単一楽章で「アレグロ・モデラート・マ・コン・フォッコ ~ グラーベ ~ アレグロ・モデラート ~ グランディオーソ」という構成になっています 本作は女性ピアニストを巡る作曲家とチェリストの三角関係を描いた「愛憎の曲(原題:Deception)」という映画を基に作曲されました

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、目まぐるしく変化するテンポや多彩な音色の表出はコルンゴルトらしさを感じさせます モローはカデンツァを超絶技巧を駆使して鮮やかに演奏、バックのオケと共に堂々たるフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返され、モローはJ.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲 第3番」から「サラバンド」を叙情的に演奏、聴衆のクールダウンを図りました

本番を聴くにあたり、ピーター・ディクソンのチェロ、マティアス・バーメルト指揮BBCフィルによるCDで予習しておきました

     

プログラム後半の1曲目はコルンゴルト「シュトラウシアーナ」です この曲は1953年に学生オーケストラ用の小品として楽譜出版社の依頼により作曲され、同年11月22日にイングルウッドで初演されました コルンゴルトは同じウィーン出身の作曲家としてヨハン・シュトラウス2世に親しみを感じていたことから、シュトラウスの「二ネッタ侯爵夫人」「ウィーンのカリオストロ」「騎士バズマン」の旋律を引用して、「ポルカ」「マズルカ」「ワルツ」の3つの楽章にまとめたのがこの作品です

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、最初の「ポルカ」は弦によるピッツィカートによる軽快な演奏です 「マズルカ」は弦楽器のアンサンブルが美しい 「ワルツ」は踊りたくなるような楽しい音楽です ヴァイグレは指揮台の上で踊らんばかりのノリノリの指揮ぶりを見せ、読響からゴージャスなサウンドを引き出しました

最後の曲はR.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」組曲です 「ばらの騎士」はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1909年から10年にかけて作曲した全3幕から成るオペラです 「組曲」は、ニューヨーク・フィルの指揮者だったアルトゥール・ロジンスキが、1944年にオペラ「ばらの騎士」から聴きどころを一つに繋げて交響詩風に編み直し、同年10月5日にニューヨークで初演した作品です

オケは16型に拡大し、ステージ下手にはハープ2台、チェレスタ、ピアノがスタンバイし、管・打楽器が増員されフルオーケストラ態勢になります

ヴァイグレにより演奏に入りますが、開始部はホルンの咆哮に弦楽器のめくるめくメロディーが重なる元帥夫人とオクタヴィアンの情事の音楽です 松坂隼のホルン、荒木奏美のオーボエ、金子平のクラリネットが良く歌います 続く第2幕のオクタヴィアンがゾフィーに銀の薔薇を渡す場面の音楽では、映画「ばらの騎士」(カラヤン ✕ ウィーン・フィル)のセーナ・ユリナッチがアンネリーゼ・ローテンベルガーに薔薇を渡すシーンを思い出し、背筋が寒くなる感動を覚えました  次いで、オクタヴィアンに腕を切りつけられて負傷したオックスが、ワインを飲んで機嫌を直して踊る有名な「オックス男爵のワルツ」が演奏されましたが、ヴァイグレは弦楽セクションに思い入れたっぷりに歌わせました そして、オペラの終結部の元帥夫人、オクタヴィアン、ゾフィーらの歌う三重唱、二重唱に移りますが、長原コンマスのヴァイオリン・ソロがロマンに満ちた演奏で素晴らしい 弦楽セクションが美しいハーモニーを奏で、最後に第3幕の居酒屋の場面で大騒ぎの後、オックスが退散する時の音楽がオケの総力を挙げて盛大に演奏され、華々しく全曲を閉じました

読響からゴージャスなサウンドを引き出したオペラ指揮者・ヴァイグレの面目躍如たる指揮ぶりに、満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました

ヴァイグレは長原コンマスと固い握手を交わしました 

長原さん、長い間お疲れさまでした 数々の名演奏を聴かせていだだきました。ありがとうございました これからのご活躍をお祈りいたします

     

     

     

     

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久石譲 ✕ 宮田大 ✕ 新日本フィルでドヴォルザーク「チェロ協奏曲」、ブラームス「交響曲第1番」を聴く ~ 「すみだクラシックへの扉」9月度定期公演

2024年09月28日 00時01分05秒 | 日記

28日(土)。わが家に来てから今日で3546日目を迎え、米当局者が明らかにしたところによると、中国で最新鋭の攻撃型潜水艦「周」が5月下旬か6月上旬に沈没し、中国政府はその事実を隠蔽してきたが、専門家は原潜が核燃料を搭載していた可能性があると見ている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     日本としては 中国政府が真実を公表するまで 中国の海産物の輸入は制限すべきだ 

         

昨日、夕食に原則隔週金曜日に作っている「鶏の唐揚げ」を作りました 今回は3週間ぶりですが、今回も外カリカリ内ジューシーに仕上がりました 奇跡的にサッポロCLASSICが手に入ったので、久しぶりに唐揚げにビールです

     

         

昨日14時から、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「すみだクラシックへの扉」9月度定期演奏会を聴きました   プログラムは①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」、ブラームス「交響曲第1番 ハ短調 作品68」です    演奏は①のチェロ独奏=宮田大、指揮=久石譲です

久石譲は国立音楽大学在学中よりミニマル・ミュージックに興味を持ち、現代音楽の作曲家としてスタートした 宮崎俊監督作品をはじめ数多くの映画音楽を手掛け、日本アカデミー賞最優秀音楽賞、紫綬褒章受章など数々の賞に輝く 2020年9月から新日本フィル Music Partner を務め、2021年4月から日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者を兼任する

     

会場は満席です 金・土とも完売とのことで、さらに来月の「扉シリーズ」(上岡敏之のモーツアルト「三大交響曲」)も発売早々完売だそうです 新日本フィルの快進撃が続いています

オケは14型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置 コンマスは崔文洙、隣は特任コンマスの伝田正秀というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1894年から95年にかけてわずか3か月で作曲、1896年にロンドンで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート ~ アンダンテ ~ アレグロ・ヴィーヴォ」の3楽章から成ります

チェロ独奏の宮田大はスイスのジュネーヴ音楽院卒業、ドイツのクロンベルク・アカデミー修了。2009年、ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールにおいて日本人として初めて優勝 これまで参加したすべてのコンクールで優勝を果たしています

久石の指揮で第1楽章に入りますが、独奏チェロの弱音が美しく響きます ホルンとフルートが冴えた演奏で華を添えます 第2楽章の中間部では、若い頃から憧れ続けたヨセフィーナ(妻アンナの姉)が重病だという報せを耳にしたドヴォルザークの心情が反映されていると言われる過去の作品「私にかまわないで」が引用されていますが、チェロの深みのある美しい音色が会場を満たします 久石はチェロの独奏部分ではテンポを落とし、チェロに朗々と歌わせます クラリネットが素晴らしい演奏を繰り広げます アタッカで第3楽章に入ると一転、独奏チェロが力強い演奏を展開します この楽章でも久石は、チェロの独奏部分でテンポを落とし、チェロに存分に歌わせます 宮田は、久石 ✕ 新日本フィルの確かなバックに支えられて深みのある抒情的な演奏を繰り広げ、スケールの大きなフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返され、宮田はドヴォルザーク「4つの歌曲作品82」より第1曲「私にかまわないで」を叙情的に演奏、聴衆のクールダウンを図りました 宮田の粋な選曲ですね

     

プログラム後半はブラームス「交響曲第1番 ハ短調 作品68」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1855年の構想から76年にかけて作曲、1876年11月4日にカールスルーエで初演されました 第1楽章「ウン・ポコ・ソステヌート ~ アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」、第4楽章「アダージョ ~ ピウ・アンダンテ ~ アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ ~ ピウ・アレグロ」の4楽章から成ります

久石の指揮で第1楽章が開始されますが、公開リハーサルで聴いた通り、相当速いテンポで演奏が進みます フルート、オーボエの演奏が冴えています リハーサルの時は気が付かなかったのですが、コントラバス8本の重低音が効いています 推進力に満ちたイケイケの演奏は、過去のベートーヴェン「第5交響曲」の”ロックな演奏”を思い出させます 第2楽章はごく普通のテンポとなります 弦楽アンサンブルが美しく、オーボエが冴えています 終盤における崔コンマスのヴァイオリン・ソロがいぶし銀のように輝きました 第3楽章ではクラリネットが冴えていました 第4楽章では、アルプスホルンの旋律に基づく(クララ・シューマンの誕生日に贈ったとも言われる)有名なテーマがホルン・ソロにより高らかに奏でられますが、この演奏が素晴らしかった その後に出てくる弦楽アンサンブルによるテーマ(ベートーヴェンの「第九交響曲」の合唱主題を意識した主題)も気負いのない流麗な演奏でした オーケストラ総力を挙げてのアグレッシブな演奏で突入したフィナーレは圧巻でした

満場の拍手の中 カーテンコールが繰り返され、久石 ✕ 新日本フィルはアンコールに応えました 「となりのトトロ」のテーマ じゃなくて、私が予想していたブラームス「ハンガリー舞曲」でもなく、 ドヴォルザーク「スラブ舞曲第10番」を叙情的に演奏、再び大きな拍手を浴び、コンサートを締めくくりました

     

     

     

     

今回もチケットボックス部の登原さんが笑顔で出迎え、笑顔で手を振って見送ってくれました

応援しています  お仕事 頑張ってください

         

さて、今日はセバスティアン・ヴァイグレ ✕ エドガー・モロー ✕ 読売日響の「土曜マチネーシリーズ」を聴きに行きます    長原幸太氏のコンサートマスターとして最後の公演です しっかりと見届け、聴き届けてきます

     

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久石譲 ✕ 新日本フィルで「すみだクラシックへの扉」9月度定期公演のうちブラームス「交響曲第1番」の公開リハーサルを聴く

2024年09月27日 00時18分26秒 | 日記

27日(金)。わが家に来てから今日で3545日目を迎え、11月の米大統領選で再選を目指すトランプ前大統領の陣営は25日、同氏が7月に銃撃を受けた現場で10月5日に再び演説すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     強いリーダー像をアピールする狙いだろうが トランプ支持者にしか効果は利かない

         

昨日、夕食に前日のコンサートに出演の石田組長のインタビューに刺激されて「豚の生姜焼き」を作りました あとは「生野菜とモッツァレラチーズのサラダ」「舞茸の味噌汁」です 生姜焼きは強火で焼き過ぎて硬くなってしまい、娘から「生姜ないなぁ」と言われてしまいました

     

         

昨日13時から、新日本フィル「すみだクラシックへの扉」9月度定期公演の公開リハーサルを見学しました 本日と明日の本番プログラムは①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」、②ブラームス「交響曲第1番 ハ短調 作品68」です この日は久石譲指揮によりブラームスの第1番のリハーサルが公開されました

     

オケは14型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置 コンマスは崔文洙、隣は特任コンマスの伝田正秀というダブルトップ態勢を敷きます

座席は6列目より後ろなら自由なので、1階10列13番、センターブロック左通路側を押さえました

最初に「本日の公開リハーサルはブラームスの交響曲第1番を楽章順に演奏します」とアナウンスがあり、普段着姿の久石氏が指揮台に上がりさっそく第1楽章の演奏に入りました

第1楽章はかなりテンポが速く、さくさくと進みます 久石氏はすぐに演奏を止め、修正点を指摘し、再度演奏を求めます これは第1楽章に限らず、第4楽章まで同様に進めました 演奏は流麗というよりもアクセントの利いたメリハリのあるアプローチでした リハーサルなので、詳細には書きませんが、オーボエ、フルート、ホルンの演奏が印象的でした

当初15時15分の終了予定でしたが、早めの14時40分に終わったため、久石氏は「アンコールのリハーサルやりましょうか」と言って、楽譜の準備にかかりましたが、「本番の楽しみに取っておいた方が良いのではないか」との指摘を受け、結局演奏しませんでした 十中八九 ブラームスの「ハンガリー舞曲」の何番かだと思います

この日の公開リハーサルも結構、聴衆が集まっていましたが、次回11月14日の公開リハは井上道義によるショスタコーヴィチなので満席近くになるのではないか、と密かに恐れています

今日は11時から小室敬幸氏による「すみだクラシックへの扉」のレクチャーを聴講し、14時から本番を聴きます

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石田泰尚 ✕ 實川風でモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第25番K.301」、ファリャ「火祭りの踊り」他を聴く ~ 第32回 名曲リサイタル・サロン

2024年09月26日 00時04分30秒 | 日記

26日(木)。わが家に来てから今日で3544日目を迎え、国連人権委員会が任命したマリアナ・カツァロバ特別報告者は23日、ジュネーブで記者会見し、ロシアでは1000人以上の政治犯が恣意的に投獄され 危険に晒されており、1年前に報告を行った時よりも悪化していると述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     主権国家ウクライナを侵略するプーチンに 人権意識があるとは 誰も思わないよね

         

昨日、夕食に「鮭の西京焼き」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」「鮪の山掛け」「豚汁」を作りました 魚は定期的に食べるようにしていますが、和食はいいですね

     

         

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート「第32回 名曲リサイタル・サロン ~  石田泰尚 ✕ 實川風」を聴きました プログラムは①J.S.バッハ/グノー「アヴェ・マリア」、②モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第25番 ト長調 K.301」、③スメタナ「わが故郷」より第1曲「モデラート」、第2曲「アンダンティーノ ”ボヘミアの幻想”」、④ファリャ「スペイン舞曲」「火祭りの踊り」、⑤ピアソラ「悪魔のロマンス」(實川風編)、⑥實川風「トッカティーナ ~ バッハとピアソラのテーマによる」です   演奏はヴァイオリン=石田泰尚、ピアノ=實川風です

石田泰尚(いしだ やすなお)は神奈川県出身。国立音楽大学を首席で卒業。新星日本交響楽団コンマスを経て、2001年から神奈川フィルのソロ・コンマスを務め、2020年から京都市交響楽団特別客演コンマスを兼任している 自身のプロデュースによる男性奏者のみの弦楽アンサンブル「石田組」の組長としても活躍する

實川風(じつかわ かおる)は東京藝大を首席で卒業、同大学院修了。グラーツ芸術大学ポストグラデュエート修了 2015年ロン・ティボー国際コンクール第3位(第1位なし)入賞 国内の主要オーケストラと共演を重ねる

     

ナビゲーターの八塩圭子さんによると、この日は本公演始まって以来定員1999席全て満席とのこと 女性が圧倒的に多いです 「なぜ2000席にしないのでしょうね あと1席は音楽の神様のために取っておいたと伺いました。良い話ですね 本当か嘘か分かりませんが」 八塩さん、言うじゃん

1曲目はJ.S.バッハ/グノー「アヴェ・マリア」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)の「平均律クラヴィーア曲集」第1巻の第1曲「プレリュード」の音型をもとに、グノーがメロディを加えて作曲した作品です

石田組長と實川風が登場し演奏に入りますが、とても美しい弱音が会場に響き渡りました

2曲目はモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第25番ト長調  K.301」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756ー1791)が1778年に作曲した6つのヴァイオリン・ソナタ(K.301~K.306)の最初の曲で、プファルツ選帝侯妃マリア・エリーザベトに献呈されました 第1楽章「アレグロ・コン・スピーリト」、第2楽章「アレグロ」の2楽章から成ります

ヴァイオリンもピアノも肩の力を抜いた気負いのない演奏で、幸福感に満ちた音楽を奏でました 組長は弱音でも遠くまで音が届くと確信しているような弾き方でした

ここでトークに入ります 八塩さんが「二人は昨年5月から共演を重ねていらっしゃいますが、今回で何度目ですか?」と訊くと、組長はしばし考えて「4回目です」。「本日のプログラムはどのような考えで組まれましたか?」との問いに、組長はしばし考えて「テキトーです」。思わず八塩さんが「えー、テキトーなんですかぁ」と返すと、「後半に行くにしたがって、だんだん盛り上がっていく、ラテン系にいくような感じです」と答え、實川も同意していました

     

3曲目はスメタナ「わが故郷」より第1曲「モデラート」と第2曲「アンダンティーノ ”ボヘミアの幻想”」です この曲はスメタナ(1824ー1884)が1879年から80年にかけて作曲しました ここで初めて気が付きましたが、ブルックナーと同様、スメタナは今年生誕200年を迎えます ブルックナーの交響曲が日本中のオーケストラで演奏されているのに比べ、スメタナは目だった動きがありませんね

2人の演奏で聴いた範囲では、第2曲の後半部のヴァイオリンとピアノの掛け合いがとても楽しく聴けました

ここで再びトークに入りました この公演では必ず出演者に食に関する質問をしていますが、「朝食は何を召し上がっていますか?」という質問に、組長は「朝は食べません ずっと前からです」。實川は「納豆ご飯です」。「本番前には何か召し上がりますか?」との問いに、組長は「ユンケルを飲みます」(会場・笑)。「お好きな食べ物は?」の問いに、組長は「生姜焼き定食 それと餃子」、實川は「生姜焼き定食、良いですね」。實川が組長に「明日死ぬとして、最後に食べたいものは何ですか?」と質問すると、「生姜焼き定食」。どうやら組長は「生姜焼き定食=命」のようです

次の曲はファリャ「スペイン舞曲」と「火祭りの踊り」です この曲はマヌエル・デ・ファリャ(1876-1946)が1914年から15年にかけて作曲したバレエ曲「恋は魔術師」の中の音楽です

「スペイン舞曲」ではヴァイオリンもピアノも雄弁です 我こそはと技巧を駆使します 「火祭りの踊り」では丁々発止のやり取りでアグレッシブな演奏が展開します

ここで最後のトークに入ります 八塩さんから「秋には武道館でコンサートを開くそうですが、チケットは売り切れとか」とマイクを向けられると、組長は「そうなんです。あそこは8000人入るそうです」と満足な表情でした クラシックのアーティストで武道館を満席にできるのは角野隼斗くらいしかいませんからね

     

次の曲はピアソラ「悪魔のロマンス」(實川風編)です この曲はアストル・ピアソラ(1921-1992)が1965年にワシントン、ニューヨークなどで公演を行った後、アルゼンチン帰国後に録音された「ニューヨークのアストル・ピアソラ」に収録された1曲です

演奏を聴く限り、この曲はタイトルの「悪魔」とは似ても似つかない穏やかで憧憬に満ちた音楽で、バラード風のメロディーが美しく会場を満たしました

最後の曲は實川風「トッカティーナ ~ バッハとピアソラのテーマによる」です この曲は實川が昨年5月に石田と初共演した時にバッハとピアソラを取り上げたので、2人の作曲家の音楽を一緒に出来ないかと思って作曲した、とトークで語っていました

演奏に入りますが、バッハでは無伴奏ヴァイオリン・ソナタやG線上のアリア、ピアソラではリベル・タンゴなどがアレンジされていたように思いました フィナーレのアグレッシブな演奏は圧巻でした

     

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、2人はアンコールにピアソラ(實川編)「天使の死」を鮮やかに演奏 組長は演奏が終わると一人でさっさと舞台袖に引き上げていき、實川は呆然と立ち尽くし、苦笑しながら一礼して引き上げました 鳴りやまない拍手に、2人はコープランド「Hoe-Down from”Rodeo”」をアグレッシブに演奏、大きな拍手の中 ジョイント・リサイタルを締めくくりました

「如何に石田から本音を引き出すか」という八塩さんと、「如何にしゃべらないで済むようにするか」という組長との攻防戦を含めて、実に楽しいコンサートでした

東京芸術劇場コンサートホールは9月末から約1年間、改装工事のため休館となる関係で、この日のコンサートを持ってしばらく休演となります 再開後の公演内容とチケット発売の案内は2025年4月にMIYAZAWA&Co.及び東京芸術劇場のホームページで知らせるとしています

「芸術ブランチコンサート」とこの「名曲リサイタル・サロン」とも、一流のアーティストによる約1時間強の演奏で2400円という良心的なチケット代なので、出来るだけ長く続けてほしいと思います

         

今日は新日本フィル「すみだクラシックへの扉」9月度定期公演の公開リハーサルを見学に行きます 公開されるのは久石譲の指揮によるブラームス「交響曲第1番」だと思います

     

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井上道義 ✕ 新日本フィル11月度定期「レニングラード」公開リハ―サル入場券届く / 「努力の小澤・才気の直純・天才道義」= 恩師・斎藤秀雄の見立て ~ 「俵考太郎のクラシックな人々」から

2024年09月25日 00時42分17秒 | 日記

25日(水)。昨夕、千代田区内幸町のNPCビル9階の日本記者クラブ・レストランで、新聞団体事務局のOB会「旧友会」が開かれたので参加しました

24人の会員が参加しました。最初に新聞団体の事務局長から挨拶がありましたが、新聞社からの会費分担金を主な財源とする団体は、新聞購読者の激減に伴い販売・広告収入の大幅減により厳しい運営を強いられており、事務局の職員数も30年前の130人から現在は69人に激減しているーという厳しい現況が報告されました 懇親会では、ワインを片手に、かつての上司で、推理小説評論家と団体職員の二足の草鞋を履いていたG・M氏や、88歳になっても合唱や水泳に精を出しているA氏や、私のブログに洗脳されてMETライブビューイングを何本も観たというS女史などとお話しし、楽しいひと時を過ごしました M氏から二次会に誘われたのですが、1年前の旧友会の日は酷い目に遭ったので、今回は慎重に行動することにしました 1年前は2次会に参加した後、酔って家に帰ってきたまでは良かったのですが、玄関で靴を脱ぐときにバランスを崩し、前のめりに倒れ込んで右眼の上のオデコを強打して痣を作り、右手の甲をねん挫し、眼鏡フレームを破損して新品と交換するのに24,750円もかかったのです 「同じ過ちは二度と繰り返さない」という固い決意のもと、「腰痛が・・・」と二次会を断って、真っすぐ帰ってきました もちろん、玄関で靴を脱ぐときも慎重にしました お陰で今回は怪我をせずに済みました

ということで、わが家に来てから今日で3543日目を迎え、ロシアの哨戒機1機が23日、北海道の礼文島沖北方で日本の領空を3度侵犯し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進し、対領空侵犯措置で初めて強い光と熱を放つ「フレア」を使用して警告した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     ウクライナの次は日本を狙ってんのか? いい加減にしないと張り飛ばすぞプーチン!

  昨日は娘も私も外食だったので、夕食作りはお休みしました   

         
新日本フィルから「2023/2024シーズン『アニュアルレポート』」とともに、11月14日(木)14時から すみだトリフォニーホールで開かれる11月度定期演奏会の「公開リハーサル」の入場券が届きました プログラムはショスタコーヴィチ「交響曲第7番 ”レニングラード”」です   指揮は新日本フィルとは最後の共演となる井上道義です 当日は19時からオペラシティ・コンサートホールで「東京シティ・フィル」の定期演奏会がありますが、時間のダブりはないのでハシゴすることにします

参考までに、公開リハーサルを見学するには一定額の寄付をして「賛助会員」や「維持会員」になる必要があります 年6~8回の公開リハーサルが見学できます

     

     

また、東京フィルから10月20日(日)11時半からオーチャードホールで開かれる10月度定期演奏会の「公開リハーサル」の案内が届きました 当日は14時からNHKホールでN響Aプログラムがありますが、時間的にダブりはないので参加は可能です

     

しかし、下のフライヤーの通り、サントリー定期会員の私は17日(木)に本番を聴くことになっています つまり、本番を聴いた後でリハーサルを聴くことになるわけです これは18日(金)に本番を聴くオペラシティ会員も同様です。本番前にリハーサルを聴けるのは20日(日)当日15時開演のオーチャード会員だけなのです 上記案内にある「本番前のリハーサル風景をお楽しみください」とあるのは皮肉にしか思えません しかし、これは今回に限ったことではなく、過去にもあったので、その時もブログで「公開リハーサルというが、オーチャード会員最優先の偏った扱いではないか」と批判しました 今回は服部百音のヴァイオリンがリハーサルで聴ける貴重な機会なのですが、腰痛のこともあるので申し込まないことにしました 東京フィルには公開リハの日程を公平に配慮して設定してほしいと思います

     

         

新交響楽団から「第267回演奏会」の案内が届きました 10月12日(土)18時からすみだトリフォニーホールで開かれます プログラムは下のフライヤーの通りで、ブルックナー「交響曲第4番」がメインですが、この日は同じ時間帯にサントリーホールで東京交響楽団の「定期演奏会」があるので、今回はパスすることにしました

     

         

TOWER RECRDS発行の無料情報誌「Intoxicate」に連載の「俵考太郎のクラシックな人々」(8月号)で、日本における「ラ・ボエーム」の公演記録が紹介されていました 俵考太郎は元産経新聞記者、政治評論家ですが、日本のクラシック事情に造詣が深いことで知られています 彼は記事の最後に、私も一昨日 観た井上道義最後のオペラ公演「ラ・ボエーム」について触れ、次のように書いています

「恩師の齋藤秀雄が、華麗闊達な指揮で人気の弟子の若手三羽烏を、『努力の小澤・才気の直純・天才道義』と評した井上だが、晩年は専ら曲の神髄に迫る厳しい音楽に徹していた その井上が最後に選んだのが、青春の哀歓に満ちたこの不朽の名作だった意味は、深いと思う

解説するまでもなく、斎藤秀雄の弟子「若手三羽烏」は小澤征爾、山本直純、井上道義ですが、その見立ては、さすがは教育者としても演奏者としても超一流の齋藤だと思います

ところで、過日 朝日新聞に連載された”炎のコバケン”こと小林研一郎の回顧によると、指揮の恩師・山田一雄は「小澤は天才だな」と語ったとしています  しかし、よく考えてみればクラシック音楽の大衆化に尽力した山本直純を含めて、3人とも天才だったと言わざるを得ません

     

         

今日は石田組長 ✕ 實川風の「名曲リサイタル・サロン」を聴きに行きます

     

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井上道義 ✕ 森山開次 ✕ 読売日響でプッチーニ「ラ・ボエーム」を観る ~ 工藤和真、ルザン・マンタシャン、イローナ・レヴォルスカヤ、池内響、スタ二スラフ・ヴォロビョフにブラボー!

2024年09月24日 00時01分14秒 | 日記

24日(火)。わが家に来てから今日で3542日目を迎え、ドナルド・トランプ前米大統領は、米ニュース番組「フル・メジャー」とのインタビューで、11月の大統領選で落選した場合、次回2028年の選挙には再び挑戦しない意向を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     そんな寂しいこと言わないで 3回挑戦3回落選の新記録を作れば 名前が残るのにな

         

昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜とモッツァレラチーズのサラダ」を作りました ビーフカレーはブロック肉でなく 今回は切り落とし肉を使いましたが とても美味しかったです

     

         

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「2024年度全国共通制作オペラ プッチーニ『ラ・ボエーム』」を観ました 出演はロドルフォ=工藤和真、ミミ=ルザン・マンタシャン、ムゼッタ=イローナ・レヴォルスカヤ、マルチェッロ=池内響、ショナール=高橋洋介、コッリーネ=スタ二スラフ・ヴォロビョフ、アルチンドロ=仲田尋一、べノア/カフェマスター=晴雅彦、パルピニョール=谷口耕平。合唱=ザ・オペラ・クワイア、児童合唱=世田谷ジュニア合唱団、ダンサー=梶田留似、水島晃太郎、南帆乃佳、小川莉伯、管弦楽=読売日本交響楽団、バンダ=ベル・ラ・ボエーム、指揮=井上道義、演出=森山開次です

井上道義は1946年東京生まれ。桐朋学園大学卒業。ニュージーランド国立響首席客演指揮者、新日本フィル音楽監督、京都市響音楽監督兼常任指揮者、大阪フィル首席指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督を歴任 今年12月末をもって指揮活動の引退を表明している

森山開次は2005年、自ら演出振付出演するソロダンス「KATANA」でニューヨーク・タイムズ紙に「驚異のダンサー」と評され、2007年ヴェネチア・ビエンナーレ招聘 2019年「ドン・ジョバンニ」(総監督・指揮=井上道義)でオペラ初演出。2021年の「東京2020パラリンピック開会式」で演出・チーフ振付を務める

森山は9月19日付の朝日新聞夕刊で、同社編集委員・吉田純子さんのインタビューに答え、「振り付け、美術、衣裳に至るまで、『君の好きなように。新境地を開け』と、井上氏からほぼ全権を託された」と語っています

     

「ラ・ボエーム」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がアンリ・ミュルジェールの小説「ボヘミアンの生活情景」により、ジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカの台本に基づき1892年から95年にかけて作曲、1896年にトリノのレージョ劇場で初演された全4幕から成るオペラです

物語の舞台は1830年代のパリ。4人の若者が暮らす屋根裏部屋で、詩人ロドルフォが一人になると、階下に住むお針子ミミがろうそくの火を借りに訪れ、2人は恋仲になる(第1幕)。クリスマスイヴのカルチェラタンで、画家のマルチェッロが元カノのムゼッタと再会する(第2幕)。肺病を患っているミミはロドルフォと別れることを決意する マルチェッロと浮気性のムゼッタの仲も壊れる(第3幕)。数か月後、再び屋根裏部屋でロドルフォもマルチェッロも別れた恋人が忘れられずにいる そこにムゼッタが衰弱したミミを連れてきて、ミミはロドルフォのもとで最期を迎える(第4幕)。

     

自席は2階K列33番、センターブロック8列目の右通路側です 会場はほぼ満席です

森山開次の演出は、画家のマルチェッロに、1913年にフランスに渡った画家の藤田嗣治(レオナール・藤田)を投影しています 藤田の特徴は「おかっぱ頭、丸眼鏡、ちょび髭」なので、マルチェッロ役の池内響はそのような風貌として登場します

オーケストラピットに入る読響は、下手側に打楽器、ハープが、上手側に木管楽器、金管楽器、ティンパニが控え、その間(中央)に弦楽器が左からコントラバス、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの順に配置されます。コンマスは林悠介です

ステージはシンプルな作りで、各幕の舞台転換も最小限に留めています

満場の拍手の中、井上道義が颯爽と登場し、さっそく演奏に入ります

ロドルフォ役の工藤和真は岩手県出身のテノールです 東京藝大・大学院声楽専攻修了。第53回日伊声楽コンコルソ第1位及び歌曲賞受賞 第1幕のアリア「冷たい手を」では伸びのある歌唱で最高音を歌い上げたのをはじめ、説得力のある歌唱と演技力で聴衆を魅了しました

ミミ役のルザン・マンタシャンはアルメニア出身のソプラノです モデナでミレッラ・フレー二、フランクフルトでヘドヴィグ・ファスベンダーに師事。パリ国立オペラのアトリエ・リリックで研鑽を積みました ヨーロッパの歌劇場を中心に活躍しています。第1幕のアリア「私の名はミミ」をはじめ透明感のあるリリックな歌唱でヒロインを歌い上げました

ムゼッタ役のはイロ―ナ・レヴォルスカヤはロシア出身のソプラノです モスクワ音楽院を経て、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック修了。リンツ歌劇場で「ラ・ボエーム」ムゼッタ、「カプレーティ家とモンテッキ家」ジュリエッタなどで活躍しています 第2幕のアリア「私がひとり街を歩くと」では、美しいコロラトゥーラで聴衆を魅了しました

マルチェッロ役の池内響は兵庫県出身のバリトンです 東京藝大大学院修了。2015年に日生劇場「ドン・ジョバンニ」タイトルロールでデビュー 2019年に第10回サルヴァトーレ・リチ―トラ声楽コンクール第1位 パリで活躍した藤田嗣治に成り切って歌い・演じ、存在感を示しました

コッリーネ役のスタ二スラフ・ヴォロビョフはロシア出身のバスです 2018年からチューリヒ歌劇場に所属し、「ラ・ボエーム」コッリーネなどで活躍 第4幕でのアリア「古い外套よ、聞いておくれ」では低音の魅力を十分に発揮しました

いつ聴いても素晴らしいと思うのは、第3幕のラストです。ロドルフォとミミが甘美な別れの二重唱を歌っている最中、マルチェッロとムゼッタの2人が喧嘩しながら乗り込んできて、二重唱対二重唱が絡み合って歌われるアンサンブルです。常識的には「愛の別れの二重唱」と「喧嘩別れの二重唱」は両立しないでしょう。しかし、プッチーニは見事なアンサンブルで両立させます。こういうのを聴くと、プッチーニの天才を感じます。蛇足ですが、ムゼッタがマルチェッロを罵る時、「ちょび髭」と言い捨てますが、これはマルチェッロこと藤田嗣治が「ちょび髭」だからです ここで思わず笑ってしまいました

合唱のザ・オペラ・クワイア、児童合唱の世田谷ジュニア合唱団は、ともに第2幕「カフェ・モミュス」で大活躍し、クリスマスを祝う街の賑わいを演出しました

森山開次の演出では、場面に応じて4人のダンサーが黒子的な存在としてバレエを踊ります ダンス自体は流石はプロだと感じますが、1カ所だけ注文を付けるとすれば第2幕の冒頭の演出です 通常のオペラ公演では、トランペットによる華やかな音楽で幕が開きますが、本公演では①緞帳がないこと②1幕から2幕への舞台の模様替えの必要があることから、時間を稼ぐことになります そこでパルピニョールとダンサーたちにより聴衆の笑いを取る「パントマイムによるコント」が演じられることになります 趣旨は分かりますが、時間が長すぎると思いました まあ、実際には裏方の事情があるのだと思いますが、出来るだけ短い方がいいと思いました

最期に、井上道義 ✕ 読売日響は歌手に寄り添いながら、ボヘミアンたちの心情を、クリスマスの祝祭感を、恋人たちの別れの辛さを歌い上げました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

     

     

     

         

開演に先立って東京芸術劇場5階「ギャラリー1」(コンサートホール入口と同じ階)で開かれていた「井上道義 音楽生活写真展」を観てきました

     

写真展では井上氏の幼少期から現在までの想像以上多くの写真が展示されていたのをはじめ、順路の最後には井上作曲によるミュージカルオペラ「A  Way  from  Surrender(降福からの道)」を中心とするスライド上映があり、結局入場してから退出するまで1時間くらいかかりました

写真を見て、「この頃、バレエをやって女の子にもててたんだな」とか、「若い頃は髪の毛ふさふさだったのが、この頃から禿に、もとい、頭上が枯山水になったんだな」とか、「この頃からアホな行動、もとい、聴衆を喜ばすためにギャグをかますようになったんだな」とか思いながら順路を回っていきました

オペラ公演といい、写真展といい、この日は私にとって「井上道義デー」となりました

     

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佐渡裕 ✕ 新日本フィルでハイドン「交響曲第6番 ニ長調 ”朝”」、ブルックナー「交響曲第7番 ホ長調」を聴く ~ 第658回定期演奏会

2024年09月23日 00時01分36秒 | 日記

23日(月・休)。わが家に来てから今日で3541日目を迎え、ウクライナのシビハ外相は21日、情報機関の話としてロシアがウクライナの原発施設を攻撃する計画があると明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     ロシア兵の死者は7万人超というからプーチンは焦ってる 原発攻撃は自滅への道だ

         

昨日、サントリーホールで新日本フィル「第658回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ハイドン「交響曲第6番 ニ長調 ”朝”」、②ブルックナー「交響曲第7番 ホ長調」です 指揮は佐渡裕です

     

オケは8型の小編成で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び    ステージ上手奥にはチェンバロがスタンバイします    コンマスは西江王子、隣はアシスタント・コンマスの立上舞です

1曲目はハイドン「交響曲第6番 ニ長調 ”朝”」です この曲はヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)がオーストリアのハンガリー国境付近に居を構えるエステルハージ侯爵家の楽団の副楽長を務めていた1761年に作曲しました なお、第6番は「朝」、第7番は「昼」、第8番は「夕」の標題が付けられています 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ」、第2楽章「アダージョ ~ アンダンテ ~ アダージョ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ」の4楽章から成ります

小規模編成ということでか、佐渡は指揮台を使用しないで第1楽章に入ります 弦楽セクションの軽快なテンポの演奏に乗せて、野津雄太のフルート、神農広樹のオーボエが良く歌います 第2楽章では西江コンマスのソロが素晴らしい 第3楽章ではファゴットの河村幹子の演奏が冴えています 第4楽章では長谷川彰子のチェロが素晴らしかった 終始 ハイドンらしい明朗で軽快な演奏が展開しました

     

プログラム後半はブルックナー「交響曲第7番 ホ長調」です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1881年から83年にかけて作曲、1884年にライプツィヒで初演されました 本作の作曲の途中、ブルックナーの敬愛するワーグナーが1883年2月13日に死去します これを受けてブルックナーは、ワーグナー・チューバを第2、第4楽章で使用しました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ:極めて厳かに、そして非常にゆっくりと」、第3楽章「スケルツォ:非常に速く」、第4楽章「フィナーレ:動きをもって、しかし速くなく」の4楽章から成ります

オケは16型に拡大し、管・打楽器が増員されフル・オーケストラ態勢となります 佐渡は高さの低い指揮台に上がり第1楽章に入ります かなり遅いテンポにより悠然と音楽が進みますが、冒頭のチェロの深みのある演奏が印象的です ホルン・セクションとトランペットの山川永太郎の演奏が素晴らしい 野津のフルートも冴えています 第2楽章の白眉はワーグナー・チューバ4本と佐藤和彦のテューバによる葬送のコラールです 重厚感のあるいぶし銀の響きが会場を満たしました 第3楽章は冒頭の山川のトランペットと弦楽セクションの対話、あるいはホルンと弦楽セクションとの対話が野性味にあふれ活気がありました 第4楽章では、弦楽セクションが渾身の演奏を繰り広げる中、ホルン、ワーグナー・チューバ、テューバ、トランペット、トロンボーンといった金管楽器群が第1楽章冒頭の第1主題を高らかに歌い上げ、輝かしvい音の大伽藍を築き上げました

佐渡裕 ✕ 新日本フィルらしいスケールの大きな演奏に満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました

     

     

     

     

開演前に事務局チケットボックス部の登原さんと久しぶりにお話ししました 前日の土曜日はコンサートのハシゴだったため、新日本フィルの「サポーターズ・パーティー」には参加できなかったことを伝えると、「当日はパトロネージュ部時代に関りのあった賛助会員や維持会員の方々から声をかけていただきました」と明るい表情で語っていました

終演後 事務局の受付に寄ると、登原さんから「長時間座っていて、大丈夫でしたか?」と声を掛けられました 彼女は、私が腰痛に悩まされているのを知っているので、気遣ってくれたのです  「今日も腰痛ベルトを着けてきました」と答え、お別れの挨拶をして会場を後にしました こういう気遣いがあると、やはり応援したくなるものです

オーケストラの楽団員は、良い演奏を届けることで自らの役割を果たしています 一方、事務局職員は彼らをサポートし、聴衆が安心してコンサートが聴けるよう自らの役割を果たしています 彼らは演奏者のように表立って称賛されることはなく、あくまでも縁の下の力持ち的な存在に徹しています 私も新聞関係団体の事務局に長年勤務していたので、事務局の苦労は良く理解しているつもりです これからもオーケストラを応援するとともに、裏方の事務局の皆さんも応援していきたいと思います

ということで、とりあえず「サントリーホール・シリーズ」「すみだクラシックへの扉」ともに、2025/2026シーズンも現在の座席のまま会員継続することとし、申込書を新日本フィルに送付しました

         

今日は井上道義”最後のオペラ公演”を聴きに行きます

     

ついでに「井上道義 音楽生活写真展」を見てきます

     

     

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秋山和慶 ✕ 竹澤恭子 ✕ 東京交響楽団でベルク「ヴァイオリン協奏曲」、ブルックナー「交響曲第4番 ”ロマンティック”」を聴く ~ 秋山和慶:指揮者生活60周年記念

2024年09月22日 01時04分32秒 | 日記

22日(日)その2.東京シティ・フィル「第78回ティアラこうろう定期演奏会」の模様は「その1」に書きました モコタロはそちらに出演しています 是非ご訪問ください

昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第724回定期演奏会 秋山和慶:指揮者生活60周年記念」を聴きました プログラムは①ベルク「ヴァイオリン協奏曲 ”ある天使の思い出に」、②ブルックナー「交響曲第4番 変ホ長調  ”ロマンティック”」(1878/80年稿ノヴァーク版)です 演奏は①のヴァイオリン独奏=竹澤恭子、指揮=秋山和慶です

     

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び   コンマスはグレブ・ニキティン、その隣は小林壱成というダブルトップ態勢を敷きます   指揮者生活60周年の秋山氏をリスペクトした布陣です

1曲目はベルク「ヴァイオリン協奏曲 ”ある天使の思い出に」です この曲はアルバン・ベルク(1885-1935)が1935年に作曲、1936年4月にバルセロナで初演されました この曲を作曲中にマーラーの未亡人アルマが再婚でもうけた娘マノンが19歳で急逝したのを悼み、「ある天使の思い出に」という献辞を付けて贈ったというエピソードがあります 第1部「アンダンテ ~ アレグレット」、第2部「アレグロ ~ アダージョ」の2部構成です

ヴァイオリン独奏の竹澤恭子は桐朋女子高校在学中に第51回日本音楽コンクール第1位 1986年インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールで優勝 国内外のオーケストラと共演を重ねている 現在、東京音楽大学教授、桐朋学園大学特任教授として後進の指導にも当たっている

この曲を初めて聴いたのは南紫音の演奏でした 彼女が2005年のロン=ティボー国際コンクールで2位入賞を果たした翌年くらいだったので、20年近く前のことになります 初めて聴いた曲ということもあり、何が何だかさっぱり分からない曲でした

秋山の指揮で演奏に入ります。演奏を聴きながら、第1部はマノンとの思い出を描いているのかな、第2部はマノンを失った時の慟哭と魂の浄化を描いているのかな、と想像していました

竹澤恭子のヴァイオリンは芯がしっかりしていてブレがありません 秋山 ✕ 東響の万全のサポートを信じて、何の迷いもなく弾き切りました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返され、竹澤はJ.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」から第3楽章「アンダンテ」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

     

プログラム後半はブルックナー「交響曲第4番 変ホ長調  ”ロマンティック”」(1878/80年稿ノヴァーク版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1874年に作曲、その後2度にわたり改訂し、1881年2月20日にウィーンで初演されました 第1楽章「動きをもって、速すぎず」、第2楽章「アンダンテ・クワジ・アレグレット」、第3楽章「スケルツォ」、第4楽章「動きをもって、しかし速すぎず」の4楽章から成ります

秋山の指揮で第1楽章に入りますが、冒頭から上間善之のホルンが素晴らしい 竹山愛のフルート、荒絵理子のオーボエが冴えています チェロがとても良い音色で鳴っています 第2楽章では、中盤のピッツィカートに乗せて演奏されるヴィオラの演奏が寂寥感に満ちて素晴らしい 第3楽章ではホルンとトランペットが大活躍します 中盤のトリオではフルートの竹山、オーボエの荒、クラリネットの吉野による「黄金の木管トライアングル」の演奏が素晴らしい 各楽員は秋山を信頼しきって演奏に集中してる様子が窺えます 第4楽章では、弦楽のキザミを背景に 咆哮する管楽器と炸裂する打楽器のスケールの大きな演奏により音の大伽藍を築き上げました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

     

     

     

楽団から秋山氏に60周年を祝う60本の薔薇の花束が贈呈されました

     

     

     

         

大谷翔平、ついに「50本塁打 ✕ 50盗塁」の偉業を達成しましたね     珍しく朝日の「号外」が夕刊に挟み込まれていました    この「号外」、何年後かに価値が上がりますよ  その可能性は50-50(フィフティ・フィフティ)ですが

     

今日はサントリーホールでこれを聴きます

     

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出口大地 ✕ 中野りな ✕ 東京シティ・フィルでチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」他を聴く ~ 第78回ティアラこうとう定期演奏会

2024年09月22日 00時01分36秒 | 日記

22日(日)その1.わが家に来てから今日で3540日目を迎え、トランプ前大統領が創設したソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」の運営企業の株価が20日、今年3月の上場以来の最安値を更新し、トランプ氏の保有株の時価総額も約半年で約3分の1の約16億ドル(約2300億円)まで下落した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     株価は株主の不安をストレートに反映するからね トランプ敗北濃厚の不安の現れか

         

昨日、15時からティアラこうとうで東京シティ・フィル「第78回ティアラこうとう定期演奏会」を、18時からサントリーホールで東京交響楽団「第724回定期演奏会」を聴きました ここでは東京シティ・フィルの公演について書きます

プログラムは①ハチャトゥリアン:バレエ音楽「スパルタクス」より「カディスの娘の踊り ~ スパルタクスの勝利」、②チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」、③ショスタコーヴィチ「交響曲第5番 ニ短調 作品47」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=中野りな、指揮=出口大地です

出口大地は大阪府豊中市生まれ。関西学院大学、東京音楽大学指揮科で学び、2023年ハンスアイスラー音楽大学ベルリン指揮科修士課程修了 第17回ハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門で日本人初の優勝

     

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び。コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はハチャトゥリアン:バレエ音楽「スパルタクス」より「カディスの娘の踊り ~ スパルタクスの勝利」です バレエ「スパルタクス」はグルジア生まれのアラム・ハチャトゥリアン(1903-1978)が1954年に作曲し、レーニン賞を受賞した作品ですが、翌55年に全曲から3つの組曲を編みました 「カディスの娘の踊り ~ スパルタクスの勝利」は第1組曲の第5曲(終曲)に当たります

サウスポーの指揮者・出口大地のタクトで演奏に入りますが、クラリネットの表情豊かな演奏が印象的でした

2曲目はチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1878年に作曲、レオポルド・アウアーに初演を依頼し献呈するつもりでしたが、「演奏不能」と断られたため、アドルフ・ブロツキーに依頼、1881年12月4日にハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルにより初演されました  第1楽章「アレグロ・モデラート ~ モデラート・アッサイ」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァッチシモ」の3楽章からなります

ヴァイオリン独奏の中野りなは2004年生まれの20歳 2021年 第90回日本音楽コンクール優勝。2022年第8回仙台国際音楽コンクールで史上最年少の17歳で優勝    2023年4月より桐朋学園大学、9月からはウィーン市立芸術大学でも研鑽を積む

私が中野りなの演奏を聴くのは、サン=サーンスの「第3番」、メンデルスゾーンの「ホ短調」に次いで3回目ですが、待望のチャイコフスキーです

出口の指揮で演奏に入りますが、中野のヴァイオリンは音色が美しく本当に良く鳴ります カデンツァは鮮やかでした 第2楽章は独奏ヴァイオリンの弱音が美しく響きます 第3楽章は独奏ヴァイオリンとオケとのアグレッシブなやり取りにより華やかで熱狂的なフィナーレを飾りました    期待通りの素晴らしい演奏でした

満場の拍手とブラボーの中、カーテンコールが繰り返され、中野はパガニーニ「24のカプリース」から第5番を超高速 超絶技巧で弾き切り、聴衆を唖然とさせました

     

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第5番 ニ短調 作品47」です   この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1937年に作曲、同年11月21日の革命20周年記念日にレニングラードで初演されました    この作品は「ブルジョワ趣味」というジダーノフ批判に対する名誉回復を成し遂げた社会主義リアリズム路線に沿った作品と言われています 第1楽章「モデラート ~ アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「ラルゴ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

オケは12型のままで、ステージ下手にハープ2台、ピアノ、チェレスタがスタンバイします

出口の指揮で第1楽章に入りますが、冒頭の低弦による迫力に満ちた演奏が印象的です フルート、ホルンが素晴らしい 炸裂するティンパニが強烈です 第2楽章でも冒頭の低弦のアグレッシブな演奏が素晴らしい 戸澤コンマスのソロがアイロニカルな演奏で、思わずニヤリとしてしまいました 第3楽章は弦楽セクションのアンサンブルが美しく響きます オーボエの寂寥感を湛えた演奏が印象的です 第4楽章は冒頭からエネルギーに満ちた演奏が展開、強烈なティンパニが全体に緊張感をもたらします 弦楽器の刻みに乗せて、管楽器とティンパニが勝利のテーマを歌い上げるフィナーレは圧巻でした

出口は終始、中庸なテンポで演奏を進め、シティ・フィルの底力を引き出しました

終演は17時10分 大きな拍手の中、カーテンコールが繰り返されましたが、私は18時からサントリーホールで開かれる東響定期を聴くため、一足早く退席しました 東響定期公演については「その2」に書きますので、ご覧ください

     

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